1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #224 日本語は世界一難しい言..
2020-12-05 10:50

#224 日本語は世界一難しい言語か?(後編) from Radiotalk

「第二外国語」と言っていますが、単に「外国語」でいいですね笑

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始まりました、志賀十五の壺。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。志賀十五です。
前回のトークから続けて聞いてらっしゃる方は、 またお会いしましたねっていう感じでね。
お前が続けて聞けって言ったんだろうなってことなんですが、
前回のお話はですね、お便りをご紹介してたんですが、
そのお便りの中に面白い現象っていうかね、 そういうのがあったのでそっちに引っ張られちゃって、
いただいた質問には何も回答していないっていうね、 とんでもないことになってしまいました。
で、今回はやっとその質問にお答えするということになります。
ムイムイさんからいただいた質問で、
言語学的な視点で日本語習得の難しさはどこにあるかと、 そういう質問でした。
これはね、よく言われるんですよ。
日本語は世界一難しい言語みたいなことは言われたりするんですけど、
僕は割とその辺は疑ってるっていうか、
まず前提として、これは学習言語としてとか、
第二外国語として難しい言語っていうのは存在すると思います。
ただ母語として難しいっていうのはあり得ないと思ってますね。
言語っていうのは、母語っていうのは無意識のうちに習得していくもので、
当然皆さんそうですけど、そこに難しいも何もないんですよね。
じゃあなんで第二言語とか、あるいは外国語としてとか、
学習言語として難しいとかどうとかあるかっていうと、
当然それは母語の影響があるからですよね。
当然その学習言語が自分の母語と近いんだったら、習得は容易ですよね。
逆に自分の母語と学習言語が全く違う音とか文法とか語彙とかを持ってるんだったら、
習得は困難ということになります。
つまりこれはどの言語の習得が難しいっていうのは母語によるということです。
母語が難しいってことはあり得ないということですね。
なので日本語が難しいかっていうのはその人の母語によるんですよね。
これはいろんな面からお話ができますけど、
例えば語順っていうところで考えると、
英語とか中国語を見ると主語、動詞、目的語っていう語順ですよね。
それに比べると日本語って動詞が最後にくるパターンなので、
なんか日本語ってそういう面で難しいんだとかもしかしたら言ってる人がいるかもしれませんけど、
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そんなことは全然なくて、むしろ日本語みたいに主語、目的語、動詞っていう語順のパターンが
言語の数で言えば一番多いんですよね。
だからそれは全然珍しくもなんともなくて、
例えば韓国朝鮮語の母語話者、モンゴル語の母語話者、トルコ語の母語話者とかにとっては、
語順という点においては日本語っていうのは学習しやすいでしょうね。
っていうのが同じSOV、主語、目的語、動詞の語順だからです。
一方、英語母語話者、中国語母語話者にとっては、まず語順で面食らってしまうというところはあるかもしれません。
ひとまず語順という点においては、日本語は別に珍しくないと思います。
そうか、そういう言い方にしようか。
難しくないはさっき言ったようにその人の母語によるので、なんとも言えないので、
珍しい、珍しくないでちょっとお話ししますね。そっちの方がしっくりきますね。
で、語順という点においては珍しくないんですね。
あとは、音という点においても日本語は全く珍しくないです。
これはむしろ簡単と言ってもいいぐらい珍しくないですね、日本語の音っていうのは。
というのは、非常にシンプルで日本語の場合は、
子音と母音で一つの単位をなす。これが原則としてあるんですよね。
これは仮名一文字に相当するわけですけど、
言語によっては子音が連続したり、あるいは日本語よりもはるかに子音とか母音の数が多かったりするわけですけど、
日本語の子音の数も母音の数も平均的あるいは平均よりやや少ないぐらいだと思いますね。
特に母音のあいうえおっていうのは最もよく見られるパターンなので、
これもまた珍しくありません。
で、子音の方も珍しくないですね、こちらも。
アフリカのコイサン語族っていうところでは、舌打ちの音を言語音として使ったりしてるんですよね。
とかが言語の音として使われてるんですよ。
そういうのに比べると全く珍しくないんですよね。
だから音の面では日本語は珍しくないと言っていいと思いますね。
あとはいろいろ言われてるでしょうけど、
日本語は省略が多いから難しいとか、敬語があるから難しいとか、
僕は全然そうは思いませんね。省略をバンバンする言語も、敬語が日本語よりはるかに複雑な言語も存在しているので、
そういったとこは別に珍しくないと思いますね。
そういう省略とか敬語とかない言語が母語の人が日本語を習得するとなると、
当然それは難しいとなりますけど、
これも冒頭言ったように、母語によるとしか言いようがないんですよね。
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ただこうやって母語による母語によるって言っててもつまらないので、
あえて僕がその日本語が難しいというか珍しいというところを挙げるとすると、まずは初期体系ですね。
これは断然珍しくて難しいと思います。
少なくとも3つの文字を使ってて、ひらがなカタカナ、漢字。
そういう言語って世界ではないと思いますね。
ひらがなカタカナっていうのは音を表す文字で、漢字っていうのは語を表す文字なんですよね。
標音文字、標語文字とか言ったりするわけですけど、
これもやっぱりアルファベットばっかり使っているような言語の母語話者にとっては、まず漢字っていうのに面食らうでしょうね。
これだけで語を表すんだっていうのが馴染みがないことでしょうからね。
逆に中国語母語話者の方にとっては、その辺の漢字の問題はある意味で違和感なくというか抵抗感なく学び始めることができると思います。
多少漢字の形は違ったりしますけど、文字で語を表すんだっていう、そこの最初のステップはすでに乗り越えているわけですから、
そういう点で言うと、日本語の初期体系は中国語母語話者にとってある程度学びやすいところかもしれません。
ただ文法が全然違ったりカナもあったりするので、色々段階を踏まなきゃいけないんですけど、
当然これはムイムイさんの方が詳しいでしょうけど、そういうところがありますね。
というわけで一つは、日本語の珍しいところは初期体系だと思います。
あとはね、日本語を習得する上で難しいだろうなぁと僕が思うとこは、多分他の人があんまり言ってないところで言うと、
自動詞と他動詞の区別だと思いますね。 例えば日本語母語話者っていうのは、
あいそがつきるっていうのと、あいそをつかすっていうふうに当然言うんですけど、このつきるとつかすっていうのを間違えることはもう絶対ないんですよね。
母語ってそういうもんですけど。 このつきるとつかすっていうのは、
つきるの方が自動詞でつかすっていうのが他動詞なんですよ。 つまり自動詞と他動詞で形が変わるんですよね。
英語とかだと、例えばねオープンとかは、あれ自他両形っていうか、自動詞も他動詞も同じ形なんですよね。
日本語の場合は同じ形のものも多少ありますけど、 開くとかね、ドアが開く、ドアを開くみたいに
同じ形のものもありますけど、普通はつきるつかすみたいに形が変わると。 これは結構難しいところだと思いますね。
でね、 ざっくり言うとね、つかすみたいにあすの音とか、起こすみたいにおすの音、
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あすとかおすっていう音が入っていると、これ多動詞なんですよ。 たいてい。
つかすとか、起こすとか、ばらすとか、ぬかすとかね、 あすとかおすの音が入っていると多動詞。
で、自動詞の方はあるっていう音が入っていると、 たいてい自動詞と言っていいんですよね。
そまるとか、はまるとか、あたたまるとかね、 こういうね、あすおす多動詞、ある自動詞みたいなものばっかりでもないんですけど、
一応そういう法則があるんですよね。 で、めんどくさいのは、えるっていう形で終わるのは自動詞も多動詞もありえるんですよね。
例えば続けるっていうのはゲームを続けるみたいに多動詞なんですけど、 焼けるっていうのは肉が焼けるなので自動詞なんですよ。
だからね、このえるっていうのが非常にクセモノで、 われわれ日本語母科学者はもうどうでもいいんですけど、そういうのは話せるから。
このね、自動詞と多動詞の区別、 さらにはこのえるで終わる形が自動詞にも多動詞にも両方使われるっていうのがね、
難しいとこだと思いますね、僕は。 というわけで、日本語が難しいかどうかはまず母語によるということですね。
その前提があった上でどこが難しいかというと、 初期体型と自動詞、多動詞の区別だと僕自身は思います。
というわけでお答えになってますでしょうか。 また質問がございましたら送っていただけたらと思います。
ではまた次回お会いしましょう。 ごきげんよう。
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