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#867 逆使役態 anticausative について:北海道方言のサル・ラサル from Radiotalk
2026-06-09 10:01

#867 逆使役態 anticausative について:北海道方言のサル・ラサル from Radiotalk

主要参考文献
Zúñiga, F., & Kittilä, S. (2019). Grammatical Voice. Cambridge: Cambridge University Press.

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サマリー

今回のエピソードでは、「逆使役態」について解説します。使役態が主語を追加して他動詞を作るのに対し、逆使役態は主語を削除して自動詞を完成させる現象です。日本語の共通語ではあまり見られませんが、北海道方言の「サル・ラサル」のような形で観察され、原因となった主語が文中に現れないという特徴があります。

逆使役態の導入と使役態・適用態との比較
本日のテーマは逆使役態です。逆使役。 使役の逆だということですが、
一体どういうことなんだって感じですよね。 実は前々回のエピソードで、まさに使役態のエピソードを配信しております。
使役。日本語ではセル・サセルがつくような、行くに対して行かせるみたいなものが使役態です。
英語であればメイクとかね、そういった動詞を使って使役を表します。
で、その使役を前々回で扱って、前回で扱ったのは適用態でした。
この適用態っていうのはあんまり馴染みがないというかね、 日本語にはない現象なのでちょっと珍しく感じられるかもしれませんが、
その流れの中で使役、適用、そして今回が逆使役。 3本連続でね、こういった態と言われるボイスについて扱っていきます。
逆使役。 実は日本語にも逆使役は観察されるんですね。
BGMです。 始まりました4月15日のツボ。皆さんいかがお過ごしでしょうか。ボバフェットです。
番組宛にギフトいただいております。 ワルツさんからギフトいただきました。ありがとうございます。
この番組ではリスナーの皆さんからのお便りやギフト、随時募集しておりますのでお気軽にお送りください。
さて、逆使役。 使役の逆だということですが、そもそも使役っていうのをね、考えてみるといいと思います。
さっきも言ったように行くに対して行かせるみたいなもので、 前々回のエピソードでもお話ししたように、
使役っていうのは簡単に言うと主語を追加する、そういったボイスと言われる現象です。
学生が行くに対して先生が学生を行かせる。
こういうふうに考えるんですね。そうすると先生という新しい主語が追加されているというふうに見ることができます。
それと同時にね、動詞の形も行くから行かせるに変わっています。 ちなみに前回お話しした適用態は主語を追加するんではなくて、
目的語を追加する、そんなプロセスです。 それについてはね、前回のエピソードをぜひ聞いていただくとして、
使役にしろ、適用にしろ、 出来上がるのは他動詞なんですよね。
主語を追加するか、あるいは目的語を追加するかして、主語、目的語、
両方出てくる、そういった他動詞が完成します。 逆使役っていうのは、使役の逆なので
完成するのは次動詞なんですね。 つまり、もともと他動詞があって主語と目的語を持つ他動詞から主語がいなくなる。
主語を削除する。 その結果、もともとあった目的語が
主語となって、結果として主語しか出てこない次動詞が完成するというのが逆使役です。
使役は主語を追加して他動詞を作る。 逆使役は主語を取っ払って次動詞を作る。
そういった意味で逆なんですね。 この逆使役っていうのは受け身と非常によく似ています。
逆使役態と受動態の違い
受け身ないし受動体ですね。 この受動体というのも体、ボイスの一種で
これもやっぱりもともとあった目的語が主語になるという点で 逆使役と非常によく似ています。
子供が魚を食べるから この魚をという目的語が主語になるのが受動体です。
魚が食べられる。で、この食べられるっていうのは次動詞なんですね。 主語しか出てこない次動詞。
ただ受動体と逆使役が違うのはもともとあった主語の扱いで、 さっきも言ったように逆使役っていうのは主語を完全に取っ払う必要があります。
文の中に出てこられないんですね。 それに対して受動体は
子供によって魚が食べられる。 ちょっと変な言い方かもしれませんけど、
誰々によってみたいな言い方でもともとの主語を表すことができるんですね。 で、これが受動体の特徴です。
英語であれば、倍誰々みたいに前置し倍を使って元の主語を表すことができます。
それに対して逆使役っていうのは、 主語が文中に現れることができないんですね。
そういった意味で逆使役は、 日本語の語彙的な次動詞によく似ています。
日本語の語彙的自動詞と逆使役態
どういうことかというと、 一等賞を当てる。
これが多動詞なわけですけど、 当てるに対して当たるという次動詞があります。
これは一等賞が当たるということで、 さっきの当てるでは一等賞っていう風に目的語だったものが
一等賞がという主語になっていますよね。 で、逆使役っていうのはこの当たるに非常に近いと思います。
似たような例は、 ゼリーを冷やすに対してゼリーが冷える。
これも誰々によってという動作集というか、 誰が冷やしたのかという動作集が文中に現れることができません。
そういった意味で、この当たるとか冷えるっていうのは かなり逆使役的ということができます。
ただ、この当たるとか冷えるっていうのを 積極的に逆使役とは多分あんまり言わないんじゃないかなと思います。
この当たるとか冷えるっていうのはもう語彙的に決まってるというか、 次動詞としてそういう形ですという感じで、
他のボイス、使役とか受け身っていうのは セル、サセルとかレル、ラレルっていう風に
動詞に何かくっついてその形を変えるんですよね。 そういったものとは、当たるとか冷えるっていうのは性質が違うので、
あんまりこういった次動詞を逆使役とは言わないんじゃないかと思います。
北海道方言のサル・ラサル
ただし、方言によっては日本語でも逆使役は観察されます。
有名なのは北海道方言の サル、ラサルという要素です。
北海道以外の地域でも観察されるんですが、 これはね、馴染みがある人も多いんではないかと思います。
例えば、 私がボタンを押す、押したっていうのが多動詞ですけど、それに対して
逆使役、つまりサル、ラサルがつくとボタンが押ささった みたいな言い方になるんですね。ボタンが押ささった。
で、これは先ほどのボタンをという目的語がボタンがという 主語になっています。目的語が主語になっていて、
で、さらに押すが押ささるという 動詞の形も変わっているので、まさに逆使役なんですね。
で、この公文の面白いところはボタンが押ささったというと、 その誰が押したかっていうのは文中に出てこられないんですね。
実際には自分が押した人っていうのは確実に存在しているんですけど、それが全く出てこなくなるのがこのサル、ラサルです。
まさにそれが逆使役の特徴なんですね。 こういうふうにボタンが押ささったみたいな言い方をすると、誰がやったかっていうのが問題にならなくなるので、
ある意味、無責任になれるというかね、 責任が回避できる、そんな公文と言えるかもしれません。
実際、北海道方言の和社の方がこのサル、ラサルに対応する共通語がなくて困っちゃったとかね、
サル、ラサルは使い勝手が良くて便利だ、みたいなね、そういったエピソードもよく聞きます。
このように日本語の諸方言の中には、いわゆる共通語には見られない特徴もたくさんあって、
で、その中には逆使役と言われるようなね、現象もあるというお話でございました。
まとめと次回予告
ぜひね、前回そして前々回のエピソードも合わせて聞いていただけたらと思います。
それではまた次回のエピソードでお会いいたしましょう。
番組フォローまだの方はよろしくお願い致します。
お相手はシガ15でした。
10:01

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