1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #444 二つの目的語(複他動詞..
2022-05-21 09:43

#444 二つの目的語(複他動詞) from Radiotalk

主要参考文献
Studies in Ditransitive Constructions A Comparative Handbook (Malchukov, A., M. Haspelmath and B. Comrie (eds.), Walter de Gruyter)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。ナタリー・ポートマンです。
今日のトークは、動詞っていうものをね、考えていこうと思います。
ちょっとかなりざっくりしてますけど。
日本語に限らず、動詞っていうのは、よく自動詞と他動詞に分けられるんですね。
自動詞っていうのは、必要な名詞、出てこなきゃいけない名詞が一つであるような名詞で、
彼が踊るとか、あとは何だろうな、犬が走るとか、こういった動詞って、登場人物というかね、必須な要素っていうのは一つであると。
一方、他動詞っていうのは、出てこなきゃいけない名詞が二つであるような動詞で、
何ですかね、叩くとかですかね、彼が弟を叩くとか、彼女が薬を飲むとか、こういったものです。
他動詞っていうのは、何か具体的に動作をする名詞と、その動作の影響を受ける名詞、この二つの名詞が出てくるんですね。
いわゆる主語と目的語ということです。
日本語だと主語の方にはがというのがついて、目的語の方にはをっていうのがつきますよね。
英語や中国語みたいな言語だと、この主語と目的語っていうのは、語順で表されます。
つまり動詞を挟んで、その前に出てくるのが何か具体的な動作をする名詞、つまり主語。
動詞の後に出てくる名詞は、その動作の影響を受ける名詞、つまり目的語ということになります。
こういうふうに、どっちが主語でどっちが目的語かっていうのを、今言った名詞に何かつけるとかね、語順とかで、何かしらの方法で表し分けないと、ちょっと不都合が生じることがあるんですね。
彼女が薬を飲むぐらいだったら、彼女薬飲むっていうふうに、こう名詞名詞動詞って、ただ並べただけでも、彼女が主語で薬が目的語っていうのは、ある程度わかるんですけど、つまり薬が彼女を飲んだとは解釈できないということですね。
問題は、両方人間名詞であるような場合で、彼弟叩いたといった場合、どっちがどっちを叩いたかっていうのが、わかんないんですね。どちらもその叩く側にも叩かれる側にもなり得るということです。
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そうなると、日本語みたいに、彼が弟を叩くみたいに、がやをっていうのを名詞につけるとか、あるいは語順で、どっちが主語で目的語かっていうのを表し分けるとか、そういった工夫をしてるんですね。
自動詞と多動詞に加えて、複多動詞っていうのも言語学では考えられています。複多動詞。察しがつくかもしれないですけど、自動詞っていうのは、必須な名詞が一つ、多動詞は二つ、複多動詞は三つということになります。
どういう動詞かというと、典型的なものは、あげる、ギブみたいな動詞と考えられてるんですね。つまり、男が子供におもちゃをあげたみたいなもので、男と子供とおもちゃ、この三つの名詞が、その動詞の意味的に必ず必要だと考えられているんですね。
この複多動詞の面白いところは、目的語っぽい名詞が二つあるってことですね。つまり、男が子供におもちゃをあげたといった場合、子供もおもちゃも、その動作の影響を受けてるという点で目的語っぽいんですね。
日本語の場合は、どちらかというと、おもちゃの方が目的語っぽいですよね。なぜなら、おもちゃをっていう風に、をっていうのがついてるからです。
英語でも、giveっていう動詞はto the childみたいに、その物の受け取り手の方にtoっていうのがつくので、日本語と似てると言えば似てるんですけど、二重目的語交文っていうのがあるんですね、英語の場合は。
いわゆるSVOO語順みたいなもので、give me a bookといった場合、giveっていう動詞の後にmeっていう名詞とa bookっていう名詞がそれぞれ目的語として出てきています。こういった言い方は日本語ではかなり厳しくて、
本を私をくれとは絶対言えないですね。本を私にくれっていう風に、その物の受け取り手は、をでは絶対現れないと思います。英語ではそれが可能ということですね。
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さらに英語では、provideみたいな動詞だと、provide a with bみたいな言い方をすると、aにbを与えるみたいな意味になるんですね。たぶん高校英語とかで皆さんやったと思うんですけど、provide him with a bookとか言うと、彼に本を与えるみたいにね。
この構文だと、物の受け取り手の名詞が目的語として現れて、物の方はwithっていう前置詞で表されてるんですね。こういう風に副多動詞っていうのは目的語っぽいものが2つ出てくるので、英語だと本当にどちらも目的語になり得るんですね。
物を受け取る人か、あるいはその物か、あるいはその両方か、いろんなパターンで表されます。
さっき言ったように日本語の場合は、物の方しか目的語になれないですね。
特にあげるっていう動詞の場合は、子供を、おもちゃをあげるとは言えないし、子供をあげるっていう風に言ったとしても、子供っていうのはプレゼントとしての解釈しかないということになります。
ただ、日本語でも教えるっていう動詞は両方目的語になり得るかなと思いますね。
学生に数学を教える。
これは抽象的ですけどね。物の方が目的語になっているわけですけど、学生を教えるっていう言い方もできるので、やっぱり副多動詞は目的語っぽい名詞が2つ現れていると言っていいと思います。
思いますけど、学生を教えると言った場合、その数学っていう名詞は出てこれないので、学生を数学に教えるとか、学生を数学で教えるとか、全然ちょっと意味が通らないので、その点は英語の副多動詞とは違う点ですね。
世界の言語を見回してみると、一応2つのパターンがあって、日本語みたいに物の方を目的語にするような言語と、英語のプロバイドみたいにその物を受け取る人の方を目的語にする言語とあるんですね。
英語は両方見られるわけなんですけど、ただ皆さんの学習の機会のある言語だと、大抵日本語と同じタイプなんじゃないのかなと思います。時々英語のプロバイドみたいに、イレギュラー的にね、人の方が目的語に現れるものもあるかもしれません。
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というわけで、今回のトークは副多動詞というものについてお話しいたしました。主語に加えて目的語っぽい名詞が2つ出てくる、合計3つ名詞が必要な動詞ってことですね。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。また次回のトークでお会いいたしましょう。お相手はシガ15でした。
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