サンフランシスコ・デザイントーク
この番組は、サンフランシスコにあるデザイン会社の社長が、
日本で働くデザイナー、デザイナーを目指している方、
デザインをビジネスに取り入れたい方向けに、
デザインに対するインサイトや、今後のデザイナーの在り方、
プロダクトや企業のデザイン戦略について、深く話します。
おはようございます。
おはようございます。
ということで、最近はどうですか、Brandonさん。
元気ですか、はい。
最近は、そうですね。
サンフランシスコ、夏寒いんで、
日本から来られる方はみんなびっくりしてますけど、
そうですかね。
4,8,9ぐらいって恐ろしいぐらい、
なんか涼しいっていうか寒いじゃないですか。
なので、体調管理を気をつけてるっていう。
夏だからこそ、あったかい格好をして生活をしております。
確かに、日本めちゃくちゃ暑いらしいですもんね。
そうですね、温度差が半端ないと思いますね。
ということで、今日も本題に入っていこうと思うんですが、
今日のテーマはデザイン思考について話していこうと思います。
そもそもデザイン思考とは、みたいなところからお伺いしたいですね。
デザイン思考って、
日本でめちゃくちゃ流行ってた時期がありまして、
多分10年ぐらい、2013年ぐらいから4,5年間の間に、
ものすごい勢いでブームになって、
デザイン思考に関する本がたくさん出たりとか、
企業さんとかがこぞってデザイン思考を会社に取り入れるみたいな、
そんな話があったんですけど、
それって、その当時からアメリカ西海岸、
カルフォルニアとかシリコンバレーのイノベーション、
イノベーティブな企業が取り入れてるメソッドらしいぜ、みたいな、
そんな形で日本に伝わってきた話なんですね。
どういうことかっていうと、
簡単に言うと、ものづくりをする時に、
企業視点じゃなくて、ユーザーが欲しいものをちゃんと理解した上で、
それに合うものを作らないとヒットしないっていう、
当たり前っちゃ当たり前すぎる話なんですけど、
それを基本をちゃんとやろうっていう、
それがデザイン思考って言われるプロセスで、
僕の理解だと、デザイン思考、
デザインセンキングっていう名前と、
体系化されたステップっていうプロセスあるんですけど、
それをちゃんと体系化したのは、
アイデオっていうデザイン会社と、
D.スクールっていうスタンフォードのデザインスクール、
そのバックアップにSAPっていうドイツの会社なんですけど、
シルコバレーで、
シルコバレーで一番大きな非アメリカ企業なんですね。
そこがデザイン思考を結構プッシュしていて、
社内にも取り入れていて、
スポンサードする形で、
アイデオと一緒にD.スクールを作ったっていう経歴があって、
シルコバレー中心に、
そのメソッドがバッと広がったと。
例えば、毎回出てくるアップルみたいな会社っていうのは、
デザイン思考を採用してますとか、
デザイン思考で物を作ってますとか、
全然言ってないです、オフィシャルには。
言ってないんですけど、
やってる中身はデザイン思考的なことをやってるっていうことで、
アップルとかって今も世界一の自家創学の企業になってるじゃないですか。
それを追々するようなグーグルみたいな会社とかも、
デザイン思考的なメソッドで、
サービス作りを速いスピードでやってるということで、
すごい人気になってると。
メリットは、いくつか。
もちろんユーザーに受けるものを作るっていうのがあるんですけど、
僕が一番メリットだなと思うのは、
これダメだっていうのを速い段階で察知して、
ボツにできるっていうこと。
あとは、ちょっとこれ方向転換しないとやっぱり難しいかもっていう
ピボットって言われる、
それの判断を結構前半にできるので、
ユーザーとも対話しながらやるから、
前半にできるから、
ものを作って売り始めて、
これ全然受けないわっていうのを、
後々気づくとダメージデカいんで、
初期の段階から企画っていうか、
アイディア出しの段階から、
ダメなものはダメってスパッと切れるっていうのが良くて、
リーンスタートアップって言われるメソッドと同じぐらいな感じで使われてる。
そんな感じです。
今までの考え方ではダメだったみたいなところから、
日本でも入り出したみたいな。
日本の企業が2000年前後くらいまで、
結構スペック重視が多かったんですよね。
ものづくりってすごい日本の企業得意なんですけど、
どっかのタイミングで、
テクノロジーの進化を活用するのはいいんですけど、
カタログスペックをすごく重視し始めちゃっていて、
CPUがどうこうとか、
メモリーがどうこうとか、
パワーがどうこうとか、
そういうのでこだわって作ってたんですけど、
ユーザーもしかしたらそれにそんな興味ないかもみたいなことで、
そこに変換点みたいなのが出てきて、
やっぱり一番顕著だったのが、
柄系からスマホに変わったタイミングっていうのがあって、
日本って昔っつっても数年前までは、
2つ折りのキーが物理的についてる電話、
携帯電話っていうのが主流で、
ドコモのiモードとか、
そういうので日本国内を中心に広がった、
いわゆるガラパゴス携帯っていうのがあって、
それはかなりスペック重視なデバイスだったんですよね。
防水加工してますとか、薄いですとか、
何万画素のカメラついてますみたいな。
いいんですけど、やっぱり世界に広がらないんですよ。
一方でAppleみたいな会社がiPhoneですみたいに出してきて、
あれスペック的にしょぼいじゃんみたいな。
だけどユーザー喜んでるなみたいな。
あれ何でだろうみたいな。
物作り視点なのかユーザー視点なのかっていうことで、
そこでちょっと乖離っていうのを見えてきたんで、
日本企業がちょっとそのやり方取り入れないと今後まずいって言って。
実際に日本の世の中のほとんどの人はスマホ使ってるじゃないですか。
スマホって日本製が今すごい少ないんですね。
日本企業がそれで完全に元気なくなっちゃった携帯業界みたいなのがあって、
そこで学び直しをしようっていう、そんな感じですね。
ありがとうございます。
実際に企業とか組織にデザイン志向を取り入れるっていう風になると、
どういうステップで取り入れていくことになるのかとか、
どういう風に活用するのかみたいな。
もしくは逆にそもそも今のデザイン志向に対して何か思うところがあれば。
日本の会社ってデザイン会社なんですけど、
クライアントさんにお願いされたものを作るだけじゃなくて、
クライアントさんと一緒にサービス作り、新規事業とか作ってるんですね。
そのプロセスにデザイン志向っていうのはがっつり取り入れて実はいて、
そこで気づいたのが、日本の企業でプロダクトとかサービスを作ってる人たちの多くが、
エンドユーザーに会ったことないんですとか、話したことないんですという人が意外と多かったんですよ。
なので、エンドユーザーに対話しながら、
一緒にサービスアイデアを考えていくみたいなプロセスを、
うちがワークショップ型でやっていて、
継続的に東京でもサムライスでもクライアントさんと一緒にやってるんですね。
そこで参加しているクライアントのスタッフさんとかが、
いや、リアルなユーザーの顔初めて見ましたみたいな感じで、
上司から言われて作ってただけなんでみたいな。
そこで気づきっていうか、ユーザー求めてるのと意外と違いましたねみたいな。
そこはあるんですね。
僕はこういう表現してるんですけど、のっぺりしたものができちゃうんですよね。
いいんだけどいまいち心に刺さるものがないっていうかグッとこないみたいな。
間違ったものじゃないんですけど、いい感じなんだけどユーザーからすると熱狂的にいいって思えるものではない。
優等生みたいなものはできるんですね。
これは僕が音楽で例えるとデザインのカノン進行って言ってるんですけど、
カノン進行って音楽の作曲家とかアレンジャーとかの世界では超有名なコード進行があって、
このコード進行に合わせて曲作ると大体ヒットするっていうのがあるんですよ。
実際に特に日本。日本のヒットソングの結構多くがその進行を元に作曲されてるんですね。
そういうのってなんとなくヒットしていくんですけど、つまんない曲なんですよ。
失礼な言い方なんですけど、またこれかみたいな。
何か聴いたことあんねんみたいな。何か聴いたことあるから聴きやすいからヒットするんだけど、
同じ伴奏で違う曲とかいくらでも歌えるんですよ実は。
それがカノン進行っていうのがあって、最近マルサ進行っていうの新しいのが出てきたりとかしてて、
最近のヒットソングはシーナリンゴのマルノウチサデステックっていう曲があるんですけど、
ジャズっぽいコード進行があって、それって元々はアメリカの昔のソウルのミュージックとかに使われた進行なんですけど、
それに合わせると最近のヒットしてる曲っていうのがちょっとオシャレでかっこよいポップソングみたいな。
同じコード進行なんだけど、同じように聴こえるみたいになっていくんですよ。
デザイン志向もそんな感じの進行ぐらいでやってるんで、面白そうでいい感じのサービスなんだけど、
いまいち響くものがないみたいなものができちゃったりするのが結果としてちょっと僕見てるんですよね。
情熱もそこまで強くないものだから長続きしないで途中でトンザするみたいな。
なので結構デザイン志向を一度理解しておくのはいいんですけど、それに頼り切ってものづくりだけしてると予定どおり想像した以上にうまくいかない。
なので最近はデザイン志向を使えないんじゃねえ論っていうのが世の中で出てる。
話聞いてて思ったのはさっきのユーザーの声聞きすぎて自分たちの熱になるプロダクト作れなかったみたいなところで言うと、
ユーザーのヒアリングの仕方とか、またどういう情報を実際に取り入れるかみたいな部分に何かあるんじゃないかなって聞いてて思ったんですけど、
どういう風にユーザーヒアリングするのかとか気をつけるべきポイントみたいな。
それね、すごいいい質問でして、特に日本の人たちは2つ課題があるんですよね。
1つは結構マスを取ろうとするっていうね。
多めの人にポジティブに言ってもらうのを探すんですよね。
例えば10人話したら8人ぐらいいいね、良さげだねって言ってくれるものを作ろうとするんですよね。
これは日本という国の少し弱点として、国内向けの商品サービスが世の中すごい日本だと多いんですよ。
ドメっていうのはドメスティック。柄系もそうでしたけど。
それって人口1.2億人ぐらいの国なんですけど、その中である程度ヒットさせようと思うと、
マス取りに行かなきゃいけないっていう言い方をするんですけど、
2桁%、例えば10%、20%、30%ぐらいは市場を獲得しないとビッグビジネスにならないので、
100人インタビューしたら、過半数ぐらいはポジティブなフィードバックをくれないと、その企画っていうのはオッケーになりにくいんですね。
なので、多くの人に受けるものを考えていくんだけど、
それって実際にもう世の中に存在しているケースが多かったりとか、熱狂的に好きになってくる人あんまりいなかった。
逆に、まあいいんじゃないっていう人が多いんだけど、
いや俺はこれも最高、絶対これ使い続けるっていう人が意外といない。
10人中1人2人の少人数マイノリティが、これ俺のライフスタイルに欲しかったものだっていうものっていうのは、
すごくヒットする可能性を秘めてるんですけど、
8人9人はよくわかんないって言ってスルーしちゃうんですよ。
でも、今ヒットしてるイノベーティブなものって大体そっちから始まっていて、
世の中の人が想像できないぐらいのものを作ってヒットさせてる世の中なので、
説明した時によくわかんないし、
作ってる側のビジョンを共鳴できる人っていうのは大衆の中でそんな多くない。
それでいい。
アメリカだと、10人中1人熱狂してくれるやつがいればいいとか、
100人中1人2人でもいいぐらいとかスタートアップって言われてて、
そいつをつかんでそいつらがもうとことん使い倒すぐらいのものであればいいよ。
逆に100人いて80人がいいっていうものは危ないみたいな。
そこが一つ落とし穴としてあるんですね。
もう一個これもやってみて気づいたんですけど、
ユーザーリサーチとマーケットリサーチって違いがあって、
多くの企業とか会社で勤めてる人とかはマーケットリサーチの経験がすごくあるんで、
ユーザーリサーチをしなきゃいけないのでマーケットリサーチをしちゃうケースが多いんですね。
これどういうことかっていうと、
何かのアイデアとか商品とかプロタイプユーザーにぶつけてみて、
フィードバックをもらうっていう時に、
ネガティブなフィードバックを言ったりとか、
ちょっとこれ微妙だねとか、俺は使わないと思うよみたいな。
最後にちょっと話が変わるというか、
よく聞くもう一つの言葉でデザイン経営というのがあると思うんですけど、
それはちょっとどういう…
デザイン経営は面白くて、日本特有の表現なんですよね。
そうなんですか。
アメリカ、英語でデザインドライブビジネスとか言うと思うんですけど、
僕の仮説は、アメリカを中心、欧米を中心に経営にデザイン的視点を入れるというのは普通にやってるんですね。
いわゆるヒット商品を作るためのプロセスだから。
日本があまりにも営業が強すぎちゃって、営業視点で経営をするから、
生み出されているものとユーザーが欲しいものが乖離しする。
だけど営業でご利用して売れるみたいな。
なので世界に通用しないとか、
あとブランド作りとかもそこがおざなりになっちゃっていて、
みんなが欲しがるような、憧れるようなブランド作りも、
デザイン的視点を入れずに経営すると作り出されないんで、それも担保しようみたいな概念なんですけど、
最近あまり聞かないですよね。
僕的には5年から10年くらいの週期の日本のバズワードじゃないかなと思ってて、
デザイン志向が10年くらい前に5年くらいに流行って、
デザイン経営っていうのが4,5年政府が宣言して有識者とか集めてやってたりとかちょっと流行って、
最近それがDXになってるんですよね。
これ全部やろうとしてることと結構似てて中身が。
例えば研修って名前ついてデザイン志向研修ってあって、
デザイン経営研修ってのがあって、最近DX研修になってるんですけど、
やらんとしてることと結構近いみたいな。
なのであまり言葉じりにとらわれないほうがいいですよっていうか、
経営者も経営視点で、経営視点で仕事をしてる人もデザイナー視点とかデザイン視点を取り入れましょうっていうこと。
デザイン志向とそんな変わらないんですけど、
デザイン志向は結構現場の人たちがやってたのに対して、
デザイン経営はエグゼクティブとか経営者層、役員の人たちとかそういう人たちもちゃんとデザインの重要性を取り入れましょうよっていう、
政府からのアドバイスみたいな感じだと思うんです。
すごく重要だと思うんで、やってたほうがいいと思うんですけど、
何だろうな、絵に描いた餅にならないように、単語だけが人歩きしないようにちゃんとやりましょうよっていうのが、
うちの会社が日本の企業のエグゼクティブと一緒にやってることだったりもします。
ありがとうございます。
ビートラックスでは日頃より好評をいただいているオリジナルebookの最新版を公開予定です。
今回はエグゼクティブマネジメント層の方々にぜひ読んでいただきたい、
ビジネスに役立つデザインの知見をご紹介するebookをご用意しております。
日本企業がグローバル市場でブランド力を武器に競争力を高めるポイントを3つ、
事例を交えてわかりやすく解説しています。
番組概要欄のリンクから登録すると、公開日にebookをメールで受け取ることができます。
ぜひ皆様のビジネス戦略に新たな視点をもたらす貴重な情報源としてご活用ください。
サンフランシスコデザイントークでは、番組に対する質問や取り扱ってほしいテーマを募集しています。
番組概要欄にあるこちらからGoogleフォームに飛んでいただいて、ぜひ送信してください。
お願いします。
よろしくお願いします。
では、今回の放送を終了します。ありがとうございました。
ありがとうございました。