1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #427 不規則の言語学 from Rad..
2022-03-22 10:18

#427 不規則の言語学 from Radiotalk

Twitter▶︎https://twitter.com/sigajugo
Instagram▶︎https://bit.ly/3oxGTiK
LINEオープンチャット▶︎https://bit.ly/3rzB6eJ
オリジナルグッズ▶︎https://suzuri.jp/sigajugo
おたより▶︎https://bit.ly/33brsWk
BGM・効果音: MusMus▶︎http://musmus.main.jp/

#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:03
始まりました、志賀十五の壺。好きな果物はリンゴ。
アイザック・ニュートンです。
言語っていうのは、恐ろしく規則的にできているものです。
まあ、皆さんが思っている以上に、というか、
特に母語であればあるほど、あればあるほどっていうか、
母語の規則性っていうのは、皆さん全然気づかないものだと思うんですね。
で、初めて、ある意味外国語として日本語を見たときに、
規則性というか、美しさっていうものに気づくものだと思います。
例えば、ら抜き言葉っていうのがありますよね。
もうこれが、やり玉にあげられて、もう長いこと経ってますけど、
このら抜き言葉っていうのは、ある意味不規則なものと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、
実は逆で、規則的な方へと流れていっていると、そういうふうに考えることもできるんですね。
ら抜き言葉っていうのはどういうものかっていうと、
可能を表す表現で、らっていうのが出てこないっていうもので、
例えば、見られるに対して見れる、食べられるに対して食べれるというふうに、
らが出てこないことをら抜き言葉というわけなんですね。
確かにこれは規則からの逸脱ということもできるかもしれませんけど、
裏を返せば、規則的な方への合流っていうふうに言うこともできると思います。
どういうことかというと、可能を表す表現っていうのは、
語弾動詞、これもちょっと固い言い方ですけど、
つまりないをつけたとき、その直前にあだんの音が出てくるものをですね、
語弾動詞、書く、これ書かないであだんの音が出てくるので、
語弾動詞ってことなんですけど、
こういった動詞は可能動詞という形があって、
書けるとか読めるとかさせるとか、
そういうペアっていうのが存在してるんですね。
一方、さっき例に挙げた見るとか食べるっていう動詞は、
一弾動詞と言われるもので、ないをつけても見ない食べないであだんの音が出てこないんですね。
03:02
こういったものは可能動詞というものを持っていません。
つまり、語弾動詞は可能動詞を持っていて、一弾動詞は持ってないという、
不釣り合いな関係にあるわけですね。
そのために、見れる食べれるっていう新しい形式を生み出すことで、
どんな動詞にも可能動詞というペアを持つようになったということなんですね。
最近ではさらに語弾動詞の方で、書けれる読めれるさせれるっていう風に、
可能動詞にれるっていう、れっていう新しい音が現れることがあります。
皆さんの中にもそういう言い方する人いるんじゃないかなと思います。
さらにレタス言葉っていう風な言い方をされるんですね。
まあこれもある意味規則的な日本語に向かっているというか、
見れる食べれるみたいなら抜き言葉が流行ってくると、
今度はれるっていう形で終わるのが可能形式だっていう風になって、
もともと書ける読めるさせるっていう可能動詞があったにもかかわらず、
書けれる読めれるさせれるっていう言い方が出てきてるんですね。
だからなんていうかな、せっかく追いついたのにまたそっちに合わせていっちゃうっていうかな。
まあいずれにせよこういう風に規則的な方、規則的な方へ言語は向かっていると、
まあそういう言い方もできると思います。
こういう風に一般的にはまあ誤った日本語と見られるら抜き言葉あるいはレタス言葉ですけど、
見方を変えれば一種の規則性にのっとっているということになります。
つまりら抜き言葉であればれるっていうものをつければ規則的に可能動詞を作ることができるということです。
しかし一方で自然言語であればどうしても不規則っていうものを含んでいるものなんですね。
これは何でなんだろうな。
まあどうしても不規則っていうのが観察されて、
例えばするっていう動詞の可能動詞っていうのは存在しないんですね。
これ左辺動詞ってものですけど、
言うとしたらどうなるんだ。
すれるとかそういった言い方はないですよね。
代わりにできるっていう全く違う形を使います。
当然このするとできるの間には語源的な関係っていうのは全くないんですね。
同じような例は英語でもあって、
06:00
不規則動詞って英語は結構ある方だと思うんですけど、
その中でも語の過去形がwentってどういうことだって感じですよね。
これも実はwentっていうのは別の動詞なんですね。
だから語とwentの間には語源的な関係はありません。
語源は全然関係ないのに語の過去形としてしれっと使われているわけなんですね。
こういうふうに語源が全然関係ないのに、
ある形式の変化形として使われることを補充形とか言ったりするんですね。
他にも英語の場合は形容詞good、良いの比較級はbetterで、最上級はbestですよね。
good、gooder、goodestとかならないわけです。
これも補充形の例ですね。
こういうふうに日本語にしろ英語にしろ人間の話している言語だったら、
どんな言語でも必ず不規則というものはあると思います。
母語話者自身は不規則だとは思ってないと思いますね。
例えば我々日本語母語話者が書くの可能形は書ける、
食べるの可能形は食べれる、
だったらするの可能形はすれるにならないとおかしいじゃないかと、
そういう文句を言う人はいないですね。
するの可能形はできるとしか思っていません。
というかそういうことすら考えていないと思います。
なので言語っていうのは恐ろしく規則的なものではあるんですけど、
その中に必ず不規則というものが存在するんですけど、
母語話者にとってそれはどうでもいいことで、
規則的だろうが不規則的であろうが、話してしまえば関係ないっていうところですね。
この不規則っていうのが大変なのは当然学習者にとってですよね。
だから我々は中学の英語で不規則動詞っていうのを声に出してね、
覚えたりしたわけですよね。
すごい大変だったなぁとそういう思いをした人もいると思うんですけど、
当然逆のこともあるわけですね。
非日本語母語話者が日本語を学ぶときに、
やっぱり不規則って面倒なものなわけなんですよね。
特にそういう不規則っていうのは敬語で見られるもので、
例えばね尊敬語っていうのは、
を〜になるっていう言い方にしてしまえば大抵姉妹なんですよね。
読むに対してお読みになる。これで尊敬語になりますと。
ただ尊敬語は今言ったように不規則が多くて、
09:03
するの尊敬語はなさるだし、
見るの尊敬語はお見になるとか言えないのでご覧になるだし、
謙譲語も一緒かな。
行くはうかがうになるし、
言うは申すになるわけですよね。
語源的に全然関係ないものを使っているわけです。
敬語の方はもしかしたら母語話者であっても苦労するところかもしれませんが、
今日のトークで言いたかったことはですね、
自然言語であれば必ずなぜか不規則を持っているということです。
それは言語が変化するものだからと言っていいと思うんだけどな、
多分それと表裏一体だと思うんですけど、
だからエスペラントっていうね、人工言語には不規則っていうものは存在しないはずです。
そして変化もしないということですね。
というわけで今回のトークは、
言語の不規則性というものについてのお話でした。
最後まで聞いてくださってありがとうございました。
お相手はシガ15でした。
10:18

コメント

スクロール