1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #682 異形態(あるいは flexiv..
2024-08-31 11:20

#682 異形態(あるいは flexive formative)ってなんぞ? from Radiotalk

主要参考文献
Bickel, Balthasar and Nichols, Johanna. 2005. Inflectional Morphology. In Shopen, Timothy (ed.), Language Typology and Syntactic Description. Cambridge: Cambridge University Press. (2nd edition).

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

今回のエピソードでは、異形態とフレキシブについて議論されており、特に日本語の過去形の表現や英語の複数形の変化が説明されている。また、言語における音韻的、語彙的な異形態の違いにも触れ、具体的な例としてラテン語が用いられ、理解を深める内容となっている。

異形態の概要
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。ジョージ・ルーカスです。
今回は異形態というのをテーマにお話ししていきますが、
まあちょっと自分の頭の整理のためというかね、
なんとなく取り留めもない話になっちゃうんじゃないかなという気もしております。すみません。
異形態というのは、本当はというかね、真相ではあるいは規定形としては一つの形態層。
形態層というのは単語のパーツみたいなものです。
本当は同じ形態層だけど、環境によって異なる現れ方をする、その現れ方のことを異形態と言います。
例えば日本語の過去を表すたとかがそうかなと思います。
食べた、これは食べるの過去形みたいになってるわけですが、
食べっていうのとたというのとおそらく分けられると思います。
その和謝の感覚としてね、分けられると思います。
このたっていうのは過去を表してるっていう風に、これもね和謝の感覚としてあると思うんですが、
このたっていうのは時々だという音で出ることもあります。
飲んだとか、読んだとか、苦しんだとか、こういう風にだっていう音で出ることがあるんですよね。
で、このたとだっていうのは、実質的にはというかね、同じ過去を表す形態層で、
それが食べるっていう動詞の時にはたという音で出てきて、苦しむという動詞の時にはだという音で出てきてると。
見た目は違うけど、本質的にはというかね、
規定形としては、規定っていうのは基本のキーにそこをと書きますけど、
規定形としては同じ過去の形態層と、言語学ではそういう風にみなすんですね。
で、このたというのとだというのがいつ出てくるかっていうのは、
これは動詞ごとに決まってるんですよね。
これは音便と言われる現象とちょっと関わりがありますが、
この異形態というのはどんな言語にでもあると思います。
英語の複数形の例
大抵の言語にあるんじゃないかな、ない言語もあるかもしれません。
英語だと、例えば複数形っていうのが、
Sをね、つづりの上ではSをつければ複数になります。
ブックスみたいなものです。
ブックっていう単語にSがついてブックスですけど、
このSは、つづりの上ではSでも発音が変わることがあります。
例えば犬、ドーグズっていう風にズっていうね、濁る音というか有声音で出てきます。
車とかでもそうですね。カーズっていう風にズっていう音で出てきます。
英語のこの複数の設備字、つづりの上ではSと書かれるものは、
無声音のブックスのスみたいな時と、
ドーグズとかカーズ、ズっていうね、濁ったものと2つあるわけですが、
本当は2つじゃないです。もう1個ぐらいあるんですけど、
これは一応音の環境によって違う表れ方がなされてるっていうことができます。
ブックスっていうのは、ブックの最後のクっていう音ですね。
これは軟膏外無声音、破裂音の軟膏外無声音なので、
無声音の後につく場合はブックスっていうのも濁らず、無声音で出てきて、
ドーグズみたいにグっていうのは同じ軟膏外の破裂音ですけど、
これは有声音で声帯の震えを伴っているんですよね。
あるいはカーズ、これは一応母音ということができると思うんですけど、
母音っていうのは有声音なので、カーズっていう風に濁る音になる、有声音になるということです。
このように英語の複数のSみたいに音韻的に定められた異形態というのもありますが、
語彙的に定められた異形態というのもあります。
これが今日の1つのテーマですけど、そういうのをフレキシブということがあります。
日本語の過去形の考察
これが日本語で何か定訳があるのかどうかちょっとわかんないんですが、
このフレキシブっていう言い方を知っているのは、ビッケル&ニコルズという研究でそういう言い方をしております。
これはショーペンの言語類型論の3巻本の中の1つなんですけど、
この異形態の話をするときにビッケル&ニコルズは語彙的に定められた異形態をフレキシブと呼んで、
音韻的に定められた異形態とは別個に扱っているんですよね。
特にフレキシブというのは屈折に関わる形態層についてそういう言い方をしております。
典型的なのはラテン語とかが例に挙がっているんですけど、
ラテン語の名詞というのはいくつかクラスに分かれていて、
そのクラスごとに取る格設字というのが違うんですよね。
例えば主格だったら、Sで書くようなSUというのがつくクラスもあるし、
Mで書くようなMUというのがつくこともあるし、
あるいは何もつかないことが主格を表すということがあります。
このSUというのとMUというのと何もつかないゼロというのは、
どれがつくかというのは音韻的には説明できないんですよね。
語彙的に定められている。
この名詞は主格だったらこの設字を取るというのが語彙的に定められています。
そういうのをフレキシブとビッケルとニコルズは言っているんですが、
この考えは結構面白いなと思いましたね。
異形態ってさっきの英語のSみたいに音韻的に定められるものもあれば、
ラテン語の格設字というか格変化みたいに語彙的に定められる、
クラスごとに違うものを取るという風になっているものもあって、
異形態は異形態じゃんって思ってたんですけど、
フレキシブという言い方で特別扱いしてるんですよね。
ここで最初の日本語の話に戻ると、
たあとだっていうのは果たしてこれは音韻的に定められた異形態なのか、
語彙的に定められたフレキシブな異形態なのかっていうのはどうですかね。
一応音韻的に説明はできると言えばできるんですよね。
どういうことかというと、このだっていうのが現れるのは、
死ぬとか、読むとか、あるいは転ぶとか、
ぬとかむとかぶっていう音で終わる動詞で現れるんですよね。
な行、ま行、ば行と言ってもいいんですけど、
さらにこういったものは発音便っていうのが起こります。
んっていうのが現れて、死んだ、読んだ、転んだっていう風にここでだっていうのが現れます。
こういう風にぬとむとぶで終わる動詞の時はだっていうのが現れるっていう音韻的な説明はできるんですけど、
だからといって、つまり音韻的にグループ分けはできるからといって、
それが音韻的な異形態とは限んないんですよね。
このあたりがややこしくて、ビッケル&ニコルズもそういったことは言ってるんですよね。
このたとだについては、これらの異形態については、
音韻的に定められているのか、語彙的に定められているか、ちょっと微妙っちゃ微妙なんですけど、
これが命令になると、語彙的に定められているとしか言えないんじゃないかなと思います。
例えばかけっていうのと、たべろっていうのが命令形としてそれぞれあるわけですけど、
かけっていうのと、たべろのろっていうのは、えとろっていうので全然違う音が出ていて、
このえっていうのが現れるのか、ろっていうのが現れるかっていうのは音韻的に説明できないので、
こういうのは語彙的に定められた、クラスごとに現れる異形態で、
5段同士と1段同士とか言えると思うんですけど、すなわちそれはフレキシブっていうことができるんじゃないかなと思います。
今回はちょっと僕の頭の中の整理みたいな感じで、リスナーの皆さんは置いてきぼりにしていると思います。
置いてきぼりにしてるなぁと思いながら途中から喋ってたので、
とりあえず形体層、パーツっていうのが違う形で現れるっていうことがあって、
その条件付けっていうのが音韻的に定められている場合もあれば語彙的に定められている、
あるいは単語のグループごとに、クラスごとに定められているっていう場合があって、
特にそれが活用みたいな場合はフレキシブと言われることがあるっていうのを覚えておこうと思ってこのエピソードを撮りました。
ちょっと難しかったんじゃないかなと思います。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
お便りとかもお待ちしております。
お相手はシガ15でした。
またねー!
11:20

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