1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #681 ムーミンの言語学:分格..
2024-08-27 10:02

#681 ムーミンの言語学:分格という格 from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/770220

主要参考文献
東京外国語大学語学研究所(編)(1998)『世界言語ガイドブック1: ヨーロッパ・アメリカ地域』東京: 三省堂.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。スナフキンです。
スナフキンといえばムーミン、ムーミンといえばフィンランドですよね。
ムーミンはなかなか愛くるしくって、世界中で人気がありますが、
例によってですね、今日も言語の話をしていきます。
フィンランドではフィンランド語という言語が話されております。
フィンランドという国は北欧に位置するわけですが、
北欧というとね、他にはデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、こういった国があります。
こういった言語じゃない、こういった国で話されている言語は、
だからデンマーク語、スウェーデン語、ノルウェー語 などという言語は
ゲルマン系の言語と言われて、 まあ一応英語の親戚の言語なんですよね。
一方フィンランド語というのはウラル語族、 その中でもフィンウゴル語派の言語です。
ウラル語族っていうのはインドヨーロッパ語族の言語とは別個の語族です。
ヨーロッパの言語っていうのは大抵インドヨーロッパ語族の言語なんですが、 フィンランド語はそういったヨーロッパにあってちょっと
変わったというかね、 まあ系統が違う言語ということになっております。
このウラル語族に含まれるのはフィンランド語の他に エストニア語
あるいはハンガリー語なんかがあります。 エストニアという国も
ラトビアとリトアニアと並んでバルト3国と言われるので、 なんとなくあの辺が一色たになりそうなんですが、
言語学的に言うと別個のグループに属すんですね。 フィンランド語の特徴はちょっとね日本語と似ているようなところがあるんですよね。
例えば母音の長短の区別があって まさにムーミンっていうのはフィンランド語でムーミンですけど、このウっていうのが
長母音です。書かれるときはウを2つ重ねて 書かれるということになっております。
なので母音の長短の区別があるということは おばさんとおばあさんみたいな区別があるということで
まさにフィンランド語では 恋っていうのがトゥレで
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風が吹けみたいなのはトゥーレと言って、ここに短いウと長いウの区別があるんですね。
長母音に加えて長子音というのもあります。 まあこれは日本語で言うところの側音ですね。
小さいつみたいなものです。 ですので日本語ではキクっていうのとキックっていうのは別個の単語ですよね。
でそれと同じように フィンランド語ではマトっていうのがミミズでマットはじゅうたんです。
同じようにこの側音というかね、長子音というのが単語の区別に関わっております。
まあこういった点でフィンランド語の音っていうのは若干日本語と似ているような側面はあるんですが 母音の数はねフィンランド語の方が多いんですね。
そしてフィンランド語には母音調和というシステムがあって、 これはどういうことかというと一つの単語の中には同じグループの母音しか出てこれないっていうような、
ざっくりと言うとそういったものがあります。 これはどちらかというとモンゴル語とかトルコ語とかこういった言語で見られる現象なので、
昔はねウラルアルタイ語族と言ってユーラシア大陸を横断するような 語族というのが考えられたこともありました。
そこに日本語がね含まれることもあったんですが、 今のところそこはねちょっとよくわかんないということになっております。
さて今回はフィンランド語の文革というものについてねお話ししていこうと思います。
文革っていうのは格変化の一つで、 まあそもそも格変化っていうのは文中のその名詞の役割に応じて形を変えることを言います。
ドイツ語だったら4つ格変化があるとかねいうことなんですが、 フィンランド語は格変化の多い言語として知られております。
14とか15ぐらいあるんですよね。 そのうち場所関係、
場所を表す格変化っていうのが結構多いんですが、 主語の時の名詞の形とか、
〇〇からっていう意味の名詞の形とか、 いちいち名詞が変化します。
日本語の場合はがとかをとかからみたいなものを名詞にくっつけるので、 名詞自体が変化しているわけではないんですよね。
文革と言われるものもそういったフィンランド語の格変化の一つで、 この文革っていうのは結構珍しいものだと思います。
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近隣のヨーロッパの言語にはないものです。 この文革というのはどういう時に出てくるかというと、簡単に言うと目的語の格変化なんですよね。
目的語の格変化っていうのは普通対格と言われます。 日本語だと大というのが対格と言われます。
フィンランド語には対格は対格であるんですよね。 それとは別に文革というものがあって、今更ですけど文革っていうのは分ける格と書きます。
この目的語を表すのに対格と文革がある。 対格が使える時っていうのは、
ある意味限られた時しか 出てこられないんですね。
具体的な例を考えてみると、さっきのムーミンっていうのは フィンランド語でムーミンです。
このムーミンっていうのは主格形で、いわば主語の時の形です。
一方対格形というのはムーミンです。だからムーミンっていうのは ある意味目的語の形なんですね。フィンランド語では。
そして文革という形もムーミンにはあって、それはムーミアと言います。
なのでムーミンとムーミアっていうのが目的語の形としてあって、 対格のムーミンというのは
肯定文でしかまず出てこられないので、 否定文では文革が使われますので、
例えば ムーミア殴らなかったみたいな言い方になるんですね。
さらに対格が使われる、対格のムーミンが使われるのは、 その動作が完了したことを願意するので、
例えばね、武装な例ですけど、ムーミンを仕留めたって言った場合は、 その時にムーミンっていう対格を使った場合は、
仕留めたその結果まで 願意されるんですけど、その時文革を使ってムーミア仕留めたと言うと、
仕留め終わったかどうかまでは願意されないんですね。 仕留め損なった場合は文革の方が使われるということです。
さらにさらに、文革っていうのはその名前からわかる通りですね。 部分的なものに使われるので、水を全部飲んだ時は、
水っていうのは対格で現れるんですけど、 水をちょっとだけ飲んだ時は文革が現れるんですね。
というわけでフィンランド語には対格と文革という2つの目的語の形があるんですけど、対格が使われるのは、
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肯定で、完了で、全体である時に限られるということなんですね。
この否定の時に文革が出てくるっていうのは、ロシア語の否定性格と言われる現象によく似ています。
この否定性格については関連エピソードがあるので、ぜひ合わせて聞いていただけたらと思います。
否定文の時にちょっと目的語の表し方が変わるということなんですけど、 そういった現象はもしかしたらフィンランドとかロシアとかね、そういったところの地理的な特徴と言えるかもしれません。
というわけで今回はフィンランド語についてのお話でございました。 それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。 お相手はシガー15でした。
またね!
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