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始まりました、志賀十五の壺。皆さんいかがお過ごしでしょうか。陽気ひです。
今回のエピソードタイトルにもあるバスクチーズケーキ、皆さん食べたことございますでしょうか。おいしいですよね。
最近だと、ローソンからバスチーっていうのが出てて、まあコンビニスイーツですよね。今でも売ってんのかな。
まあちょっと流行りましたよね。バスクっていうと、一昔前はテロ活動みたいなね、ちょっと悪いイメージが付きまとってたんですけど、
最近はそういうスイーツっていうようなイメージの方がね、まあそういった形で知られてるんじゃないかなと思います。
このバスクっていうのは地方の名前で、スペインとフランスの国境の一地方のことをバスク地方というふうに言うんですね。
ピレネ山脈っていうのがあるところです。そこに住む人々をバスク人、彼らの話す言語をバスク語というふうに言います。
このバスク人っていうのは統一国家を持ったことがなくて、今言ったようにスペインとフランスにまたがる地域に住んでいるんですけど、
スペイン側のバスク人とフランス側のバスク人というふうにそれぞれの国家に属しているということになっています。
今回はこのバスク語というのをお話ししていくんですが、これが非常に興味深くてですね、まあ面白いんですよね。
まず第一に系統的に非常に面白いです。
ヨーロッパの言語っていうのは一つのグループにまとめることができるんですね。
インドヨーロッパ語族という一つの言語の家族に属すものがほとんどです。
インドヨーロッパ祖語というもともと一つの言語だったものが、今ではヨーロッパ各地の言語になっているというふうに考えられています。
例外はウラル語族というまた別個の語族があって、この語族に属す言語としてはフィンランド語とハンガリー語とエストニア語と、この辺の言語はインドヨーロッパ語族とは別個の言語と考えられてるんですね、その系統的に。
そして今回お話ししているバスク語というのもインドヨーロッパ語族とは全く系統関係がない言語と言われています。
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地理的にはねスペインとフランスにまたがっているわけなんですけど、スペイン語もフランス語もどちらもインドヨーロッパ語族の中のロマンス諸語と言われる言語で、
ラテン語の子孫の言葉なんですよね。 ただバスク語っていうのはラテン語の子孫ではないし、なんならインドヨーロッパ語族の言語でもありません。
インドヨーロッパ語族という非常に巨大な言語の家族が大多数を占めるヨーロッパにおいて、
当然英語もインドヨーロッパ語族の言語ですけど、そういった状況の中でバスク語っていうのはかなり異質と言ってもいいかもしれません。
こういった点でつまり系統的な点でバスク語っていうのは面白いんですけど、ある意味孤立しているわけですよね。
文法的にもかなり面白い特徴があります。それは能覚言語と言われる言語なんですね。
この能覚言語の話は過去のエピソードがいくつかあると思うんですけど、どういった言語かというと、
簡単に言えば、主語や目的語の表し方っていうのが日本語と違うんですね。
日本語は主語だったらが、目的語だったらをっていうのを名詞にくっつけます。
太郎が踊る。太郎が魚を食べる。
まあこういうふうにがとをっていうのが主語目的語にそれぞれつくんですけど、
バスク語の主語や目的語を表す仕組みを考える上で、まず自動詞の主語なのか他動詞の主語なのかっていうのを分けて考えなきゃいけないんですね。
日本語だったら自動詞の主語、踊るみたいな主語も、他動詞の主語、食べるみたいなものの主語もどちらも今言ったように太郎がっていうふうにがっていうのがつくんですけど、
バスク語はまず自動詞の主語には何もつきません。
なので太郎を踊るみたいな言い方になるんですね。
でこれが他動詞の場合どうなるかというと、他動詞の目的語にも何もつかないんですね。
で他動詞の主語にがみたいなものがつきます。
だから太郎が魚食べるみたいな言い方になります。
つまり自動詞の主語と他動詞の目的語が同じように扱われる。
まあこの場合ゼロがついてるっていうふうに考えるのがいいかもしれません。
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一方他動詞の主語だけがみたいなものがくっついているという言語なんですね。
専門的には日本語みたいな言語を主格対格型言語と言って、
自動詞の主語と他動詞の主語を表すがみたいなものを主格、目的語を表すものをみたいなものを対格というふうに言います。
一方バスク語みたいな能格言語あるいは能格絶対格型と言われるシステムでは、
自動詞の主語、他動詞の目的語には絶対格と言われるゼロがくっついていて、
他動詞の主語にはがーのようなものがくっついている。これを能格というふうに呼ぶんですね。
バスク語はこういう能格言語ということで近隣のインドヨーロッパ語族の言語とは全然異なるんですね。
この点も非常に面白いと言えるんじゃないでしょうか。
バスク語は動詞の活用もかなり複雑なんですよね。
まずバスク語は動詞と助動詞っていうのが普通ペアになって現れて、
自動詞にはbe動詞に相当するような助動詞、他動詞にはhaveに相当するような助動詞がペアになって現れます。
日本語風に言うとさっきのだと、自動詞だったら踊ってある、他動詞だったら食べて持つみたいな言い方をいちいちするんですね。
このあるとか持つっていう助動詞がかなり複雑な認証変化をします。
認証変化というと、普通主語によって動詞の形が変わるっていうのが思い浮かぶかなと思うんですけど、
例えば英語の三単元のsっていうのは主語が三認証の時だけ現れるものですよね。
マスク語の場合は主語だけじゃなくて目的語、さらには間接目的語によっていちいち助動詞の形が変わるんですね。
例えば与えたっていうのはえまんりずっという風に言うんですね。
えまんの方が与えるっていういわば本動詞で、りずっとっていうのがさっき言った持つっていう意味の助動詞です。
でこのりずっとだけで私があなたにそれをっていう主語目的語間接目的語の形を含んでるんですね。
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もしこれが私があなたにそれをじゃなくてあなたが私にそれをだったらまた別の形になります。
こういう風に動詞を見るだけ、もっと言うと助動詞を見るだけで何が主語で目的語で間接目的語なのかっていうのがわかるのがバスク語なんですね。
これもなかなかバスク語の面白い特徴なんではないかなと思います。
というわけで今回はヨーロッパにありながらヨーロッパらしくない言語、ヨーロッパ系の言語とは全く関係ない言語バスク語のお話をしました。
それではまた次回お会いいたしましょう。お相手はシガ10号でした。
またねー。