発音の違い
明けましておめでとうございます。 本日のエピソードが2025年
1本目となっております。今年もどうぞよろしくお願い致します。 今回のエピソードテーマは
日本語の2つの音壇、 もっと言うと音壇調音、これについてやっていこうと思います。
まさにおめでとうと言った時のこの最後の ou ですね。 地図裏ではとうというふうに書いてますけど、発音では調音でおめでとうとなりますよね。
で、同じような音壇調音は、例えば おうさまっていうのもそうですよね。
で、このおめでとうの ou っていうのと、おうさまの ou っていうのは、現代日本語では、少なくとも共通語では
同じ発音とみなされています。というか、みなさんそのように感じていると思うんですが、
実はこの2つの音壇はかつて発音が違ったんですね。 BGM、かかれい。
始まりました4月15日のツボ、みなさんいかがお過ごしでしょうか。 デューク統合です。
おめでとうの ou と、おうさまの ou、それぞれ調音ですが、
さっき言ったように、これらの2つの音壇調音は発音が違いました。 なんでそのことがわかるかというと、
昔のキリシタン資料と言われるものに そのことが記録されているからなんですね。
かつてキリスト教を広めるために、宣教師が日本にやってきたことがあります。 言語学というか、日本語史においては、
ロドリゲスという人の書いた日本大文典というのが かなりメジャーなんですけど、時代としては
江戸時代初期というか、鎖国が始まる前という感じだと思いますが、 その頃の
外国人から見た日本語の資料、 つまり非日本語母語話者が残した日本語の資料というのがあってですね。
そこでは日本語はローマ字で書かれているんですよね。 それによって当時の日本語の姿というのが
ある意味客観的に見ることができます。 カナダ系だと当時の発音というのは
変化したかもしれないけど、正確なことはわからないということがあるんですが、 ローマ字で書いているとまた別の視点でね
発音というのが推定することができます。 で、それを見ると
おめでとうっていう時の大っていうのと、王様っていう時の大っていうのが 違う調音記号を使って書かれていたんですね。
で、専門的な話をすると、これが開音と合音と言われて、 まあ別に覚えなくてもいいですけど、おめでとうの方が開音、
王様の方が合音です。 で、この開合の別というのが
現代日本語では合流しちゃってというかね異色となっちゃって、 両方同じおだん調音として
和謝は認識しています。 具体的にどのような発音だったかというと
考えられているのは、開音の方はより口の開きが大きかったと考えられています。 だからおめでとうっていうような発音ですかね、おめでとう。
それに比べて合音の方は王様で大っていうのは、 こっちの方が現代日本語に近いんですかね。
口の開きが狭いおだん調音。 あーっていうのと、おーっていうのと2つのおだん調音があったということです。
この2つのおだんの音っていうのは、 韓国朝鮮語が持ってますね。
口の開きが大きいおと狭いおと。 他の言語にもそういった区別はあるかもしれません。
つまり日本語は、調音の時に限って言えばおだんは2つあったということです。 母音の数が多かったということですが、
日本語の母音の数はね、常に5つ、 あ、い、う、え、お、の、この常に5つだったというわけではなくて、
奈良時代以前の日本語、上代日本語とか言われる日本語だと、 母音の数は8つだったとかいう説もあったりします。
まあそのことは万葉仮名によって確かめられるんですが、 そのことについてはね、過去のエピソードでちょっと話したことがあります。
まあその上代日本語の話も面白いんですけど、 ひとまず江戸時代初期、ないし戦国時代とか室町とかですかね、
まあその辺の時代の日本語のおだんというのは、 おだんの調音というのは、「あ」という開いた音と、「お」という閉じた音。
2つあったということでございます。
母音の変遷
で、この2つの調音、おだん調音は、もともとあったというよりは、 新たにできた2つの母音の区別ということができます。
これからずっとあったわけじゃなくて、途中で生まれたんですね。 で、これは何でかって言うとですね、
開音にしろ合音にしろ、 二重母音あるいは連母音、母音の組み合わせによっておだんの調音になっているんですね。
大まかに言ってですね、 まず合音の方から王様の方から考えると、
この合音のおだん調音というのは、「お・う」という連母音からできています。
王様というのがまさに現代でもそういう金使いになってますよね。
でもおめでとうの方も、つまり開音の方も、「お・う」という同じ母音の組み合わせじゃないかと思われるかもしれませんが、
それは現代の金使いでそうなっているだけであって、 おめでとうというのはもともとおめでたくに由来しています。
おめでたく。で、このおめでたくのくのところの、 経の死因ですね。が落ちて、脱落しておめでたうになって、
これが、「あ・う」が一つの母音になって開音になりました。 だからおめでたーみたいな、あーっていうような音だったと考えられてるんですね。
あーという母音を含んでいるので、より口の開きが大きかったということです。
で、このあーっていうのとおーっていうのが合流しておめでとうに今なっているということなんですね。
つまり、開音の方のお断調音は、「あ・う」という母音の連続に由来しているということです。
で、合音の方は、「お・う」という母音の連続に由来していると。 まあ合音の方は他にもちょっと別の組み合わせがあったりするんですけど、
大まかに言って、お断調音は、「あ・う」に由来するものと、「お・う」に由来するものとがあって、それぞれ発音が違ったということです。
おめでとうの他にもありがとうとかね、 あるいはおはようとか、こういったものも、
これ形容詞由来ですので、おめでたく、ありがたく、おはやくに由来してますので、「あ・う」という母音連続から
お断調音になっています。 つまり、もともとは開音だったわけですね。
こういう右音尾と言われますけど、 形容詞の右音尾っていうのは西日本的な特徴ですね。現代日本語ではね。
はよしとかいう時の早よとかですけど、 東日本の方では早くっていう言い方ですよね。
で、挨拶言葉に開音のお断調音の名残みたいなのがあって、おめでとうとかね、
ありがとうとか、おはようとか、いう言い方が挨拶言葉にあるということなんですね。
この形容詞の連用形というかね、くで終わる形が右音尾になったおめでとうとか、
そういったもの以外にも開音というのはあります。 例えば、
行こうとかいったものですね。行くの勧誘形というかね。 行こうというのは、これは行かむに由来していて、
で、これもむの真のmが落ちて、いかう。 で、それがあとうの母音で、
開音だったので、行こうみたいな開いた尾で 発音されていたと考えられています。
現代では繰り返しですけどね、開音と後音の区別はなくなって、 行こうというふうに尾と尾の連続で書かれますけど、
歴史的にはあと尾の母音の連続だったんですね。 というわけで、かつて日本語にはお断の調音が2つあって、
開音と後音というのがあって、開音の方はあうという母音連続に由来し、 後音の方は
典型的にはというかね、おうという母音連続に由来しているということでした。 そういった2つあった
お断調音ですが、現代では合流してしまっていて、 書き言葉でもね、同じようにおとうの母音連続として書かれているということで
ございます。 それでは今年もどうぞよろしくお願いしますということで、お相手はシガ15でした。
番組フォローもよろしくお願いします。 またねー!