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#870 【歴史言語学】共有革新 shared innovation とは何か from Radiotalk
2026-06-20 11:41

#870 【歴史言語学】共有革新 shared innovation とは何か from Radiotalk

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主要参考文献
Fortson, Benjamin W. (2010) Indo-European Language and Culture: An Introduction. 2nd Edition. Malden, MA: Wiley Blackwell.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

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本日のエピソードのテーマは歴史言語学です。 この番組でも過去のエピソードで歴史言語学ないし比較言語学のエピソードはいくらか配信しておりますので、概要欄からチェックしてみてください。
歴史言語学とは、その名の通り言語の歴史を遡っていきます。 文字資料、秘文とか遺跡とかそういったものも含めて、
文字資料が存在しない言語についても推定していきます。 そういった作業のことを再建というんですね。
祖語を再建するという言い方をします。 有名なのはインドヨーロッパ語俗における歴史言語学で、
ヒンディーウルドゥ語といった東の言語から、英語やフランス語などを含むヨーロッパの言語、
そういった広い地域にまたがる言語の共通の祖先の言語、インドヨーロッパ祖語の再建というのもなされています。
このインドヨーロッパ語俗の言語は、 サンスクリットであったり、ギリシャ語、ラテン語といったいわゆる古典語と言われる資料もたくさんあるんですよね。
そこからさらに遡って、インドヨーロッパ祖語というのを再建しています。 ただ、インドヨーロッパ祖語からいきなり
現在話されているいろんな言語が派生していった、生まれていったわけではありません。
インドヨーロッパ祖語から英語とかフランス語、イタリア語、ロシア語が
それぞれ生まれていった、派生していったわけではなくて、 中間段階というのが
想定されることがあります。 例えば今のだとフランス語とイタリア語っていうのは
共通の中間段階を経て、 フランス語とイタリア語に分かれていったんですね。
で、その中間段階はなんとラテン語です。 ラテン語の話し言葉がフランス語とかイタリア語とか
あるいはスペイン語とかポルトガル語とか ロマンス系の言語と言われることがありますけど、
これらはラテン語の話し言葉から分かれていきました。
すごく大雑把な言い方をすると、インドヨーロッパ祖語からラテン語を経て、そこから
フランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語などに分かれていったということなんですね。
このロマンス系の言語の場合は、ラテン語という中間段階が
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言語としてきちんと確認されているわけですが、 そうではない場合もあります。
例えば英語はドイツ語やオランダ語、デンマーク語、 あるいはスウェーデン、ノルウェーといった北欧の言語と
同じ共通の中間段階を持っていたと考えられています。
それをゲルマン祖語と言います。 ただこのゲルマン祖語というのは、ラテン語と違って
資料として残っているわけではないんですね。 本当に推定されているという感じです。
ではなぜ資料として存在していないにも関わらず ゲルマン祖語というのが推定することができるんでしょうか。
ここでキーワードとなるのが共有革新です。 英語だとシェアドイノベーションという言い方をします。BGMです。
始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。 デューク・エリントンです。英語もフランス語もどちらもインドヨーロッパ語族の言語ですが、
辿ってきたその中間段階というのが異なります。 さっきも言ったように、英語はドイツ語やオランダ語と同じくゲルマン祖語という段階を経て、英語に行き着いているし、フランス語はイタリア語とかスペイン語などといった言語と同様にラテン語を経て現在に至るということなんですね。
ではなぜ英語はフランス語とは別の中間段階を経ていて、 ドイツ語やオランダ語と同じ中間段階を持っていたか。
つまりなぜゲルマン祖語というのが推定することができるかというと、 そのゲルマン系の言語でしか見られない音変化というのが観察されるからなんですね。
それが共有革新、シェアドイノベーションと言われるものです。 ゲルマン系の言語でのみ起こったと考えられている音変化をグリムの法則と言います。
このグリムの法則についても関連エピソードがあるんですけど、 そのグリムの法則の一部だけお話ししておくと、
他のインドヨーロッパ語俗の言語でブードゥグーといった、 日本語風に言えば濁音の音が、
ゲルマン系の言語ではプートゥクーという、 専門的には無声音と言われる濁らない音に対応しています。
これはもともとインドヨーロッパ祖語で濁る音だったブードゥグーが、 ゲルマン系の言語でプートゥクーに変化したんだと考えられているんですね。
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さらに言うと、このブードゥグーがプートゥクーになったのは、 ゲルマン系の言語、英語、ドイツ語、オランダ語、
デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語、アイスランド語とかたくさんあるわけですけど、 それぞれの言語でこのブードゥグーがプートゥクー、濁る音から濁らない音に変わったのではなくて、
これらゲルマン系の言語の共通の中間段階、ゲルマン祖語でこの音変化が起こったんだと考えます。
つまり音変化を共有しているということで、これを共有確信と呼ぶんですね。
ゲルマン系の言語の場合、共有確信の一つが、 このブードゥグーがプートゥクーに変わったという変化です。
もうちょっと具体的に言っておくと、 英語のにという単語はtoですよね。
これ濁らない音ですけど、これが他のインドヨーロッパ語族の言語、 例えばラテン語だとduoとかです。
dの音が出てくるんですね。 これはもともとインドヨーロッパ祖語でdの音だったものが、
ゲルマン祖語に分かれた段階で dからtへの変化があって、
そのゲルマン祖語からさらに英語なりドイツ語なりが分かれていったということです。
同じ語族内であっても、他の言語では見られないような音変化を共有している場合、
つまり共有確信がある場合、それは中間段階というのを想定することができるということです。
さて、この中間段階を認めるのに重要な共有確信ですけど、
実はこの共有確信というのが分かりづらくなっているケースがあります。
例えばラテン語で数字の10のことはデケムと言って、英語はテンですよね。
ここでもやはり d と t が対応していて、ゲルマン祖語で d から t への変化があったんだなというのが分かるんですが、
同じゲルマン系の言語のドイツ語の10は テンと言います。
つづりの上では z で書くんですけど、発音はチェという発音です。
ラテン語の d の音はゲルマン祖語の発音に近くて、元々の発音という感じなんですよね。
そこから英語では d から t に変わって、ドイツ語では d から z、z というか do からto という音に変わったのか、
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英語とドイツ語で d の音は別語に変化していったのか、これは微妙に違ってですね。
まずゲルマン祖語で、さっきも言ったように d から t への変化がありました。
その後ゲルマン祖語の中でも一部の言語で t からさらに z、to から to への変化があったんですね。
英語ではそれがなかったので to という発音のままなんですけど、ドイツ語ではもう一段階変化があってto という発音に変わっています。
インドヨーロッパ祖語の d がドイツ語で、そのまま直で z、to の発音に変わったわけではなくて、
やはり中間段階のゲルマン祖語 d から t への変化っていうのを想定するんですね。
ただこれはなかなか難しいというか、ドイツ語だけ見てるとそれって気づきづらいと思うんですよね。
というのが d から t になって z になった、この t の段階っていうのはドイツ語の中には残ってないからです。
そのために英語みたいな他のゲルマン系の言語と比較することで
d から t そこから t から z に変わったんだということがわかるんですね。
この中間段階、今回の例ではゲルマン祖語ですけど、その中間段階を認めるには共有革新、シェアドイノベーションを見つける必要があります。
つまり共通の音変化っていうのを見つけて、 その共通の音変化っていうのはそれぞれの言語で起こったのではなくて、
中間段階で起こったんだというふうに考えるということですね。 ただ、ものによっては
その共有革新の後、さらに音変化が起こって、 その共有革新の痕跡みたいなのがわかりづらくなっているケースもあるというお話で
ございました。 歴史言語学ってなかなか奥が深いですね。
というわけで今回のエピソードはここまでということで、 関連エピソードは概要欄からチェックしてみてください。
番組フォローまだの方はよろしくお願い致します。 お相手はシガ15でした。
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