1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #426 ロシア語とウクライナ語 ..
2022-03-19 09:50

#426 ロシア語とウクライナ語 part 2 from Radiotalk

スロバキア語は西スラブ語です。訂正します。

関連エピソード
バルカン半島の言語のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/479901
能格言語のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/673192
ヒンディー語のエピソード
https://radiotalk.jp/talk/634640

主要参考文献
『世界の言語ガイドブック:ヨーロッパ・アメリカ地域』 (東京外国語大学語学研究所、三省堂)
青木正博 (1996)「ロシア語の否定生格の現象における格標示」『言語研究』110: 52-78.

Twitter▶︎https://twitter.com/sigajugo
Instagram▶︎https://www.instagram.com/sigajugo/
LINEオープンチャット▶︎https://bit.ly/3rzB6eJ
オリジナルグッズ▶︎https://suzuri.jp/sigajugo
おたより▶︎https://bit.ly/33brsWk
BGM・効果音: MusMus▶︎http://musmus.main.jp/

#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
00:05
始まりました、志賀十五の壺。
地下鉄のことを考えていて、寝不足になりました。
サンキューテルヨです。
前回のエピソードで、ロシア語とウクライナ語の話をしたんですね。
まあ、軽い復習みたいなことを言っとくと、
ロシア語とウクライナ語っていうのは、もともと一つの言語で、
で、だんだんそれが方言になって、
で、現在では別語の言語として認識されているというお話をしました。
まあ、大きく言えば、ロシア語もウクライナ語も、
スラブ語、スラブ語派と言われる言語のグループに属すもので、
このスラブ語に属す他の言語は、
西の方だとポーランド語とかチェコ語があって、
で、南の方だとスローバキア、スローベニア、マケドニア、ブルガリア、
バルカン半島の言語が含まれています。
バルカン半島の言語は、かなり地理的に面白い特徴があるので、
こちら関連トークがあるので、聞いていただけたらと思います。
で、前回はね、なかなかスラブ語の特徴を話したかったことが言えなかったので、
今回はパート2ということでやっていこうと思います。
今日メインでお話ししようと思っているのは、
否定性格と言われるものです。
これは専門用語ですね。
否定は否定で、性格っていうのは生きるという字に格は、なんだ、
起変にオノオノのオノですね。
否定性格と言われるものです。
前回のエピソードでもお話ししたように、
ロシア語やウクライナ語を含むスラブ語っていうのは格変化がかなり豊富です。
つまり、文の中での役割に応じて名詞がいちいち形を変えるということでした。
主語の形、目的語の形、間接目的語の形っていう風に形を変えるんですね。
今回お話しする性格っていうのは、
所有者の時の形ということになります。
英語だと代名詞で、myとかyourとかhisとかこういった形です。
スラブ語の場合は代名詞だけじゃなくて、
普通名詞にもこの所有者の形っていうのがあります。
03:03
この性格っていうのは、
普通続格っていう言い方をすることの方が多分一般的じゃないかなと思いますけど、
スラブ語の研究では結構性格と言われることが多いです。
否定性格っていうのはどういうものかというと、
否定の時に性格が出てくるということです。
そのまんまといえばそのまんまなんですけど、
例えば存在を表す文で、
ここに犬がいるという場合、
犬っていうのは主語に相当して、
その名詞の形っていうのは主格と言われる形になります。
日本語風に言えばまさに犬がみたいな形なんですね。
これが否定文になると、
この犬っていうのが性格の形になるので、
日本語風に言うと、
ここに犬のいないっていうような表現になるんですね。
つまり否定文だと、
主語が所有者の形で表されるということです。
今のは主語が性格で表される、
ここに犬のいないっていう風になるっていう話だったんですけど、
同じような現象は目的語でも起こることがあります。
例えば肯定文で本を読んだっていう時に、
この本っていうのは目的語なので、
専門的には対格という名詞の形になります。
日本語だと大みたいなものです。
これが読んだじゃなくて読まなかったになると、
目的語が性格で表されるんですね。
なのでこれも日本語風に考えると、
本の読まなかったという形になります。
これは非常に面白いですよね。
つまり肯定文と否定文で、
主語や目的語の表し方が変わっているということです。
肯定文の場合、
犬がいるとか、
私が本を読んだみたいに、
自動詞でも他動詞でも、
主語だったら主格の形、つまりがみたいなものがついて、
他動詞の目的語には対格をみたいなものがつきます。
これが否定文になると、
犬のいないと、
私が本の読まなかったという風になるので、
自動詞の主語と他動詞の目的語が、
同じ性格というもので表されるようになります。
06:04
こういう風に自動詞の主語と他動詞の目的語を、
同じように表すシステムのことを、
能格型表示とか言うんですけど、
スラブ語の場合は、
否定文で能格型表示になるということで、
こういうのを分裂能格性とか言うんですね。
かなり専門的な話ですけど、
ざっくり言えば繰り返しになりますけど、
肯定文化、否定文化で、
主語や目的語の表し方が変わるということです。
同じような現象はヒンディ語にもあって、
ヒンディ語の場合は肯定文、否定文というよりは、
官僚を表す文の時に、
能格型の表現になります。
これもね、かなり面白いので、
ぜひ関連エピソードを聞いていただけたらと思います。
概要欄にリンクは貼っ付けておこうと思います。
で、この性格っていうのは、否定文だけじゃなくて、
目的語が何かの一部である時にも使われるんですね。
こういうのを部分性格とか言われることもあります。
例えば、水を飲んだって言った時は、
水をコップ一杯飲んだみたいな解釈になるんですけど、
これが性格を使って、
水の飲んだっていう言い方になると、
水を一部飲んだとか、水を部分的に飲んだという解釈になります。
このようにスラブ語では、否定文とか、
あるいは部分を表す時に、主語や目的語が、
性格と言われる所有者を表す形で、
マークされるという特徴があるんですね。
似たようなシステムはフィンランド語にもあるんですよね。
フィンランド語はスラブ語ではありません。
もっと言うとインドヨーロッパ語族の言語でもなくて、
ウラル語族っていうまた別個の言語のグループに属すもので、
フィンランド語の場合は文格と言われる、
その部分を表す専用の格表示というものがあります。
日本語には文格がないので、
仮に日本語の文格、文っていうものがあるとすると、
さっきの例だと、
水を飲んだと水ぶ飲んだっていう2つの表現があって、
水を全部飲んだのか、一部を飲んだのかっていう違いがあるんですね。
このフィンランド語の文格が面白いのは、
こういう違いが出てくるらしいんですね。
熊を打ったって言った場合は、
09:00
熊を仕留めたっていうことになるんですけど、
熊ぶ打ったみたいに文格を使うと、
仕留めたかどうかはわからないっていう解釈になるそうです。
こういうふうに系統が全然違う言語でも、
似たような特徴があるっていうのは面白いですよね。
というわけで今回のエピソードは、
ロシア語、ウクライナ語などのスラブ語に見られる、
否定性格とか部分性格とかね、
専門的に言うとそういったお話でした。
関連エピソードもぜひ聞いていただけたらと思います。
それではまた次回お会いいたしましょう。
お相手はシガ15でした。
またねー。
09:50

コメント

スクロール