みなさん、こんにちは。 自然を愛するウェブエンジニア、セミヤマです。
今日は、バッタが大発生する現象、蝗害についてお話ししたいと思います。
今回はバッタの大発生、いわゆる蝗害がテーマなんですが、こちら、いつもセミラジオを聞いてくださっている
タメヤケサオさんからいただいたテーマのリクエストをきっかけに特集させていただくことになりました。
タメヤケサオさんがツイッターのハッシュタグセミラジオで送っていただいたリクエストのツイートを読み上げさせていただきますね。
最近ハマっているラジオ、サブカル好きは気に入ると思う。 蝗害を扱ってほしい。
蝗変異とか意味不明すぎる。ということで、こちらのタメヤケサオさんのツイートで、セミラジオ始まって以来の初のテーマリクエストをいただきました。
タメヤケサオさん、リクエストありがとうございます。
バッタの大発生については、直近で言うと2020年にもアフリカで発生していまして、すごく大きな被害をもたらすということは知っていたんですが、
それ以上の詳しいことは知らなかったんですね。
今回セミラジオのテーマとして扱うということで、いろいろと調べてみたんですが、
いやー、調べれば調べるほど、バッタというのがとてつもない能力を持った生き物だということがわかってきまして、
バッタの生態や大発生について、いろんなエピソードがある中で、特に印象深かったところをピックアップしてご紹介できればと思います。
まず、バッタの大発生、蝗害はどういうふうに起こるのか、
蝗害が発生するとどんな影響があるのかについてお話ししたいと思います。
ちなみに蝗害の蝗は、虫に皇帝の蝗と書きます。
バッタやイナゴにもこの蝗という漢字は使われていて、
これは漢字の発祥地である中国で、バッタの大発生にいかに対処するかで、
時の皇帝の命運が決まったということから、その蝗という字がバッタに当てられるようになったとも言われています。
大発生を起こすバッタはいろんな種類がいるんですが、
特に被害が大きく、そのためよく研究されている種類が2ついまして、
それは、サバクトビバッタとトノサマバッタというバッタです。
サバクトビバッタは、アフリカ西部からサハラ沙漠、アラビア半島、
東南アジアの乾燥地帯にかけて、幅広く分布しています。
もう一種のトノサマバッタは、日本にも分布している一般種で、
北海道から沖縄まで全国に広く生息しています。
日本国外では、ユーラシア大陸の全域とアフリカに至るまで非常に広範囲に生息しています。
この2種類のうち、主にアフリカで大発生して甚大な被害をもたらすのが、
サバクトビバッタという種類です。
このサバクトビバッタ、どんなふうに大発生するかなんですが、
このバッタは、環境に応じて姿を変える変身能力を持っています。
もともとバッタは、周りの環境に応じて体の色を変える能力がありまして、
周りが乾燥して茶色っぽければ、体の色を茶色に、
草や緑が多ければ、緑っぽくなりやすいという傾向があるんですね。
トカギの仲間のカメレオンなんかは、その体色変化を瞬時に行うんですけど、
バッタの体色変化はもっと緩やかで、脱皮を行うことで体の色を変化させていきます。
で、住んでいる環境の背景色に合わせて体の色を変えるというのは、
わかりやすいですし、他の生き物もやってるんですが、
バッタはそれとは別に、相変異という特殊な変身をします。
サバクトビバッタは生息密度が低い環境では、
孤独層と呼ばれるモードで生活していることが多くて、
体の色は緑や茶色などで、交尾以外では他の個体を避けようとする傾向があります。
しかしサバクトビバッタにはもう一つのモードがあります。
これが群生層と呼ばれるモードで、
バッタの生息密度が高い環境で、お互いに刺激を与え合うことで姿が変化していくんですね。
群生層のバッタの体の色は、毒々しい黒と黄色のマダラ模様になり、
羽も長く伸びて、長距離を移動できるようになります。
このモードになると、なんと1日に100キロも移動できるんですね。
で、孤独層の時と違って、群れで行動することを好むようになります。
サバクトビバッタの大発生、公害の際に巨大な群れを作るのは、この群生層の方になります。
このバッタの大発生は、毎年必ず発生するというものではないんですが、
ひとたび条件が整えば発生するものでして、
4000万匹近くいたバッタを殺虫剤で100万匹近くにまで減らしたそうで、
残ったバッタも天敵のカビに感染して数を減らし、大発生は収束に向かったそうです。
この関西国際空港での大発生は天敵のいない孤立した島であること、
群生しやすい埋め立てされた平地であることによるものと考えられています。
2011年には沖縄の宮古列島に位置する下地島でサトウキビの食害が発生しました。
沖縄県の病害虫防御技術センターは調査の結果、サトウキビを食害している害虫はトノサマバッタであるという結論を出し、
その発生源が下地島空港の滑走路近辺であることを突き止めました。
大型送風散布器を使った薬剤散布によるバッタの駆除が行われました。
日本でも比較的近年にバッタの大発生は起きているということで、決して遠い国の出来事ではないんですね。
今回資料としていろんなバッタの本を興味深く読んだんですけども、
バッタ研究者の前野ウルド・甲太郎さんという方の書かれた
バッタを倒しにアフリカへと孤独なバッタが群れるときという本がすごく参考になりました。
このバッタを倒しにアフリカへはバッタのコスプレをした前野さんの写真が表紙になっていて、
かなりインパクトのある表紙なのでご存知の方も多いんじゃないかと思うんですけども、
この方は砂漠飛びバッタの現地調査のために西アフリカのモーリタニアという国に行って、
現地の方と協力しながら過酷な砂漠地帯で調査を行われたバッタ研究の最前線で活躍されている方です。
前野さんは日常的にバッタに触っていた影響でバッタアレルギーになってしまい、
バッタに触られるとひどいジンマシンが出るようになってしまったそうで、皮膚の上をバッタが歩くと歩いたところが全部ジンマシンが出るようになってしまったそうなんですね。
バッタ研究者としてすごく大変な状況だと思うんですけども、
バッタに触らなければならないときはビニール手袋をつけることで対策されているそうです。
前野さんのミドルネームであるウルドはモーリタニアで誰々への子孫という意味の由緒ある名前で、
前野さんのバッタ研究への熱心な態度に心を動かされた現地のバッタ研究所の所長さんが授けてくれたミドルネームなんだそうです。