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2025-09-27 11:55

#794 動詞句内主語仮説 from Radiotalk

主要参考文献
岸本秀樹 (2009)『ベーシック生成文法』東京: ひつじ書房.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

今回のエピソードでは、動詞句内主語仮説に焦点を当て、主語の位置について考察が行われています。特に英語における数量詞の有理性や、主語が動詞句内に存在する可能性について詳しく説明されています。

数量詞有理の紹介
前回のエピソード、シャープ793で数量詞有理の話をしました。
数量詞有理っていうのは、数量詞、数を表す言葉が離れたところ、名詞から離れたところに出ることもあるみたいな話で、
例えば、「3人の子供がやってきた。」こういう言い方に加えて、「子供が3人やってきた。」という言い方もできます。
まだ聞いてない方は是非、これ聞き終わった後でいいので、合わせて聞いていただきたいんですが、
その前回のエピソードの中で英語の話もちょっとしたんですよね。
英語の場合は、allとかeachとかbothみたいな、数詞というよりはそういった単語で数量詞有理が観察されて、
例えば、「学生みんな到着した。」とかいう言い方が、
all the students have arrived.っていう言い方が一つあります。
で、all the studentsっていうのが学生全員っていう風になってるわけですが、
このallですね、allが名詞から離れた位置に現れることができて、
the students have all arrived.っていう風に、この場合、haveという助動詞があるので、その後にallというのが現れる言い方もあります。
ただ今の説明の仕方だと、
all the students have arrived.
これがオリジナルで、
the students have all arrived.の方が、その派生形みたいにallが移動してるんだっていう風に聞こえたかもしれません。
聞こえたかもしれないというか、お前がそういう言い方してるんだろうっていうことなんですけど、
そういう考え方もあると思います。
主語の名詞句から数量詞のallだけを移動させて、助動詞の後、動詞の前に移動していると。
ただ、別の考えに基づくと、実は逆で、
つまり、主語が現れる位置は本当は助動詞の後、動詞の前で、
で、そっからthe studentsだけ外に飛び出して、
むしろallは元々の場所に残ってるんだという、そういう考え方もあるんですね。
動詞句の構造
このような考え方を動詞句内主語仮説と言います。
英語でVP Internal Subject Hypothesisという言い方をするんですが、
そのまんまなんですけど、動詞句の中に主語が本当はあるんだっていう、そういう考え方で、
今の例で考えると、元々のオリジナルというか、元々の文は
have all the students arrived で、
で、その名詞句、主語の名詞句全体が文頭に移動して、
all the students have arrived となることもあれば、
the studentsだけ飛び出して、allが元の場所に留まって、
the students have all arrived となることもある。
今回はそういったお話をしようと思います。BGMです。
始まりました。4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。解決ぞろりです。
この動詞句内主語仮説というのは、
生成文法で扱われる仮説の一つで、
Xバー理論とかが関わってるんですよね。
Xバー理論については過去のエピソードがありますが、
よくツリーを書いて分析するんですよね。
今回のサムネイルもツリーにしとこうと思いますが、
その言語を分析するときに、
様々な句というレベルが観察されて、名詞句とか動詞句とか形容詞句だって認められるんですけど、
そういったものはすべて同じ構造を持っていて、
指定部というのと付加部というのと補部というのと、こういうのを持っているというふうに考えるんですよね。
この中で付加部というのはオプションなので、あってもなくてもいいものなので、
ちょっと一旦脇に置いておいて、
指定部と補部というのを考えると、
指定部というのは英語の名詞句で言えば、
端的に言えば監視が出てくる位置です。
theとかaとか。
補部というのは英語の名詞句で言えば、
ofで始まる全知識が現れる位置と考えられています。
具体的に言うと、
the book of linguisticsといった場合、
言語学の本といった場合、
theというのが指定部。
bookというのが名詞句の中の名詞本体、主要部という言い方をします。
本体、主要部で、
of linguisticsというのが補部に現れます。
この指定部、主要部、補部という構成メンバーは、
どんな区でも認められる。
つまり、名詞句だけではなくて、
どんなX区にも認められるということで、
Xバー理論という言い方をしているんですね。
つまり、動詞句にも指定部、主要部、補部という構造があるということで、
私は本を読むっていうのは、
I read a bookとなるわけですけど、
動詞句の場合、
当然主要部は動詞のreadですね。
で、補部は目的語のa bookです。
で、指定部に入ってくるのが主語のiだというのが、
主語の意味役割
動詞句内主語仮説の考え方です。
順番としても、
the book of linguisticsとi read a bookっていうのも、
どちらも指定部、主要部、補部という順番になっていて、
めでたしめでたしなんですが、
ただ問題になるのは主語の位置で、
現在形だったらi read a bookでいいんですけど、
これがもし助動詞とか入った場合、
もう本は読んだみたいな現在完了にした場合、
i have read a bookになるわけですよね。
つまりhaveっていうのが間に入ってきて、
これをどう処理するのかっていうのが問題になります。
ここはちょっとね、こみった話になるんですけど、
Xバー理論では、
主語っていうのは、
TPの指定部に現れるっていうふうに考えられるんですね。
BP、動詞句の主要部ではなくて、
TPの主要部。
TPっていうのはT、
時制とか点数と言われるものですけど、
Tをヘッドとするまとまりで、
i have read a bookの場合、
haveっていうのが主要部になってます。
それの指定部の位置に主語が現れてるっていうふうに考えるんですね。
このTPっていうのは、
英語だけではなくて、
日本語も同じようにあると考えられるので、
例えば食べたって言った場合、
たっていうのがTPの主要部で、
で、その中にBPがあってっていうふうに考えるんですよね。
なんかこのたっていうのが主要部だっていうのは、
the book of linguisticsのbookが主要部だっていうのと、
なんかちぐはぐな感じがすると思うんですが、
Xバー理論ではそのように考えます。
いずれにせよ、Xバー理論において、
主語っていうのはTPの指定部に現れると考えられるのは、
一つは語順で、
i have read a bookって言った時に、
Tの前、haveの前に出てくるので、
その位置は指定部の位置だっていうのと、
もう一つは、主語に格を与えるのは、
Tである、次性であるっていうふうに考えられてるんですね。
平たく言えば、主語が主語であるためには、
TPの中にその主語となる名詞句がないとダメっていうふうに考えられてるので、
その位置に、つまりTPの主要部じゃない、
指定部の位置に主語があると考えられています。
4月15日のツボ。
で、確かにTPの指定部の位置に主語が現れるんですけど、
それはVP、動詞句の指定部にあった名詞句が移動した結果であって、
もともと主語が生まれたのは動詞句の指定部であるというのが、
動詞句内主語仮説であり、
その証拠として、
the students all arrivedという言い方ができて、
もともとの主語の位置に数量詞のallが残ってると、
そういう説明がなされます。
主語はもともとTPの指定部に現れるんであって、
allが動詞句の指定部に移動しているだけなんじゃないかという反論も考えられます。
つまり、主語の本当の出身地は、
今いる場所と同じTPの指定部であるということです。
ただ、動詞句内主語仮説に基づけば、
主語の意味役割は動詞によって与えられるというふうに考えるんですね。
意味役割っていうのは、簡単に言えば意味ですね。
主語の意味役割。
例えば、私は走るって言った時の私と、
私は内容を理解したと言った時の私は、
どちらも主語なわけですけど、
前者の走るの主語の私っていうのは、
何か意識を持ってというか、
意図的に動作を行う主体という感じで、
こういうのはよく動作主と言われます。
それに対して、私は理解するみたいな時の私っていうのは、
何か意識的に動作をするわけではないです。
こういうのは経験者と言われることもあります。
そういう動作主とか経験者という意味役割は、
動詞によって与えられるものなので、
主語はもともと動詞句内にあるんだ。
それが動詞句内主語仮説でございます。
その証拠として数量子有理というのがあるという、
そういったお話でございました。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お相手はシガ15でした。
11:55

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