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【#330】港家小ゆき十五年目の挑戦 宮本旅順を唸る26/05/04
2026-05-05 25:49

【#330】港家小ゆき十五年目の挑戦 宮本旅順を唸る26/05/04

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小ゆきさんは宮本旅順としての創作を通じて、浪曲師としての自分を取り戻したのかもしれません。
そして浪曲もまた、宮本旅順により何かを取り戻した。そんな歴史的な一夜でした。
歴史は、ここから始まります。
※喋り忘れたけど菊春さんが「本物のボトル」を持ち出したのには笑いました。

#港家小ゆき #宮本旅順 #木村勝千代 #広沢菊春 #三門綾

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シェアする落語のシケです。5月4日祝日、リサカフェからですね、移動しまして、浅草木馬亭、港家小ゆき15年目の挑戦、宮本旅順を唸るという会に行って参りました。
この宮本旅順というのは港家小ゆきさんのペンネームですね。浪曲を書くペンネームでございます。
この会はですね、この宮本旅順作のですね、浪曲をご本人と他お三方の浪曲師に唸っていただくという、そういう会でございまして、
曲師がですね、全部、広沢美舟さんということになっております。凄いですね。
非常にコンセプチュアルな会ですから、どれくらい人が来るかというのが気になるところなんですが、
僕はね、このコンセプトが結構好きですぐに予約入れたんですけど、そういう方がいっぱいいらっしゃったらしくてですね、なんと、
満員札止め、小ゆきさんご自身に入ってくるその連絡でですね10人くらい断ったつってましたね。
15年目ですけども、こんなことは初めてというふうにおっしゃっていました。
1席目がですね、小ゆきさんの自己紹介とこの会のコンセプトを説明するような浪曲です。
もうここから美舟さん引きまくりです。
今までこんなことをやってきていたというところで、古典から入って新作をまた作るようになりというようなところで、
ご自身が作られた最強主婦であるとか、あとクラシカ浪曲ですね。
ベートーヴェン『歓喜の歌』でしたっけ。みんなで『歓喜の歌』を歌いましたよ。
そんな感じでね、ご自身の紹介と浪曲賞を辞めて浪曲作家として生きていこうかと思ったっていうですね。
ツイッターでも言われてましたけども、ちょっと衝撃的な告白があり、
非常に中江兆民先生に心酔して、もう中江兆民ストーカーとなりTシャツも作りみたいなね。
ずっと資料を調べまくって、兆民先生の浪曲を作り、田中正造の浪曲を作り、宮崎滔天の浪曲を作りという、
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その明治期のですね、非常に尊敬できる偉人というか、そういう方々の物語を浪曲化したというところで、
ただ改めて自分も浪曲家として自作をかけていくというような、会の趣旨をですね、浪曲に乗せてご紹介されていました。
トップバッターが三門綾さん。僕初めてでしたけども、一言で言うと、僕はこの方の声は結構好きです。
この方がですね、かけられた演目が『うしえもん』という、宮本旅順作『うしえもん』というですね。
この『うしえもん』というのは、さっきの宮崎滔天が、桃中軒雲右衛門、浪曲を今の形にした浪曲界の偉人ですね。
めちゃめちゃ売れた人です。に入門して浪曲師をやっていたことがあるというところから、このひらがなで牛英文という演目になっているわけなんですけども。
ご自身が冒頭おっしゃってたのは、非常にその共感というか身につまされるというか、なんておっしゃってたかな。
つまりはこの宮崎滔天、クズ男であるというところですね。冒頭からとにかくクズなんですよ。
目かけのところに転がり込んで、元々その宮崎滔天というのは何で一番有名かというと、孫文と一緒に中国で革命を起こそうとしていたんですね。
彼がしくじってその時に一回失敗したという話なんですけども。
失敗して失意のうちに日本に戻り、愛人宅に転がり込んだところに妻が怒鳴り込んでくるという、そういうシーンですね。
いかにもそのクズ男っぽいじゃないですか。そこからその革命を売っちゃってですね。
浪曲師になるというので、当然妻も周りもびっくりみたいなところですね。
浪曲としても全然成功せず、周りに迷惑をかけっぱなしにして周りをぶんぶん振り回しながら、今度は文筆で身を立てていくという。
そういう流れなんですけども、非常にどこまで当て書きにしてたのかわからないんですけども。
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この三門綾さんの声と演じ分け方ですよね。節と短歌のバランス、長さも含めてね。
もうすごく良くて、そこにそのキャラがしっかり乗っかってくるというところなんですね。
だからこういうかけ方、浪曲なんでもそうなんですけど、2つ効果があって、1つは2つじゃないのかな。もっとあると思いますけど。
1つはこの三門綾さんっていう方の他の浪曲を聴いてみたくなりますよね。
もう1つは宮崎滔天に興味を持つ。もう1つは単純にこの時間が楽しいという3つの効果があったなというふうに思います。
これはもうこの後、どの方の高座も同じなんですけども、僕はこの三門綾さん初めてだったのでそういうことを感じましたね。
続いて木村勝千代師匠です。相変わらず浪曲の方は師匠と呼んでいいのか、先生と呼んでいいのかよくわからない。
とりあえずお師匠さんと呼んでおきましょう。勝代師匠も木村派、唯一の木村派と、浪曲界の美魔女ということなんですが、
この方のかけた演目が他の演目とちょっと色が違う。言ってみればファンタジーですね。
ある方がふじこふあの世界っていうふうにおっしゃってましたけど、確かにそんな感じもあるなというところで、
演目『ルミの場合』という作品です。これはですね、僕はNHK FM浪曲100選でしたっけ?違う違う、浪曲十八番だという番組がありまして、
ここで小ゆきさんがかけられてたのを聴いていました。多分その時は尺から考えてダイジェスト版的なものだったのかな?
だから筋はある程度知ってたし、そこがそこで結構楽しくて、非常に小ゆきさんらしい、
ブルースの世界では有名なクロスロード伝説を入れたファンタジーだったんですね。
これをカチューショーがやると、とにかく妖艶というか、色彩がすごいですね。不死の。
もうなんかカラフル。非常に不死で酔ってしまうぐらいの感覚があります。
ただ一方でその不死がすごく強いんで、僕のようにそれほど浪曲聴き慣れてない人間からすると、
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ちょっと啖呵が少なめな分筋がよくわかんなくなるっていうところはありましたけども、
周りの浪曲好きの方々からは大変好評でしたね。非常にすごい高座でした。
やっぱりこういうファンタジーが描けるっていうところが、ここで宮本旅順、作家というところの紹介の一つになってまして、
あとね、やっぱりこのファンタジーで、しかもブルースが根底にあるというところで、
美舟さんの三味線もちょっと聴いたことがないフレーズが入ってた気がします。
仲入りが入って、僕はこの日一番この声を待ってたんですけども、
広沢菊春さんですね。曲師の広沢美舟さんとはご夫婦でございますが、
絶対このネタはこの人に似合うというふうに思ってたんですよね。
もちろん小ゆきさん、宮本旅順先生もそのようなお考えでもってですね、
この先に進められたと思うんですけども、これはですね、原作があります。
中江兆民の著作であります、『三酔人経綸問答』という当時のベストセラーなのかな。
要は先生がいて、その先生のところに理想を持つ若者が二人転がり込んできて、
酒を飲みながら今後の日本の政治を語るという立ち付けの話ですね。
とにかく酔っ払ってるんですよ。酔っ払いながら国をどっちに持っていくか、
共和制なのか独裁制なのか、戦争を完全に放棄、軍備を放棄するのか増強するのかみたいなですね、話をしていくわけですけども。
完全にこれ当て書きで、まず、釈台なんですよ。釈台にテーブル掛けを掛けるという寄席でよく見るスタイルです。
座りなんですよね。浪曲は、立ってやるのが基本だと思うんですが、僕初めてなんですけども、
要はずっと飲んでるだけの話なんですよ。酒飲みながら話してるだけの話なんですよ。
その酔っ払った南海先生という先生は、二人が訪問してきて、「だーれー?」と言って、間に二人入ってもらって酒持ってきたくれたんで、
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それを飲みながら話すというところなんですけども、この釈台がどう見ても卓袱台なんですよね。
卓袱台の後ろに南海先生がいて、ちょっと斜めになって、首に手を当てたりとかしながら、酔っ払いながら話をするという、
その手が本当に絵として見えてくるんで、こんなにリアリティの高い浪曲も珍しいなというふうに思いまして。
まあ楽しいし、話はそんなに難しい話ではないんですけども、
でも3人の酔っ払いの会話だけで椅子席持たせるのってとんでもないことですからね。
その話題と言い、3人のキャラ付けと言い、またその原作からちょっと南海先生以外の2人の若者の名前を菊春先生に合わせていじったというふうにおっしゃってましたけども、
そのいじり方もまた面白くて、この明治の、まだ憲法もできる前の日本の状況の中で、
全く正反対の思想を持つ2人の若者が理想を語り、南海先生がそこに一つの結論みたいなものを出すというような話なんですけども、
この状況が今の日本の置かれている状況ともやっぱり重なってくるし、もっと言うと今の日本の言論的な状況の中に何が足りてないのかっていうね、
何が不足しているのかっていうところも、この面白おかしい会話の中から見えてくるっていうのが素晴らしい。
で、また美舟さんの三味線が仲入り前とも全然違うフレーズを繰り出していくんですよね。
この辺はもう本当に見応えがありました。
一番僕もこの『三酔人経綸問答』を昔、言わない文庫で読みましたので、それを菊春さんがやるって言うんですごい期待してたんですけど、
すごい期待してたのに、その期待を上回ってきましたね。
で、この冒頭、浪曲に入る前に菊春さんがおっしゃっていたのは、浪曲っていうのはこういう古典の浪曲もいっぱいあるけども、
その時代その時代の弱い立場の人の気持ちに寄り添って新作も作り続けてきたんだと。
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で、小ゆきさんはあやって謙遜してるけども、自分は異端なのようなことをおっしゃってるけども、
これもまた一つの浪曲の正道なのだというようなことをおっしゃっていて、これも心の中で拍手ですね。
なんで心の中でしか拍手しなかったかというと、他の人は拍手してなかったからなんですけども。
まあまあそんなことで、もうこの菊春さんの考え方に僕は大賛成でございます。
もう本当に見事な『三酔人経綸問答』、これねちょっと縮めて他の人との会とかね、
もう杉広邸でやってもね、これ笑い取れるんで、芸妙な芝居でもやってほしいですね、ぜひ。
いいなと思いました。
そしていよいよトリを飾りますのは、港家小ゆきさんの兆民先生ということで、
中江兆民の晩年ですね。
光徳伝二郎、光徳秀水からの視点で描くというところで、
ここはねだいぶご苦労されて、稽古も随分されたんだと思うんですよ。
というのは中江兆民、土佐の足軽の息子ですから土佐弁なんですよね。
死ぬ間際のおじいちゃんの土佐弁を語るってね、そこは大変よ。
この土佐弁が正しいのかどうかっていうのは本当にわずかな人しかわからないと思いますが、
ただ非常にリアリティの高い兆民先生を造形されていたなというふうに思います。
光徳秀水はああいう人ですから、当時はまだ朝日新聞に入る前の学生です。
一本気な学生の人物、またこれも非常に好ましく描かれていて、
でもどちらかというと秀水の目に映る兆民先生ですので、
この晩年の兆民先生の魅力的な、もうすぐ死んじゃうよっていうところでも、
洒落を忘れない、ユーモアを忘れないというあたりを、非常に説得力のある演じ方をされていたなというふうに思います。
福祉は本当にエモーショナルで、やはり宮本旅順として作品を作っていく中で、
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宮本旅順一本で創作一本でいこうというふうに考えられたこともあったというふうにおっしゃっていましたが、
作ってやっていく、またその中江長民という人に浸水をして資料を集め作を作っていくという中で、
福祉の方も進化していくんですよね。これはもう本当に穿った僕個人の見方ですけども、
小ゆきさんという方は音楽が非常に好きで、早稲田大学時代も音楽サークルに確か入られてたんじゃないかな。
その趣味が幅広いんですね。幅広いのを強引に二つに分けると、クラシックとロック、ブルースみたいなところかなと思うんですよ。
クラシック性みたいなところを節に持たせていて、綺麗な声でしっかりとした音符が見えるような綺麗な声で唸ると。
というところがあったと思うんですよね。もちろんそればっかりではないわけですけども、そこがやや前に出ていたと思うんですよ。
この日の宮本旅順作品の小ゆきさんというのは、明らかに前面に出ていたのはロックンロールだと思います。
だからその美しい節もそのままですね。よりちょっと歪ませていくような節も使っていく。
最後はシャウトです。絶叫しました。
それもあえてテーブル掛けの前に出て、マイクのないところで地声で絶叫するという。
これが非常に感動的。ドラマとしての中江兆民の死を演じるというかね。上でも感動的だし。
港家小ゆきという人が唸り、浪曲の節を超えたシャウトを聴かせたというところでも非常に感動的な。
ちょっと思い出しても涙が出るぐらい感動的でした。
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本当に元々芸能っていうものは、人を喜ばせるために題材は喜ばせるものであればいいわけですよ。
喜ばせるものがなかなか作りにくい題材でも喜ばせることができるというのが、
中江兆民をはじめとした明治の理想を持った方々、思想家、革命家と言ってもいいのかな、
を取り上げるというところにあり、それはまず芸能として人を喜ばせた上で、
さらに考える、行動するきっかけにつながる可能性も持っているというものが、
僕はそれはその大衆芸能の本質の一つだというふうに思っていて、
ですから新しい世界を宮本旅順は作った。でもそれは復権でもあるんですね。
例えば川上音次郎ですよ。オッペケペー節です。オッペケペー節ってそのコール&レスポンスのラップに近い芸ですよね。
元々は政治思想を伝えるための芸能だったりしたわけで、ここは本当は切っても切り離せないところなんですよ。
ただ僕はその場合常に芸の方が上でなければいけないと。
芸は政治的なもの思想的なものというのは芸のためのその素材、題材であるというところですね。
そうあるべきだなというふうに個人的には思っています。
ただそれがまあなんというかその宮本旅順という人の感性、創作能力、創作意欲がもうここに来て一気に爆発して、
その爆発をですね、満員の客でもって迎えたというところが本当にすごい夜だったなというふうに思っております。
アッパレですよね。僕としてはこれを非常に傲慢な言い方ですが、ここから始まってほしいなと。
つまり宮本旅順作品を港家小ゆきがやる、宮本旅順作品をいろんな浪曲師がやる。
次の宮本旅順が現れる。そういう壮大な芸のストーリーの第一幕であるというふうに考えたいというふうに思います。
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まことに脱足ではあるんですが、僕の旅順先生へのリクエストは宮武外骨です。
ここに来て、宮崎滔天よりもクズ。だけど、とにかく人を喜ばせてきた、とてつもない総顧者というんですけどね。ジャーナリスト。
として、宮武外骨はちょっと今忘れ去られているので、ぜひやってくれないかなというふうに非常に勝手なことを考えております。
宮本旅順作品に衝撃を受けた他の浪曲師がやるんだったらそっちも応援します。
とにかく歴史的な一夜に立ち会えたというふうに思っております。
浪曲いいですね。浪曲の懐の深さというのは、こういう新しいものを生み出すことができるんですね。
良かったです。ということでシェアする落語の四家でした。ではまた。
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