1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #551 接近可能性階層とヴォイ..
2023-05-30 10:32

#551 接近可能性階層とヴォイス part 2 from Radiotalk

バントゥー諸語のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/980489
適用態のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/651219
逆受動のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/609967

主要参考文献
Keenan, E. L. and B. Comrie. 1977. Noun Phrase Accessibility and Universal Grammar. Linguistic Inquiry 8: 63-99
Andrews, A. D. 2007. Relative clauses. In T. Shopen (Ed.), Language Typology and Syntactic Description (2nd ed., Vol. 2, pp. 206–236). Cambridge: Cambridge University Press.

Twitter▶︎https://twitter.com/sigajugo
Instagram▶︎https://bit.ly/3oxGTiK
LINEオープンチャット▶︎https://bit.ly/3rzB6eJ
オリジナルグッズ▶︎https://suzuri.jp/sigajugo
note▶︎https://note.com/sigajugo
おたより▶︎https://bit.ly/33brsWk
BGM・効果音: MusMus▶︎http://musmus.main.jp/

#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:05
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。赤ペン先生です。
今回は、前回のエピソードの続きもんとなっておりますので、
ぜひ前回のエピソードを聞いてから、今回のね、聞いて欲しいと思います。
接近可能性階層とヴォイス part 2ということでね、やっていきます。
前回のエピソード10分だけで話し切れるかなと思ったんですけど、
ちょっとダメでした。はい、というわけで part 2をやっていきます。
まあ復習しながらっていうかね、前回の話と被るところもあるんですが、
接近可能性階層とは何かというと、
その関係説で就職される、
まあされやすい文法機能の階層みたいなもので、
主語っていうのが一番関係説によって就職されやすいんですね。
昨日やってきた男みたいなもので、これは元の文に直せば男が昨日やってきたなので、
まあ主語に相当するわけですけど、こういった言い方、主語が関係説で就職される、
昨日やってきた男、まあこういった言い方はどんな言語でもできるというふうに考えられています。
次に関係説化されやすいのは、 目的語、もっと言うと直接目的語で、
何だろうな、前回挙げた例は確か、 昨日買った本みたいなものだったと思うんですけど、
これは昨日本を買ったなので、 まあ直接目的語にあたるわけですよね。
それが就職されて、昨日買った本となっています。
ただ、マダガスカル、アフリカので話されているマラガシ語っていう言語は、
主語しか関係説によって就職できないというような言語です。
ので、昨日買った本みたいな言い方はできないんですね。
その代わり、昨日買われた本みたいに受動体みたいなものを使って、
1回本っていうのを主語にしてから、 関係説で就職すると。
まあ一見ややこしいようですけど、ある意味システマチックなね、やり方で関係説で就職しているということなんですね。
03:08
こういうふうな受動体、もっと広く言うとボイスっていうものを使って、
本来主語じゃないものを主語にすることによって、マラガシ語は関係説化の制限みたいなのをね、
うまくカバーしていると、そういったお話を前回しました。
で、今回お話ししようと思っているのも、またアフリカの言語で、
バントゥー諸語と言われる、 アフリカ本土の方のね、言語の
グループです。 前回お話ししたマラガシ語とは、
系統的には全然違って、というのもマラガシ語っていうのは、 オーストロネシア語族という言語のグループに属していて、
フィリピンとかインドネシアとかマレーシアとか、そういった東南アジアの言語と、
親戚同士の関係となっております。 今回お話しするバントゥー諸語の話は、
関連エピソードがございますので、そちらも聞いていただけたらと思います。 で、バントゥー諸語の中には、
主語と目的語だけ、関係説によって修飾できるという言語があります。
まあマラガシ語に比べれば、 マラガシ語って主語だけだったので、それに比べればやや制限は緩いですけど、
でも主語と直接目的語だけなんですね。 つまり、
例えば、 男が魚を包丁で切った。
こういう文があったとして、この場合男っていうのが主語です。 なので、
魚を包丁で切った男。 これはバントゥー諸語で言えます。
ちなみにマラガシ語でも言えます。 目的語の場合もいけるので、男が包丁で切った魚。
これも言えます。 で、マラガシ語は言えないので、
男によって包丁で切られた魚っていう風にね、 言わなきゃいけないというお話でした。
で、主語と直接目的語は ok なんですけど、 この文の包丁でみたいな、この場合道具ですけど、
これを関係説で修飾することはできないんですね。 日本語は平気です。
男が魚を切った包丁。 まあ言えます。
で、マラガシ語の場合は、前回お話ししたんですけど、 道具を主語にするっていうような、
06:01
ボイスっていうものが存在していたんですけど、 バントゥー諸語は道具を目的語にするっていうボイスが存在しています。
これもね、日本語ではちょっと考えづらいんですが、 こういうふうに本来目的語ではないものを目的語にするっていうボイス、
あるいは対のことを、 適用対とか、あるいはアプリカティブという言い方をします。
なのでこのボイスっていうのは、 名詞を格上げしたり、
あるいは格下げしたりするような操作ということができると思います。 日本語にもある受動態っていうのは、本来主語ではない目的語っていうのを、
主語に格上げしているっていうようなイメージです。 で、バントゥー諸語の適用対、アプリカティブっていうのは、
本来周辺口とかね、 あるいは射角と言われる道具みたいな、いわば脇役を目的語にする、
そういう格上げする操作であるということができると思います。 日本語にはね、そういう
本来目的語じゃないものを目的語にするみたいなのがないのでイメージしづらいんですが、
まあ無理やり日本語にすると、男が包丁を切ったみたいに、 道具の包丁っていうのを直接目的語にしてから、男が切った
包丁みたいな言い方にするということなんですね。 で、普通適用体っていうのは動詞の形が変わるんですよね。
受動体が切ったから切られたになるように、 やっぱり適用体も動詞の形が変わります。
つまりボイスっていうのは、さっき言ったように名詞を格上げしたり格下げしたりするのと同時に、
動詞の形も変化するということができると思います。 で、この適用体についても関連エピソードが多分あるはずですので、
ぜひ概要欄からそちらも聞いていただけたらと思います。 いずれにせよですね、
バントゥー処語っていうのは主語と直接目的語を関係説で修飾することができます。
これもまあまあきつい制限ですけど、 例えば道具みたいなそういった脇役を関係説で修飾するために、
1回適用体というボイスで直接目的語にすることで、 まあその辺をうまくやりくりしてるんですね。
09:01
他にもね、ボイスには逆受動と言われるものもあって、
で、この話をしようと思うとさらにもう1本取らなきゃいけなくなるからちょっとやめ ときますけど、やめとくっていうか
ざっくりね、お話しすると、 オーストラリアのいわゆる先住民の言語には
絶対格表示の名詞しか関係説で修飾されないっていうのがあるんですね。 なので
他同士の主語、能格表示の名詞句を逆受動で絶対格表示にしてから 関係説で修飾するっていうような仕組みがあります。
これは全然なんのこっちゃっていう方の方が多いと思うんですけど、 ぜひね、逆受動についても関連エピソードがあるので、そちらを聞いていただいてですね。
で、なんとなく今言ったことがわかっていただけたらなぁと思います。 ある意味挑戦状ですね、今のはね。
というわけで2回連続、関係説とボイスとの密接な関係というかね、そういったお話でございました。
ぜひ前回のエピソード、そして関連エピソードも聞いてください。 それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。 お相手はシガー15でした。
10:32

コメント

スクロール