1. 志賀十五の壺【10分言語学】
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2024-03-19 11:09

#635 オーストラリア、パマ・ニュンガンの運搬詞 from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/609967

人工言語文法書
https://drive.google.com/file/d/1qHNOd0lIlTTD8diS-Z4FGwEnx1m-9JCN/view?pli=1

主要参考文献
Lynch, John (1998) Pacific Languages: An Introduction. Honolulu: University of Hawai'i Press.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:00
オーストラリアは現在では英語がね話されていて、 留学なんかでね、あるいは和掘りとかそういった
ことでね、訪れる日本人も多いと思います。行ったことあるぞっていう方もね、いらっしゃると思います。 ただオーストラリアは当然というかね、
そのヨーロッパ人がやってくる前から人類は住んでいたし、そこで言語も話されておりました。 そのオーストラリアの先住民の言語っていうのはね、非常に面白い
特徴がたくさんあるんですね。 過去にもね、エピソードで取り上げたのは、逆受導を取り上げたことがあると思います。
この逆受導についてはね、 何なのかっていうのはね、ぜひ関連エピソードを聞いていただけたらと思います。
今回は運搬詞というものを メインにね、取り扱っていこうと思います。運搬、運ぶっていうことですね。
これが一体何なのか。 それではBGMかかれい!
始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 Mr.ポテトヘッドです。
オーストラリアのその先住民の言語っていうのは、 2つのグループによく分けられます。
一つはパマニューンガングループ。 もう一つはヒーパマニューンガンというふうに、まあやや否定的にこう言われることがあるんですけど、
まあパマニューンガンかそうじゃないかというふうに分けられるんですよね。 パマニューンガンの方が言語の数としては多いです。
地理的に言うとオーストラリア大陸の4分の3ぐらいを占めております。 それに対して
ヒーパマニューンガンの方はオーストラリアの北の北というか北西部を
占めているといったような状況でございます。 ちなみにパマもニューンガンも両方人という意味だそうです。
パマニューンガンにしろヒーパマニューンガンにしろ かなりその話者数が少なかったりとか
消滅危機言語であったりとかね。 あるいは死語になってしまったような言語もたくさんあります。
今回お話ししようと思うウンパンシーというのはパマニューンガンの言語で見られるもので、
ジャル語とかワルマジャリ語と言われる言語で見られるものです。 運搬って何かを運ぶということなんですけど何を運ぶのかということですね。
03:10
ひとまず運搬手は置いといて、 言語っていうのはよく屈折します。屈折。
あるいは活用と言い換えて良い面もあると思うんですけど、 日本語だと
一番わかりやすいのは見ると見たの対立みたいなもので、 見ると言ったら現在形、見たと言ったら過去形っていう風に
時勢によって屈折、活用してますよね。 その他にも
何々を見みたいなその連用形みたいなものとか、 見ればみたいな条件形とかねそういったものもありますけど
一つはそういうふうに時勢によって 活用する
屈折する、動詞が形を変えるということがあります。 あるいは認証によって動詞が形を変えるということもあります。
英語の三人称単数現在のSっていうね、 三単元のSというものは
あるいは認証と数と 時勢によってSっていうのがくっついてますので、
この3つですね、この3つの要素によって動詞が屈折、形を変えているわけですね。
英語だともっと分かりやすいのはbe動詞とかね。 be動詞だと、amっていうのは一人称の形、
areっていうのは二人称の形、あるいは複数ですけど、 あとはisっていうのは三人称の形っていう風に、
be動詞が一番英語の場合は分かりやすいですよね。 認証によってこう形を変えています。
でそういう風に一人称二人称三人称 あるいは単数複数で
動詞が活用するっていうことはよくあるんですよね。 日本語はその辺は
ないこともないんですけど、 システマチックに形を変えるという感じではありません。
ではパマニュンガンのバルマジャリ語とかジャル語と言われる言語はどうなのかというと、
動詞は時勢によって形を変えるようです。 まあ過去形みたいなものがあるわけですね。
見るに対して見たみたいなものがあります。 日本語と同じようだなぁという感じがするんですが、
文の中で認証を表すこともできるんですね。 ただ
認証によって 一人称二人称三人称によって動詞は形変えることないんですけど、
その代わり 動詞とは別個のところで
認証を表すということがあります。それが運搬詞と言われるものなんですね。 この運搬詞っていうのは
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その認証を表示するためだけの 単語っていうような感じです。
まあ助動詞って言われるようなこともあるみたいなんですけど、 ここではね、角田多作先生の用語に倣って運搬詞という言い方をしております。
さらにね、今ずっとお話ししてたのは主語によって形を変えるっていうことでしたけど、
目的語によって 動詞の形が変わる、屈折するっていう言語もあるんですよね。
で、パマニュンガンの言語も目的語によって活用するんですけど、 やっぱりこれもね運搬詞の方が形を変えるんですね。
動詞の方は時制によって形は変わります。見ると見たみたいな対立はあります。 で、主語が誰で
目的語が誰かによって動詞の方は形変わらないんですけど、運搬詞の方が 主語と目的語の
認証あるいは数の情報を担っているというような感じなんですね。 これはなかなか面白いですね。屈折とかね、
あるいは活用といったとき、 その主語あるいは目的語の認証や数によって動詞の形が変わるっていうのは
まあよくあるというかね。 特にヨーロッパの言語なんかは
目的語は置いておいて主語によって動詞の形が変わらなきゃいけないんですけど、 パマニュンガンの言語は動詞の形は認証によって変わらないんですよね。
動詞とは別個のところで 認証の変化があるっていうのが運搬詞の特徴です。
主語や目的語の認証と数を表すためだけの単語があるっていうことなんですね。
実はヨーロッパの言語にもこの運搬詞的な現象はあるなぁと思います。
例えば英語の進行形でも完了形でもいいですけど、例えば進行形だと
I am running とかいった場合、 running の方のその動詞の方は
これ分詞形ですので、 時制とかね、認証とか数の情報っていうのは全くないんですよね。
その代わりその running 以外の別個のところで、 つまり be 動詞の方で am という形で
認証と数とあと時制の情報を表すということで、
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ちょっとこれと似てるようなとこはあるかなと思います。 完了形の have も一緒ですね。
動詞本体というよりは別個のとこで、 認証や数を表している。
これどっちを動詞本体と見るかっていうのはね、 現在分詞にしろ過去分詞にしろ分詞って言ってますので
be 動詞だったりね、 have みたいなものの方がどちらかというと本体なので、
パマニューンガンの運搬詞とはちょっと違いますけど、 イメージとしてはちょっと近いようなとこがあるんじゃないかなと思います。
僕はね人工言語を作ってて、過去にその話をしたこともあるんですけど、 その人工言語でも運搬詞的なものはあって
動詞の方はね、時勢とか認証とか数によって形を変えないんですけど、 その代わり助動詞の方がそういった変化が結構
厳しいというかね。 認証や数や時勢、あるいは証拠性とかね、こういったものを表示した助動詞っていうのが
必要だっていうような人工言語を作ってるんですね。 これは少しねこのパマニューンガンの言語を参考にいたしました。
そちら人工言語興味のある方はリンク貼っつけておりますので見てみてください。 というわけで今回はオーストラリアのパマニューンガンの言語で見られる
運搬詞についてのお話でした。 ある意味文法的要素だけを表す単語っていう感じですね。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。 番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はしが15でした。 またねー
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