1. 【10分言語学】志賀十五の壺
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2025-10-21 11:33

#801 VSOは語順界の問題児?V-to-T movement from Radiotalk

主要参考文献
Carnie, A. (2021). Syntax: A generative introduction (4th ed.). Hoboken, NJ: Wiley-Blackwell.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

VSO語順の言語において、動詞と目的語の関係が複雑であることを探ります。生成文法を用いた説明について考察し、アイルランド語やウェールズ語などの具体例を挙げながら、言語の特徴に迫ります。

目的語と動詞の関係
目的語と動詞は仲が良いと言われています。
仲が良すぎてくっついちゃうこともよくあるんですよね。
日本語でも、円盤投げというのは、円盤を投げる目的語と動詞が一色単になって、円盤投げという複合語ですね。
新しい一つの単語になっています。
塵を取るから塵取り、魔法を使うから魔法使い。
このように目的語と動詞が一色単になる複合語っていうのは、日本語にもたくさんあるのでぜひ探してみていただきたいんですが、
実はこの特徴は日本語だけではなくて、多くの言語で見られるんですね。
英語であれば、タクシードライバーとかがそうですね。
タクシーとドライブっていうのは目的語と主語の関係で、
順番で言えばドライブはタクシーですけど、タクシードライバーという、これもやはり目的語と動詞が一色単になっています。
このように目的語と動詞は仲が良いんですが、それに比べると主語と動詞っていうのは目的語ほど仲は良くないです。
目的語と違って主語はあんまり動詞と一色単になって複合語を作らないんですね。
選手が円盤を投げる。
さっきも言ったように目的語の円盤と動詞の投げるは、円盤投げというふうに一色単になることができるんですけど、
主語の選手っていうのが動詞と一色単になって、選手投げとは言わないんですね。
言えたとしてもこれは選手を投げるっていう、やはり目的語としてしか解釈されないと思います。
ただ例外的に虫食いとか紙隠しは主語と動詞が一色単になっています。虫が食う、紙が隠す。
ただこのようなものは例外で、普通は目的語と動詞が一色単になるんですね。
そのことは語順からも確かめられて、日本語がまさにそうですけど、主語、目的語、動詞、アルファベットで言えばSOVの語順です。
ここでOVと連続しているのは、やはり目的語と動詞が近いからという説があります。
VSO語順の言語
英語はSVO語順で、やはりここでもVO、動詞目的語と連続しているんですよね。
日本語みたいなSOVと英語みたいなSVOで、世界の言語の9割ぐらいを占めていると言われています。
動詞と目的語の間に主語が割り込むような語順も全くないわけではありません。
つまりVSO語順、動詞から始まって主語、目的語と続くような語順もあるんですね。
今回あまり取り上げませんが、OSV語順というのも少数ながら観察されます。
今回はVSO語順に焦点を絞りますが、どういった言語かというと、ケルト系の言語がまず含まれます。
ウェールズ語とかアイルランド語とか、あとはアラビア語とその仲間たちもVSO語順だし、太平洋のポリネシア系の言語もVSO語順があったりします。
ですので数は少ないですけど、例外というほど少ないわけでもない。
アラビア語みたいなかなりメジャーな言語も含まれているんですよね。
このあたりは一体どのように説明されるんでしょうか。
VSO語順の言語では動詞と目的語の仲が悪いということになるんでしょうか。
BGMです。
始まりました。4月15日のツボ。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
アレックスラミレスです。
番組宛にギフトやお便りいただいております。
まずはマルさんから2回分ギフトいただいております。
祝、祝いというギフトをたくさんいただきました。
これは800回を記念してということだと思います。
マルさんどうもありがとうございます。
そしてきなささんからもギフトと一緒にメッセージいただきました。
800回おめでとうございますということできなささんどうもお便りそしてギフトありがとうございます。
前回800回目の800本目のエピソードで今回が801回目ということになっております。
さて冒頭の話に戻りまして、動詞と目的語は仲がいい。
その証拠としてよく2つが1つになって円盤投げとかタクシードライバーとかなったりするし、
世界の多くの言語でVとOが連続している。OVとなったりVOとなったりする。
ただその一方でVとOの間にSが割り込んでくるVSO語順というのもあるにはある。
そういったお話でしたね。
これをどう説明するかというと、
今回は生成文法という考え方に基づいてお話ししていきますが、
VSO語順、アイルランド語とかウェールズ語とか、あるいはアラビア語とかポリネシア系の言語とか、
そういった言語でもVとOの仲は別に悪いわけではないと考えます。
アイルランド語の特徴
これは生成文法に限らずですけど、よく真相と表層というのを考えて、
心の中ではこういう形だけど、実際に口から出てくる時にはこのような形になるという、
インプットとアウトプットが違うというようなことがよく言われるんですよね。
VSO語順もまさにそのように説明されて、
VSO語順の言語はもともと英語や中国語と同じようにSVO語順なんだと考えるんですね。
本当はSVO語順なんですが、それが口から出てくる時、アウトプットされる時にはVSOになって出てきてしまう。
そのように考えます。
もともと真相では、規定ではSVOでVとOは並んでて仲がいいんですが、
どうしVが文頭に移動してしまってVSOとなってしまうという説なんですね。
そのように考えればどんな言語でもVとOは仲が良くて、いつでも隣り合ってますよ。
ただ、見た目はというか、実際のアウトプットは間に主語が割り込んでいるように見えるだけだ。
ただ、そんなこと言っちゃっていいの?っていう気もしますよね。
それだったら極端な話。
日本語はSOV語順ですけど、実は日本語も真相では、心の中ではSVO語順で、
口から出てくる時にはSOVになっちゃってます。
そのように言っちゃってもいいんじゃないか。
VSO語順でVが移動している、そういう証拠はあるのか。
これは一応あると言われてるんですね。
例えばアイルランド語はVSO語順なので、ちょっと英語を使って考えてみると、
ジョンがパンを食ったっていうのが、
ate, John, bread みたいになるってことですね。
動詞のate、そして主語のジョン、目的語のbread、VSO語順。
これがもともとSVOだったと考えるので、まさに英語と同じで、
ここから、ateが主語を追い越して、
ate, John, bread になるっていうのがアイルランド語の語順です。
その証拠は何なのかというと、助動詞が出てくる時は、
助動詞だけ文頭に出てきて、その後SVOみたいになるんですね。
つまり、ジョンがパンを食べているだったら、
このような語順にアイルランド語はなります。
英語だったらこれは疑問文になりますよね。
ジョンはパン食べてますか?
ただ、アイルランド語の場合はこれが平常文です。
つまり、アイルランド語の基本語順は、
VSOというよりは助動詞SVOで、
助動詞がない場合は、その助動詞の部屋を埋めるために、
動詞が移動しているんだと考えるんですね。
進行形だったら、
進行形だったら、
isがいるので、別に動詞が動く、
eatingが動く必要はないんですが、
ただの過去形とかだったら助動詞使わないので、
そうなると、その助動詞の位置に8が移動して、
これが生成文法の考え方なんですね。
アイルランド語みたいなVSO語順の言語は、
本当は助動詞SVO語順なんだと考えれば、
VとOが隣り合っている動詞と目的語は仲がいいということで、
他の言語と同じように考えることができるんですね。
今回は、というか今回も話をかなり簡単にしてね、
お届けしていますが、
今の説明だけだったら不十分というかね、
実は問題があって、
英語とアイルランド語では主語が表れている位置が違うんじゃないかとか、
そういった議論もあったりするんですね。
その辺の話はまた機会があったらすることにしようと思います。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローまだの方はよろしくお願いいたします。
お相手はシガ15でした。
またねー。
11:33

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