皆さん、こんにちは。自然を愛するウェブエンジニア、セミラジオです。 今日は90年代少年ガンガンの熱き漫画たちについてお話ししたいと思います。
今回は月刊少年ガンガンという漫画雑誌と掲載されていた漫画についてお話ししたいんですけども、皆さん、ガンガンってどんなイメージがあるでしょうか。
90年代に連載されていたロットの紋章や南国少年パプア君、もしくは魔法陣ぐるぐるでしょうか。
パプア君や魔法陣ぐるぐるはテレビアニメにもなってましたね。 それとも2000年代初頭から2010年まで連載された鋼の錬金術師でしょうか。
もしくは最新号の表紙を飾っているおじさまと猫でしょうか。 ガンガンという雑誌の名前は知っているけど、読んだことはないという方も少なくないのかなと思います。
僕自身は最近はガンガンも含めて漫画雑誌を迷子を買って読むという習慣がほぼありません。
web 漫画雑誌の少年ジャンププラスだけは普通の軽音部という漫画の最新回を読むためにちょいちょいアクセスしてるんですけども。
なので今回は最初に述べた通り90年代のガンガンと掲載作品についてお話ししていきたいと思います。
どうして今90年代ガンガンのお話をするのかということなんですが、この頃のガンガンに掲載されていた漫画ってどの作品もものすごくテンションが高くて個性的で
一種独特な熱気を帯びてたんですよ。それをリアルタイムで目撃して体感したものとしてその熱さを少しでも皆さんに感じてもらえたらいいなと思っています。
そもそもこのガンガンという雑誌なんですけど成り立ちが少年ジャンプとかマガジンとか大手出版社の漫画雑誌とは少し違っていました。
ガンガンは1991年3月に創刊されたんですが出版社はエニックスでした。現在のスクエアエニックス、通称スクエニの前身となる会社ですよね。
当時から今に至るまでドラゴンクエストというゲームのシリーズを主力商品としている いわゆるゲーム会社です。このゲーム会社のエニックスが突如として
異業種である出版部門に参入し漫画雑誌を立ち上げたわけです。 実はこのガンガン創刊の前段階としてドラクエ4コマ劇場という4コマ漫画のシリーズがありました。
これはエニックスが有する最強の ip であるドラクエを題材にいろんな作家さんが個性豊かな4コマ漫画を書いてそれを単行本化したもので、1991年の時点でシリーズ累計500万部を売り上げていました。
このドラクエ4コマ劇場の成功がエニックスに漫画雑誌を立ち上げるということを決断させたのではないかと思います。
なので1991年3月に出た創刊号ではこのドラクエ4コマ劇場も主力作品として連載を開始しています。
そしてドラクエからはもう一つ ガンガンを引っ張っていく看板作品としてドラゴンクエスト烈伝
ロトの紋章という作品が創刊号から連載開始していました。 これはゲームのドラクエと世界観を共有するオリジナルのストーリー漫画で
時系列的にはドラクエ3の物語から約100年後の世界を舞台としています。 作画を担当した藤原神井の描線も安定感があってスタイリッシュでかっこよかったですし
ストーリーも少年漫画の王道 きっちり抑えましたという感じで明日ともに初期ガンガンの看板作品だったと思います
ドラクエ本編に登場する2つの魔法を掛け合わせた合体魔法というのもロトの紋章には登場しまして
氷魔法のマヒアドと風魔法のバギクロスを掛け合わせた合体魔法マヒアロスみたいな この漫画でしか見られない強力な合体魔法が次々に登場したのも印象的でした
そんな2つのドラクエ関連作品を主軸にスタートを切ったガンガンだったんですが もちろんそれ以外にも非常に充実したラインナップの漫画が掲載されていました
実はエニックスはガンガン創刊に当たり 新しい才能を発掘するためにエニックスファンタジーコミック大賞という漫画の新人賞を創設していました
今回調べていてびっくりしたんですが このエニックスを作った新人賞の賞金総額
皆さんいくらだと思いますか エニックスが立ち上げた漫画の新人賞
エニックスファンタジーコミック大賞は賞金総額1000万円です 今現在漫画をメインにした出版社って少年ジャンプを出している周囲者が
発行部数的にはトップだと思うんですが この周囲者が今現在も開催中の漫画の新人賞に手塚賞というのがあります
これは入選つまり最優秀賞で200万円 賞金総額は350万円です
エニックスは当時その手塚賞の約3倍の賞金をかけて新しい才能を発掘しようとしたわけです
賞金をたくさんかけたからイコール良い作品が生まれたということを言いたいわけではないんですが
当時のエニックスの力の入れようが感じられますよね そしてこの漫画賞で大賞を受賞した
ハーメルのバイオリン弾きの渡辺道明 ゼットマンの西川秀明
南国少年パップワークの柴田亜美などの作家たちがこの新しく生まれたばかりのガンガンという雑誌で人気を博していくことになります
ここからは僕がガンガンを読む中で特に印象深かった作品についてご紹介していきたいと思います
それぞれの作品についてネタバレありでお話ししていきますのでご注意いただければと思います
91年に創刊されたガンガンだったんですが実は僕は創刊後からは読んでいませんでした
僕がガンガンを読み始めたのは創刊から2年ちょっとが経過した 1993年の9月頃からでした
なぜそれを覚えているかというとその頃僕はコロコロやボンボンという少年漫画誌をメインに読んでたんですが
ある時弟のゆうすけがそのガンガンという初めて見る漫画雑誌を買ってきたんですよ
でその後に以前セミラジオでもご紹介した トルネコの大冒険というゲームの紹介記事が載っていて
僕はその記事を読んでスーファミのトルネコの大冒険を買ったんですよね
なのでよく覚えてるんですけどもガンガンを読み始めた時点で当時僕は小6でしたね
まさしく少年と言っていい年頃だったわけで当時そのガンガンに掲載されていた 厚口しようがたぎるようなストーリー漫画や過激なギャグ漫画の数々は
思春期に差し掛かっていた僕の心に刺さりまくったんですよね
その中でも最初にご紹介したい漫画はハーメルのバイオリン弾きという作品になります
作者は渡辺道明 この人は先ほど話したエニックスファンタジーコミック大賞で大賞を受賞し
その受賞作であるハーメルのバイオリン弾きを第一話として連載を開始しました
この作品は中世ヨーロッパ風の世界を舞台としたファンタジー漫画で剣士や魔法使い 魔物が存在するハイファンタジーに属する作品になります
なんですが一風変わっているところが色々とありまして 主人公のハーメルはそんな剣と魔法の世界の中でどうやって戦うかというと
剣でも魔法でもなく超特大バイオリンを使って戦います 剣と魔法の世界の中でバイオリンで戦う主人公なんですよ
この時点でかなり変わってますよね そしてこのハーメル一見金髪の美青年という感じの造形なんですが
性格的にはかなり癖がありまして 第一話で主人公であるこのハーメルが登場するシーン
僕は未だに鮮烈に記憶してるんですが とある森の中を一人の少年が歩いているとちょうどこのハーメルがバイオリンを弾いているところに
出くわすんですよ 少年曰く心の奥まで澄み通るような温かく優しい曲をハーメルが見事に弾きこなしているんですね
その曲を聴いていると少年の心に優しかったお母さんの記憶が蘇ってきて 少年は思わず涙してしまいます
そしてその曲の美しさに引き寄せられてか 平和の象徴である鳩たちがハーメルのそばにやってきます
少年が時間を忘れてその光景に見入っていると ハーメルはおもむろにバイオリンに手を伸ばしそのバイオリンを鳩たちに容赦なく振り下ろしていきます
ハーメルはその場にいたゴアくらいの鳩を バイオリンのフルスイングで仕留め手慣れた様子で焼き鳥にしてしまいます
けっ、今日も鳩肉かよ、しけてやがるぜ というセリフからハーメルが日頃からこうやって鳩を焼き鳥にして食べていることが伺えるわけなんですけども
いやー 初めてこの第1話を読んだ時は衝撃を受けましたね
すごい主人公だなぁと思いましたし めちゃくちゃ笑いました
ハーメルってこういうかなり傍若無人な振る舞いをするキャラなんですよね その様子は作品のギャグパートでのびのびと描かれています
魔物に襲われていた村を助けたかと思うと 報酬として多額の請求書を村長に渡して払えないとなるや
村の女の子たちをバニーガール姿にさせて バブリーな宴を開かせたり
余興として村長に裸踊りをさせたりします ただそんなハーメルなんですけどやはり少年漫画の主人公らしく
根は悪いやつではなくてですね 困った人に手を差し伸べる優しい心も持っています
人を殺すことを何とも思っていない 凶悪な魔族が村を襲うというシチュエーションがこの漫画ではちょくちょく発生するんですが
そんな時ハーメルは必殺の特大バイオリンを使って戦います 貴様には地獄のレクイエムがふさわしい
などの決め台詞とともに演奏を開始します 例えば第1話ではシューベルトの子守唄という曲をハーメルは演奏します
この曲は芸術的な歌曲を数多く作り 歌曲王と呼ばれたシューベルトが母親の優美さ
愛しい我が子への愛情を自然な音の動きで見事に表現した 名歌曲だという解説が入ります
ハーメルは魂の演奏でそれぞれの曲に込められた思いを引き出し それによって敵を倒すことができるんです
このシューベルトの子守唄を演奏した結果 どうなったかというと少年の両親を無慈悲に殺めてしまった
筋肉ムキムキの屈強なモンスターがすっかり戒心して最終的には お母さんって呼んでも構わないのよ
と少年に迫るというオチがつきます このギャグとシリアスの両面攻撃というのもハーメルの大きな特徴の一つですね
普通そこまでギャグにしないだろうっていう 猟奇まで踏み込んでギャグにしちゃうんですよ
そこが好き嫌いの分かれるところではあるんですけど 僕は大好きで1話は今お話したようにほぼほぼギャグ
途中シリアスになるものの最後はギャグで落とすという感じになってるんですが このギャグとシリアスの波状攻撃は連載が先に進むにつれ
さらに過激に強烈になっていきます シリアスな展開の時はとことん盛り上げてくれてページを読み進めるスピードがどんどん上がっていきますし
ギャグはギャグで徹底的にやるんですよね こういう漫画って当時もあまりなかったと思います
ギャグもシリアスも両面あるという漫画は当時からあったんですけど ハーメルのバイオリン弾きはどちらも振り切ってるんですよね
作者の渡辺さんは本当に漫画が大好きで サービス精神の塊みたいな人なんですよね
で実はこの演奏で敵を倒すというハーメルの必殺技なんですが 一つ大きな弱点がありまして耳栓をした敵には効かないんですね
第3話の時点で過去にハーメルにやっつけられて復讐を誓った魔物というのが 用意周到に耳栓をして現れるんですがこの敵にはシューベルトの子守唄なども効かないわけです
第3話にして最大のピンチが訪れるわけなんですけど 実は対抗策はありましてハーメルが訪れた村でピンチを救ったフルートという女の子がいるんですが
ハーメルはベートーヴェン作曲のバイオリン競争曲に 蝶々という曲を演奏してフルートに効かせます 実はこれはハーメルのマリオネットという技です
この曲は聞く人の潜在意識を呼び起こし 壮大した感情を力に変えることで通常の能力を何百倍にもする必殺技なんですね
この必殺技によって女の子であるフルートが巨大なモンスターを物理的な力で圧倒し ふるぼっこにすることができるんです
これにより耳栓をしている魔物も倒すことができるんですね ただこの技は副作用があって技が解除された時に死ぬよりもつらい
地獄の筋肉痛に襲われ さらに1回ごとに寿命が3年縮むというとんでもない技なんですよね
この後フルートはハーメルと行動を共にすることになるんですが 作品中で何度もこのマリオネットで戦わされる羽目になる悲劇のヒロインなんですよ
ハーメルにかなりコキ使われるんですが それでいてちゃんとフルートとハーメルのラブコメも描いてしまうあたり
やっぱりこのマンがすごいなって思います ということでハーメルというキャラはバイオリンでクラシックの名曲を弾きこなし
その曲に込められた力を引き出して戦うという人なわけなんですが この漫画ハーメルやヒロインのフルートも含めてほとんどのキャラクターが音楽に関係した名前になっています
大魔王直属の魔界軍王という始天皇的なポジションの敵キャラクターもいるんですけども それぞれドラムギータサイザーベースという名前になっています
これはそれぞれ楽器のドラムギターシンセサイザーベースから来てますね でメインキャラの一人には黄金のピアノ使いライエルという人もいまして
この人も一見中肉中税という感じの人なんですが 普段から巨大な黄金のピアノを背負って歩いているというものすごい怪力の持ち主です
絵面がすごいんですよね 常にピアノを背負ってますから
この人は実はハーメルの幼なじみなんですが ハーメルのせいで僕は両親を失ったと考えてハーメルをつけねらっています
どういうことかというとハーメルの出自にも秘密がありまして 言ってしまうとハーメルというキャラは大魔王の息子なんですよね
そのことがライエルの両親の死に関係しているわけです ハーメルは人間と魔王のハーフで人を慈しむ心と裏腹の激しい攻撃衝動を何とか抑えながらこれまで生きてきた
という宿命を背負った主人公なんです そしてライエルはハーメルを両親の仇として倒すためにやってきたわけなんですが
そんなライエルを止めるのがヒロインのフルートなんです 普段は道化を演じつつ深い悲しみを背負ったハーメルとそれを支えようとする
深い慈しみの心を持ったフルート この2人を主軸に過激なギャグも交えつつ
ハーメルのバイオリン弾きという作品のドラマは紡がれていくんですね 僕は小6の時にこの漫画に出会ってものすごくハマりまして
今回久しぶりに読んだんですが改めてこの漫画のことを好きになりました ハーメルのバイオリン弾きの作者渡辺道明のアシスタントで川瀬ひろしという漫画家がいるんですが
その方がご自身のブログでハーメルを連載中の思い出を綴ってまして それを今回読んだんですが
渡辺道明という人は本当に漫画が大好きなんだなぁということがひしひしと伝わってきました
ガンガンて一時期月刊誌から各種になったんですが この各種家はトップダウンでかなり強引に進められたみたいで
対応できない作家さんは各種家が決まった時点で離脱してしまいましたし 残った作家さんにもとてつもない負担を強いる結果になりました
結果数年で元の月刊誌に戻りましたね このガンガンの各種家というのは大失敗だったんじゃないかと思います
そんな各種家の期間中 もともと1は45ページだったハーメルンだったんですが
1は30ページに減ります ただそれが月2回なので月産45ページだったのが月産60ページになったわけですね
でハーメルンでは1は30ページに減ったことにより作品としてのペースが狂ってしまい 思うように話を進められなくなってしまったそうなんですよ
そこでどうしたかというと各種のまま 1は45ページに戻すという決断を作者の渡辺さんはしたそうなんです
月産90ページですよ 作品によりますけど週刊漫画の連載より下手するとたくさん書いてたんですよね
すさまじい仕事量だったと思います ただこの月産90ページというのは当然ながら作者にもアシスタントにも極度の負担がかかり
アシスタントの河瀬さんは問い合いで便器を抱えたまま意識を失うという経験もされたそうです
そんな苦労話も読んだ上で改めてハーメルンを読んでみると僕は すごく感謝の気持ちが湧いてきます
単に苦労して書いたからということじゃなくて もともとの漫画で人を楽しませたいという気持ちがものすごく強かったから
月産90ページという決断ができたと思うんですよね でこのハーメルのバイオリン弾きという作品は2001年に約10年の連載を終えて
完結してるんですけど実はその続編の 続ハーメルのバイオリン弾きという作品がありましてこちらが
全22巻で今年 完結しました僕はこの続ハーメルのバイオリン弾き
まだ読んでないんですがずっと 書いてたんですね
今回ハーメルのバイオリン弾きを読み返して物語に心を動かされて ちょいちょい涙を流してるんですが
この渡辺さんがずっとハーメルの続編を書いていて それが今年完結したってことを思うと違う種類の涙が出てくるのを
抑えられません この続ハーメルのバイオリン弾きというのはガンガンとか
スクエニの出している雑誌で連載されていたわけじゃないんですよ 作者の慈悲出版による電子書籍でひっそりと連載されてたんです
ただ書きたい ハーメルの続きを書きたいという気持ちで書いたんだと思います
しばらくハーメルから離れてたんですけど今そういうふうに思うんですよね ハーメルも改めて全巻読み返したいなと思ってますし
この続ハーメルのバイオリン弾きの方も読もうと思っています どちらも今ならkindleで気軽に読むこともできますからね
ここまで聞いていただいて少しでもご興味が湧いた方は まずは初代ハーメルのバイオリン弾きの一巻を
kindleで読んでいただくといいんじゃないかと思います 一巻の時点で作品の雰囲気や方向性は十分感じられると思います
ハーメルのバイオリン弾きおすすめです 続いては南国少年パプワーくんです
作者の柴田亜美はドラゴンクエスト4コマ劇場でシュールなギャグ漫画を発表し 人気を博した人で読み切り漫画ソードマスター剣王伝説で先ほどお話しした
エニックスファンタジーコミック大賞の奨励賞を受賞しました そしてガンガン総刊号から南国少年パプワーくんというギャグ漫画を
掲載し本格的に漫画家としてのキャリアをスタートさせました 南国少年パプワーくんアニメ化されたのでご存知の方も多いんじゃないかと思います
パプワー島という南の島に住む謎の少年パプワーくんと愛犬のチャッピー 島に流れ着いた新太郎という青年を中心としたドタバタギャグ漫画でした
この漫画の舞台であるパプワー島には人の言葉を話す 他種多様な謎生物が多数生息しています
網タイツを履いたシャベルタイのタンノくん 巨大カタツムリのイトーくんあたりが有名ですね
前半はそういったヘンテコ生物が次から次へと出てくる 先の予想のつかないギャグ漫画という感じで破天荒で楽しかったです
余談なんですがパプワー島には上半身が人間の男性 下半身が多数の触手が生えたイカ人間のウミギシくんというキャラが出てきます
これロマンシングサガ2というゲームに出てくる 七英雄のスービエというキャラにそっくりなんですよね
時期的にはこのウミギシくんの登場の方が早いんですが ひょっとするとロマサガ2の制作人にパプワーくんが好きな方がいたのではないかと妄想したりしています
そんなパプワーくんなんですが中盤以降ガラリと話の方向性が変わって シリアスなバトル漫画的な展開になっていきます
今回僕は初めてその中盤以降の展開を読んだんですが なかなか読むのが大変でした
前半の楽しいドタバタギャグが好きだったというのもあるんですが 純粋にシリアスなバトル漫画として見た時にも
この中盤以降のパプワーくんの展開って結構厳しいなと思いました というのはスピード感を持って読むにはちょっと話が複雑すぎる気がするんですよ
主人公ポジションの新太郎が物語の展開の中で一度命を落とすことになるんですが その後元々の黒髪の新太郎と金髪の新太郎に分裂して
黒髪の方は実はパプワー島に伝わる秘石が送り込んだ番人でした みたいな話になるんですけど
この時点で結構複雑な上にさらにその後も設定が2点3点するんですよね 新太郎の父であり秘石眼という超能力を持った
マジック総帥というキャラがいるんですけどこの人も弟が3人いて その弟のいずれも結構なボリューム感で話に絡んできます
新太郎からするとお父さんの弟たちということでおじですよね 新太郎のおじだけで3人いるんですよ
さらにものすごい超能力を秘めた 新太郎の弟とかもいて出てくるキャラ出てくるキャラ
新太郎の親族ばかりでしかも数が多くて もうちょっとキャラを整理できなかったかなぁと読みながら思いました
でさっき主人公ポジションの新太郎が2人に分裂したと言ったんですけど 実は金髪の方の新太郎がマジック総帥の本当の息子だった
ということでしばらく話が進んでいたかと思うと 実は幼い頃にすり替えられていて本当のマジック総帥の息子は別にいた
みたいな話が終盤差し込まれたりするんですよ もう十分話が複雑でこんがらがってるから
その最後のひとひねりもいらないかなーって思いました パプアクンの後半がバトル展開になるということ自体は知ってはいたんですが
こんなに複雑怪奇な話になっているというのは知らなくて 今回読んでいて驚きました
前半のドタバタギャグが面白かった反面 後半はその良さを生かせないまま 同じタイトルで違う漫画を始めちゃったような感じに見えましたね
とはいえこのパプアクンが前半で打ち出した 破天荒なドタバタギャグの世界観ってとても面白かったし魅力的でした
だからこそアニメ化されたわけですからね パプアクンはそんなところですね
この作品は今回のテーマである 90年代少年ガンガンの厚き漫画たちを体現したかのような一作になってまして
とにかく絵面の熱量がテンションが高いんですよ ページを開いた時に目に入ってくる
描線の数やインクの量がすごいって思うんですよね 圧倒的な熱量を感じます
絵だけじゃなくてキャラクターもセリフもすべての熱量が高いんですよ セリフも少年漫画の壺を抑えた
熱々のがたくさんありまして僕が好きなのは 主人公ナナシと行動を共にすることになる女戦士アジャンタが
腐れ下道的な敵キャラに対して言うセリフです 断じて許すまじ愚かな星と散れ
っていうセリフなんですけどこのセリフを言う時のアジャンタというキャラの行走も ただごとじゃなくて全部好きなんです
物語としては記憶を失った主人公の少年ナナシが実は世界を滅ぼすほどの力を持った イデアであることが割と初期の段階で明かされ
人間を喰らう邪神化イーディアとの緊張感のある 綱渡りのバトルが展開されていくことになります
両親をイーディアに殺されたイーディアハンターの青年 ギャンザーというキャラがいるんですがこのギャンザーが非常に良い味を出してまして
最初はナナシや同じく正義の心を持ったイーディアである アジャンタと敵対するんですがナナシとアジャンタに助けられたことをきっかけに徐々に心を
開き行動を共にするようになります 後半ではそんなギャンザとアジャンタとの間に生まれる
ラブコメ展開も見どころの一つになります そのあたりもこの漫画らしく非常に熱量高めに描写されてまして
アジャンタのセリフをちょっと引用するんですが 私あなたを愛したい女の子として女として
あなたの子供を産んで幸せに暮らしたいということを言うんですね この時点ではギャンザとアジャンタはキスすらしてないんですが
こういうセリフをズバッとキャラに言わせてしまい それを勢いと作画の説得力で読ませてしまうのがゼットマン流なんですよね
ちなみにこのセリフの直後のシーンではアジャンタは敵の手によって洗脳され ギャンザを狙う殺人マシーンと化します
そんなアジャンタに対してギャンザは首を跳ねられる寸前まで行くんですが 命がけでアジャンタを抱きしめて口づけを交わし洗脳装置を破壊するという
そういう展開になるんですが絵面と話の流れの熱量がとんでもないことになっています
このゼットマンの作者の西川さんはゼットマンの連載終了後 白戦車のヤングアニマルという雑誌で
職業殺し屋という漫画を10年ほど連載されていたので そちらでご存知の方もいらっしゃるんじゃないかと思います
ゼットマンは人と人の繋がり愛や優しさの大切さという エモーショナルな口にすると陳腐になってしまうようなことを圧倒的な熱量で説得力を持って
描き切った作品だと思っていて その熱量は未だに読む人の心に訴えかけるものがあると思います