分かりました。ありがとうございます。
じゃあ、僕からいくつかご質問させていただきたいと思うんですけど、最初にそもそもデザインってどういった役割?
役割は非常に重要な役割が4つあって、結構前にも話したんで、ぜひまたそろそろ話したいなと思ってたんですけど、4つありますね。
1つ目が、アイデアとかコンセプトとかビジョンとかカルチャーを可視化する役割っていうのがあって、
一番身近なのは情報の可視化っていうもので、それは何かっていうと、
例えばExcelにスプレッドシートに数字がバーって並んでいるデータをより直感的に分かりやすくするためにグラフになっている。
これは可視化されたものだし、広告っていうのは商品の魅力を可視化されたビジュアリゼーションだし、
企業のロゴとかは会社のビジョンとかカルチャーをアイコンにして可視化したものなので、
デザイナーって絵を作り出す人ってイメージあるんですけど、それは何かしら目で伝わる形に言葉とか情報とかを可視化させるっていう。
それが1つ目の役割ね。
なるほど。
もう1個が、これもよくデザイナーが言ってる、デザインは課題解決だから。
何かしらの課題があった時にそれをデザインの力で解決しようっていう、そういう考え方ですね。
なるほど。
これはデザイン仕事が主にそうなんですけど、困ってることがあった時にいいデザインを施すことでそれを解決するっていうことですね。
僕がよく好きで出してくる間としては、ニンテンドーのWiiとかスイッチって子供が1人で部屋にこもってゲームしがちなのをよりファミリーで楽しむためのデザインにしたことによって。
それでゲームばっかりして勉強しないとか家族との交流がないっていう課題を解決した。
なるほど。
結構身近に?
かなり身近。課題の解決って世の中にたくさんあって、椅子のデザインとか机のデザインとかペンとかもそうだけど、ペンだったら書きにくいとか持ちにくいっていうのを解決するデザイン。
なるほど。
それはデザインの役割で課題を解決してたりとかするじゃないですか。
本当に身の回りにあるものは全て?
使いづらいものを使いやすくするみたいなのが課題の解決だったりするのかなと思ってますね。
なるほど。
これ2つ目でしょ。
3つ目が僕はユーザーを導いてあげる役割だと思ってて。
正しい方向に導くためにデザインを活用する。
一番分かりやすいのが駅とかで乗り換えとかを東京だったらメトロとか色分けしてあって、銀座線オレンジっぽい黄色っぽいのだったりとか日比谷線丸の内線とか言ってて、丸に色がついてるじゃん。
どっちに行ったらその電車乗れるかとかの矢印がついてたりとかそういうのをデザイナーが頑張って考えて、
こういう風に表示するとより迷わずにその電車に乗れるだろうとか。
あとは駅のトイレとかもそうですよね。男性と女性で男性はどっちに行くべきかを導いてあげるとか。
そういうので導きって呼んでるものがありますね。
最後がこれが意外と知られてないのにデザイナーの仕事としては最も重要かつ難しいのがシンプル化っていうので。
シンプルにさせること自体がデザインのデザイナーの仕事でありデザインの役割であるんですよね。
人間って結構放っておくとごちゃごちゃ何でも寄せ集めたがるんですけど。
ものを作ると。だけど使う側からするとごちゃついてるのって使いづらいわけよ。
ユーザビリティ低いって言い方すると。
それをデザイナーがなるべく削って削ってより分かりやすくしてあげるっていうこと自体がデザインの役割になっていて。
なるほど。
リモコンとかもそうだし、スマホとか。
アプリとかもそうですね。
アプリもそうですね。
ごちゃついてると使いづらいのでデザイナーが頭をひねって極力シンプルにしていく。
ミニマリズムとかいう。
本当に必要な機能だけを残して。
そうです。そうです。
そうするとメリットがいくつかあって。
一つは考える量を減らせられるんですよ。
これは英語で言うとCognitive Loadっていう考え方があって。
それを使うのに脳がどれだけ稼働しなきゃいけないかっていう。
その稼働率を下げると人間は使いやすいと思うので。
なるほど。
その脳の稼働率を下げるためには極力シンプルにしてあげるっていうと使いやすくなるっていうのが一つと。
あともう一個はコストを下げれるんだよね。
ものをシンプルにしていくとパーツを減らすとそのパーツのかかるコストが減るし、ロゴとかに使う色とかを減らすとインク代が減るしっていうことで。
はいはいはい。
シンプルにすると意外とコストを下げれる。
自社にとっても結構メリットある?
メリットあるんですよ。
ユーザーだけではなくて。
そうそう。
カラフルなものより白黒の方が印刷代安いですからね。
スタバのロゴもどんどん色減ってるんだよね。
今は一色なんだよね。
緑だけ。
昔は緑と茶色とか。
二色だったのか。
うーん。
とか。
あとはパーツが少ないと壊れにくいっていうのがあるんだよ。
おーなるほど。
エンジンのついてる自動車とEVがあったらEVの方が壊れにくいのね。
テスラとかですか?
テスラとかがパーツが少ないの。非常に。
あー確かに。
そこに使われてる。
エンジン車はエンジンがあるからオイルがあって、
ラジエターがあって、水がラジエターの冷却水があってとか、
ウォーターポンプがあって、フューエルポンプがあって、
トランスミッションがあってとかってあるんですけど、
テスラはシャーシっていう車体と、
あとモーターとバッテリーとドライブトレインっていうシャフトがついてるぐらいかな。
だからこそロボットだけで組み立てられる。
そうそう。
そういうメリットも結構多い。
そういうことです。
シンプルにすると企業メリットも大きいっていう。
じゃあこれからなんかより重要になってきそうですね。
すごい重要だと思う。
デザイナーをちゃんと活用して物事をシンプルにできてる企業っていうのは、
コスト削減につながるっていうことですね。
しかもそれで積み重なっていくものですからね。
そうなんです。
なるほど。面白いですね。
じゃあ今、可視化と課題解決と導きとシンプル化っていう4つのデザインの役割についてお聞きしました。
ユーザー視点。
本当の始まり。そこから広がっていくというイメージですか?
ユーザーセンターのデザインと言われる。
ユーザーセンターのデザイン。
ユーザー中心デザインですか?
そこが本当に一番重要なので。
なるほど。
あとはね、シンプルにしていくという概念で言うと、
レス・イズ・モアっていう。
レス・イズ・モア。
聞いたことある?ない?
聞いたことないかもしれません。
デザインの世界では、
一番最初に習う概念だと思うんですけど、
要素が少ない方がより多く手に入れられるというシンプルを説明するときに。
シンプルにした方が売れるとかね。
売れてるプロダクトってシンプルなものが多いんですよね。
昨日減らした方が売れたみたいな。
昨日増やしたより減らした方が売れたみたいな。
なので、少なければ少ないほどより良いという概念があって、
レスにしなさい。レス・イズ・モア。ミニマルにしていきなさい。
なるほど。
例えば、ダイソーとかドン・キホーテよりも、
グッチとかルイ・ビトンの方が売ってるものが少なかったりするんですよね。
なるほど。
あれレス・イズ・モア作戦って言って、
売ってるものが少ないとそのものが高級に見えるんですよ。
広い店内にポツッと一個だけハンドバッグがあったら高そうじゃん。
確かに。
でもドン・キみたいにガーって並んでたら絶対安いじゃん。
安いですね。
そうそうそう。
なるほど。
高級ブランドの方が品揃えが少ないんですよ。
レス・イズ・モア作戦ですね。
面白いですね。
そうなんです。
あとは、未来志向っていうのがありますね。
未来志向。
デザイナーの仕事の一つが、今世の中に存在していないものを生み出すっていうことなので、
過去に存在しているものを改善することもしますけど、
今後の未来の世の中に必要なものを作り出すっていうのもデザイナーの仕事だとすれば、
未来10年、例えば10年後この世の中はどうなってるだろうかっていうのを想像して、
例えばそれが、自動車は全部自動運転。
誰も運転なんかしないよ。
10年後はそうなってるはずだっていうふうに仮定したとしたら、
今からデザインする車はハンドルが付いてない車をデザインし始める。
なるほど。
現在視点で考えると、じゃあ自動車デザインしますってなると、
ハンドルが付いててアクセルとブレーキが付いててとかって考えるんだけど、
いや僕たちがデザインするのは10年後の車なので、
自動運転が当たり前になってる世の中だから、
そもそもハンドル、ブレーキ、アクセルもいらないんで、
そこは運転席じゃなくて、中身は全部リラックススペースにしようみたいな。
で未来の車がデザインされる。
面白い。
だから結構前もってデザインを開始する。
はい。
デザインは物によるけど、
多くのハードウェアのプロダクトっていうのは、
5年10年先を考えないと製造に時間がかかる。
自動車なんていうのは、5年から10年先のもの、
今からデザインするものは最低でも5年先が最低なので、
下手したら10年先とかなので、
コンセプトモデルとかをデザインし始めるときに、
かなり未来の想定でやると。
確かに今のに合わせたら、その時にはもう遅いよってなっちゃう。
遅いです。
今最先端のものをデザインしちゃうと、
5年後はめちゃくちゃ古いものになってるはずなので。
っていうのが、デザイナーの仕事として未来を生み出す。
それってイノベーションとかに近いんですか?
かなり近い。
かなり近いので、
なんでイノベーションにとってデザインが重要なんですかって言われると、
それが理由です。
なるほど。
超会社ってデザイン会社だけど、
役割の一つがイノベーションを生み出すっていうのも、
結構な重要な役割になってるじゃないですか。会社の責務として。
それはデザイン会社が向いてるんだよね。
イノベーションを生み出すっていうことに。
未来を考えれるから。
なるほど。
ユーザー視点で未来を考えて、
未来に合うものを作れば絶対売れるじゃん。
それがイノベーションっていう。
そういう考え方です。
なるほど。
なので、それにシンプルとかを入れていくと、
キャッシュレスとか。
そういうどんどんどんどん減らしていって、
より世の中に便利なものをデザインするっていう考え方。
なので、デザイナーはごちゃごちゃして飲むものをすごい嫌がるわけ。
それって、一般的な日本語で言うとダサいってやつだもん。
人間がダサいって思うのは洗練されてないってことだから、
デザインがちゃんとできてないってことなんですよ。
なるほど。
一番合理的なデザインに洗練しきれてないっていうこと。
直感的に使いにくいからってことですね。
あと、これボーナスなんですけど、
デザイナー的視点と考え方とか、
あとは自分がデザイナーを目指すのが僕一番おすすめなのは、
自然の仕組みを学ぶことだと思ってて。
自然の仕組みを学ぶ。
ネイチャー。
ネイチャーですね。
森とか行って、
木々とか草花とか昆虫とか、
そういうのって一番最適にデザインされてるんですよ。
蜂の巣が六角形なり。
なるほど、なるほど。
あれって自然の中で一番最適なものだけ残って、
それ以外淘汰されてってるんで。
いわゆる目的を果たすために、
最も洗練されたデザインが施されてるのが自然界だったりするわけよね。
面白いですね。確かにその視点なかったですね。
なので、これ僕の持論なんですけど、
ある程度田舎育ちの方がいいデザイナーなんじゃないかなって。
もう感性がというか。
感性が自然を見て育つと、
直感的にこういう造形にするとこういう風になるんだ。
例えば、テントウムシとかって丸いじゃないですか。
丸いですね。
羽が丸く収納されるって、
すごい素敵なデザインだなと。
確かに。
もう綺麗に内側に畳み込まれていて、
で、普段は丸い。
で、必要な時にパッと開いて羽がそこから出てくるとか。
すごい造形的にも。
人間界でもそれを真似たプロダクトとかも。
例えば、小物入れとかだったとしたら、
テントウムシのデザインを活用して、
パカッと開いてパカッと閉まるみたいなのにしてもいい。
ドモウシとか。
しかし、ハチの巣の事例はどこかで聞いたことある。
ハチの巣は多くのところでハニーカムって言われてるんですけど、
ハニーカムって言われてる。
六角形でしょ。
六角形、六角形。
あれって六角形をこうやって合わせていくと無限に広がるんだよね。
収納性がいいっていうか。
そして強いんですよね。
耐久性もいい。
耐久性もいい。
よくデザインされてるなって思う。
本当ですね。
確かに全然意識してなかったですけど、
話聞いてみると確かになりますね。
クモの巣とかもちょっと気になりますし。
クモの巣も強いんですよ。
細いのに強い造形になってたりとか。
あとは雪の結晶とかを拡大してみると、
拡大してみるとこういう風に広がります。
綺麗に広がってたりするじゃない。
あれで一番オプティマルな雪っていう物体が
一番理想的な造形をしてたりとか。
あとはあれだよね。
新幹線の形。
前のすごい長い。
ありますね。
あれは何だっけ。
鳥のくちばし。
鳥のくちばし。
鳥って空気抵抗を減らして飛んでるじゃん。
一番空気抵抗がかからない造形は何かなと研究したら、
鳥のくちばしの造形が空気を切り裂くのにいいっていうので、
あれを参考にしてデザインしてたりします。
すごいですね。
バイオミミクリっていうんだけど。
バイオミミクリ。
バイオミミクリって自然を真似る。
真似る。
ミミックスする。
結構幅広いですね。今聞いてみると役割というか。
広い。
広いからデザイナーは日々すごい色んなところから勉強したんじゃないですか。
本当に本当に。
建築とかもそうだし、建築も設計じゃん。
設計ってデザインだから。
昔の日本の建築は釘とかを使わずに木を組み合わせるだけで家が作れたりとかすごいし。
ああいうのはすごいんですよ本当に。
それもあれじゃないですか。レスじゃないですか。
釘レスにしてるから。
確かに。
強いんですよ。釘がない分錆ないから強い。
とかね。
強いですね。
そういうのがデザイン。
ナー的感覚ですね。
それがいわゆる世の中で言う、
まあなんとかな、
イケてるかダサいか洗練されてるかもさいかみたいな表現になってる。
でもなんか結構驚いたのが、
結構身の回りにデザインって反映されてるなっていうのが今回個人的に驚いたというか感動した部分ですね。
あんまり意識してる部分じゃなくて当たり前だったので。
でしょ。
もう電車の例とかマークとかロゴとかもうあれが当たり前だったんで。
気づかないよね。
全然裏でデザイナーがユーザーキティでこういうのを考えてやってるっていうのは全然見えてないんで。
それで言うとあれですよ。
無意識で気づかないけど上手に導かれてる例として、
アメリカのうちのオフィスの1階の入り口もそうなんだけど、
ドアノブみたいなのもあるじゃん。
ありますね。
あれってアメリカだと横に長い棒みたいになって押す。
押します。
あれ押すドアなんですよ。
引くときは縦なんですよね。
縦を引っ張るんですよね。
これは直感的にアメリカの人は縦だと引く、横だと押すってなってる。
だからそういったデザインになってる。
それ逆で、そういうデザインを日々触れさせることによって、
家事とかで慌てて走って逃げるときに、
ドアにたどり着いたときにこのドアは押すべきか引くべきかっていうのを考える前に
直感的に体を動かせるようにしてある。
なるほど。
パニックって走ってるときってあんまり考えれないじゃん。
そのときにドアが出てきたときに横に棒がついてたら無意識に押すんだよね。
縦に棒がついてたら無意識に引くんだよね。
っていう練習を日々させることで緊急時に被害者を減らすように設計されてるんだって。
すごいですね。全然気づかない。
気づかないよね。
それは逆に先にデザインをやってそれを後々普及させていくみたいな?
それはそうかな。それは多分そうなんだ。
それがユニバーサルデザインっていう概念で、
スタンダードとして一回世の中にバーって広がっちゃいすれば、
次からはそれにしとけばユーザーが自動的にそれに反応する。
デジタルで言うとハンバーガーメニューっていうのはそうで、
右上に3本の線があったらそこをクリックしたらメニューが出てくるよっていうのは、
今多くの人が気づいてるけど、最初それやった人はまだないから、
それをまず広げたりとか、
Wi-Fiのアイコンとかもそうだよね。
世の中に存在してなかったものを、
この扇形になってるやつは電波をキャッチしたらなるんだよみたいな。
面白い。そういった事例とかも次回以降のエピソードで話聞けたら結構面白そうだな。