to不定詞の基本
英語で to 不定詞というのがありますよね。 皆さんも記憶にあるんではないでしょうか。
to プラス、動詞の原形で、 名詞的用法、形容詞的用法、〇〇にするために、みたいな副詞的用法とかね、
いろいろ使い方があるみたいなことを学校で習いますが、 この to 不定詞の to っていうのは一体何者なんでしょうか。
これは前置詞の to とは別物だと、なんとなく差しがつくんではないかと思います。
前置詞の to は、駅にとかいう時の to the station とかいった時の to ですね。
で、この to っていうのは他の前置詞、from とか、 あるいは at とかね、こういったものと同じグループですが、
こういった前置詞っていうのは、後ろに名詞が現れます。 to the station だったら定感詞もありますけど、
station という名詞が出てきてますよね。 っていうのと比べると、
to 不定詞っていうのは、さっきも言ったように動詞が原形で出てくるので、 食べること、to eat とか、そういった感じで出てきますよね。
ですので to 不定詞の to は、 後ろに現れるのが名詞ではなくて動詞だという点で、前置詞の to とは別物です。
意味から考えてみても、to っていうのは方向性みたいなのがあるわけですけど、
to 不定詞の to っていうのはもうちょっと意味が希薄というか、空っぽっていう感じがすると思います。
語源の話とかね、歴史的な経緯とかは一旦置いておいて、 今回はこの to 不定詞の to の正体を生成文法の観点からね、考えていこうと思います。
BGM、ゆけい。
始まりました。4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 マイクウバゾウスキーです。
結論から言うと、to 不定詞の to は、 生成文法では自制字だと考えられています。
自制字。 生成文法というのは、ノーム・チョムスキーという言語学者が起こした言語学の一分野で、
新しい言語学の流れを作ったんですよね。
生成文法については、過去にいくつかエピソードを撮っていると思います。
英語の疑問文で、語順が変わるのは何でかとか、そういった話も多分したことがあると思うんですが、
この番組ではあんまり取り上げてないんじゃないかなと思いますね。
僕自身そんなに得意じゃないというのもあるんですが、
ひとまず生成文法という言語学のその一つの分野というか、流れの中でto 不定詞の to というのは、
自制字、あるいは点数マーカー、あるいは単にtと言われることもありますが、そういったものとみなされます。
そもそも自制というのは何なのかというと、簡単に言うと時間ですね。
もっと具体的に言うと現在、過去、未来のことです。
自制字と言われるもの、t というのは日本語にもあって、
というか生成文法っていうのはあらゆる言語に当てはまる理論と考えられているので、
当然 t っていうのもどんな言語にでもあると考えられてるんですよね。
日本語の場合だったら、食べたといった時のこのたというのが自制字です。
この場合はこのたっていうのが過去の自制字ということになります。
英語の場合も動詞に過去形がありますから、不規則動詞は一旦置いておいて、
普通の変化をする動詞だったら、つづりの上では ed っていうのがくっつきますよね。
見るっていう watch に対して watched っていった場合、この to っていうのが過去自制を表しています。
ですので to 不定詞の to っていうのは、日本語のたとか英語の過去の ed とかと同じカテゴリー、
同じ仲間の要素であるということになります。
ただ、日本語のたとか英語の ed っていうのが過去という自制を担っている、
過去という意味を積極的に表しているのに対して、
to 不定詞の to っていうのはどういう自制を担っているんだっていうことが問題となってきます。
to 不定詞の to が担っている自制はまさに不定というふうに考えられるんですね。
英語の時制の考察
英語だと non-finite というふうに言われて、
ファイナイトっていうのを否定してるんですよね。
ファイナイトっていうのはそもそも何かというと、現在とか過去とか未来とかある特定の時間軸上の流れの
地点を指すっていうような感じですね。それがファイナイトと言われるものです。
non-finite と否定っていうのはそれの反対なので、特定の時間を指していないということです。
だから to 不定詞っていうのはかなり素材的っていうか、だからこそ名詞っぽく使えたりとかね、そういった説明もできると思います。
ですので to 不定詞の to というのは積極的にどっかしらの特定の時間を指さない
時制時だということができます。 日本語にはあんまり不定詞みたいなのがないのでイメージしづらいですが、
言語によっては不定詞というのを持っているものもあるんじゃないかと思います。
日本語と英語は語順が逆になっているということがよく指摘されたりします。
生成文法でもそういうふうに言われることがあって、 共造関係というかね、鏡写しになっていると言われて、
例えば、さっきもちょっと例に挙げた前置詞ですが、 駅からっていう時は from the station
っていう風に英語だと from っていう前置詞を使って、 日本語は駅からっていう風にからっていう後置詞を使うんですよね。
っていう風に 語順が逆さまになっているような例が結構あります。
それは時制時についても同じことが言えて、 食べたっていう風に
日本語だと食べるっていうその、食べですね。 動詞本体みたいなのがあってから時制時のたっていうのが出てきていて、
英語だと時制時その後具体的な語みたいな、 to eat っていう風になってんですよね。
日本語は動詞本体時制時、英語は時制時動詞本体。 まあこういう順番になってます。
めでたしめでたしと行きたいとこなんですが、 ちょっとそれで問題になるのは
英語の過去形とかを考えたときに、 これもさっき例に挙げましたけど、見たっていうのは watched で、
見た目の上では watch っていう動詞本体に過去の ed がくっついて watched 全体で見たっていう風になっているので、
これ日本語と一緒になっちゃってますよね。 動詞本体に時制時の英語だったら ed、あるいは日本語だったらたというのがくっついているので、
これが結構困っちゃうとこです。 こういう風に見ると英語っていうのは時制時が
動詞本体の前に出るパターン、 通付停止みたいなパターンと
動詞の後に時制時が出てくるパターン、 過去形みたいなパターンと2つあるってことになっちゃうんですよね。
前者の方、時制時が先行するパターンは、 通付停止以外にも助動詞とか
未来の will とかが 時制時が先行するパターンで、後者のパターン、つまり日本語と同じ
動詞本体時制時っていうパターンは 過去形と、あとは三単元の s。あれは現在の時制を担っているとも言えるので、
三単元の s についても 動詞本体時制時の順番です。
ただこれは見た目の上での問題というか、 実際の発話ではそうなっているんだけども、
本当は時制時っていうのは動詞の前に出てくるものだと考えるのが 生成文法の考え方です。
特に x bar 理論と言われる理論ではそういうふうに考えられていて、 つまり過去の ed とか、
あるいは現在の、もっと言うと三単元の s っていうのは 2不正詞の to とか助動詞の will と同じように本当は動詞に先行してるんだと考えるんですね。
ここが面白いとこですね。 ですので時制時動詞本体っていう順番が英語という言語本来の並べ方であって、
日本語の動詞本体時制時、食べた、みたいなものとは一貫して真逆だということなんですね。
その過去の ed とか三単元の s っていうのは、これは言語学で節字とよく言われますが、
要は単語のパーツなんですよね。それ単体で発音することはできないので、
たまたま発音するときに動詞と一色体になっちゃってるというふうに生成文法、 x バー理論では考えます。
逆に 2 不正詞とか助動詞の will みたいなのは、これはもう独立した語なので、
単体で発音することができるので、動詞と一色体になる必要はないんですよね。
なので、動詞の前という本来の位置に時制字が現れています。
なかなか面白い考え方ですよね。
過去形の ed っていうのは、つつづりの上では、発音上もそうですけど、動詞本体の後に出てきてるんですが、
本当の場所、本来の居場所は 2 不正詞と同じ、あるいは助動詞と同じ動詞の前なんですね。
本当はね、この辺の話は受形図とか書くとわかりやすいんですが、
ちょっとサムネとか作ってみようかなと思います。
というわけで、2 不正詞の to は、考え方によっては、
過去の ed とか三単元の s とか、助動詞の will とかと同じ時制字と言われるものだというお話でございました。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お相手はシガ15でした。
またねー!