1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #90 「うれしいすぎる」という..
2020-05-21 10:55

#90 「うれしいすぎる」という表現を言語学的に考える(後々編) from Radiotalk

#ひとり語り #落ち着きある #豆知識 #雑学 #教育
アクセントのトーク https://radiotalk.jp/talk/254788
文字のトーク https://radiotalk.jp/talk/256276

Twitter
https://mobile.twitter.com/sigajugo
匿名での質問(マシュマロ)はこちら。
https://marshmallow-qa.com/sigajugo?utm_medium=twitter&utm_source=promotion
BGM: MusMus
http://musmus.main.jp/
00:02
始まりました、志賀十五の壺。みなさんいかがお過ごしでしょうか。志賀です。
今回はですね、今回はというより今回もですね、またしつこく、「うれしいすぎる」といったね、こういった表現について話したいと思います。
本来はですね、前々回と前回で前編後編に分けて、それでおしまいって思ってたんですけど、
ありがたいことにですね、コメントをいただきまして、それもですね、マシュマロっていう匿名でメッセージを送れるサービスがございまして、
ご存知の方も多いと思うんですけど、それで初めてですね、メッセージをいただいたのでありがたいなと思いましてね、
これを機にね、みなさんぜひ何でもいいんで、感想でも意見でも何でもいいんで、マシュマロでね、メッセージを送っていただけたらと思います。
毎回ね、このトークの概要欄にリンクは貼ってるんですけどね、なかなか今までね、そのメッセージをもらう機会がなかったので、
ほんまに機能するんだってね、思ってちょっと感動しました。
でですね、その質問というかご意見っていうのが、ちょっとねまたこれ続きもんなんで今日のトークが、前回と前々回のトーク聞いてない方はちょっと話が何が何だかって感じかもしれないんですけど、
ずっと嬉しすぎるってならなきゃいけないのに、嬉しすぎるっていう表現がよくSNS上で観察されるっていう話をずっとしてるんですよね。
で、僕はもう前提としてその嬉しすぎるっていうのが1単語としてずっとお話ししてるんですけど、その方のコメントがですね、ちょっと匿名の方なんで何とも言えないんですが聞いてくださってると思うんですけど、
その嬉しすぎるっていうのが2単語なんじゃないかみたいなご質問というかね、意見をいただきました。
これは非常に鋭いですね。
なんか言語学とかやったことあるんじゃないかなと思うぐらい非常に鋭いご意見です。
でですね、僕がなんでこの嬉しすぎるっていう表現を1単語としてみなしてるかっていうその根拠というかね、理由をちょっとお話ししたいんですけど、
確かにね嬉しいとすぎるが別々の単語だと言われたらそうかもしれないなと思うんですよ。
ただ僕なりの意見としていくつかあるのでそのお話をしたいと思います。
03:00
一つはですね、音声的にというか音韻的にと言った方が本来は正しいんですけど、音声として一塊だから1単語だっていうのがまずあります。
と言ってもですね、この嬉しすぎるっていうのを僕は口に出して使ったことがないので、
口に出してというか、そもそも使ったことがないので見たことしかないのでわかりませんけど、
自分なりにその嬉しすぎるっていう表現を使う人間になりきって発音した場合、やっぱりね嬉しすぎるになると思うんですよね。
嬉しすぎるじゃなくて嬉しすぎる。
これもですね、過去のトークでお話ししてるんですけど、そのリンクも貼っとこうと思うんですが、
日本語のアクセントって、アクセントっていわゆるイントネーションなんですけど、正しくはアクセントって一文字に対してそれぞれに低いか高いかの値が決められてるんですよ。
ざっくり言うと、1単語につき高い低いっていうパターンは1個しか出てこないっていうのがルールとしてあります。
嬉しすぎるって僕が発音するときは、高い低いのパターンって嬉しすぎるって最後のギとルのところしか高い低いのパターンは出てこないんですよ。
下がるパターンって。
もし2単語として考えるなら、嬉しすぎるなので、高い低いのパターンが嬉しい、だから嬉しいのシでここで高い低いが出てきて1回。
すぎるでここでギとルでまた高い低いが出てくるので、
これは実際にね、発話してるとこ僕は聞いたことがないし、自分で発話したことがないから何とも言えないんですけど、
もし自分が言うとしたらどうかなと考えた場合、嬉しすぎるで高い低いが2回出てこずに嬉しすぎるでもう一塊、高い低いが1回しか出てこない、
そういうまとまりとして発話すると思うんですよ。
できればね、これはね、またご意見いただきたいんですよね。
実際にその嬉しすぎるっていう表現を使う人が、自分で口で言うとしたらどうする、どういうパターンになるかっていうのをちょっと聞いてみたいんですよね。
嬉しすぎるなのか嬉しすぎるなのか。
はい、そういうことでね、音声的というか音韻的にこのアクセントのパターンからですね、一単語って言えるから、想像の上ですけど、
だから僕は二単語に分けずに一単語であると考えています。
あとはこの一単語かどうか見分ける手段としてよく使われるのがですね、間に何か入るかどうかっていう基準なんですよね。
06:02
これどうなんだろうな、嬉しいがすぎるとか嬉しいはすぎるとか無理なんじゃないかな、いけんのかな。
嬉しいがすぎるってちょっとがだったらいけるんじゃないかってね、
ちょっとだけ思うんですけど、検索してもあんま引っかかんないからやっぱ間に何も入んないんで一単語なんじゃないかなと思います。
あとはですね、これからに期待っていうところで言うと、もしすぎるっていうのが完全にひらがなだけで書かれるようになると、かなり一単語っぽくなったと言えると思うんですよね。
というのが、当然ですね、すぎるって元は動詞から来てるわけですけど、同じようにその動詞から派生してる要素として、
例えば、戦ってきたとか言うときの来たってもう漢字で書かないんですよね。もう来るっていう意味じゃなくなってるので。
だからそういう専門的に文法化したものってひらがなで書く修正というかそういうものがあるんですよ、日本語においてね。
多分そのお話過去にしてると思うんですけど、そちらもリンクがあれば貼っておきますね。
ただ、すぎるの場合はちょっとまだね、嬉しすぎるってひらがなでも漢字でもすぎるって書くケースがあるので、
今後もしすぎるがひらがなでしか書かないってことになると、かなり文法化が進んで一語になってるっていうちょっとね、
弱いですけど証拠になるかなと思います。
あとはですね、ラジオトーカーの花見さんからもコメントいただきましてありがたいことに、
やっぱりこの嬉しすぎるみたいなのはSNS上でしか観察されなくて、
っていうのがスマホで打ち込むにしろパソコンで打ち込むにしろですね、
予測変換っていうのが一個原因というか要因なんじゃないかっていうご意見をいただきました。
嬉しすぎるで打とうとして、もう嬉しいが先に予測変換で出ちゃうからそれを入力しちゃって、
その後すぎるとか付けるっていうことですね。
これはどうでしょうね。そうかもしれないしちょっとまだわからないっていうところですね。
これが同じようにこの予測変換が原因で起こってる言語変化っていうのが他に見つかると非常に強力な証拠っていうかね、
になるんですけど、可能性としてはあり得るかなという感じはしますね。
この嬉しすぎるに限らずですね、ネット上の言葉が言語変化をもたらすことはあるのかな。
09:01
一種の流行り言葉みたいな感じで、あるいは若者言葉みたいな感じで、
時間的にあるいは世代的に限定された形でバッとそういう表現が広がることはあるので、
こういうネットというかSNSが言語変化にどう寄与するかっていうのはね、
研究はまだまだ浅いと思うんですけど、ちょっと注目に値しますね。
っていうのが言語変化って普通は話し言葉の方から起こるんですよ。
書き言葉っていうのは古い形を保持するんですよね。
だからフランス語でつづりと発音が全然違うじゃんとかなったり、
日本で戦前までずっと歴史的金使いを使ってたとかね。
普通はそういうふうに考えられるんですけど、
SNS上の言葉っていうのはそういう書き言葉とは全く違う性質を持っているので、
それが言語全体のシステムっていうか体系を変え得るかどうかはちょっとわかんないですね。
いずれにせよですね、前回もお話ししたようにですね、
この嬉しすぎるに限らず日本語の形容詞っていうものが
今後どう変化していくのかっていうのは個人的に非常に興味があるので注目していきたいと思います。
というわけで今回もお聞きいただいてありがとうございます。
コメントご意見お待ちしておりますのでよろしかったらお願いします。
それと番組クリップの方もよろしかったらお願いします。
というわけでまた次回お会いしましょう。ごきげんよう。
10:55

コメント

スクロール