1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #227 「ヴ」について深く考え..
2020-12-08 10:52

#227 「ヴ」について深く考える回 from Radiotalk

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こんにちは、志賀十五です。 今日も志賀十五の壺を張り切ってやっていこうと思います。
まずはお便りをいただいたので、そちら読み上げたいと思います。 こちらケイリンさんからいただきました。
差し入れとともにお便りいただきました。 ありがとうございます。
こんにちは。最近聞き始めました。いつも興味深いお話をありがとうございます。 以前の配信も少しずつ聞いているのですが、
今日、微濁音の話を聞き、タイトルを見た覚えがあったので探して、シャープ136も聞きました。 合唱部出身で現役合唱人です。
ご迷惑の通り、合唱会や声楽会では、基本的に微濁音を正しく使うことが推奨されています。
話は変わりますが、先日、ハヒフヘホ会の中で、声音と濁音の関係に触れているのを聞き、
うにてんてんのvですね、という表記はどこから来たんだろうと考えてしまいました。 一般化したのは比較的最近のことと思いますが、英語等のv音を
うに濁点をつけて表現するのを考えてみれば不思議です。 アルファベットのuはもともとvと表記したように記憶していますが、何か関係があるのでしょうか、何かご存知でしたら教えていただけると嬉しいです。
まだ全部聞いていないので、過去回ですでに触れていたら申し訳ございませんということで、ケイリーさんどうもお便りありがとうございます。
まず、過去で触れていたらどうとかっていうのは本当に気にしないで大丈夫です。
いくらでも再録っていう形でやりますので、全然そこは気にしなくていいっていうのと、
やっぱり合唱とか声楽ではそういうふうに指導されるんですね。
演劇とかアナウンサーの方とかは多分そういうふうに指導されてるんだろうなとは思ってたんですけど、やっぱり歌の方でもそうなんですね。
今日の本題は、うに点々がついてvと発音するものですね。
ヴァイオリンとかはそういうふうに書いたりするっていうことですよね。 まああれは何なんだってことですね、まずね。
ケイリーさんがおっしゃるように確かにおかしいんですよね。 濁音というか濁点がつくっていうのは声音とのペアで、
言語学的に言うと有声音のものに濁点をつけるんですよね。
母音っていうのは定義上というかなんていうか有声音なんですよ。 有声音というのは声帯の震えを伴う音で、母音っていうのはもう
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定義上有声音なので、有声音に有声音の表示をつけたってもうどうしようもないということなんですね。
これはかきくけこっていう声音、つまりこれは無声音って言うんですけど有声音に対して。
そういったものに有声音の表示をつけて濁音を表すっていうのは全く性質が異なるものです。
お便りの中にあるように確かにVっていう字、アルファベットはUと区別はなかったんですよね、昔ね。
今でもブルガリっていうブランドありますけど、あれはUの代わりにVを使って書いてたり、多少そういうところで見られたりしますね。
あとは歴史的にはIとJの字も区別はなかったんですよね。
それぞれ詩音の方にVとJを使うようになって、英語とかだとね、現在に至るということになっています。
で、日本語の表記のウニてんてんでバーっていう音を表すようになったのは福沢諭吉がやり始めたって言われてるんですよね。
福沢諭吉ってなんかすごそうな人だなというのはなんとなくご存知だと思うんですけど、
意外と言語学的にもいろんなことをしてて、例えばね、翻訳釈養っていうのをよくやってるんですよね。
スピーチを演説に訳したりっていうのは福沢諭吉がやっていることです。
で、こういう抽象度の高いものを漢語に置き換える翻訳釈養って言われるものなんですけど、
和製漢語とも言いますね。こういうのを盛んにやってるんですよね。
そのおかげで日本の学問っていうのは発展を遂げたと言っていいとこはあるんですよね。
で、こういった翻訳釈養、和製漢語っていうのは中国に逆輸入されたりもしています。
で、そういったものと合わせて、やはり外国語にはあって日本語にはない音をどういうふうに表したらいいかっていうことで、
うにてんてんでわっていうのをある意味で発明したんですよね。
福沢諭吉がそのアルファベットのuとvの関係をどこまで知ってたか、多分知ってたでしょうけど、
どこまで意識して日本語の表記にあってはめたかはわかりませんけど、
やはり明治維新以後発明された音の表記ということになっています。歴史としてはそういうことだということですね。
だから冒頭言ったように、他の濁点とは全く性質が違うんですよね。
そういうもんだと思って諦めるしかないといえば諦めるしかないんですね。
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監修化されたもので、母音にてんてんがついてわっていう発音になるっていうのは変ですけど、それは仕方ないっていうことですね。
もう決まった決まり事だということです。
ほいで、今日はここからさらに一歩話を進めて、このvっていう音はそういう表記があるので、
確かに日本語の音声としてはあるけど、音素としては存在しないんじゃないかっていうのが僕の考えなんですね。
音声と音素、なんのこっちゃってことですけど、音声っていうのはその具体的な言語のことを音声って言うんですよね。
それに対して音素っていうのは、その語の単語の意味の区別に関わる音の違いのことを音素と言います。
言語にとっては音素こそが全てなんですね。
例えば、バイオリンとバイオリンと、どっちで発音しても意味は変わらないですよね。
これはどういう違いかっていうと、人によるとか、個人差とかしか今は言いようがないんじゃないかと思います。
吸血鬼っていうのも、ヴァンパイアでもヴァンパイアでもどっちでも意味は変わらないと、好みの問題と言ってもいいぐらいのレベルのものです。
一方、Tっていう音も日本語ではありますよね。
この音は、現代日本語について言えば外来語にしか使われないものです。
アイスティーとかティームとか、今だと言ったりするんですよね。
このTは、僕は日本語の音素として確立されたものだと思います。
つまり、語の区別に関わってるっていうことですね。
例えば、これはチームとティームを比べたときには見えづらいんですよ。
チームとティームの違いっていうのは、これこそ個人差じゃないかみたいな感じがするかもしれませんが、
ただ、チーっていうのと、地面の字に暗いって書いてチーですね。
チーとティーって言ったときは、これ意味が全く違いますよね。
こういう一つの音声を変えて、意味が異なる単語のペアのことをミニマルペアと言うんですね。
このミニマルペア、最小次いって日本語で言いますけど、があると、それぞれの音声は別個の音素ということになります。
チーとティーは違う単語だからってことですね。
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これは、バーっていうウにてんてんのものと、バーっていうハにてんてんのものとは、やっぱりちょっと事情が違うってことなんですね。
このミニマルペアをもうちょっと見てみると、例えば、アサとアザっていうのを比べたときに、
これはね、本当は厳密に言うとアクセントが違うんですけど、アサとアザっていうのは意味が全く違いますよね。
これはつまり、無声音のエスサっていう音と、有声音のザっていう音は日本語では意味の区別に関わっているので、別々の音素ということになります。
一方ね、これはよく出てくるのはンっていう発音で、
漢方と関東と観光っていうのを比べたときに、全部漢っていう音が入ってますけど、このンの発音って全部違うんですよね。
漢方、関東、観光。
で、我々日本人はこのンを全て同じ音素だと思ってるんですが、音声学的に言うと全く違う音、違う音声ということになります。
同じようなトークを過去にやっているので、リンクを貼っておくので、そちらも聞いていただけたらと思います。
というわけで、今回のトークはウに転々で、ヴァっていう音は一応日本語にはあるけど、日本語の根幹を揺るがすものではないということですね。
あくまでバリエーションの音の一つにまだ過ぎないというお話でした。
というわけで、最後まで聞いていただいてありがとうございました。
よろしかったら番組フォローお願いいたします。
ではまた次回お会いしましょう。ごきげんよう。
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