1. 【10分言語学】志賀十五の壺
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2025-04-29 11:14

#751 自他交替パタンの地理的分布 from Radiotalk

主要参考文献
岡本進 (2023)「自他交替とヴォイスの連続性についての類型論的考察」『思言 東京外国語大学記述言語学論集』19, 19-30.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

日本語における自動詞と他動詞の関係について、具体的な例を挙げながら説明されています。特に、自動詞がデフォルトとなる場合と他動詞がデフォルトとなる場合の地理的分布が考察され、動詞の変化に関連する要因が論じられます。

日本語の自他動詞の理解
テーマ、自動詞と他動詞。 21歳、東州、新日鉄堺。
始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。大木晃です。
今回のテーマは自動詞と他動詞で、
まあ要は日本語で言うと、この落ちると落とすみたいなものについてお話ししていきます。
落ちるの場合は、石が落ちるで、主語が石なんですよね。
落とすの場合は、彼が石を落とすっていう風に応がつく目的語というのが必要になります。
日本語の場合は、他動詞っていうのは応がつく目的語が出てくるものということができると思います。
自動詞と他動詞というのはよく対になっていることがあります。
まさに落ちると落とすっていうのは音がよく似ていますよね。
落ちる落とすの場合は、語婚が同じで、落とすの方が派生しているという風に言うことができます。
プラスアルファの要素があるということができて、具体的にはオーエス、オスみたいな音が落とすには加わっています。
このオスとかあるいはアスっていうのが加わって、他動詞が派生されているっていうパターンは結構あって、
アスの場合だと、溶けるに対して溶かすとかですね。
あるいは起きるに対して起こすっていうのも、落とすの場合と同様オスというのが加わっています。
こういうのは一種の他動詞化ということができて、自動詞の方がデフォルトで、
それにオス、アスっていうのが加わって、で、他動詞が出来上がっているというわけですが、
自動詞化と他動詞化の事例
日本語の場合は逆のパターンもあります。
逆というのは、他動詞が元で、そこから何か加わって自動詞が作られているというパターンもあって、
止めるに対して止まるっていうのは、ARみたいな音が加わっています。止まる。
で、これは止めるっていうのは、車を止めるで、他動詞で、車が止まるっていう自動詞を派生しているということができるんですね。
で、同じこのARっていうのが含まれているというか、あるによって派生されている自動詞は、
下げるに対して下がる、上げるに対して上がるとか、こういうのは一種の自動詞化です。
こういうふうに日本語の自動詞と他動詞、動詞の自他ということもありますが、
ペアを作っていることがよくあって、その場合どっちかからどっちかが派生しているというパターンが結構あるんですよね。
両方あります。他動詞になるパターン、自動詞が元で他動詞になるパターンと、他動詞が元で自動詞になるパターンとありますが、
自動詞と他動詞が全く違う形でペアになっているというパターンもあります。
まあこういうのを補充形とか言ったりもしますが、
語根を共有してないという言い方もできて、それは死ぬと殺すというものです。
死ぬに対して死なすという言い方もあるにはあるんですけど、
語位的にというかね、ペアになっているのは死ぬ殺すで、これは語根を共有していません。
逆に自動詞と他動詞が全く同じ形を使うというパターンもあります。
これも日本語であって、
例えば開く、扉を開くとも言えるし、扉が開くとも言えるので、これは自他両形ということができるんですね。
世界の言語を見回したときに、開くみたいな、この自他同形のパターンというのは、
孤立型の言語でよく見られます。
孤立型というのは、その単語にあんまり変化形がない、
一形態相イコール一単語みたいな言語で、
日本語のさっきの他動詞のオスとかアスとか、
自動詞のあるみたいな、そういう単語の部品みたいなのがないタイプなんですよね。
そういった言語では、自動詞も他動詞も同じ形を使うということがあります。
それはある意味当たり前といえば当たり前で、
孤立型の言語というのは、そもそもさっきも言ったように、
その単語の部品というのがないので、
自動詞を作るとか、あるいは他動詞を作る部品というのがないので、
自動詞にも他動詞にも同じ形を使っています。
英語もそういった側面は多少あります。
日本語の開くと同様に、英語のオープンというのは、
これは自動詞でも他動詞でも使えますよね。
あるいはドロップという落とす、あるいは落ちるというのは、
自動詞でも他動詞でも使えます。
孤立型の言語というのは代表的なのは、中国語とかベトナム語とか、
あとは東南アジアの大陸部の言語が含まれて、
そういった孤立型の言語では、
自他動形、自動詞と他動詞が同じ形ということが結構あるんですね。
一方ヨーロッパの言語では、
自動詞化が結構観察されます。
つまり他動詞が元で、そこから自動詞になるので、
止めるから止まるっていうのがあるによって派生されるようなパターンということです。
面白いのはヨーロッパの言語の自動詞化っていうのが、
再起と連続しているというところなんですね。
再起っていうのは、自分ってことですね。
自分を何々するっていうのを再起とか言ったりしますが、
無理やりその日本語っぽくするとというか、直訳で言うと、
他動詞がデフォルトなので、
ドアを開ける。
で、この開けるから自動詞を作るのに再起を使うので、
自分を開けるみたいな言い方で、
開くっていうような意味になるんですね。
自他動詞の地理的分布
そういう自分をみたいな、
再起代名詞っていうのを使って自動詞化するわけですけど、
ヨーロッパの言語の中でも、
ロシア語なんかはその再起代名詞がどうしても一色多になっちゃって、
節字になっちゃって、
自動詞を派生する節字みたいになってるんですね。
この再起っていうのはなかなかイメージしづらいというか、
当然日本語にもね、ずっと言ってるように自分っていう再起代名詞はあるんですけど、
それが自動詞化に関わってるとかっていうのは、
結構ね、ピンとこないですよね。
自動詞になる。
ちょっと例は悪いですけど、
殺すっていうのから自殺するっていう自動詞が派生されてるみたいな感じですね。
この自殺の字っていうのがある意味再起的な要素なので、
あんまりちょっと例は良くないんですけど、
イメージとしてはそんな感じだと思います。
再起ではなくて受動態が自動詞と連続してるっていう言語も結構あるんですね。
こっちの方がまだイメージしやすいと思います。
これもやっぱり他動詞がデフォルトなので、
ドアを開けるっていうのからドアが開けられる。
この開けられるっていうのが自動詞だっていうのは、
日本語の感覚でも結構わかりやすいですよね。
こういったタイプの言語、つまり受動化と自動詞が連続してるタイプの言語は、
モンゴル系の言語、モンゴル語を含むモンゴル系の言語や、
あるいはチュルク系、トルコ語の親戚の言語ですね。
チュルク系の言語とか、韓国朝鮮語もそういった面はあって、
ですのでヨーロッパを除くユーラシア大陸、
大雑把に言えばアジアっていうことですけど、
モンゴル系やチュルク系の言語で結構見られる現象なんですね。
自動詞と他動詞のペを考えるときに、
どっちがデフォルトになるかっていうのは、
実は結構動詞によるところがあります。
例えば先ほど例に挙げた起きる起こすのペアの場合、
これは自動詞の方がデフォルトになりやすいんですね。
実際日本語でも起きるに対して起こすっていうのは、
おすっていうのがついて、
自動詞がデフォルトで他動詞を派生しているということができます。
これは起きるっていうのが、
その変化が内的要因によっているというか、
外からの刺激がなくても起きるものは起きるんですよね。
それに比べると、
集まる、集めるみたいなこういったペアの場合は、
他動詞の方がデフォルトになりやすくて、
集まるっていうのも、
自動詞のあるっていうのがくっついてますよね。
他動詞の集めるの方がデフォルトであると言えます。
人でも何でも集まるのは、
外的要因がどちらかというと必要なので、
そうなると他動詞の方がデフォルトで集める。
自動詞の方はそこから派生されるっていうことの方が多いと言われてます。
ですので、外からの刺激が必要ないもの、
内的要因によって変化が起こるようなものは、
自動詞がデフォルトになりがちで、
逆に外からの刺激が必要な変化は、
他動詞がデフォルトになりやすいっていうのがあるので、
本当は動詞ごとにそういうのを見る必要があるんですよね。
というわけで今回は動詞の辞他について、
その交代のパターンというかね、
地理的な分布みたいなお話でございました。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お相手はシガ15でした。
またねー。
ご視聴ありがとうございました。
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