公演の開始
はい、シェアする落語の四季です。
8月3日日曜日、梶原いろは亭におきまして、ちょちょら組行って参りました。
ちょちょら組もね、25回目だそうです。
いつも通りのオープニング4人トーク、
橘家文吾さん、柳亭信楽さん、三遊亭ぽん太さん、立川かしめさん、
4団体からそれぞれ1人ずつの若手がここに参加しているわけでございます。
いつものオープニングトークね、4人すらっと並んでのトークなんですけども、
相変わらずグダグダと面白いですよね。
25分で終わってちょうどよかったなっていうぐらいの感じのトークだったというふうに思います。
で、トップバッターは今回は立川かしめさん。
改作担当ということになっておりますが、今回は『まんじゅうこわい』の改作。
かしめさんは本当に才能があるので、改作をものすごい大胆にガツッとやっちゃうんですよ。
それはそれで僕は大好きなんですけど、今回トップバッターだっていうこともあって、
すごい改作してるんですけど、改作の手の入れ方が
ハードパンチではなくてジャブでポンポンポンポンポンと新しいフレーズが入ってくるっていうようなね、
それが連続してついてくるっていう感じで、総体的にとても軽めでよかったです。
でもしっかり「かしめ味」があったので、こういうのいいなっていうふうに思いました。
いつ寄席に呼ばれても大丈夫。
柳亭信楽の新作
続いて柳亭信楽さん。
いつも聴きたいんだけど久しぶりになっちゃいましたね。
久しぶりに柳亭信楽さんです。
新作担当の信楽さん『アキラとスグル』。初めて聴いた噺です。
もちろん面白い。
最近の新作落語家、特にその傾向が強いと思いますが、
自分の表現したい噺をやるためにね、その表現の幅を広げていくわけですよ。
その昔三遊亭白鳥師匠が『時そば』を開催した時に、そばをこねるところからやってね、
座布団を練ったっていうんで大変なことに批判も集まったみたいな話も聴いてますけども、そんな感じでですね。
そこまで大胆じゃないとはしても、やっぱりこの話のために信楽さんが作った新たな表現というのが結構いくつもあるんですよね。
そこはやっぱりすごい新鮮だなって思いますね。
信楽さんのかつての黄金パターンである「最初の方にドカンと落ちがあってその面白さがずっと続いていく」っていうパターンは、
ご自身が飽きちゃったのか、今回も引っ張って引っ張って引っ張ってこの先一体どうなるんだろうっていうような噺ですよね。
いろんなフィクション、映画とかも含めたフィクションが使ってきた、今までよく使ってきたコンセプトを取り込んで陳腐なものにしないっていうところも、信楽さんのすごいところで、
今回この中では二重人格っていうのが出てきてるんですよね。
二重人格なんてもうね、昔から散々使われてきたわけですけど、それを逆手に取った信楽さんのプロットの使い方がすごい面白いなというふうに思いました。
さすがでございます。
ぽん太のパフォーマンス
で、仲入りを挟んで橘家文吾さんは古典担当。まくらが僕も期待していたんです。最近、お酒のメディアの編集者である奥様とご旅行をされて、
アイラ島に行ったっていうね、ほんと羨ましい。アイラ島を死ぬまでに一回行ってみたいですね。行けないだろうな。
まくらで聞かせていただいた話はやっぱり面白かったですね。
で、そこから『強情灸』なんですけども、やっぱね、もう着実に上手くなってるなっていう。芸が太く安定感があって、文吾さん特有の茶目っ気みたいなのがあって、そういう意味ではこの噺のチョイスも素晴らしいんですけどね。
やっぱり僕は文吾さんの動く眉毛が好きですね。あの眉毛はね、本当にあれだけでキャラ作っちゃってるところがある。ますますメキメキ腕を上げてるっていう感じがいたしますね。
そしてですよ、ここで三遊亭ぽん太さん登場なんですが、文吾さんが犯人らしいんですけど、なんとめくりが上下逆についているというハプニングがありまして、文吾さんがめくり台ごと一回下ろして正しく付け直して出てきて「犯人は私です」というハプニングがありました。
本当はぽん太さんはまくらなしで話に入りたかったらしいんですが、一応ちょっとそのことに触れざるを得なかったみたいなね。三遊亭ぽん太さん、珍品担当ですが、今回ご自身もおっしゃってましたが、珍品ではありません。
ただ、なかなかこの二ツ目の会で聴くことはできないという意味では、珍品の類に入れてもいいんじゃないかというところで『真景累ヶ淵、宗悦殺し』真景累ヶ淵の一番最初のところなのかな。
いやーよかったですね、前々からやっぱりね、こういう噺をやる上でのぽん太さんの自語りの力強さね、自語りの流れる美しさと力強さっていうのが、とにかく凄いと僕は思っていて、
その上にセリフが乗っかってキャラクターが動いていく。落語っていろんな人が失敗する失敗カタログだと僕は思ってるんですが、圓朝噺でも、圓朝噺こそ、かな。やっぱり失敗が出てくるわけですよ。
その失敗が圓朝の場合、因果応報に乗っかっていくんですけども、何で失敗するかっていうと、これいろんなパターンがあるんですけど、酒はね、本当に失敗しますね。
ちょうど私この日ね、運転免許の更新行ってたんですよ。運転免許の更新で、講習会でビデオ見せられるわけですけど、すごくよくできてて、安全運転しなきゃなっていうふうに、ちゃんと思えるビデオになってたんで。
ひとつ、あーなるほどなって思ったのは、飲酒運転がダメだっていう根拠の一つとして、飲酒してる人は普通の人に比べて事故率が7倍なんだそうです。
なんかね、これ落語聴いてるとすごい納得いくところがあって、やっぱり酒飲んでる人に刃物渡しちゃダメよ。いや本当、酒飲んでる人は本当に失敗するから、っていうことを多くの落語が繰り返し言ってるような気がする。
酒飲めないで悲しい催しとして失敗してるのが『長屋の花見』ですけど、これは例外として、だいたい酒飲んで失敗します。
この酒飲む失敗の中でももう最悪の失敗の一つがこの『宗悦殺し』ですよね。これがちゃんと因果応報で返ってくるという。
ここの失敗する侍の酔っ払い具合といい、宗悦の盲目の感じもいいといい、自語りの力強さだけじゃないですね。人物も結構描けますねぽん太さんは。
この前の『水神』はチャレンジで、これからもっと熟成させていくっていう感じでしたけど、この『宗悦殺し』はだいぶ出来上がってるなと、出来上がったものがさらに進化していくのを見るっていうのも楽しみではございます。
で、こういう怖いお噺が最後に来た後っていうのはパッと盛り上げていこうと。最後ね、例えば踊りを踊るとかっていうところですね。
踊りを踊るのどうなんだろうっていうふうにぽん太さんが疑問を呈してしたこともありましたけども、踊りどころじゃありません。大喜利は、ぽん太企画でまたとんでもないことをやりました。
前にね、ぽん太企画で大喜利やったのは『腹鼓』ですね。お腹を叩いた音で曲を表現して、その曲が何かを当てるっていう。
これは、程よくクイズ形式でもなってて面白かったんですよ。今回はハモネプの、しかもボイパ、ボイスパーカッションの部分だけをぽん太さんがやる。、でもハモネプ自体も覚えてないのが4人中2人なんですよ。
この時点でちょっと危ないんですよね。そのボイパを聴いてもらって、リズムトラックだけ聴いてもらって何の曲かを当てるっていう。
第1問は素晴らしい問題だったんですよ。これは正解は『ボレロ』だったんですけど、僕もかしめさんも水戸黄門のテーマだというふうに勘違いしてたんですよ。
面白い誤答も含めて正解があるっていう、すごくいい問題だったんで、この続きはこれでいくのかなと思ったら、2曲目と3曲目、あえて曲名出しませんけど、全然ダメでした。
なんでダメかというと、正解を聴いても全然みんなピンとこないっていうですね。正直3曲目はミュージシャンの名前も含めて知らないです。
いやー、無理なんですよ。無理なものを4人揃って妙にグイグイ引っ張っていって、結局30分間お客さん笑うっていうね、なかなかなものでございましたね。
そういえばこの4人って昔アイドルだったなーっていうですね。「日本には四季がある」と、そういうことなんじゃないかというふうに思いますが、音ネタ、次に回ってくるときぽん太さんはまた音ネタで攻めるんでしょうか。
とにかくね、曲名とか曲は全然わかんないけど、ぴょんぴょん飛び跳ねながら嬉しそうにボイパやってるぽん太さん見てるだけでも楽しいですね。そういう会でございました。
25回目ということでね、ずっと続いているとても良い回なので、次回が11月末だったと思います。29日だったかな。各自調べていただきたい。ぜひ梶原いろは亭の方に足をお運びいただく、あるいは配信もありますのでお楽しみいただければよろしいんじゃないでしょうか。
シェアする落語の四家でした。ではまた。