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はい、シェアする落語の四家です。
1月20日金曜日、お江戸日本橋亭で、
寸志の立川流第一回へ行って参りました。
こちらの回はですね、寸志さんは各月で、これまでこの日本橋亭で、
寸志ねたおろしという回で、毎回ネタおろしをやってたんですが、
それが一段落ということで、今度はいよいよ真打に向けてのアクションなんだと思うんですけども、
立川流の先輩、兄弟子の方々をゲストにお呼びして展開していく回だそうでございます。
前座がですね、立川縄四郎さん、寸志さんの回ではよく前座を務められていますが、
『初音の鼓』うん、頑張ってね。
やっぱりまだ照れが目立って芸がちっちゃくなってます。
なんかね、きっかけがあるといいかなと思いますけども。
続きまして寸志さん登場で、ネタが『棒鱈』。
棒鱈というこのネタはですね、いろんな人が掛けて、いろんな風に面白い、
うちのシェアする落語にご出演いただいている人の中では、
桂宮治師匠とか、春風亭柳枝師匠とか、それぞれに面白い棒鱈を展開されていますが、
展開されていませんね、掛けられていますが、
寸志さんの棒鱈、やっぱり寸志さんらしく、
全部丁寧にやってしまうとすごく長くなってしまうので、
いい感じでですね、カットを入れて、ちょいちょいとですね、セリフをつまんでいる中でですね、
薩摩侍の歌がいいですよね。
寸志さん歌得意ですから、薩摩侍の歌がね、いい感じで耳障りになってくるっていうね。
いちがちーは!というのがですね、とっても好きです。
そしてここで特筆すべきは、やっとです。
サゲを変えてくれる人が現れました。
『棒鱈』というのは、滑稽噺の傑作だと思うんですが、
あのくそ分かりにくいサゲを、なんでみんなそのままに放置してたんでしょうか。
しっかりとですね、サゲ、
落語のサゲって別にそんなに凝ってる必要はないんですよね。
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終わればいいんですけども、
「故障が入った」っていうサゲはわかんないでしょう。
わかんないものを残して終わるっていうのは、あんまり良いことじゃないと思っていたんですが、
やっと良いサゲがつきました。
わかんないですよ。他の落語家さんでやってる方いらっしゃって、僕が知らないだけかもしれませんけど、
「故障が入った」より100万倍良いサゲがつきました。
これはもう寸志さんの数ある功績の中の一つではないかというふうに思います。
その後、ゲストの立川ぜん馬師匠が高座に上がられまして、
ちょっとびっくりしましたね。
正直申し上げます。声が出てないです。
普通のこの声のトーンの音が出ていなくて、
倍音って言うんですか。
それより高い音ですね。
呼吸音がどうしても中心になってしまって、
正直かなり聴きにくい感じの高座、
開口一番というか、
しゃべり始められて、これは困ったなと思ったんですが、
釣りの小噺を順番に振っていくんですけども、
とにかくどう考えても声が出ていないぜん馬師匠としては、
ご自身では不甲斐ない気持ちもあるのではないかと思うんですが、
すっごく楽しそうにやるんですよ。
これにはびっくりしました。
なので最初聴きにくいんですね。
聴きにくいんです。正直。
でも聴きにくいまま、あの笑顔に惹きつけられて、
楽しんでしまいました。
もうマジックだと思います。
ネタは『唖の釣り』です。
途中までの釣れますか釣れないですね、
そうでしょうね、
夕べの雨で水溜まったとこです。
そういう釣りの小噺が続いていくあたりは、
『野ざらし』の流れかなと。
一月に野ざらしはまだ珍しいなと思ったんですが、
入ってみると『唖の釣り』で良かったですね。
聴きにくい声でも落語って成立しちゃうんだなっていう。
ある意味、大病をわずらわれて、
一時期ずっとお休みされていて、
そこから復活されたぜん馬師匠ですので、
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心配は心配ですよ。
心配はしておりますが、
その心配もぶっ飛ばしてしまうような、
「落語を語るぞっ」ていうこの気合と、
「落語を語ることを楽しんでいる」っていうこの笑顔。
これはね、ちょっと圧倒されました。
仲入りを挟んで寸志さんとぜん馬師匠の対談。
これは立川流とはなんだというテーマがあったんですが、
やっぱり時間が短すぎて、
主にぜん馬師匠の思い出話をお伺いするような進行になっておりましたが、
短い時間ながらも、
まだ知らない話がいろいろあるなっていうようなところをお伺いできました。
いやー、またね、寸志さんがこういうの上手いのよ、本当。
トークはね、寸志さん本当に上手。
で、3席目がですね『死神』。
死神はですね、何度も、
寸志さんの死神は聴いたことがありまして、
今回もですね、
なんていうんですかね、死神の、
死神の人間じゃないけど、
小ささ。
小さい感じがですね、
ポイント集めてますから、死神が。
あんまりネタバレになっちゃいますけどね。
ネタバレはちょっと避けておいて、
そういう小ささみたいなところが、
ギョッと死神に、死神本来に変わる瞬間の凄みっていうところが、
寸志さんならではの、
非常に好ましい軽妙さの中に仕込まれていると、
またグッと来るなっていう感じはありますね。
で、こっちは『棒鱈』と違ってみんな、
サゲを変えて変えて変えてきているわけですけど、
寸志さんのサゲもですね、
僕は大好きです。
これだよなっていう感じがしています。
ただこの死神を聞くと、
思い出すのは、
立川左談次師匠なんですよ。
左談次師匠のシブラク最後の、
左談次師匠の最後の高座が、
シブラクだったんですね。
で、なかなか声も出にくい中で、
漫談ですね。
当時は林家九蔵問題というのがあって、
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そんな話も出ていたような記憶がありますが、
末期がんだった左談次師匠が、
この後寸志が死神をやりますと。
ひどいと。
彼には話を選ぶセンスがありませんと。
で、この後の寸志の死神には、
私が出てきますっておっしゃったんですね。
で、降りちゃった。
で、その後寸志さんが、
そういう無茶振りに答えて、
月に1回だけ、これだからシブラクのことなんですけど、
月に1回だけパッと明るく輝く、
このロウソクは誰のロウソクだ、
これは立川左談次っていうですね、
フレーズを見事に混ぜ込んだのが、
もう忘れられないです。
忘れられるわけがないんですよ。
だって、僕は左談次師匠が、
またシブラク出てくれるだろうと、
また左談次師匠の落語が聞けるだろうと、
いうふうに思っていたのが、
その後ほどなく、
亡くなられてしまったということで。
どうしてもそれは思い出しちゃうなっていうのがありますよね。
で、ぜん馬師匠と左談次師匠が、
同期で真打になっていらっしゃるということもありまして、
そういう昔の立川流のあれやこれやに、
そして左談次師匠にちょっと思いをはせる夜でございました。
で、これね、次回があります。
次回はね、これがね、龍志師匠なんですよ。
立川龍志師匠。
もうぜひ聴いていただきたい。
あのね、やっぱり寄席に出ていた、
立川流のレジェンドの方々の話はね、
ぜひ聴いていただきたいなというふうに思います。
その中でも龍志師匠。
襟元から江戸が香ります。
龍志師匠と寸志さんの対談というのも楽しみですし、
寸志さんのネタ出しは『品川心中』ということで、
次回3月だったかな。
ちょっと正確な日付忘れちゃいましたけども、
これね、行きましょうよみなさん。
いいよ、寸志さんは。
聴こう、寸志さんを。
ということで、シェアする落語の四家でした。
ではまた。