2025-01-11 29:26

夏目漱石「草枕」

俗世に疲れ、非人情の旅に出た主人公の至る境地とは?

夏目漱石の小説「草枕」についてお話しました!


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サマリー

夏目漱石の小説『草枕』について考察が展開され、主人公である絵描きの旅を通じて非人情や芸術に関する深い考察が行われます。作品は1906年に発表され、人情や文化的背景の葛藤が描かれた作品として再評価されています。『草枕』では、主人公とナミーさんの関係を通じて日露戦争の影響や人間の尊厳についての考察がなされます。特にナミーさんの感情の変化が、主人公にとっての画題となり、物語のクライマックスにつながります。

ポケモン配信とリスナーの反応
みなさん、こんにちは。自然を愛するウェブエンジニア、せみやまです。
今日は、夏目漱石作、草枕についてお話ししたいと思います。
前回は、ポケモン配信の振り返り回だったんですが、そちらに1つお便りをいただいてますので、ご紹介したいと思います。
こちらのお便りは、さんせつこんさんからいただきました。
こちら、初代ポケモンのネタバレを含みますので、ご注意いただければと思います。
ポケモン回、聞かせていただきました。
その前に、私、さんせつこんはポケモンド素人だということをご理解ください。
ポケモン好きな方には失礼な部分もあると思いますので。
まずは、2日間にもわたる長時間の挑戦、お疲れ様でした。
僕は仕事が忙しくて、ほとんど視聴できませんでしたが、約10時間でクリア予定だと聞いて、
初代のゲームボーイならそんなもんなんだ、RPGだけども、と、かなり四季を低く見積もっていました。
しかし夜に配信を覗くと、あれ?これリアルタイム?アーカイブ?どっちだ?
使っているポケモンも最初とほとんど変わってないし、画面も特別変化してないような、
レベルは上がっている様子だけども、と困惑しました。
どうやら配信は続いていたみたいで、セミヤマさんの精神力の強さを垣間見た気がしました。
さすがフルマラソンを走り切った男。
それも2日間も長丁場で、僕はただ、セミヤマさん頑張れ!と応援するしかできませんでした。
セミヤマさんは初期に捕まえたポケモンをメインでクリアしましたが、
他のプレイヤーはどんなメンバー選びをするのでしょう?
敵に合わせてメンバーを変えたり、お気に入りを鍛え上げたり、気ままに試してみたりもするのでしょうか?
はたまたラスボスの彼の使用するポケモンは、プレイヤーに合わせて変化するのでしょうか?
ポケモンって最初の段階で3体の中から1つを選んでスタートするのがお決まりですが、
そこに任天堂の匠さと言いますか、ヒット作の仕掛けがあってプレイヤーを飽きさせない、飽きるどころか愛着が湧いてきてまた遊びたくなる、
育てて強くしてまだ見ぬ世界を知りたくなるという、向上心や探求心を育む素晴らしい教材でもあるんですね。
僕はつい最近までポケモンを虫捕りの延長みたいなスタンスで考えていたんです。
外で遊ばなくなった子供が代わりにゲームで生き物捕まえて戦わせて育てたり交換したりと考えを改めました。
現在娘が幼稚園でポケモンを知り夢中になっています。
もうアンパンマンは卒業のようです。
これを機に子供と一緒に勉強してポケモンの面白さと学ぶ楽しさを培っていきたいと思います。
またいつの日か配信楽しみにしてますね。
今度はアクションとかシューティングとかがいいかもしれませんね。
とのお便りをいただきました。
夏目漱石の草枕の概要
さんせつこんさんありがとうございます。
さんせつこんさんは先日僕が行った2日間計25時間にわたる狂気のポケモン配信についてお便りを送ってくださいました。
応援いただきありがとうございました。
確かに全配信を通してずっと同じようなポケモンを連れ歩いていましたからどういう状況なのかわかりづらかったですよね。
配信中はただただどうにかクリアだけはしなきゃということしか考えられなくなっていましてそこまで思いが至りませんでした。
変化の乏しいプレイとなってしまい申し訳なかったです。
配信では僕はほぼ最初期に適当に捕まえたポケモンでクリアしたんですが普通にプレイする場合もう少しじっくりといろんな種類のポケモンを捕まえて育てながら進める方が多いと思います。
強敵が現れたらそのポケモンと相性がいいポケモンを捕まえてじっくり育ててという進め方ですね。
僕はもうとりあえず手元にいるトカゲとハチとネズミで行くところまで行くぜと思ってそのまま終盤まで行ってしまいました。
初代ポケモンについては配信とは関係なくまた改めて普通に遊びたいなと思っているので
その時はじっくりといろんなポケモンを捕まえたり育てたりして楽しみたいなと思っています。
ラスボスの使うポケモンなんですがゲーム開始時に選べる3種類のポケモンのうちどれを選ぶかでラスボスの使うポケモンの構成が変わるみたいです。
プレイヤーが最初に選んだポケモンの弱点をつくような属性のポケモンをラスボスは最後のポケモンとして繰り出してくるみたいです。
そしてサンセツコンさんは今お子さんがポケモンに夢中で一緒にポケモンを楽しまれているということで
いやーそれってとても素敵ですね。向上心や探求心を育む素晴らしい教材と書かれてますが本当におっしゃる通りだと思います。
お子さんにとって可愛いポケモンと一緒に冒険ができるというのはとても敷居が低くて入りやすいと思いますし
大人を夢中にさせる深いゲーム性ややり込める要素もあるポケモンって本当に素敵な作品だと思いますし好きない魅力があるなって思います。
今後のゲーム配信についても楽しみにしてくださっているということでありがとうございます。
そうですね次回はあまり長くならないジャンルでサンセツコンさんが書いてくださったようにアクションとかシューティングがいいかもしれませんね。
もしくはクリアできなくても決めた時間内で終わりますという配信にするとか
いずれにせよ今回みたいな長時間の配信はもうないんじゃないかと思います。
ゲーム配信については不定期ではありますがセミラジオと合わせて楽しんでいただけると嬉しいです。
というところでサンセツコンさんお便りありがとうございました。
それではそろそろ本編に行きたいと思います。
今回は夏目漱石という作家の草枕という小説についてですね。
夏目漱石日本文学史における大作家で一昔前は千円札に肖像が印刷されていた人ですね。
夏目漱石の千円札は2007年まで発行されていたそうです。
実はごく個人的なことなんですが漱石と僕は誕生日が同じでして1月5日なんですけども
草枕のテーマと芸術論
なので昔から割と親しみを覚える作家ではあったんですよ。
ただ改めて調べてみたら漱石の生まれた1月5日というのは旧暦の1月5日ということみたいで
今使われている新暦だと2月9日に当たるんだそうです。
なのでそこはちょっとずれが生じているんですけども
なので漱石は新暦つまり西暦の1867年2月9日に生まれて
1916年12月9日に49年の生涯を閉じたということなんですが
実はさっき漱石の亡くなった年齢を改めて知ってちょっとショックを受けてました。
49歳。 夏目漱石って49歳で亡くなってたんですね。
ちょっと驚きました。 というのはですね今年の1月5日で僕は43
43歳になったんですけども漱石って千円札の肖像とか残されているモノクロ写真も
立派な髭を蓄えていて今の自分の年齢よりもっとずっと年上なイメージを持ってたんですよ。
でも49歳で亡くなったということはそういう写真とか写真をもとに描かれた肖像画とかも
40代の漱石を写しとっていたものだったっていうことですよね。 なんかそこに結構びっくりしましたし
軽くショックを受けましたね。 ジョジョ第5部のブチャラティの年齢を追い越した時も軽くショックを受けたんですけどね。
え? ブチャラティって20歳なの?的な
そんなこともありましたよね。 まあブチャラティは置いておいて夏目漱石のお話ですよね。
今回お話ししたい草枕という作品なんですが明治39年、西暦で言うと1906年に発表されました。
1906年。 今年が2025年ですから120年くらい前の小説になりますね。
今回は草枕をネタバレありでお話ししていこうと思っているんですが 120年前の小説なのでネタバレがどうこうという感じではもはやないかもしれません。
ちなみに夏目漱石の小説というと、僕は学生時代国語の教科書で心という作品を読んだんですが、今の教科書にも載ってるんでしょうか。
心もすごい作品ですよね。 で話を戻して今回の草枕なんですがどういう作品かと言いますと
主人公は絵描きをやっている30歳の男性で、その主人公が人里を離れた山奥にある温泉宿に投流するんですね。
で、そこでいろんな人々や風景に出会いながら芸術論や人やその当時の日本社会などについて思いを巡らせたりします。
また温泉宿に投流する中である女性と出会い、ある種の緊張感を持った会話を交わす中でさらに考えを深めていく。
ざっくり言うとそういうお話なんですよ。 そんな風に概要だけ言ってしまうとそれ面白いのと思われるかもしれないんですが
これが面白いんですよね。 草枕は有名な序文があるんですがちょっとそのあたりを引用したいと思います。
山道を登りながらこう考えた。 地に働けば角が立つ。
城に差をさせば流される。 維持を通せば窮屈だ。
都角に人の世は住みにくい。 住みにくさが麹ると安いところへ引き越したくなる。
どこへ越しても住みにくいと悟った時、 詩が生まれて絵ができる。
どうでしょう? 短い文章なんですが人はなぜ絵を描いたり詩を作ったり文章を書いたり
ポッドキャストを配信したりするのかを端的に言い当てているような気がします。 序文の時点でこの切れ味の鋭さなんですよね。
でこの草枕という作品なんですが前編を通して登場するキーワードがありまして
それは非人情という言葉なんですよ。 この草枕の主人公は30歳にして自分が生まれてから
この30年間というもの人情やしがらみを重んじる世俗の世界に生きてきたなぁと10回するんですよね。
で主人公はまた人情とか苦しんだり怒ったり騒いだり泣いたりは世のつきものではあるけれど
そういうものに散々振り回されてきた結果ちょっともう飽き飽きしてしまったと言うんです。
そういう苦しんだり怒ったり騒いだり泣いたりっていう剥き出しすぎる感情は本当の芸術じゃないんだ。
それは本質的じゃないって考えるんです。 で非人情と言ったんですがこれは言い換えると客観史ということでもあります。
人は悲劇的なお芝居を見て涙を流したりするけど もしその悲劇が自分に降りかかってきたら
悠長に感動の涙なんて流していられない。 悲劇に対して主観的になってしまえばそれを芸術として受け取ることはできなくて
客観史してるからこそ芸術として味わえるんだ。 だから物事を芸術として捉えるには客観的な立場でいなければならないんだと
論を展開するんですね。 この辺りまではまあそういうふうに言えなくもないかと思うんですけども
この草枕という小説がすごいのはここからで だからこの旅は非人情の旅にしようと主人公は決意して
それを実践するんですよ 旅をする中で感情や心を揺さぶられるような
共感を呼ぶような同情すべき人や出来事に遭遇しようとも いちいち共感したり感情的になったりしない
何に遭遇しようとも主観を交えずあるがままに見て感情で捉えるのではなく 神秘感で捉えようと考えるんです
理屈はわかるんですがまともな精神状態ではできないことだと思うんですよね この草枕
物語の出発点からしてすでに狂気に一歩足を踏み入れているように思います ただ一方で主人公が言うようにそういう狂気こそ芸術っていうのもわかる気がします
手垢のついたエモーショナルな切り口の作品を これでもかと見せられるとそういうのもういいよって思う自分もいます
例えば映画館に行って見たい映画の前に流れる予告編なんか見ていると よくそういうことを思います
あー この映画は何か問題を抱えた主人公に序盤で転機が訪れて中盤あたりで物語が大きく動いて
おそらく終盤で最大の試練が訪れて感動のクライマックスに流れ込んでいくんですね 見事な様式美
確立された創作メソッドに沿って作られた 完成度の高い一品ですね
たくさんお金をかけて作ったんですね すごいな
そんな風に冷めた目で予告編を眺めることも時にはあります 消費されるためだけのエモーショナルな作品って
逆になんだか人間の尊厳を冒涜していいやしませんか とすら思うこともあります
なのでそういうステレオタイプから外れたり こちらの想像を上回るような作品に出会えた時は 嬉しいし感動も生まれるんだよなって思います
草枕の登場人物
この草枕という作品 主人公と通院になるナミーさんという女性が出てきます
このナミーさんは主人公が投入することになる温泉宿の一人娘で 一度はその村の一番のお金持ちと結婚したんですが
戦争の影響でその旦那さんが勤めてた銀行が潰れてしまって それで実家に戻ってきたという人なんですね
そう 草枕が発表される少し前の1904年から1905年は日露戦争があって
大日本帝国とロシア帝国とが戦争をしてたんですよね
草枕の作品世界の中では今まさに日露戦争が起きていて 平和な山奥の村からも出兵していく若者がいるという時系列になってます
でそのナミーさんなんですがちょっと情緒不安定なところのある 奔放な気質の人で美しい顔立ちをしているのでいろんな人の目を惹くんですが
それによるトラブルもいろいろとありまして 主人公がその村を訪れる以前にはこんなこともありました
村のお寺で修行中だったお坊さんがナミーさんに片思いをしてラブレターを書いたんですが その若いお坊さんがお寺で和尚さんと一緒にお経をあげていたところ
突然ナミーさんがやってきて そんなに私が好きなら仏様の前で一緒に寝ましょう
みたいなことを言って抱きついてきたんですよ 大恥をかかされてしまったその修行中の若いお坊さんはもうそのお寺にはいられなくなってしまったんですが
そういうことがあったのにナミーさん本人はケロッとしてるんですね 主人公に対しても常に
ひょうひょうとした態度を崩さずに お互いに牽制し合うようなピリピリした会話が展開されていきます
ナミーさんはそういうひょうひょうとした態度を崩しませんし 主人公はこの旅は非人情で行くと決めてますから
常に一定の緊張感が生まれるわけです 非人情の旅を貫こうとする主人公と一見非人情の振る舞いを続けるナミーさんの2人がこの物語の主軸になっているんですね
ナミーの感情の変化
ある時主人公が散歩をしているとナミーさんが 武将ひげを生やした野生的な格好をした男にお金を渡している場面に遭遇します
この武将ひげの男は実はナミーさんの元旦那でナミーさんが渡したお金は 戦争に出兵するための支度金でした
元旦那は勤め先の銀行がつぶれて食うや食わずの生活をしているようで だいぶみすぼらしい格好をしてたんですね
その様子を少し離れたところで見ていた主人公は後でナミーさんに見つかるんですが ナミーさんは
だから何?という感じでいつものように明らかな感情を表に出すことはありませんでした
主人公は絵のテーマ、画題を求めてこの山奥の温泉地にやってきたんですが ここに来てからろくに絵を描いてはいませんでした
でぼんやりとあのナミーさんを描いたら絵になりそうだということを思うんですね
でナミーさんをどんな表情で描いたら絵になるだろうといろいろ考えを巡らせるんです
嫉妬、憎悪、怒り、恨み どれも強すぎるししっくりこない
そんな感じでですね で散々考えた挙句
憐れを帯びた表情がしっくりくるんじゃないかと主人公は考えるようになりました
憐れ 憐れとしか言いようのない表情
世俗にまみれていない感情であり かつ人間にしか作ることができない表情
ナミーさんにそういう表情を浮かべさせることができれば素晴らしい絵になる
主人公はそう考えるんですよ ただ普段のナミーさんが浮かべている表情といえば
人をバカにする薄笑いや人に勝とう 勝とうとする吊り上がった眉毛だけで
これじゃダメだ 絵にならないと思うんです
果たしてナミーさんのそんな表情を見る機会はあるんだろうか
主人公はまたそんな風に考えを巡らせ続けるんですよ
でそんなことを考えながら温泉宿に投入する中でナミーさんの老いが戦争に出兵するということで
駅まで見送りをすることになります で主人公もなんとなくなり行きでそこに同行することになるんですね
駅に着いて戦地に行く老いが蒸気機関車に乗り込んでも まだナミーさんはいつもの感じで素っ気なく
死んでおいでなどと言ってます なんですが不意に窓からひょいと顔を出した人がいて
それはナミーさんの元旦那だったんです 瞬間ナミーさんと元旦那は顔を見合わせて
元旦那は名残惜しげな顔を一瞬見せて すぐに引っ込んでしまうんですが
呆然と汽車を見送るナミーさんの顔には 今まで見たことがない哀れの表情が一面に浮かんでいました
そこで主人公が撮った言動行動は この草枕という作品の印象を決定づけるものでした
それだ それだ
それが出れば絵になりますよ 主人公はナミーさんの肩を叩きながら
そう小声で言うんです そうしてこの草枕という作品は終わっていくんですね
戦地に向かう元夫を言い尽くせない表情を浮かべて見送る女性に 主人公はそういうことを言うんですよね
主人公は冒頭でこれは非人情の旅だと決意した時のまま 守備一貫して情を出したり共感したり
寄り添ったりすることなく非人情と客観視を貫いたんですよね ここが突き抜けてるなって思いますし
草枕でしか得られない栄養があるなって思うところです 今回事細かに話さなかったんですが
この草枕には漱石の芸術論や現代社会への考えもいろいろと書いてあって 今読んでも時代遅れな感じはなく
すでに120年前の時点で今現在に通じる構造や問題って生じてたんだなって思います
また豪安の床屋さんによって 主人公の首がもげそうになるというシーンもありまして
このシーンは漱石の優れたユーモア感覚が発揮されていて とても面白く読むことができます
草枕は岩波書店などから新品の文庫本も買うことができますし
青空文庫というアプリを使えばスマホで無料で読むこともできます とてもおすすめの作品なのでご興味があればこの機会に概要欄からチェックしてみてくださいね
セミラジオではお便りを募集しています
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今回は夏目漱石作 草枕についてお話しさせていただきました
ご視聴ありがとうございました
29:26

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