1. 志賀十五の壺【10分言語学】
  2. #525 意味役割ってなあに?? ..
2023-02-28 10:41

#525 意味役割ってなあに?? from Radiotalk

関連エピソード
https://radiotalk.jp/talk/596592

主要参考文献
『言語類型論入門:言語の普遍性と多様性』 (リンゼイ J. ウェイリー、岩波書店)

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#落ち着きある #ひとり語り #豆知識 #雑学 #教育
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始まりました、志賀十五の壺。 皆さんいかがお過ごしでしょうか。
パブロフの犬です。 今回は意味役割ということについて
学んでいこうと思います。 まあこれはかなり専門的な用語ですね、意味役割。
まあどういったものかというと
すっごく簡単に言うと
文の中で名詞が 果たしている役割
あるいは意味そのままですけど、のことを意味役割と言います。 これにはね結構言語学で
いろいろ種類があるんですよね、役割がね。それぞれラベル付けされてて 例えば動作集という意味役割があります。
まあなんとなくわかるんじゃないかなと思いますね。 つまり動作を行う主っていうことなので、具体的に何かを行う
人とか、 動物の場合もあるかもしれませんが
何ですかね、何でもいいですけどね。
えっと、 私はご飯を食べた。こういった場合の私っていうのは
この文の中で動作集という意味役割を持っているというふうに考えられます。 一方私はご飯を食べた。このご飯の方は意味役割で言うとよく
非動者という言い方をします。 まあ者っていうものっていう字がついてるんですけど
まあここは仕方ないですね。人間でなくてもものの場合もあり得ます。 英語だとそれぞれエージェントとペーシェントみたいな
言い方をします。 まあこういうふうに名詞が文の中でどういう意味を持ってるかっていうのが
意味役割なんですけど 動詞の意味によってある程度決まってくるものなんですよね
食べるっていうのは よく他動詞って言われますけど
食べる動作をする人と あるいは生き物が典型的だと思うんですけど
その動作するもの その動作の影響を受けるつまり食べられるものっていう
少なくとも2つの名詞が必要になってきます 言い換えれば食べるっていう動詞は動作主という意味役割が与えられた名詞と
非動者という意味役割が与えられた名詞が必要であるということです まあ大した話ではないですね結構常識で考えられそうです
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他にも例えば受益者みたいなものもあってこれは利益の影響を受けるみたいな まあ人がこれも典型的だと思うんですけど
私は彼に本をやった 私っていうのはさっきと同じ動作主で彼にっていうのが
これが受益者ということになります でここの本をやったの本っていうのが
まあこれね研究によるんですけどさっきの非動者 ご飯を食べるのご飯と同じように考える人もいます
まあ実際 本をやるっていうその本がなんていうかな
すごい硬い方をすると所有権が移るっていう風に動作の影響を受けるので そういった意味では非動者なんですけど
しかし本自体に何か状態変化があるわけではないんですよね というよりはむしろ単に異動を表しているということで
異動物という言われ方をすることもあります つまりこのやるっていう動詞
まああげるでもいいですけどは動作主と 受益者と
そして異動物と この3つの
意味役割を持つ名詞が必要だとそういったことになります ただこの意味役割を考える上で
重要な点がいくつかあって一つは意味役割っていうのはあくまで文の中で決まって くるものであって
名詞本来の性質として持っているものではないんですね 例えばさっきの例だと私っていうのは両方動作主として
意味役割を持ってたわけですけど 当然これは非動者にもなり得ます
彼が私を殴った こういった場合はその動作の影響を受けるのでこれは非動者ということになるし
私にくれたって言えば受益者になりますよね 他の意味役割として道具っていう意味役割がよく認められます
例えば鍵でドアを開けた まあこれは当然鍵っていうのが道具を表しているわけですけど
これは文の中で意味役割が決まっているのであって 鍵っていうのがいつでもどこでも道具という意味役割が与えられているわけではありません
鍵を作った こういった場合は道具というよりは非動者と考えたほうがいいんですね
というのが作るっていう動詞が非動者を求めるっていうかね 必要とする動詞であるからということです
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ということで 意味役割っていうのは名詞本来の性質ではないっていうのが一つ強調しておかなければ
いけないことです もう一つはこの意味役割と主語とか目的語とか
こういったものは 関係ありそうで
関係ないんですね 確かに動作主っていうのは主語になりやすいです
私はご飯を食べた 私は彼に本をやった こういった場合私っていうのは動作主であり
かつ主語であったわけですけど 動作主っていうのは必ず主語で表されなければいけないものではなくて
例えば受動体っていうのを考えてみるとこのことはすぐわかります 私は犬に手を噛まれた
この私っていうのは動作主ではありません 主語ですけど動作主ではなくて非動者です
噛まれるっていうその動作の影響を受けているから 一方犬にっていうふうに動作主はにというものでマークされているということです
このようにですね 動作主っていうのは必ず主語じゃないといけないというわけではないし 非動者とか異動物っていうのが必ず目的語じゃないといけないというわけでもありません
私は犬に手を噛まれただと非動者が主語になってますよね というわけで2つ目に強調しておきたいことは
意味役割っていうのは主語や目的語とか こういうのよく文法関係って言うんですけどこういったものとは独立した概念である
ということです なので
主語っていうのは動作を行う人を表すっていう定義は全くダメだということですね まあこういった言い方をする人が時々います
皆さんももしかしたら主語って何言って聞かれたら何か動作をする人だよとかね 答えちゃうかもしれませんけど
あくまで意味役割と文法関係は別の 概念ということになります
この意味役割とか主語目的語がどの項のとか こういった話は関連エピソードがあるので
ぜひねこちらも聞いていただけたらと思います 概要欄に url は貼っつけておきます
意味役割自体はそんな難しい概念ではないんですね 文の中で決まってくる名詞の表す意味役割のことをそのまま意味役割と
呼んでいます そしてそれはあくまで文の中で決まってくるもので
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その名詞本来の意味ではないし 主語や目的語って言ったものと
関係がありそうで関係がないものということになっています で僕はねこの意味役割で
ねまぁちょっと不満があって 当然わかりやすいんですけどさっき異動物っていうのが出てきましたよね
私は彼に本をやったって言った時の本 まあこういうものを異動物と
言ったんですけど これをね日本語で主題っていうことがあるんですよね
英語でもtheme なので主題っていう役になってるんですけど これは非常に気に食わないですね主題っていうのは
その情報構造っていう もうちょっと別の言語学の分野で使われているものなので
僕はこの異動物を主題って呼ぶのは 全く良くないと思っているので今回も異動物という言い方にしました
ただもしかしたら皆さんもね言語学の本を読んでいたら この異動物のことを主題と呼んでいるものが結構見つかると思うので
そこはちょっと注意していただけたらと思います というわけで今回はここまでということで最後まで聞いてくださってありがとうございました
番組フォローもお願いいたします お相手はシガ15でした
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