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はい、シェアする落語の四家です。
4月27日土曜日、第58回になります、談吉百席、立川談吉さんの落語会に行ってまいりました。
行ってまいりましたというかですね、私はこちらの落語会に関してはスタッフという形で入っております。
今回からですね、広報活動をちょっと強化しまして、強化したといっても僕が何かしているということではなくてですね、
広報関係でお手伝いをしていただくスタッフをお一人入れたわけですね。
もちろん僕も含めてみんなボランティアみたいな感じなんですけど、この方がですね、大活躍していただいたおかげで、
なんと会場が完全に満席になっておりました。
お客さんいっぱい入るとね、笑いも増幅しますし、談吉さんもどんどん乗ってくるという感じで、とても良かったなと思うんですけど、
もう一個ですね、談吉さんのしくじりがありまして、見事でしたね。
言わなきゃわかんないという話ではあるんですが足袋忘れてきて靴下というですね。
この失敗をした人、私は過去に一人知っておりまして、
立川左平次師匠、かつての左談次一門ということで、血は争えないななんてことを思ったりはするわけでございますが、
一席目がですね『置泥』。
随分前に聴いたことあるな、談吉さんで聴いたことあるなと思ったんですけども、談吉さんにはすごく向いているネタですよね。
これは泥棒に入られる方が貧乏で、殺せって凄む話なわけですけども、
談吉さんの唄い調子の語りでいくと、凄んでもね、そんなに怖く聞こえないんですよ。
ここが強みかなって思いますね。だから全体がすごく調和した感じでいいですよね。
どんどんお金出しちゃう泥棒の人の良さが、くるっと談吉さんの口調に丸め込まれて、
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全体が調和した歌のような感じで聞こえるっていうのが、やっぱり談吉落語だなっていうような感じで大変楽しく聴けました。
ここで大変楽しく聴けたというところで、その楽しさが次の話に繋がってくるんですね。
最近この2席目に新作をかけるケースが結構多くて、今回も新作だったんですね。
これも渋谷らくごの『しゃべっちゃいなよ』をきっかけに作った新作ということで『ゲル状のもの』。
相変わらず不思議なタイトルですが、この『ゲル状のもの』を聴いて、結論を言うとすげえ良かったんですけど、
『ゲル状のもの』を聴いてやっぱり僕が思ったことというのは、例えば渋谷らくご創作大賞を取った『生モノ干物』であるとか、
最近の作品だと『ゴメス』であるとか、談吉さんの持っているイリュージョンのセンスですね。
これを強く全面に出して作る落語というのがあって、それはすごく面白かったんですよ。
ただ『生モノ干物』のような非常に尖がった作品というのは、
多分最後まで聴くと皆さん楽しんでいただける、要は言葉遊びなんだなってことを楽しんでいただけるっていうようなところはあるんですが、
最初は一体これはなんだっていうようなですね。
会場の半分以上は笑っているんだけど、半分以下ぐらいの人がなんだこれっていう感じになっているっていうところがあると思うんですよ。
あったと思うんですよ。
『太郎お伊勢』という噺が、ディズニーを意識した、これディズニーファンから言ったら怒られるんじゃないかなと思うところがあるんですが、
そういうところでですね、よりポピュラーな感じ、多くの聴き手を最初から引きつける形で、その中にイリュージョンが含まれているというような感じになったなというところで、
一言で言うと非常に落語としての完成度が高い話でしたね。この『ゲル状のもの』という話。
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渋谷らくごでネタおろしをして2回目だったそうですが、なんというかその前半の猫を可愛がるところのですね、
要はこういうちょっと不思議な感じの落語をやりますよ。
でもあなたもこの落語は好きになってくれるはずですよっていうメッセージが上手い具合にお客さんに伝わって最初から爆笑なんですよね。
そこで後半に入っていくんですが、後半ほぼ2人というか人に数えていいかどうかわからない人間とゲル状のようなものの会話の話なので、
何言ってるかさっぱりわからないと思いますが、このゲル状のようなものの可愛らしさとなぜか口調が赤塚不二夫、赤塚不二夫キャラ。
だから『太郎お伊勢』がディズニーミーツ日本の民話、みたいな感じなわけですけども、この『ゲル状のもの』についてはディズニーミーツ赤塚不二夫というふうに私は思います。
結論としては非常に完成度が高い、とんがったまんま対象を幅広く取れるポピュラリティも確保しているというような感じで、
よく音楽業界ではある最初思っている個性をうまく残しながらより幅広い層に受けるような曲を作るみたいなんですね。
ヒットに繋がるみたいな感じを僕は持ちましたね。そんなぐちゃぐちゃした理屈を言わなくても単純に面白い話であるということではあると思います。
ただなんでこうやってぐちゃぐちゃした理屈をこねるかというと、新作なので聴いたことない人の方が多いと思うので、どんな話なのかっていうあらすじをあまり言いたくないんですよ。
だからもう談吉さんしかできない世界で、かつ数多くのほとんどの落語ファンを引きつけられる、非常にポピュラリティのあるポップな落語であるということは言えるんじゃないかなと思います。
仲入りを挟んで3席目が『花見の仇討』。先日ですね、三遊亭圓橘師匠の『花見の仇討』を聴いたばかりなので、非常に興味深く聴いたんですけど、圓橘師匠のいぶし銀の凄みっていうかね、
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ベテランならではの名人ならではの凄みみたいなものに対して、談吉さんの『花見の仇討』はもうとにかく元気です。この元気に陽気な江戸っ子たちが大騒ぎっていう感じがですね、何とも言えずいいですね。
だから、酔っ払って六分を引き止めちゃうおじさんのキャラはそんなに強くしないんですよね。侍もまあまあ、そこそこですけどもそんなに強くしない。やっぱりバカな江戸っ子3人の元気なバカっぱなしの感じがすごく前面に出ていて、非常に楽しく聞けました。
で、やっぱりね、最初その『置泥』でいって盛り上げといって、多くの人を惹きつけられるけどイリュージョンがある『ゲル状のもの』で流れたのを披露して仲入りを入れて『花見の仇討』。
この3席の流れが僕も結構この談吉百席ですね、来ています。来れなかった時もありますけども結構来てると思うんですが、もう今回なんかもうベストかなっていうふうに思いました。
『ゲル状のもの』のような落語が作れるようになったというのは、談吉さんにとっても一つの自信につながっているような感じがあります。
僕は『生モノ干物』や『ゴメス』のようなですね、非常に尖がった聴く人によっては全くわからないって言われてもおかしくないような落語も大好きなんですけど、今回のですね『ゲル状のもの』っていうですね、こういった、談吉さんこのね、いい言い方をしてたんですね。
人情噺。人情噺というとまた怒る人もいそうな感じがしますが、でも人情噺という言い方は正しいと思います。ちょっとほろっと来る感じもあるんですよ。
こういう『ゲル状のもの』が2席目に来て、3席目に『花見の仇討』がパッと明るくて元気で楽しい。で終わるというこの3席の流れがですね、とってもいいなっていうふうに思いました。
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実際ね、いつもそんな評判が悪いわけではないんですが、特に今回は良かったねっていう声があちこちから聞こえてきましたね。
ある意味この談吉百席という枠組みにおいては、もうそろそろエンディングに近づいているのかなということで、
百席やり切ろうということで、毎回3席やってますから、もう実はとっくに終わってるって言えば終わってるんですけど、同じ話をかけた時もあるし、
あと談吉さんの基準で新作はカウントしないというのがあって、どうもそろそろその基準を適用したとしても百席達成ということになるらしいんですよ。
なので年内のどこかでですね、この談吉百席というシリーズが最終回になるということみたいです。
この日の高座でしゃべっていたので、僕も初めて聴いたので、ああそうなんだって思ったんですけど、ということで、そろそろ真打昇進も考えなきゃいけないというか、結構前からも言われている話ではあるんですよね。
あんたが上がらないからつかえてる、というふうにも言われてますので、そのあたりでいろいろと談吉さんが変化していくちょうど境目ぐらいで、こういう時は面白いんですよ。
ということで、今回も非常に評判良かったので、6月の談吉百席第59回、ぜひ来ていただきたいですが、申し訳ないんですけど、次回6月第59回も、
豊島区民センターの和室なんですね。和室そんな広くないんですよ。なので予約でいっぱいになっちゃう可能性もありますので、そこらへんは皆様よろしくご判断いただきたいというふうなことで、ご予約お待ちしております。という一スタッフからのお願いでございました。
シェアする落語の四家でした。ではまた。