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みなさん、こんにちは。自然を愛するウェブエンジニア、セミラジオです。
今日は、スーパーファミコンのシューティング製作ソフト、デザエモンに隠されたメッセージと、
それを解析してゲームのデータを外部に記憶する装置を自作してしまった猛者についてお話したいと思います。
このデザエモンというソフト、1994年にアテナ社よりスーパーファミコンで発売されたもので、
オリジナルのシューティングゲームを作ることができるソフトでした。
時期や敵キャラ、背景などの作画、BGMの作曲など、オリジナルのシューティングゲームを自作するための機能が一通り揃っており、
当時僕も購入して、オリジナルのシューティングゲームを製作していました。
その時僕が作ったのは、プルトニウムムーミンという、ムーミンの二次創作シューティングゲームで、
体内にプルトニウムを搭載したムーミンが、新ゴジラ張りのエネルギーを手に入れ、
凶暴化したムーミンダリの仲間たちと死闘を繰り広げる、という内容の縦スクロールシューティングゲームでした。
そんな風に自分の想像力次第で、オリジナルの世界観を表現することができたデザエモン。
メーカー公式の作品コンテストも行われ、プレステで発売したデザエモンプラスでは、
作品コンテストの受賞作品を実際にプレイすることもできました。
自分が持っているのと同じデザエモンというソフトを使って作ったとは到底思えない、
ハイクオリティな受賞作品を実際プレイしてみて、驚愕したのを覚えています。
そんなデザエモンなんですが、今回のメインテーマである隠しメッセージについてご説明させていただきます。
このメッセージは発売から22年経った2016年に発見されたもので、
通常の操作ではたどり着くことは不可能なほど厳重に隠されていました。
ソフトの解析を行った方によって発見されたようです。
隠しメッセージを表示させる詳しい方法はネットで、
デザエモン隠しメッセージ裏技などと検索すれば出てくるので、
試してみたい方はチェックしてみてほしいんですが、
電源を入れてからタイトルでリセットした後でさらにコマンドを入力し、
その後でタイトル画面のある箇所で決定ボタンを押すという感じのもので、
解析以外で発見するのは不可能だろうと思われます。
隠しメッセージの内容は以下の通りです。
ここでデザエモン3つの秘密を公開します。
1.どこだかわからないけどソースリストの一部公開
2.バックアップデータのアドレス
3.通信機能のヤバい秘密を大公開します
かなりヤバいところは伏せてあります。
お問い合わせには一切お答えできません。
ここで中略するんですけども、
秘密3.ジョイパッドポート1を使ってデータのやり取りができる
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つまり自分で作ったゲームをコンピューターで吸い出したり、
カセットに転送したりできます。
用意するもの
接続ケーブル・通信ソフトがあれば何個でもゲームを作ることができるし、
データの保存も可能である。
しかし接続ケーブル・通信ソフトは自作しなければならないし、
資料の公開はヤバすぎてできません。
アセンブラの知識と簡単なハードの知識と根気があれば作れるでしょう。
ここに抱えた秘密に関しての問い合わせは一切致しておりません。
電話連絡などはご遠慮ください。
というものです。
メッセージにもヤバいという単語が何度も出てくるんですけども、
実際ヤバそうな匂いがプンプンしますよね。
当時スーパーファミコンではASCIIが販売していたターボファイルという外部記憶装置があったんですが、
デザインもは対応していませんでした。
このメッセージ、
そういう公式の任天堂が認めた機器を使わなくても、
コントローラーのポートを経由してゲームデータを外部に記憶したり、
別のソフトに転送したりが自由にできる仕組みをこっそりデザインモンに用意しておきましたよ、
ということが書いてあるんですね。
これ、何がヤバいって言うと、
例えば今で言うとiPhoneのデータとかアプリを自由に抜き出して外部に保存したり、
別のiPhoneに転送したりする抜け道をこっそり作っておきましたよ、
みたいなことで、
当時でも限りなくグレーなことだったと思います。
ただ、こういうヤバい抜け道が用意されてはいたんですが、
実際にこのメッセージを読んでも、
そういうデザインモンのデータを外部に保存したり、
カセットに転送したりする装置を実際に作ることは、
非常に困難なことなんですね。
まず、接続ケーブルや通信ソフトは自作しなければならない。
その開発に必要な最小限のヒントはメッセージ内で公開されているんですが、
詳細な資料はない。
メッセージ内にあったアセンブラーというのは、
一種のプログラミング言語なんですが、
そのプログラミング言語の知識と、
簡単なハードの知識と根気があれば作れるでしょう、
と書かれているんですが、
ごく最近まで実際にスーファミのデザインモンのデータを
外部に保存したり、カセットに転送したりする装置を
作った人は現れませんでした。
つい最近までは、ということなんですね。
2021年7月にアプリ開発者のひろうみんさんという方が、
YouTubeにある動画を投稿されました。
その動画の内容は、デザインモンの隠された通信機能を独自に解析し、
実際に自作したケーブルや通信ソフトを使って、
デザインモンで作成したデータを外部に保存したり、
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逆に通信ソフトからデザインモンに書き込んだりする、
というものでした。
これは確認されている限り、
デザインモンの通信機能が正しく動作している様子を
捉えた世界初の動画で、
実にソフトの発売から27年後のことでした。
その動画は、デザインモンの未解決の隠しメッセージについて
知っていた方々に大きな衝撃を与えました。
これがどれくらいの異形なのか、
できる限り噛み砕いて説明したいと思うんですが、
まずこの隠された通信機能の画面にアクセスすること自体は、
裏技のコマンドを使えば簡単なんですね。
しかし単にその画面を開くと、
スーパーミニに繋がれているコントローラーの種類が一瞬表示されるだけで、
そこから先に進むことができないんですね。
そこで具体的に何をどうすればいいか、
という詳しいことは隠しメッセージには含まれていません。
全体的に匂わす程度にしか書かれてないんですね。
そのノーヒントで先に進めない状況を、
ヒローミンさんご自身が、
開かずの扉と表現されてましたが、
実にしっくりくる表現だなと思います。
実際にそこから先に進むには、
コントローラーポートに自作のケーブルやら機器を繋いで、
デザイモン側で用意されている規則に従って、
電気信号を送ったり、他にもあれやこれやをしなければならない。
それを全部自分で考えなければいけないんですね。
このヒローミンさんという方がすごいのは、
もともとソフトウェアやハードウェアについての深い知識をお持ちで、
自作の外部記憶装置を作り上げたこと自体ももちろんすごいんですが、
詳しい仕様書の存在しない未知のシステムに対して、
あらゆる面からアプローチして、中身を推理する推理力、
そしてなかなかうまくいかなくてもチャレンジするスピリットだったのかなと思います。
このデザイモンの通信システム、
ヒローミンさんが達成するまで誰も解決できなかったのは、
詳しい仕様書があるのであれば、
それを読み解く知識がある方がことに当たれば解決できたと思うんですが、
そういうものがなく、断片的にしか情報がないものを、
足りないところを推理で埋めてトライアンドエラーしていくというのは、
誰にも解読されていない文字を解読する作業に近いものがあるのかな、
という気がしています。
このヒローミンさんがデザイモンの謎に挑戦することになったきっかけがまた良くて、
過去にヒローミンさんと共同でアプリを開発されていたインデゴさんという方が、
こういうデザイモンというソフトの未解決の謎があるんだけど、
ヒローミンさんなら解決できるんじゃないかと思う、
という風にツイッターでヒローミンさんに対してネタ振りをされたことからスタートしていたんですね。
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その関係性が素敵ですよね。
この人ならできるかも、という感じで、ちょっとこういう良いネタあるんですよ、
という感じで振ってみて、ネタを振られた方は全然知らなかったけど、
振られたからにはやってみるか、という感じで試行錯誤されながら、
一時はギブアップ寸前まで生きながら、最終的には謎を解明して成果物を作ってしまうという。
そしてこのヒローミンさんのデザイモン通信機能の解明に関するツイートや動画に反応して、
デザイモンの隠しメッセージや通信機能をゲームに入れ込んだ長本に、
当時のスタッフのタバタさんがツイッターに降臨するんですね。
タバタさんのツイートを引用させていただきますと、
作ったものです。
仕込んだ通信モジュールは単純に自分の思いつきで実装したものです。
コンテストもですが、アテナ社内ツールとして運用されました。
ツール名転送君。
開発補助機材として運用されました。
27年越しの謎解き、おめでとうございます。
さっきデザイモンの作品コンテストの受賞作品が、
プレステのデザイモンで遊べると言ったんですが、
そうするとスーファミで作ったデザイモンのデータを、
どうやって抜き出してプレステのソフトに仕込むかという問題がありますよね。
そういう時にもこの隠しツールが活躍していたようです。
そしてツイッター上でヒローミンさんとタバタさんが交流する中で、
いろんな謎が解けていくわけです。
そもそもタバタさんがどういう思いであの隠しメッセージを入れたのか、
ということが気になるわけなんですが、
ご本人のツイートから要約させていただきますと、
やはりあの通信モードは誰かに使ってほしいという願いはあったのだそうです。
一つのカセットに一つのゲームしか保存できないのではなくて、
この通信モードを使ってたくさんゲームを作ってほしい。
当時ハードの制約でできなかったことを、
気概のある方に自らの手でハードを自作して実現してほしかったということなんですね。
ただあの隠しメッセージだけで実用的な記憶装置を作るのは不可能だと
タバタさんは考えていらっしゃって、
一般ユーザー向けに掲示板に匿名で全ての情報を公開する予定だったそうなんですね。
ただタバタさんによると、完全な情報を公開する前の第一段階として、
デザインもの隠しメッセージを表示するコマンドを1995年に掲示板で投稿したところ、
誰も反応してくれなかったそうです。
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2016年に解析によって発見されたこの隠しコマンド、
実は1995年、ソフト発売の翌年にはタバタさんが匿名で掲示板に投稿されてたということなんですね。
ただその時は誰も反応してくれなかったと。
それで外部記憶装置を作るための全ての情報を公開する予定だったのが、
誰も反応してくれないなら公開しても意味ないなぁという感じで、
公開しようという気持ちが失ってしまったそうなんですね。
結局今に至るまで、デザインもの隠し機能、外部記憶装置を作るための詳細の使用書は公開されることはありませんでした。
せっかく用意されたものの、このまま埋まれていくかと思われたデザインもの通信機能だったんですが、
ヒロウミンさんの解明により再び日の目を見ることになったということになります。
これを異形と言わずしてという感じですね。
タバタさんご自身も驚いたようです。
秘密1から3の少ない情報がこのような長い時間をかけて解明される謎解きのような振る舞いになるとは夢にも思いませんでした。
とツイートされています。
このデザインもの隠しメッセージにまつわるドラマ、非常に興味深かったのでご紹介させていただきました。
概要欄にいろいろと参考リンクを貼っておきましたので、ご興味のある方はチェックしてみてください。
今日はスーパーファニコンのシューティング制作ソフト、デザインもに隠されたメッセージと、それにまつわるドラマについてお話しさせていただきました。
ご視聴ありがとうございました。