1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #574 動詞の足し算!複合動詞..
2023-08-19 10:40

#574 動詞の足し算!複合動詞の世界 from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/875611

主要参考文献
『ベーシック語彙意味論』 (岸本秀樹ほか、ひつじ書房)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました。志賀十五の壺。
はまなく懐かしいですね。うなぎ犬です。 このうなぎ犬っていうのは
知らない方はググってほしいんですけど、 言語学的には
複合語ということができます。 もともとある単語と単語の足し算で
うなぎっていう単語と犬っていう単語を組み合わせることで 新しい単語が出来上がっています。
当然これは赤塚先生のオリジナルなわけですけど こういう複合語っていうのは
かなり経済的で というのが真羅万象の
世の中のね、いろんな事象1個1個に 名前をつけてたらキリがないので
それだったらもともとある素材を組み合わせて
新しい単語を作った方が効率的な面もあるんですよね。
でうなぎ犬っていうのは名詞と名詞の足し算で新しい名詞ができているわけですが
今回お話ししようと思うのは複合語の中でも複合動詞と言われるもので 動詞と動詞の足し算で新しい動詞ができるようなものです。
例えば書き始めるとか書き殴るといったもので まあどちらも書くっていう動詞が入ってて書くプラス始める
書くプラス殴るという動詞、動詞、動詞の足し算で新しい動詞が出来上がっています。
ただこの書き始めると書き殴るっていうのは同じ動詞の足し算でも実は性質が 結構異なるものなんですね
まあそれってねぇ パッと見じゃわかんないんですよ
さっき言ったように両方動詞プラス動詞っていうことなので 見た目じゃちょっとわかりづらいんですが
いろんなテストをしてみるとその違いが明らかになります 専門的には書き始めるみたいなものは統合的複合動詞と言って
書き殴るみたいなものは語彙的複合動詞と言います 統合的か語彙的かっていう違いがあるんですけど
まあ専門的なね用語は別に頭に入れる必要はないと思います というわけでまずはこの書き始めると書き殴るがどのように違うかっていう
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のを見ていこうと思います
まずこの書き始めると書き殴るっていうのを 尊敬語にした場合
お書き始めになるとかお書き殴りになる 文脈が整えばねお書き殴りになるみたいな言い方もできると思います
ただこのお書き始めになるっていう方は お書きになり始めるっていう言い方もできるんですね
つまりお書きになるっていうその前の動詞だけを 尊敬語にしてそれに始めるっていうのがつくことができます
お書きになり始める 一方書き殴るの方はそれができなくって
お書き殴りになるは言えても お書きになり殴るっていうのは相当厳しいというか無理だと思います
こういうふうに尊敬語にした時に 前の要素だけにこう
操作ができるっていうような特徴が 書き始めるタイプの複語動詞にはあるんですね
同様に受動体受け身文にした時もそうで 書き始められる
とか 書き殴られるっていうふうに
この複語動詞全体を受け身文にすることもできるんですが 書かれ始めるっていう言い方も
その統合的複語動詞ではできるんですね これは書き殴るタイプつまり語彙的な方はできなくって
どうなるんだろう 書かれ殴るかな書かれ殴るみたいな言い方はできません
全体を受動体にして書き殴られるという 言い方しかできないんですね
これなかなか面白いですよね で似たようなテストは
なんていうかなその そうするみたいなもので言い換えた時にも現れて
太郎が書き始めたので二郎もそうし始めた みたいにそうし始めるみたいに始めるっていうのを残して
前の部分の書くっていうとこだけそうするっていうので置き換えることができるんですが これが書き殴るだと
太郎が書き殴ったので二郎もそうし殴った これはダメですね
言うとしたら二郎もそうしたというふうに全体をそうするで置き換えないといけません 以上ですね尊敬語にした時と受け身文にした時と
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そうするで置き換えた時とと見ましたけど 書き始めるみたいなその統合的な方はイメージとしてはそれぞれの独立性が高いと言えるんじゃないかなと思います
始めるっていうのを残して前の部分だけ 尊敬語とか受け身とか
そうするで代用するとかね 一方書き殴るの方は書き始めるに比べて
結びつきが強くって 何というかな普通の動詞っぽいんですよねより
だからこそ語彙的だみたいな名前がついています こういうふうに一口に
複語動詞と言っても統合的なものと語彙的なものがあって 実はテストをしてみるとその違いが明らかになるということです
統合的な方書き始めるみたいなものは その意味的にはね時間関係を表したりとか
より抽象的と言えるかもしれません 書き始める書き終わる書き続ける
まあこういったものが 統合的複語動詞と言われるものです
四ヶ十五の坪 書き殴るみたいなこっちの語彙的なね
複語動詞より 一単語っぽい複語動詞は
何でもかんでも組み合わせができるように見えて実はちょっと制約があるんですね 例えば書き殴るっていうのは書くと殴るっていうのは両方多動詞です
この多動詞と多動詞の足し算っていうのは平気でいけるんですね 書き殴るの他に
追い払うとかねこれは何々を追う何々を払うっていう 多動詞動詞の足し算となっています
問題はこれが自動詞が絡んできた時で ちょっとね今回時間の関係でお話できないんですけど
自動詞には 非能格動詞っていうのと非対格動詞っていうのがあって
ぜひこちら関連エピソードを聞いていただきたいんですけど 非能格動詞っていうのは
主語が動作を行う もので非対格動詞っていうのは
その動作を受けるのが主語になるっていうようなイメージです ぜひ関連エピソードを聞いてください
でこの非能格動詞と非能格動詞 あるいは非対格動詞と非対格動詞っていうこの足し算は平気でいけるんですね
例えば遊ぶと歩くっていうのは両方非能格動詞で遊び歩く あるいは崩れると落ちるっていうのはこれは主語に現れるのが
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どちらかというと目的語っぽいもの つまり動作の影響を受けるものが主語になるタイプで
こういう非対格動詞の足し算もいけます 崩れ落ちるみたいに
でこれがね クロスすることはないっていうか非能格と非対格の
足し算っていうのは普通できなくって 例えば遊ぶっていうのと落ちるっていうのが組み合わさって遊び落ちるとか
こういった言い方はできません さらに言うと
非能格動詞の方は他動詞と複合動詞を作ることができます 遊ぶっていうのと倒すっていうので遊び倒すとかね
こういうふうに自動詞っていうのは非能格と非対格に分かれて 非能格の方はかなり他動詞と相性がいいです
というのが主語に現れるのが動作を行う人物っていうことで どちらも共通してるからなんですね
というわけで今回は日本語の複合動詞についてお話しいたしました 後半の話はねぜひ関連エピソード
繰り返しですけどね聞いていただけたらと思います というわけで最後まで聞いてくださってありがとうございましたまた次回お会いいたしましょう
お相手はシガジュウゴでした
10:40

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