渋谷らくごの開催
はい、シェアする落語の四家です。10月13日月曜日、祝日、渋谷のユーロライブにおきまして、渋谷らくご『しゃべっちゃいなよ』、行ってまいりました。渋谷らくごは久しぶりですね。『しゃべっちゃいなよ』生は初めてです。
好きな人がいっぱい出てたんで行ってみたんですけど、ほんと楽しかったですね。開演前から、サンキュータツオ先生と林家彦いち師匠プロデューサーが登場されて、前説のような形でオープニングトーク。もうこっからめちゃめちゃ楽しいんですよね。
とにかくね、こんなことがあった、新作落語に賭ける意気込みで出演者がどうなってるかみたいな話を2人でされてると本当楽しくて、今回出演してないのに「俺たちの談吉」っていうフレーズが彦いち師匠から出て、やっぱ年に一度の創作大賞で2回優勝してる立川談吉さんはすげーんだなっていうふうに思いました。
で、今回ですね、志願して特別参戦、緊急参戦の方がトップバッターなんですね。それがなんと柳家さん花師匠。いや、バリバリ古典じゃないですかって思ったんですけども、すごかったですね。
うん。どうしようかな、どこまでネタ割ろうかな。結論からいくと、古典落語がめちゃめちゃ上手い人だからできる新作落語でした。でも古典落語のパロディーに留まってはいないんですよね。
で、本当にすごい着眼点だなって思ったんですけど、古典落語の中に出てくる人がみんなタフであると。で、もう片方で、古典落語と同じぐらい落語ともう一つ自分の好きなものとしてエヴァンゲリオンがあると。
で、エヴァンゲリオンに出てくる人はみんなガラスのハートであると。これが対極だっていうところでこれをミクスチャーした演目が『柳家Evangelion』。これがね、滑稽噺の中にエヴァがものすごく上手く取り込まれていて、
なんかパロディー…パスティーシュかな?パスティーシュって言い方がいいのかもしれませんけど、めちゃめちゃ完成度高いんですよ。そしてやっぱ落語上手いっすよね、この人。いやぁ、古典の技術をこんな生かし方があるんだっていうところでね、感心してしまいました。
続いて2番手がですね、瀧川鯉白さん。この前ね、信楽村で柳亭信楽さんが鯉白さんのネタをやっていましたけども、ぶっちゃけその続編っていうか、ちょっとアイディア使い直してないかっていう感じはしましたね。
まあちょっと落語であるかないかのギリギリのところを攻めるっていうこの人の姿勢は攻撃的でそこは嫌いじゃないんですけど、正直ね、昆虫と人体の扱いが僕ちょっと生理的に気持ち悪くて、いまいち馴染めないなっていうところがあるのと、
まあタツオ先生が後で言ってましたけど、できてないです。生煮えです。タツオ先生生煮えって言ってましたね。でもそれでもここまで客をちゃんと引き付けられちゃうっていうのはやっぱり非凡な人なんだなっていうふうに思いますね。
演目は『蜂が飛ぶ』です。
年に1回この企画に参加して年に1本ずつ新作を作っているという立川寸志さんなんですが、良かったですね。人情噺です。演目は『師匠ふたたび』という噺なんですけども、落語家の師弟関係と
寄席文化に対する賛歌みたいなものですよね。賞賛する歌ですね。なんか芸人賛歌みたいな。さん花師匠とは関係ないですけども、なんか僕はそんな風に感じましたね。
最初と最後にガツンとギミックを入れてまして、このあたりの部分はもう実験落語っぽいんですよ。もともと落語聴き始めの時に円丈師匠のように大好きだったっていうこともおっしゃってたんで、
そういうところもある、素養としてお持ちなんだろうな、武器としてお持ちなんだろうなってあるんですけど、このギミックが見事で。最初の方のギミックは道具を使っています。最後のギミックはハメモノです。
シブラクでハメモノって言うと、ピンとくる人もいるかもしれませんけども、非常に良い声の人情噺で、寸志さんの大好きな昭和の落語全盛期における落語の持っている雰囲気と様々なエピソードを上手い具合に話せる中に入れて、
折り上げられた非常に緻密に作られた人情噺『師匠ふたたび』でした。続いて4番手が柳家花飛師匠。すっごい久しぶりですね。僕ちょっと気になってて聴きたい聴きたいと思ってたんですけども、本当に久しぶりに聴かせていただきました。
演目は『正式名称』というんですね。アイディアが素晴らしいですよ。アイディアが素晴らしくてそのアイディアが突き刺さっているのはどう考えても今僕らの送っている生活の一部なのでそ、こにきちっと突き刺さっているところは、すごいなっていうふうに思いましたね。
やっぱりネタおろしなので、もうちょい整理していくとなんかすげー戦力になりそうなネタだなっていうふうに思いました。最後が、オープニングの時にはまだ来てないみたいな話でちょっと大騒ぎしてましたけども、
柳亭信楽さんでございますよ。いやーやっぱ柳亭信楽さんの新作は面白いね。今日はまた際立って面白かったですね。やっぱり今日は信楽さんの得意パターンで来たので
パターンとしてはたぶん『エレベーター』に近い、途中でとてつもない謎が解けて、とてつもないことが起きて、そこからずっとそれを引っ張っていくっていうパターンですね。で一つだけ欠点があってこれネタバラししないで共有しにくいんですよ。
とにかくめちゃめちゃ面白かったとしか言いようがないでこのネタバラしを多分避けて、演目も内容の多分3分の1ぐらいか半分ぐらいしか引っかかってない
ものなんですね。演目は『にぎり寿司』と言います。寿司屋とその常連とその弟子の噺、ぐらいは言っておいてもいいかもしれません。卓越したアイディアとその展開の楽しさね。
もう一回その話がバンと弾けた後はもういくらでもしていけるっていう感じがねすごかった。もう『エレベーター』『腰痛』といった傑作と並ぶ傑作がまた生まれたなと。
やっぱねネタ割りたくないっていうところが悩ましいというのは『聖夜の奇跡』とかもそうですよ。もうぜひ聴いていただきたい。とにかくこんなの説明できないんで、ぜひ聴いていただきたいという風に思います。
でこれはゲストなのかなゲストとして立川吉笑師匠が『ぷるぷる』で貫禄を見せていただきました。なんかねあの考えたら生初めてではないようなもちろんねテレビでは何度も聴いてますけども
『ぷるぷる』面白いですよね。だから何度聴いて面白い新作になってきてるっていうところでアフタートークで彦いち師匠とサンキュータツオ先生がもう古典落語じゃないのかこれはっていう風におっしゃるぐらいで、小里ん師匠がやってくれないかっていうような話で。
柳家小里ん師匠が面白いですね。まあでも確かに誰かにチャレンジしてほしいですけど、やっぱこれちゃんとあの『ぷるぷる』しないと面白くないんで稽古は大変だと思います。
吉笑師匠もものすごい稽古してかけたからこそNHK新人落語大賞で満点優勝したっていうネタですから。でもあの時よりももっと面白くなってる気がするなあ。
で先ほどちょっちらっと申し上げましたが最後にタツオ先生と彦いち師匠のアフタートークで各演目の振り返りということになりまして、終わってみたら本当に面白かった。
新作ばっかり立て続けに聴くと、ちょっと頭があっち行ったりこっち行ったりして疲れちゃうところがあるっていうのを何回か経験してるんですけど、今回はもう本当にもう面白かったなあ。何が良かったんでしょうね。やっぱりあのネタおろしの緊張感とネタおろしを待ち望んでいる客の緊張感がシンクロするのがいいんでしょうね。
なんかシンクロって言うとなんかエヴァンゲリオンぽいのかな。よくわかんないけど、ことですねまあ非常に楽しかったです。来月『しゃべっちゃいなよ』内容は各月の企画なんですが来月『しゃべっちゃいなよ』だから普段はやらない
奇数月に『しゃべっちゃいなよ』の特別な企画 11年目の『しゃべっちゃいなよ』特別な企画があります。
これはね、ぜひ注目していただきたい。すごい企画です。というところで楽しかったです。シェアする落語の四家でした。ではまた。
