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2026-01-13 09:57

#825 「AはBです」の言語学:指定文と措定文 from Radiotalk

主要参考文献
三上章 (1972)『現代語法序説: シンタクスの試み』東京: くろしお出版.

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育

サマリー

ポッドキャストでは、言語学における「AはBです」構文の分析が行われ、指定文と措定文の違いが詳しく説明されています。また、うなぎ文の概念や日本語における情報焦点の取り扱いについても触れられています。

指定文と措定文の違い
AはBですというのは、言語学でよく名詞文、ないし名詞述語文と言われます。
英語で言うとこのThis is a pen 的なものですよね。
これはペンです。あるいはペンは文房具です。
どちらもAはBですというような、AにもBにも名詞が入るような文となっております。
英語だったらここでB動詞が出てきているわけですが、
日本語だったらだ、丁寧体だったらですが出てきます。
これはペンですとペンは文房具です。繰り返しですが両方AはBです。
同じ構造の名詞文な気がするんですが、これら2つはちょっと性質が違います。
これはペンですとペンは文房具です。
果たして何が違うでしょうか。BGMが流れますのでお考えください。
始まりました。4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。チャージマンケンです。
専門的な言い方をすると、これはペンですの方は指定文、ペンは文房具ですの方は素定文と言います。
指定文と素定文というのは非常に名前が似ていてややこしいんですが、
専門的には指定文と素定文です。
それが何なのかということですが、指定文の方から考えてみますと、これはペンです。
このタイプのAはBですは、BとAを入れ替えることができます。
つまりペンはこれです。
文脈が整えば言うことができます。
一方で素定文の方は、つまりペンは文房具ですの方はAとBを入れ替えることができません。
つまり、文房具はペンです。こういう言い方はできないんですね。
できたとしても意味が変わってきます。
つまりAはBですっていうのは、端的に言えばAイコールBなんですが、
より厳密な意味でAイコールBの関係になっているのは指定文の方です。
つまりこれはペンですっていうのは、これイコールペンの関係がちゃんと成り立っています。
だからこそ入れ替えてペンはこれですという言い方ができるんですね。
それに対して素定文の方は、厳密な意味でのイコールではなくて、
そういう属性があるとか、そういう性質があるっていうような感じですよね。
ペンは文房具です。
なので、この場合Bの方には形容詞みたいなものも入ってきます。
ペンは便利ですとかペンは安いです。
これと同じようにペンは文房具ですという言い方になっています。
さっきもちょっと言いましたけど、素定文の方はAとBを入れ替えることができない。
厳密に言うと、入れ替えると意味が変わってしまいます。
入れ替えられないわけではないです。
文房具はペンです。
この言い方がまるっきり日本語で許容されないというわけではなくて、
例えばクイズでいろんなものが並べてあって、
この中から文房具を選んでくださいと言われた場合、
ペンを見つけて文房具はペンです。
そういう言い方もできますので、
入れ替えてダメっていうわけではなくて、意味が変わってしまうというところがポイントです。
これは別に名詞だけじゃなくて、
便利なのはペンですっていう言い方も別にできるんですよね。
ただそれは、ペンは便利ですと同じ言い方を言うと、そういうわけではないということですね。
平たく言えば、きっちりAイコールBの関係になるこれはペンですっていうのが指定文で、
それに対して訴定文っていうのは、ペンは文房具ですみたいなもので、
そのAの属性や性質を表すようなものだということでございます。
少し話はそれますけど、
AはBですって言った時に、それを入れ替えてBはAですと言った時に、
和を使うか、がを使うかでちょっとニュアンスが違うなぁと感じるのではないでしょうか。
和とがの違いっていうのは日本語学でもよく取り上げられていて、
この番組で過去のエピソードでね、取り上げたこともありますが、
よく言われるのは、和が表すのはトピック、あるいは主題、あるいは旧情報で、
がが表すのは新情報、あるいは焦点とかいろんな言い方をされますが、
ざっくりと和は旧情報、がは新情報を表すっていう風に考えてもいいと思います。
もちろんそれだけでは説明できないとこもたくさんあるんですけど、
この新情報とか旧情報を考える時に、疑問文で考えてみると結構わかりやすくて、
例えば、漢字は誰ですかっていう名詞文、もっと言うとこれは指定文ですね。漢字イコール誰。
で、漢字は誰ですかという指定文では、 a と b を入れ替えて、
誰が漢字ですかということもできます。これは指定文だから当然できるんですけど、
ここでポイントとなるのは、疑問詞にはがしかくっつけないということですね。
誰は漢字ですかという言い方はかなり不自然です。
で、答える方も漢字は私ですか、私が漢字ですと答えることになると思います。
ここでも和とがでちょっと違いが現れていて、漢字という名詞はもう旧情報なので、
和がくっついて漢字は私ですというか、 私という名詞が新情報なので、それにがをくっつけて私が漢字ですというか、
どっちかの答え方になると思います。 こういう疑問文を見ると和とがが旧情報と新情報をそれぞれ表しているっていうのが結構わかりやすくなるんですよね。
AはBです。にはもう一つタイプがあって、それはうなぎ文と言われるものです。
うなぎ文の理解
日本語学では伝統的にうなぎ文と言われて、 僕はうなぎだっていうような文のことなんですよね。
これは指定文として解釈することもできます。うなぎがしゃべってて、僕はうなぎだ。
僕イコールうなぎという厳密なイコール関係を想定することもできますが、 日本語でうなぎ文と言ったときはそうではなくて、
僕はカツ丼を頼む。 彼はうどんを頼む。 じゃあ君は何を頼むと聞かれたときに、僕はうなぎだと。
そういう文脈で使われるAはBですのことをうなぎ文と言うんですね。
このうなぎ文の説明の仕方としていろいろありますけど、
僕が注文するのはうなぎだからの派生で、僕はうなぎだになっているとか、そういう説明の仕方もあるんですが、
その辺の話は一旦置いておいて、 僕はうなぎだというのもAはBだという、そういう構造になっています。
が、これは指定文とも、 想定文とも違うものです。
このうなぎ文っていうのは、文脈がわかってないとかなりトンチンカンな風に聞こえます。
これも過去のエピソードで撮ったことがあるんですが、 例えば、岡山は新橋だっていう言い方もできるんですよね。
当然、岡山は東京にあるわけない、東京の新橋にあるわけないので、 文としては破綻しているように思われるんですが、
これはアンテナショップの話をしてて、 〇〇県のアンテナショップはどこどこにあります。
では岡山はどこにあるんですかという話になった時に、 岡山は新橋ですという言い方ができるんですよね。
これも気づくとなかなか面白いもので、
うなぎ文というのは意外と皆さん日常的に使っていると思うので、 注意してみてはいかがでしょうか。
というわけで、一見同じAはBですという構造であっても、 それが指定文なのか、想定文なのか、うなぎ文なのか、
いろいろバリエーションがあるということですね。
異なる言語構造の可能性
この指定か想定かで、 違う言語の構造を使うということもあり得ます。
日本語はAはBですという、見た目は同じものを使っているわけですけど、
それを全然違う構造を使う言語だってあってもおかしくないんですよね。
今回は日本語に限ってお話しいたしました。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローも忘れずよろしくお願いいたします。
お相手はシガジュウオでした。
09:57

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