00:00
お便り頂戴しております。
そわさんとぬふさんからお便り頂きました。
そわさんとぬふさんのね、前回のお便りについては、
シャープ664でね、回答しておりますので、
どうですかね、もう聞いて頂けましたかね。
ちょっとそのあたりのコメント等はないので、
たぶんまだ聞かれてないと思いますので、
ぜひシャープ664も聞いてください。
では、お便りです。
英和辞典を開いて、英単語の大会を漂っていると、
時々古党を発見します。
例えば、カリナリーという単語、
料理のを意味する形容詞です。
その前後に料理を指す名詞は見つかりません。
他にも、ライパリアンに川岸、
湖の岸の水辺の、と説明がありますが、
その前後に川、湖、水辺を意味する名詞はありません。
同様の例は、ルナ、月の、
牛の、
こうした単語を私は勝手に古党形容詞と呼んでいます。
このような英単語がなぜ存在するのか、
また文章の中でどのように用いるのか、
解説をお願いいたします。
ということで、そわさんとぬふっさん、
お便りどうもありがとうございます。
これらの英単語は、英語の世界の、
もっと言うと英単語、語彙の重層性というのを
如実に表しているという感じがしますね。
今読み上げた単語は、実はすべて釈用でございます。
BGM、かかれい。
始まりました。4月15日のツボ。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
トム・クルーズです。
さっきも言ったように、
お便りの中にあった英単語はすべて釈用。
さらに言うと、フランス語かラテン語からの釈用でございます。
皆さんもね、辞書を見るときは、
語源というか起源というのをさかのぼって見てみると、
結構ね、面白いことがわかったりすると思います。
おそらく英語というのは、釈用が最も多い言語なんではないでしょうか。
そもそも単語の数は、おそらく世界一だと思いますけど、
その分釈用の数も増えていると思います。
03:01
そんな中でも、ラテン語、ないしフランス語からの釈用というのは非常に多いです。
日本語にも釈用というのは当然ありますよね。
日本語だと外来語という言い方をして、
最近のというか、現代取り入れられた英語中心ですけどね、
外来語はカタカナで書かれるというふうに、見た目で釈用ということがわかりやすいですが、
英語は別に、英語に限らずほとんどの言語では、
釈用かどうかによって表記体系を変えるということはありません。
一見すると釈用かどうかというのはわかりづらいです。
英語の場合は特に、フランス語、ラテン語からの釈用が非常に多いです。
というのが、イギリスの歴史で、
フランス人がブリテン島を支配していたという時期があります。
これは1066年のノルマンコンクエストという出来事で、
僕は未だにこの1066年というのは、
高校の時、世界史でやった時以来覚えています。
なんとなく印象に残っているんですよね。
このノルマン人がブリテン島を支配して、
そのノルマン人が使っていた言語がフランス語だったんですね。
このノルマンコンクエストのせいで、
ブリテン島の支配者層というか貴族層が、
フランス語しか喋らないという時期がありました。
つまり、1066年からしばらくの間、上流階級の言語はフランス語で、
英語というのは庶民の言葉として使われているだけで、
英語で書かれた文献がその間なくなるというような、
かなり英語にとって危機的な状況があったんですよね。
今では考えられないですけど、
もし世界史のボタンの掛け違いというか、
何かのきっかけでノルマンコンクエストがもっとうまくいって、
ブリテン島の言語がフランス語にまるっきりとって変わられていたら、
庶民の言葉も含めてフランス語となっていたら、
現代のある意味、世界共通語としての英語というのはなかったわけなんですよね。
ですので、フランス語を話すノルマン人、征服者のノルマン人と、
英語を話すアングロサクソン人、支配されている側と、
そういった図式が出来上がったんですよね。
06:02
このことを、これまた如実に示している例として、
動物の名前の呼び方っていうのがあるんですね。
これは関連エピソードが確かあるので、
ぜひURLを貼っておくので聞いてほしいんですけど、
確かピッグとポークの言語学とか言って、
まさにピッグとポークっていうのがそうです。
ピッグっていうのは豚、ポークは豚肉ですよね。
このポークっていうのがフランス語由来です。
つまり支配する側というか上流階級の人にとって、
豚っていうのは食べるものなんですよね。
なのでポークっていうのが豚肉を意味するようになっております。
同様のことはビーフにも言えます。ビーフもフランス語由来です。
今回お便りにあったボバインっていう牛のっていう形容詞と語根は一緒ですが、
これもやっぱり牛っていうのはフランス語を話す上流階級の人々にとって、
ノルマン人にとって食べ物であったので牛肉という意味になってるんですね。
このようにノルマンコンクエストをきっかけとして、
ブリテン島にはフランス語、ナイシー、ラテン語、どちらもロマンス系と言われる言語ですけど、
というかフランス語はラテン語の子孫の言語ですが、
そのロマンス系の言語が大量に入ってきました。
そのせいで英語にはフランス語、ラテン語由来の釈用が非常に多いです。
こういったものがどういう文脈で使われるかというと、
やっぱり上流階級の言語だったので、
特にラテン語に由来するようなものは学術的な文脈とか、
多分どちらかというと固い文脈で使われるものが多いと思います。
もちろんビーフとかポークみたいに日常言語にまで成り下がったっていうんですか、
そういった単語もありますけど、
基本的にラテン語、フランス語由来のものは固い文脈で用いられるのではないかと思います。
このラテン語、フランス語と英語の重層性を示す別の例として、
こんなものもあります。
英語にはパターナルっていう父親のっていう意味の形容詞があるんですよね。
これはソワ・サントヌフさんの言う古典形容詞に当たると思うんですが、
このパターナルっていうのはfatherと語源は一緒です。
英語のfatherっていうのももともとこのfの音はpだったんですけど、
09:04
英語を含むゲルマン系の言語ではfに変わってしまったんですよね。摩擦音に変わっちゃって。
その後にノルマン・コンクエストでパターナルっていう元のpを保持した単語が流入してきたっていうことで、
こういったことからも英語の語彙の重層性っていうのが見て取れるんですね。
このpの音がfになったみたいな話はグリムの法則と言われて、
こちらも関連エピソードあるのでぜひ聞いていただけたらと思います。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いします。
お相手はしがじょうでした。
またねー。