コンコルドの紹介
サンフランシスコ・デザイントーク、この番組は、デザイナーやデザインに関心のある方、デザインをビジネスに生かしたい方、そしてグローバル展開を目指す企業の皆様に向けてお届けします。
BTRAX CEOのBrandonが、サンフランシスコ本社からここでしか聞けない、リアルで実践的な情報をお届けします。
サンフランシスコ・デザイントーク、本日も始めていきます。MCを務めますりゅういちです。Brandonさん、本日もよろしくお願いします。
本日のテーマですが、コンコルドの失敗から学ぶデザイン思考の重要性というところで、皆さんコンコルドってご存知ですか?っていうところから始まるんですけど。
そうですね。これ僕の超大好きなトピックなんですけど、コンコルドっていう飛行機がすごいかっこいいのが実はあって、今博物館とかに飾られている、デザイン的にもすごい流線系で、未来的な飛行機があるんですね。
これ実は今もう飛んでないんですよ。博物館にあるっていう理由は、もう引退しちゃったからなんですけど、もともと飛んでたんですね。ニューヨークからパリ、あとニューヨークからロンドンに昔飛んでて、なんと今世の中に飛んでいる旅客機の倍のスピードが出てたんですね。
なんですけど、2003年の暮れに引退しちゃってるんですよ。だから今の20年以上前になくなってしまったっていうか、もう使われなくなった機体、コンコルドって機体があって、でもその当時は今飛んでる旅客機ってほぼマッハ1音速ぐらいのスピードらしいんですけど、コンコルドはマッハ2、その倍のスピードが出てた飛行機です。
これ僕今よく日本に行ってるじゃないですか、コンコルド飛んでてくれればどれだけ楽だっただろうと思うぐらいに、飛ぶスピードが倍ってことはさ、移動時間が単純に考えると半分じゃないですか。
サンフランシスコから日本羽田空港とか成田空港行くとすると、10時間ぐらいは片道はかかるわけよ。ご存知の通り。
そうですね。
それをさ、頻繁に毎月とか2ヶ月おきとか僕は行ってるんですけど、超めんどくさいわけ。10時間乗るって。もしコンコルド飛んでたら5時間ですよ。
はい。
めっちゃ行きやすくなるじゃないですか。
間違いないですね。
もう新幹線感覚で乗れるじゃないですか。
はい。
なんで飛んでないんだと思って調べたことがあるの。だから飛んでた時からそこまでニーズがなかった。売れなかったから廃止されたって書いてあるの。
あとは騒音の問題とか他にも細かいのはあるんだけど、他のことっていうのはニーズさえあれば改善したりとかバージョンアップデートしてどうにかしようとすると思うんだけど、完全に廃止した理由はそこまで求められた期待じゃなかったって書いてあったわけ。
どういうことと思うじゃないですか。乗りたいもん僕絶対。
はい。
ということはさ、他にも乗りたい人山ほどいるんだろうなと想像してたんですね。もっと調べてみたら恐ろしいことがわかったんですよ。何がわかったかっていうと、コンコルドって世界最高のスーパージェット機だったんですね。
どういうことかっていうと、フランスとイギリスの共同国家プロジェクトとしてスタートして、最新鋭のテクノロジーを満載にしてたんですね。
ちなみにこれ1970年代くらいの話ですからね。70年代から作り始めてて、その当時の世界最高峰。なおかつ全席ファーストクラス。すごい高級。
ということは全てにおいて最高のプロダクトを作ったわけよ。世界最高のプロダクトじゃないですか。世界最高のプロダクトってみんな欲しがると思うじゃん。僕も乗りたいと思ったの。
コンコルドの失敗理由
一つだけ問題があった。それは何かっていうと、最高のものを作りすぎてコストがめちゃくちゃかかったんで、それを取り戻すために航空券の値段が10倍になっちゃう。
そこ!と思って。どういうこと?と。いや、それすごい興味があってさ。もともと調べてたの。
製造とかからすごいコストがかかったから、乗客の皆さんが払う金額が、普通の飛行機、いわゆる今ボーイングとかエアバスとかあるけど、マッハ1の飛行機に乗るのの10倍いただきますと。
その代わり、移動時間半分。なぜならスピードが倍ですから。日本に行くときに、タイミングとかにもよるけど、今だったら分かんない。10万円とか20万円とか往復?なってる。エコノミクラスはそのくらいですよね。
コンコルドに乗って半分の時間で行こうって思ったときに、100万円から200万円になるぞってなったら、乗る?乗らないです。乗らないよね。乗らないんですよ。
そこで、どうなってるかっていうと、すごくいいものを作ったとしても、必ずしもユーザーがお金を払ってくれて使うわけではないっていう、それがイコールではないっていうことをコンコルドの失敗事例になっちゃってるんですけど、失敗事例でそこが気づかされたわけ。
で、このコンコルドのストーリーっていうのは、実はデザイン思考を語るときによく使われる例でして、うちビートラックスのデザイン思考プログラムでも、僕は必ずコンコルドの話をするようにしてるんですね。
何かっていうと、デザイン思考を通じてプロダクトを作ろうとしますけど、必ず細かくユーザーとの対話をしながら、本当にそれがユーザーが欲しがるのか、作ってる人がとてもいいものを作ってると思ってたとしても、もしかしたらユーザーにとってはそんなことはどうでもよくって違うことがニーズとしてあるかもしれないので、コンコルドを作らないように気をつけてくださいねっていう話をするんですね。
実際に参加した企業の人たちとかがディスカッションとかしてて、あ、やべえ、俺たちコンコルド作ろうとしてるって口走ってる人がいたんですよ。どういうことかっていうと、作ってる人たちのエゴで世界最高のものを作ろうとして頑張ってるんだけど、果たしてそれは本当にユーザーが欲しいのかっていう。
例えばデジタルサービスでいうとありがちなのが機能満載ね。機能満載にすることでいろんなことができるソフトウェアとか作って、最高のソフトウェアだ、何でもできちゃう、だけど誰も欲しがらないっていうのがよくある話で。それはなぜかっていうと、別にユーザーは世界で最も機能が多いソフトウェアを使いたいわけではない可能性があるっていうのに近いから教訓としてあるんですね。
これがデザイン志向における最高のものっていう概念をちゃんとユーザーヒアリングを通じてユーザーに当てながら何が最高かっていうのを細かく確認しようっていうのが一つ。もう一個あって、こっちのが実は重要だと僕思ってるんですけど、このコンコルドのストーリーを調べてたときに一つ恐ろしいことが書かれてたんですよ。
何かっていうと、コンコルドのチーム、プロジェクトを推進するチームがいて、そこで若手の方がある日言ったらしいんですよ、上司に。先輩ちょっと質問ありますと。なんですかって言ったら、これちょっと考えてみて計算してみたんですけど、ぶっちゃけ赤字じゃないですか。
これ一生黒字にならなくないですか、このプロジェクトみたいなことを言ったときに、上司はなんて言ったかっていうと、お前バカかと。そんなこと俺でも知ってるって言う。じゃあ打ち切った方が良くないですかって言ったら、ここまで来て打ち切れるわけないじゃないって言って、いくら予算を突っ込んでるんだと思ってんだみたいなことを言ったらしいですね。
これ今で言うサンクコストバイアスっていうので、お金を突っ込んだりとか時間とかエネルギーを割けば割くほど引き返しにくくなるんですね。もったいなく感じちゃう。取り返したくなるみたいな。これギャンブルとかでよくありがちなんですけど、パチンコとか言って3万円使って全然ダメだったときに、あと2万円使えば出るかもって錯覚に陥るんですけど、ロジックで言うと全然関係ないじゃないですか。
そんな感覚でコンコルドチームが引くに引けない状態になって、プロジェクトを遂行して、最終的にはものすごい損害になったっていう結果なんだけど、デザイン志向の考え方の一つ重要なことであり、とてもメリットがあるとすると、途中でダメだと思ったらやめていいです。
引き返してもいいです。それは失敗ではなくて、いいものを作るためのプロセスの一つであるっていう概念があるんですね。
今後の展望と教訓
で、それがそのコンコルドのサンクコストバイアスによる打ち切りできなかった事件から学んだこととして、厳しければそこでユーザーの反応が良くなければ、やめるかピボットするかをオッケーにしてるっていうのがデザイン志向だったりするという。
そんな話です。
いや、これ確かに示唆に富みますよね。コンコルドって航空券の値段が上がっちゃったから使う人があまりいなかったって話があったと思うんですけど、
高級路線のサービスって普通に世の中にあるじゃないですか。普通に単純に考えると、じゃあ価格が10倍になったなら、その10倍のコストを払える富裕層とかが飛びつくんじゃない?移動も早くなるし、移動にコストを感じてる人とか。
ただ、今じゃあそういう世の中の富裕層が飛行機に乗るときに何を使ってるかっていうと、プライベートジェット。
そうなんです。よく気づきましたね。そうなんですよ。これが今度ちょっとマーケティング的な視点になる。さすがマーケターだなと今思ったんですけど。
そうなんです。中途半端なセグメンテーションなんだろうね。何かっていうと、富裕層でビジネスクラスとか乗る富裕層とかいますけど、コンコルドほどの価格ではなってない。
じゃあコンコルドのお金を払えるぐらいの余裕のある人は、もうプライベートジェット乗っちゃうんですよね。そうなってくると、自分で飛行機持ってたりとか借りたりできる立場になってると、今更旅客機に乗らないという、民間旅客機に乗らない。そうなんです。
なんか速さよりもプライベートな空間の方が重視してるんだろうなっていうのは感じます。おっしゃる通りです。いや本当にそうなんですよ。
なので、マーケティング面でも中途半端なポジショニングになってしまったんだろうなっていう想像はつくんですけど、それ実はね、今アメリカでコンコルドっぽいものをもう一回作ろうとしてるスタートアップもあるんですよ、最近。
それはなぜかっていうと、2つ理由があって、1つはコンコルド開発製造してた1970年代とかと比べると、それにかかるコストがだいぶ安くなってきた、テクノロジーに対しての。
あともう一つは、さっきリュウチェが言った、浮遊層の結構数が増えたっていう概念があって、そういうのを乗りたい人が20世紀よりも増えたんじゃないかっていう仮説があるんですよね。
ユーザーニーズとして増えてんじゃない?そこのニーズが。国際的な旅をする、ビジネスで移動するっていうこととか、お金を持ってって、そういう旅客機に乗りたいっていう層が、アッパーミドルみたいなところの人たちでも金額がある程度払えるぐらいの価格帯で提供できるっていう見込みがあるかららしいですよ。
なので時代が違うとオッケーだったかもしれないですけど、コンコルドは1970年代、80年代、90年代ぐらいはまだまだそんなニーズはなかったということになってますと。
なんかこう、国を行ったり来たりする、例えば政府系の専用機、政府専用機とかはコンコルドの技術とかが行きそうな感がしますよね。
でもそれって機体の数って知れてるじゃないですか。量産しないとなかなかこういうのって元取れない業界だと思うので、戦闘機みたいなノリで使ってもいいけど、一気に何百億するなみたいな感じではなるけどね。
イーロン・マスクとハイパーループ
ちょっとコンコルドの記事とかを読んでて、ふと思いついたのが、最近かの有名なイーロン・マスクさんが高速輸送システム、ハイパーループっていうのを構想打ち出してるんですよね。
ずいぶん前からやってるんだよね。
これは電子車みたいな、今のリニアモーターかのさらに早いみたいなやつを。
なんか真空トンネルをぶっ飛ばすみたいなノリですよね。
イーロンってこういう、世の中にもっとこういうのあったらいいノリだみたいな、結構コンコルド的な思想でいろいろサービスとかやろうとしてるんですけど、ブランドンさんから見て、イーロンのこういう活動とかってどう思いますか。
イーロン・マスクをやろうとしてることって結構面白くて、なぜかっていうと極端だなと思うんですよね。
2極化してる気がしていて、それ何かっていうと、ハイパーループとかスペースXの火星旅行みたいな概念って超高等無形だし、ユーザーニーズ考えてんのかって疑わしいですね。
コンコルド以上にぶっ飛びすぎだと思うんですけど。
その一方で、テスラの車とかスペースXのNASAに対して提供してるロケットってめちゃくちゃニーズをしっかり抑えていて、お金払う人がちゃんといて、価値も感じられるような価格に対してのコスパみたいなものをしっかり抑えてるのよ。
なので、僕の見立てとしてはイーロンマスクって打ち上げ花火みたいな火星だ、ハイパーループだとかって一回ぶち上げてるんだけど、しっかりとそれをロールバックして、それの実用性バージョンみたいなものをお金になる商売として何かしら提供してるんですね。
だってハイパーループに関しても、あれは多分サンフランシスコとロサンゼルスを地下のトンネル掘って、そこをリニアモーターカーみたいなカプセルミラーでバーって速いスピードで動かして移動を速くするみたいな、そういうコンセプトだと思うんですけど、ラスベガスに行くとテスラの車両が通るトンネルっていうのが地下に掘ってあるんですよ。
僕これラスベガスのCSっていうカンファレンス、毎年初めに行くんですけど、よく乗るんですね。何でかっていうとラスベガスって街が広すぎるのと公共交通機関が整ってないんで移動がすごいめんどくさいんですね。
渋滞もするわけよ。それを重要な地点から重要な地点までを地下トンネルがあって、そこをテスラの車が走ってる。普通のテスラのモデルYとかが走ってて、それ乗ると無料で移動させてくれるのね。そのトンネルをネオンで光らせて、なんかハイパーループっぽくしてるの。
なのでなんか疑似ハイパーループ体験ができるようになってて、それはそれでうまいなと思ってて、そこで乗った時にドライバーに聞いたら、そうそうこれはイーロンマスクが後々ラスベガスの政府からお金をもらって公共交通機関として普及させようとしてるんだよねって言ってたわけ。
なのでハイパーループっていうぶっ飛んだことを言っときながら、それのちゃんと地に足ついた実用モデルを着々と進めていてお金にするっていう、膨大なビジョンと夢をぶち上げときながら足元できっちりお金を稼ぐのの、両方やってんなと思って、企業家としてすごいやり方がうまいと思っています。
その地下トンネルっていうのはテスラの車しか通れないみたいな感じ?
そうです。そこはテスラトンネルって言われてて、テスラループって言うんですけど正式名称は。テスラの車だけがそこに止まっていて、テスラが独占している、いわゆるなんか私有地的な乗りなんですよね。他の一般車は通れないです。
テスラ専用のトンネルを掘ってあるんですよ。結構便利なんですよ、それが。
そうなんですね。面白い。
面白いでしょ。そういうのが実はやってたりする。ちょっと話は逸れましたけど。
スーパーカブの魅力
コンコルドの話をするときに、僕同時にもう一個の乗り物の話をするんですけど、今日皆さんに聞いてほしいのはむしろこっちの方なんですけど。
はい。
タイトルテーマがコンコルドの話なんですけど、実はもっと知ってほしい事実としてはもう一個の乗り物です。これはスーパーカブですね。
皆さんご存知ですか?スーパーカブ。
スーパーカブは日本で言うといわゆる原チャリっていうスクーターっていうの?新聞配達の人とかが乗ってる赤いのとか青いのとかもあるけど、あれですよ。
デザイン志向のワークショップをやるときに、今まで何百人ともしかしたら千人以上提供してるんですけど、この中でコンコルド乗ったことある方いらっしゃいますかって聞いたら、一人だけいたんですよ。
そうなんですか。
いたんですよ。結構お年配の方で、その方って以前にIBMで働いていて、日本のIBMの重役だった方なんですけど、
出張でニューヨークからロンドン行くときに乗ったことあるよってその方言ってたんですね。一人だけなんですけど、スーパーカブはもう結構な数の人が、
学生の頃乗ってたとか、乗ったことあるとか、新聞配達のバイトしてたっていう人もいたんで、乗ってる率がすごい高かったわけ。
で、これも調べてみたら、それはそうだなと思ったのが、スーパーカブってギネスブックに乗ってるんですよ。
世界で一番売れたバイクのモデル。
ちなみにご存じない方のために、スーパーカブはどちらのブランドが?
あ、ホンダです。日本が世界に誇るバイク自動車メーカーのホンダ、ホンダスーパーカブですね。
すみません、ちょっとバイク好きすぎてそれを忘れてましたけど。
で、りゅういちくんこれ、スーパーカブって累計何台ぐらい売れたか知ってる?
わー、世界でってことですね。
今まで世界中で累計何台売れたか。
発売されたのっていつ頃ですか?
たぶん、1960年代ぐらいな気がします。
何千億?一千億とか?
いやいやいや、さすがにそれはない。
1億台です。
1億台。
1億台でも結構すごくて、なぜかというと、世界で一番売れたレコードCDって誰の何か知ってます?
あ、世界で。
歴代で。これもギネスブックですけど。
なんか海外のアーティストっぽいイメージが。
もちろんですよ。これで日本のアーティストだったらびっくりですけどね。
マイケルジャクソン?
2人です。
マイケルジャクソンのスリラーっていうアルバムが一番累計で売れてるんですけど、3000万枚ぐらいなんですね。
CDって3000円ぐらいじゃないですか。
マイケルジャクソンで一番、世界で一番売れた音楽CDでも3000万枚なのに、スーパーカバー1億ですからね。
これ考えただけでも。でも値段ももともと高いしね。
音楽みたいに気軽に聴くものでもないからさ。乗り物だからさ。
で、これの秘密をちょっと探ってみたんですね。
あるとき僕YouTube見てたら、バイクの番組があって、イギリスの番組だったんですけど、世界最高のバイクランキングっていうのをやってたんですよ。
ベスト10。
で、いろんな有名なバイクとか出てきたんですけど、海外のハーレーとかも含めて。
1位がホンダのスーパーカブだったんですよ。
さすがイギリスの番組だなと思ったんだけど、ホンダのスーパーカブはマジすごいって言って、バイクってオイルって入れるんですけど、
オイルの代わりに古くなった天ぷら油を入れて走らせても走るし、ビルの3階ぐらいから落とすんですよ。
で、ちょっと壊れてるのにそれでもまだ走るっていう無茶な企画やって、スーパーカブはどんだけタフなんだっていう。
タフで乗りやすいっていうので1位に輝いてたんですけど、それも一つなんですね。
カブがすごいのは、まずめちゃくちゃ壊れにくいみたいなんですよ。
なぜなら構造がシンプルだから。
コンコルドって世界最高の技術を結集してたんですけど、スーパーカブは結構ローテクなんですね。
使われてるテクノロジーが初期の50ccの非力なシンプルなエンジン、空冷のエンジン。
車体もフレームがあるんですけど、それ以外はプラスチックだったりとかして、
すごい単純な構造をしていると、ゆえに軽いんですね。
バイクで軽いってすごいメリットがあって燃費が超いい。
で、一番重要だったのが、それまで両手両足で操作しなきゃいけなかったバイクを
左手にクラッチっていうのがあるんですけど、それをなくしたんですね。
クラッチレスにして、クラッチ使わなくてよくなったんで、片手が開くんですよ。
そうすることで、物を運ぶのに最適になるんですね。
右手で運転、左手で物を持つっていうのはできるようになって、
主婦の方とか学生とかでも気軽に乗れる乗り物にしたんですよ。
デザイン思考の考察
で、これがまずスーパーカブのすごくないところがすごいところみたいな。
これってデザイン志向でいうと、ユーザーが欲しがるポイントをしっかり抑えて、
それ以外のことはこだわらないっていうところがまず素晴らしいんですね。
乗り物っていうと速さとかパワーとか、見た目のかっこよさとか、
いろんなことが作る人は考えがちなんですけど、
スーパーカブを作ったホンダっていう会社、ホンダ総一郎って方は、
彼が一番重要視したのは、乗る人が一番乗りたいと思うものを作るっていう、
そういうことにフォーカスをしたんですよ。
これもうちょっと調べていくと面白いことが分かったのが、
そのホンダって会社って正式名称って、
ホンダ技術研究所っていう名前だったんですね。
ホンダ技研とか言われてたんですけど、
技術を研究する場所みたいな名前じゃないですか。
でもホンダ総一郎は生前、私たちが研究してるのはユーザーですって言うんですね。
お客さんが欲しいものを研究してますって言ってて、
これデザイン志向じゃねえかよと思ったんですよ、そこで。
1960年代とかに日本でものづくりをしていた、
ホンダ総一郎さんが一番重要視してたのって、
ユーザーセンターとだったみたいなのをそこで知って、
今でこそデザイン志向ってアメリカ西海岸とか、
アイディオだ、ディースクールだっていうので騒がれてるけど、
ルーツをたどると日本のものづくりが元ネタだったってのが分かって、
なんだよと思ったっていうか、
そこかよと思ったんですけど。
あとね、さっきコンコルドの時に、
マーケティング的に富裕層のニーズに合ってないって話したんですけど、
ホンダはマーケティング的にもスーパーカブで面白いことやってて、
日本では蕎麦の配達とかする時に片手で持てます。
主婦の買い物に物を持って移動できますっていうマーケティングをしたんですけど、
アメリカでスーパーカブの当時の広告とか、
今でもCM動画とかが残ってるんですけど、
キャッチフレーズが、
Meet the nicest people on Hondaっていうキャッチフレーズだったと思うんですけど、
ホンダに乗ってるいい人に会おうっていうキャンペーンをやって、
ホンダのカブに乗ってる人たちはみんないい人っていうのをやってたんですね。
これ何かっていうと、
それまでバイクっていうとハーレーとか不良のシンボルだったんですね、
革ジャンとか。
じゃなくて、
普通の日常的にいるいい人、ナイスな人たちが乗ってるバイクですよっていうのをやって、
一般的にもバカ売れしたと。
面白いですね。
いや、これね、
ホンダのね、
コンコルドとデザイン思考の教訓
その当時のアメリカのCMとかYouTubeにまだ上がってて、
見ると、
なんとショートフィルムみたいになってるんですけど、
舞台はサンフランシスコなんですよ。
そうなんですか?
そうなんですよ。
サンフランシスコを舞台にしたオシャレな映画みたいになってて、
そこで若い男の人と若い女の人がカブに乗ってデートに行くシーンとか、
主婦が買い物に行くシーンとかを演出されていて、
ゴールデンゲートブリッジを一緒に渡る、
いわゆるそのローマの休日ってあるじゃないですか。
あれのサンフランシスコ版。
ローマの休日で乗ってたスクーターってベスパっていうイタリアのスクーターなんですけど、
それに対抗して、
ホンダのカブは歴史的なヨーロッパっぽい雰囲気のアメリカの都市としてサンフランシスコを選んで、
サンフランシスコのクラシックな街をスーパーカブに乗って、
若者たちがデートするっていう、
それのカウンターパートとしてのオマージュ動画にしてあるんですよね。
これも聞いてる方、検索してもらえると非常に素敵なシーンが見れると思うので、おすすめです。
へー、面白いなー。
でしょ?
いいんですよ。
日本的な地の足についた物作りの精神と、
あとはアメリカ的な世の中に広げるための、
今でも動画を使ったキャンペーン、YouTubeとか動画とかあるけど、
その当時から、1960年代、白黒なんですけど、
その当時からそういうことやってる日本の物作りメーカーのホンダ、
すごいなーって今でもリスペクトしてる次第ですね。
このポッドキャストでも、ドンノーマンのエピソード撮りましたよね。
人間中心デザイン。
より前ってことですもんね、ホンダの方が。
もちろんもちろん。
だから、いわゆるデザインとかユーザビリティとかの学説とか、
理論とかが体系化される全然前から、
ホンダとか松下、今のパナソニックですよね。
松下とか、他にもいくつも物作りの会社って、
自動車も家電もあったと思うんですけど、
その当時の日本企業って、
顧客、ユーザーが何を欲しがって、
どういうものが求められてるかっていうのを既に考えながら、
それに対応するものをなるべく安い値段で提供できるように
作ってきた歴史だと思うんですよね、日本の物作りって。
それが海を渡ってアメリカにやってきて、
ドンノーマンとか、長期的にはスティーブ・ジョブスとかも
ソニーから影響を受けてたんですけど、
そういう人たちに受け継がれて、
今なぜか、アメリカ西海岸のすごいアドバンテージみたいに言われている
UXデザインとかデザイン志向なんだけど、
リーンスタートアップも元々トヨタ式だったりするんで、元ネタがね。
なので、非常にね、日本の物作りが全ての根源にある、
物作り、デザインの根源にあるっていうのは、
実は日本でも知らない人が意外と多いという。
日本の物作りとユーザー中心思想
なので紹介したかった。
歴史って大事ですね。
大事だったんです。
これはちょっと最後に、
このコンコルドとスーパーカブの比較を経て、
日本企業の方とかにどう学んでほしいかとか、
どう実践していただきたいかっていう話になると思うんです。
ウィトラックス、これまで日本企業の方と触れ合う機会って多かったと思うんですけど、
裏野さんから見て、まだまだユーザーセンターとの思想っていうのは根付いてないというか。
これは今度どっかのタイミングでエピソードにしたいなと思っているテーマの一つに、
商品を考える時とかに会議室で考えちゃったりすると、
どうしてもスペックとか機能をアップグレードしようとしがちなんですよね。
それをユーザーが欲しいと思っているかどうかを結構見落としちゃって、
どんどん機能を増やすとか、どんどん馬力を増やすとか、
そういう風になりがちなんですけど、
本当にそれがユーザーが求めているのかっていうのを忘れずに作らないと、
これ誰が使うの、この機能誰が使うねみたいなものが生み出されがちだし、
ここ数十年の日本企業が作っているプロダクトのいくつかは、
それにはまっちゃっているものがありそうな感じがするので、
本田がスーパーカブ作った時みたいに、
求められる最小限の機能性で提供した方がいいっていうのを、
うちの会社で日本企業さんとものづくりプロジェクトをやったりするときは伝えたりはしてますけどね。
ありがとうございます。
自社の中で閉じないで、
BitLux みたいな第三者の目線を入れてもらったりとか、
あとは普段の会議室ではなく、
BitLux のオフィスだったりとかで、
けんけんがくがくディスカッションしてもらう機会っていうのが、
皆さんにとってもしかしたらいいかもしれないっていうので、
BitLux そういうサービスをやってますので、
先日もワークショップをやらせてもらって、
ご好評いただいて、
今後のビジネスにつながるっていう機会もあったので、
ぜひお問い合わせいただけたらなと思っております。
よろしくお願いします。
ブランドさん、本日もありがとうございました。
ありがとうございました。
最後までお聞きいただきありがとうございました。
番組を気に入っていただけた方は、ぜひ高評価とフォローをお願いします。
BitLux とのお仕事にご興味のある方は、
概要欄のリンクよりお気軽にお問い合わせください。
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この番組は毎週更新しています。
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