1. セミラジオ ~生き物とサブカル~
  2. ニヴフ族(ギリヤーク)の昔話
2022-08-24 42:27

ニヴフ族(ギリヤーク)の昔話

サハリン・アムール川流域に暮らす少数民族ニヴフ族(ギリヤーク)。

ニヴフ族の昔話はいい意味で洗練されていない、メリハリの無いぬるっとした展開が特徴。

逆に言うと型にはまらず先が読めない、スリリングな展開が魅力です!

・熊と若い人妻
・恐ろしい赤児
・ケヌブン家の話


ギリヤーク民話(さんおん文学界・刊)
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東京するめクラブ 地球のはぐれ方 (文春文庫)
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チェーホフ「サハリン島」
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せみやまによるプルトニウムムーミン実況(YouTube)
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ブラウザゲーム・プルトニウムムーミン
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生物をざっくり紹介するラジオ ~ぶつざく~
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ススムアート
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FMみやこ
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【お便り&グッズ】

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00:01
みなさん、こんにちは。自然を愛するウェブエンジニア、セミラジオです。
今日は、ニヴフ族、別名ギリヤークという民族の昔話についてお話しさせていただきます。
前回お伝えしていたんですが、プルトニウムムーミンという無料ブラウザゲームをリリースしまして、
大変ありがたいことに、いろんな方に遊んでいただいてまして、ご感想もいただくことができました。
遊んでいただいた皆さん、感想をくださった皆さん、本当にありがとうございます。
そしてこちらも前回お伝えしていたんですが、YouTubeでプルトニウムムーミンのゲーム実況も配信しています。
自分で作ったゲームを自分で実況プレイするという試みで、動画編集に慣れていないこともあって、
ラスボスを倒したところで急に終わってるんですが、お時間あれば見ていただけたら嬉しいです。
ブラウザゲームの方も引き続き公開しておりますので、どちらも概要欄からチェックしていただけたら嬉しいです。
プレイしていただいた方から嬉しいメッセージをいただいていますので、ご紹介させていただければと思います。
まずはこの番組でよくご紹介させていただいているポッドキャスト番組、生物をざっくり紹介するラジオ仏作のパーソナリティトヨさんに、
プルトニウムムーミンを遊んでいただき、メッセージをいただきました。
ご紹介させていただきますね。
こちらTwitterでクリア時に流れるスタッフロールのキャプチャーを貼っていただいて、それにメッセージを添えていただきました。
オールスターじゃないですか。全てが壮大でした。
これは音をMAXでやるべきですね。
にょろにょろらへんで逃げちゃダメだって思いました。笑い。最高です。
というとてもありがたいメッセージをいただきました。
トヨさんありがとうございます。
このプルトニウムーミンという作品、ムーミンの二次創作かつエヴァンゲリオンの二次創作というものなので、
それを踏まえて逃げちゃダメだという、怒りしんじ君のセリフも入れていただいてますね。
トヨさんは以前仏作でもプルトニウムムーミンについてご紹介くださってまして、
今回もツイッターでプルトニウムムーミンを公開した直後にプレイしていただいて、
もう本当に嬉しかったです。本当にありがとうございます。
トヨさんは僕が仏作にお便りを送って以来、交流させていただいているんですが、
トヨさんによると、僕が過去にツイッターやブログにアップした、
製作中のプルトニウムムーミンの画像を見て衝撃を受けられたそうなんですね。
03:05
プルトニウムムーミン完成直前のツイッターでの告知にも、
これを見た時の衝撃は今でも覚えてます、というメッセージをいただいていまして、
やっとお届けできたことがとても感慨深いですね。
続いて、やはりいつもセミラジオで話題に挙げさせていただいている
イラストレーターのすすむさんからもありがたいメッセージをいただいています。
すすむさんからはLINEで何度かに分けてメッセージいただいてまして、
ようやくしてご紹介させていただきますね。
めっちゃ面白かったです。これはやっちゃいますね。
ATフィールドには笑わされました。うちのパートナーもエバ好きなので興奮してましたよ。
ということで、なんとすすむさんのパートナーさんもプレイしていただいたということでめちゃくちゃ嬉しいです。
すすむさんのパートナーさんもエバ好きということでますます嬉しいですね。
すすむさん、パートナーさん、ありがとうございます。
続けてすすむさんのメッセージ、ご紹介させていただきますね。
娘の感想です。ハラハラして面白かったと言っております。
かなり楽しんでやってましたよ。
エンドロールでの中学生の頃の話を読んで爆笑してました。
ということで、なんとすすむさんのお家ではすすむさんご本人、パートナーさん、娘さん、皆さんでプルトニウムーミンをプレイしていただきました。
こんなことってあるんですか?嬉しい想定外でした。
ハラハラして面白かったという新鮮なご感想もいただけて、このゲーム本当に作ってよかったです。
すすむさん、パートナーさん、娘さん、僕の作った奇妙なゲームを楽しんで遊んでいただいて本当にありがとうございます。
続いて、いつもツイッターでセミラジオのご感想を書いてくださっているkoshuさんからもありがたいメッセージをいただいています。
読み上げさせていただきます。
スナフキン強い。何度もチャレンジして最後は勝ってしまったが、その後のムーミンは孤独に打ち勝つことができるのだろうか。深い。というメッセージをいただきました。
その後のムーミンは孤独に打ち勝つことができるのだろうか。ということで、確かにそうなんですよね。
最後までプレイしていただくと分かるんですが、プルトニウムーミンでは主要なムーミンダイの仲間たちがほぼ全滅してしまっていまして、正直その先のムーミンの境遇とかあまり考えずに作ってしまったんですよね。
いやー我ながら恐ろしい作品を作ってしまったものだと思います。
koshuさん、改めてプルトニウムムーミンをプレイしていただき、メッセージもいただきありがとうございます。
06:06
そして以前もセミラジオでご紹介させていただいた宮古島のカモさんもプルトニウムムーミンをプレイしていただき、ツイッターでメッセージも送っていただきました。
読み上げますね。
世界観素敵です。面白い。
3回クリアしました。高校生の次男がこういうゲーム好きと言ってました。
ということで、カモさんもカモさんご本人と息子さんがプルトニウムムーミンをプレイしていただいたということで、いやーめちゃくちゃ嬉しいです。ありがとうございます。
すすむさんのお家でもそうだったんですが、ご本人だけでなくご家族にもプレイしていただけるというのが本当に予想外でめちゃくちゃ嬉しいです。
カモさん、そして息子さん、プルトニウムムーミン遊んでいただいてメッセージもいただきありがとうございます。
カモさんはFM都というラジオ局の平日月から金に放送しているキラリナイト都島という番組で、主に木曜金曜にアシスタントとしてご出演されているんですが、先日FM都でついにカモさんのお声を聞くことができました。
いやーカモさんいいお声でしたね。落ち着いた大人の雰囲気がありましたね。
カモさんのお声を聞かせていただいて、雰囲気的には面倒見のいいお兄さんというタイプなのかなと想像させていただきました。
カモさんはFM都ではサッペイというお名前でご出演されていまして、由来をご本人に伺ったんですが、サッペイはサッピーさんという女性アシスタントの代役から始まってつけた名前です、とのことでした。
いいですよね、その名付けの由来。生放送のライブ感で決まっていったんだろうなぁと想像したりしましたね。
FM都をちょくちょくチェックさせていただいてるんですが、全体になんだかとても温かい雰囲気でいいんですよね。
CMで流れる都島の方言も、僕が山梨を人間なので意味はよくわからないこともあるんですが、言葉の味わいがとても良くて、
FM都、パソコンやスマホアプリで無料で聞くことができますので概要欄から是非チェックしてみてくださいね。
お便りをくださったカモさんがサッペイさんとして出演されているのは、平日月から金の17時から19時に生放送している
キラリナイト都島という番組の主に木曜と金曜になります。
ということで、プルトニウムムーミンにお寄せいただいたメッセージをご紹介させていただきました。
09:02
皆さん改めて本当にありがとうございました。
それとですね、今回プルトニウムムーミンを作って思ったんですけど、やっぱり僕は人を楽しませることが好きだなぁとそう思ったんですよ。
このセミラジオについてもそうなんですけれども、以前もお話ししたんですが
仏作を知ってポッドキャストって面白いという興奮から勢いで始めたセミラジオだったんですけど
続けられているのは僕が人を楽しませることが好きだからなんだろうなぁと思ってまして
そしてこんな僕のカオスな話を聞いてくれている方々のおかげで支えられて続けられているんですけども
人がポッドキャストをやる理由って色々だと思うんですが
例えば仏作さんだったらメインパーソナリティのお二人、豊さんと白さんは教育を生業とされていて
仏作はいろんな年代の方が幅広く楽しんでいるんですけど
お二人が一番強く届けたいのはこれから生物を学ぼうとしている学生さんだと思うんですよね
すごく目的意識がはっきりされていて
すすむさんが配信されているすすむアートだったら
すすむさんの作品の背景にある物語をじっくりと語って共有するという
そういうすごくしっかりとしたコンセプトがあると思うんですけれども
僕の場合そういうはっきりした目的を言語化できないまま
まあでもなんか楽しいからなっていう感じでポッドキャストを続けてきたんですけど
ようやく明確になった気がしますね
僕は人を楽しませることが楽しんでもらうことが好きですね
中学生の頃にプルトニウムムーミンの原型を作ったのも
身近な誰かを楽しませたいという気持ちから来ていて
それは大げさに言うと自分の生きる原動力かもしれないですね
すごく大きな目的とか大目標とかはないんですけど
たまたまこのセミラジオを見つけてくれて聞いてくれた人に楽しんでもらえたら嬉しいなと
そんな風に思いますね
そんなわけでこれからもいろんな意味でマイペースなポッドキャスト
セミラジオですがお付き合いいただけたら嬉しいです
本編に移る前にもう一つ
先日先ほどもお話しに挙がったイラストレーターのすすむさんも参加されているグループ展
手の森に仏作の豊さんと一緒にお邪魔させていただきました
この手の森というグループ展はすすむさんを含めた5人の造形作家さんとイラストレーターさんによる展示で
12:07
東京阿佐ヶ谷のギャラリートレモローキューブで8月25日まで開催中なんですが
豊さんもいらっしゃるということでぜひご一緒できればと思いまして
日にちを合わせて一緒にお邪魔させていただきました
実は僕以前阿佐ヶ谷に住んでいたことがありまして
まさにギャラリーがあるあたりが以前の生活圏とかぶっていて
もともと住んでいた家の外観も久しぶりに見ることができて
懐かしい思いがこみ上げてきましたね
ギャラリーに行く前に豊さんと合流してから行ったんですが
豊さんとは初めてお会いしたんですが
いつも仏作でお話されている通りの穏やかで親しみやすい雰囲気の方で
とても気さくな感じでいろいろとお話しさせていただきました
すすむさんとは前回の全展という展示でお会いして以来
お会いするのは2回目だったんですけれども
今回もとても温かく迎えていただきまして
いろんな作品のバックグラウンドのお話ですとか
このポイントにこだわったという話をご本人のお言葉で聞くことができて
すごく素敵な体験をさせていただきました
グループ展てのもりなんですが
すすむさんのイラストをたくさん大きなサイズで見ることができまして
すすむさんが配信されているポッドキャストすすむアートの
カバーアートとして描かれた絵も大きなサイズでたくさん見ることができて
すごく見応えがありましたね
僕が大好きなすすむアートのエピソード
人を殺そうとしたAI電子レンジのイラストも大きなサイズで見ることができて
この部分こういう質感だったんだ
ですとかいろんな発見があってすごくそこも面白かったですね
前回すすむさんがご参加されていたグループ展全展でもお会いした
作家さんのシンさんやニトラカボチャさんともお話しさせていただいたり
ご参加されているそれぞれの作家さんの作品についてのお話や世界観についても
お話を伺うことができてすごく濃密な時間を過ごさせていただきましたね
展示の後夜には3人でオフ会ということで飲みに行ったんですが
それまで少し時間があったので
トヨさんをお誘いして吉祥寺の井の頭公園をブラブラしたりしてましたね
本当は井の頭公園の動物園に入ろうとしていたんですが
入園が16時までということになっていて
動物園の入り口に16時4分くらいについてちょうど入れなかったんですよね
15:03
なんですけど井の頭公園自体がすごく広くて自然が豊富なところなので
園内をブラブラするだけでも楽しかったですね
特に目的なくブラブラする時間って結構贅沢だと思うんですよね
でトヨさんと園内をブラブラするうちに公園内の神社についてたりして
僕は趣味の一つとして狛犬ウォッチというのがあるんですけど
これいい表情の狛犬だなと言って
iPhoneで写真撮ったり
あとは気ままにソフトクリーム食べながら色々話したりしてましたね
で夜はすすむさんと合流して居酒屋で飲みつつ
お二人と楽しい時間を過ごさせていただきました
3人で生き物のことやポッドキャストのことや
まあいろんなことを話していつまでも話がつきないという感じでした
ポッドキャストを通じて作ることができたこのご縁を本当に大事にしていきたいなぁと思いましたね
すすむさん、トヨさん、今回は本当に楽しかったです
また飲みに行きましょう
それでは本編に行きたいと思います
今回は二部付属、別名ギリアークの民話ということなんですが
二部付属、皆さんご存知でしょうか
二部付属は現在主にロシアのサハリンとその大陸側の対岸
アムール川下流部に住んでいる少数民族のことです
二部付属はもともとは漁業民族
つまり魚を捕ってそれを主食として暮らしてきた民族でした
また家畜としては犬を重視して犬を多刀買いして犬ぞり用に使ったり
その他伝統的な移動手段としてはスキーをよく使っていたそうです
夏は木で高床式の夏用の家を作って
冬は軒下の地面に穴を掘り下げて縦穴式の暖かい家を作って
それぞれ住んでいたそうです
かつてサハリンの南半分は日本領だったことがありまして
第二次大戦以降はロシア領になるんですが
その時に北海道に引き上げてきた二部付属の方もいらっしゃったんですね
二部付属の方たちに言い伝えられている
民話をまとめたギリヤーク民話という本が
三音文学会というところから出版されていまして
今僕の手元にあるんですね
どうしてこの本を買ったかなんですけど
もともとは村上春樹が教書で書いた
東京スルメクラブ 地球のはぐれ方という本を読んだことからスタートしています
18:06
この本で村上春樹は教書者である
津月京一氏 吉本由美氏の三人で結成した
東京スルメクラブの活動としてサハリンを旅するんですね
東京スルメクラブは大したもんじゃないけれど
くちゃくちゃ噛んでいるうちに味が出てくるのでは
というコンセプトのもとに結成されたクラブで
名古屋とか熱海とか清里とか
味わい深いいろんなスポットを三人で旅して回る
ちょっと斜め目線の楽しい旅エッセイ本なんですけど
その中でもかなりのページを割いているのがこのサハリン編なんですね
内容的にもすごく面白かったんですけど
その中でロシア作家チェイホフのサハリン島という本が紹介されていて
それはロシア帝国によって入植が進められていたサハリンに
1890年に渡った作家のチェイホフが
当時のサハリンの様子を記録したドキュメンタリー作品なんです
当時あまり詳細に知られていなかったサハリンの様子を記録した
歴史的資料としても価値の高い作品になっています
村上春樹きっかけでこの本の存在を知って読んでみたんですけれども
この本を読むと結構サハリンってハードな場所だったんだなということが分かるようになってるんですね
サハリンは全体的に結構気候も厳しくて
そういう意味では住みやすいとは言いづらい場所なんですけど
当時のロシア帝国としてはそのサハリンに入植をしていきたいという意図があったんですね
ロシア帝国の南下政策の一環ですね
その動きに反応して日本も北海道に人を送って開拓を進めたりしてたんですけど
でもサハリンはやっぱり住みやすい場所じゃないと
好き好んで行く人はあんまりいなかったんですね
なのでどうしたかというとロシア本国で犯罪を犯したとして
逮捕された人たちをサハリンに送って開拓をさせてたんですね
オーストラリアもちょっとそういうところあるんですけども
自由意志でサハリンで開拓民をやろうとして渡っていった人もいたんですが少数派だったみたいです
チェーホフがサハリンに渡った直後に宿屋をとって
そこのおかみさんがお湯を沸かして持ってきてくれるんですけど
ようまぁこんな奈落までおいでました
って言うんですね
いやーチェーホフのサハリン島面白いですよ
21:03
おすすめです
で話を戻すとそのチェーホフのサハリン島という作品で
ギリヤ区つまり二部付属についても紹介されていて
あと南部サハリンに住んでいたアイヌの人についても描写されていたりするんですけども
この本で僕は二部付属という存在を知ったんですよね
名前くらいは何となく聞いたことはあったと思うんですけども
その生活様式とか風習みたいなことはこの本で初めて知りましたね
北方民族といえばアイヌという印象があったんですけど
あそうか二部付というサハリンやその対岸の
アムール川流域をメインに住んできた人たちがいるんだ
ということをこのチェーホフのサハリン島で知りまして
それがすごく印象的だったんですね
で二部付についてもっと知りたいなと思って
まずこのギリヤ区民話を買ってみたわけです
今日はこの本の中で印象的だったいくつかのお話を
朗読しながらご紹介したいと思います
二部付属の昔話の全体的な特徴なんですけど
みんながよく知っている日本の昔話みたいに
物語的にすごく洗練されていて
ちょっと教訓めいててっていう感じになってない話が多いんですよ
日本の昔話だと特に今残って本になっている作品って
いろいろ削ぎ落とされて洗練されてると思うんですけど
少なくとも僕の手元にあるこのギリヤ区民話という本に
収録されている二部付のお話は
いい意味で洗練されてなくて
なんかメリハリなくぬるっと終わったり
聞き終わった直後に
でこのお話から何を受け取ればいいの?ってなったりする
そういうお話が多いんですね
それでは早速いきましょう
二部付属の昔話
クマと若い人妻
はじまりはじまり
若夫婦が平穏に暮らしていた
ある時夫が山へ寮に出かけた
すると珍しくたくさんのクマが採れたので
大喜びで家へ帰ってきた
そして妻を喜ばせてやろうと思って
外から大きい声で妻を呼んでみたが答えがないので
不思議に思って家の中を探したが
妻の姿は見えなかった
夫はその後毎日毎日妻の姿を探し求めて山の中を歩いたが
妻の姿は見つからなかった
しかし歩いているうちにクマにはたびたび出会ったから
24:00
クマばかりは何匹も採って帰ってきた
夫がある時妻を探しに山の中を歩いていると
遥か遠くの方に煙の立ち上る丸太小屋が見えた
夫は自分の妻がもしやそこにでもいるのではないかと思って
いさんでそこまで行ってみた
そして小屋の中をそっと覗いてみると
やっぱり妻がそこに座っていた
夫は喜んで中に入ってみると
そこには人間に姿を変えたオスグマのミップがいた
ミップというのは不倫相手の男性的な意味ですかね
夫はムラムラと燃え上がる嫉妬を感じたので
ミップに向かって
俺の女房をなんだってさらったんだ
さあ格闘しようと言って挑みかかった
これを聞いた妻は本当の夫に向かって
危ないからあなた早く一人で家へ帰ってください
と言って止めたが
怒りに燃えた夫はどうしても家へ帰ろうとはしなかった
人間に姿を変えたミップはただ黙ってそこに座っていた
夫は再びミップに向かって
俺の女房を返さないなら俺は家へは帰らない
早く格闘して勝負をつけようと行き立った
するとどうしたことか突然夫は気を失ってそっとした
しばらく経って気がついてみると
夫は自分の家まで運ばれていた
夫は再びあの人間に化けたオスグマと
自分の妻とが同棲している丸太小屋へ出かけていった
思った通り妻はそこにいた
夫は妻に向かって
さあ早く家へ帰ろうと言って帰宅を促した
しかし妻は私は帰りたくありませんと答えるだけで
どうしても夫の元に帰ろうとはしなかった
夫は仕方なしに一人で過ごすごと家へ帰っていった
その後夫が山へ寮に出かけると
いつも運良くクマに出会うことができて
その旅ごとにクマを何匹も何匹も取って帰った
けれども妻はいつの間にかあの丸太小屋にもいなくなって
夫と会うことができなくなった
この男は山の神様、クマに妻を奪われたので
その代わりに山の神様はクマを恵んでくれたのだということである
おしまい
そんな二部付属の昔話
クマと若い一妻でした
いかがでしょうか
主人公は奥さんを奪ったクマに対して
家と格闘しようと挑みかかるんですが
なんだか不思議な力で気絶させられて
家に強制送還させられてしまって
もう一回リベンジしようと
もう一回行くんですけど
いや私帰りたくないって奥さんに言われて
すごすご帰る
似たシーンを何度もやってるんですよね
27:01
日本の昔話だと似たシーンって
一回にまとまってるんじゃないかなと思うんですけど
それは日本は文学というものの歴史がすごく長い国でありますから
その違いはあるかもしれないんですけども
で奥さんとクマが住んでる山小屋に何度か行ってるうちに
なんかそのうち奥さんはいなくなっちゃうっていう
そのうちっていうあたりがすごくぬるっとしてて
らしいですよね
このぬるっとした感じが
これが二部付属の昔話の特徴かなと思っています
続けていきましょう
こちらもクライマックスのぬるっとした感じが見どころの作品です
二部付属の昔話
恐ろしい赤子
はじまりはじまり
姉妹6人が草を買っていた
だんだん日が暮れて暗くなってきたので
もうやめようと思っていると
一番下の妹の買った草の中から赤ん坊の鳴き声が聞こえてきた
みんなはびっくりして草をかき分けてみると赤ん坊がいた
姉妹たちは口を揃えて
まあかわいそうに
と言って
変わる変わる赤子を抱きかかえて怪しい
とうとう家へ連れ帰ってかわいがった
翌日から外へ出る時には
誰かが必ず一人家に残って
赤ん坊のお守りをすることにした
まず一番下の妹が
家で赤ん坊のお守りをする留守番を引き受けた
赤ん坊はとてもよく泣くので
妹は一生懸命にあやしたが
どうしても泣き止まなかった
やがて赤子が物を言い始めたようだから
妹は変だと思ったが
耳を赤子の口のそばに近づけて聞いていると
母さんの心臓の肉の刺身が食べたーい
というので妹は驚いていると
今度はまた子守唄を歌ってちょうだい
そうしたら眠るよ
と言ったから妹は気味が悪くなって
赤子の言う通りに子守唄を歌って聞かせてやった
すると赤子はすやすやと眠ったようだった
夕方になって5人の姉たちが帰ってきた
妹は小声で
この子は気味の悪い変な子よ
眠りなさいと言ったら
母さんの心臓の肉の刺身が食べたいなんて言ったのよ
と姉たちに話した
姉たちは嘘だわそんなこと嘘よ
と言って一番年の少ない妹の言うことを
信じようとはしなかった
次の日は下から2番目の妹が留守番をすることになった
そのうちに赤ん坊がひどく泣いて泣き止まないので
一生懸命にあやしているとまた昨日と同じように
母さんの心臓の肉の刺身が食べたい
と言って少し経ってから子守唄歌ってちょうだい
30:02
そうしたら眠るよと言ってからすやすやと眠った
みんなが帰ってきた時に下から2番目の妹はこのことを話したが
まだ自分の耳で聞いたことのない4人は
嘘だわそんなこと嘘よ
と言って決して信じようとはしなかった
その次の日には下から3番目の妹が留守番をした
赤子はまた同じ言葉を繰り返した
みんなが帰ってきてからそのことを話して聞かせたが
まだ留守番をしたことのない3人は
また嘘をつくんだわと言って信じなかった
このようにして一番上の姉が留守番に当たった
赤子はやはり同じ言葉を繰り返して眠った
姉は赤子が眠ったのを見て外へ出て髪を洗っていた
すると家の中からガサガサという音が聞こえてきた
姉は弓の穴
ギリヤークが家の中から外にいる獣を射るために開けておく穴から
家の中をそっと覗いてみると
赤子はゆりかごを背負ったままで台所まで歩いてきていた
そしてしばらくすると小型の口の中へ入れて飲み込んでしまった
姉は犬を追うふりをして
どうどう
ギリヤークが犬を追うときに発する声と言いながら
家の中へ入ってみるともうちゃんとゆりかごの中で寝ていた
姉は妹たちが帰ってくるとすぐに
今日の出来事を赤子に聞こえないように話した
あの子はきっと化け物の子に違いないわ
君が悪いから明日みんなで逃げましょうよ
と妹たちはみんな口を揃えていった
姉妹6人は額を集めて逃げる相談をした
あくる日6人の姉妹はごちそうをたくさん作って
白樺の皮のお皿に入れて赤子の足元に置いた
赤ん坊は目を覚ますとすぐごちそうを食べ始めたから
その間に姉妹は櫛2枚、指皮、すき櫛、小刀、針をそれぞれ一つずつ持って逃げ出した
一同が走り出してからしばらく経った
すると後ろの方から大きな声を上げながら赤ん坊が追っかけてきた
赤ん坊の口の周りはさっきのごちそうの中に入っていた
フレップがついて真っ赤に染まっていた
フレップというのはコケモモという果物のことですね
みんなは一生懸命に走ったが追いつかれそうになったので
一番年をとった姉は後ろを振り返って
二皮のついた網になれと叫んで持ってきた櫛をポンと投げ捨てた
すると櫛は本当に網になったが恐ろしい人喰い赤子はそれを踏み越えて一同を追いかけてきた
その中に姉はとうとう力が尽きて倒れてしまった
子どもたちは早く起きなさいよお姉さんと言って姉の手を引っ張ったが
姉はどうしても起き上がらないので仕方なく諦めて姉をそこに置いたまま逃げた
33:05
追いかけてきた人喰い赤子はそこまで走ってきて倒れていた姉をたちまち食べてしまった
そして口の周りを血だらけにして他の女たちを追いかけてきた
5人は一生懸命に走ったがそれでも危なくなってきたので
今度は2番目の姉が金網になれと叫びながら櫛を投げ捨てた
みんなは力の限り走ったがこの姉はとうとう倒れてしまった
4人の妹は仕方なく姉を置いたままどんどん逃げた
とくい赤子はまたも倒れた女を食べてしまった
残った4人は死に物狂いで逃げたがとうとう追いつかれそうになった
今度は3番目の姉が指皮を取り出して棘山になれと叫びながらそれを投げ捨てた
そうして妹たちと走り出したがとうとうこの姉も力が尽きて倒れ無惨な最後を遂げた
残る3人は施す術もなく姉を置いたまま一生懸命に走り出した
3人はまたも足の速い人喰いマに追いつかれそうになった
4番目の姉が笹山になれと叫んでスキグシを投げ捨てた
人喰いマの行く手に本当に笹山ができたが間もなく人喰いマはそれを乗り越えて追いかけてきたのでこの姉もとうとう走り疲れて倒れてしまった
そして3人の姉たちと同じに恐ろしい魔物の餌食となってしまった
残る2人は力の限り走ったがやがて人喰いマが身近に迫ってくるのを感じたので
下から2番目の妹は持っていた元子ジャッカーかっこ夫人用の小刀を崖になれと叫びながら投げ出した
本当に崖ができたが人喰いマはこの崖を飛び降りて2人の姉妹の側まで追いかけてきた
そのうちに元子ジャッカーを投げ捨てた4の女も力が尽きて倒れてしまってとうとう姉たちと同じ運命に終わった
5人の姉を失った1番年の若い妹はあまりの恐ろしさに震えおののきながら無我夢中で逃げ走ったが
またも危険が迫ってきたので持っていた針を取り出して大きな沼になれと叫んで針を投げ捨てた
女は後ろを振り返る暇なく走り続けたがしばらくすると自分の行く手に大きな川が見えた
よく見ると1人の老人が川の向こう側で船を作っていた
そこまで走って行っておじいさん化け物の子が追いかけてきたからこの川を渡してくださいと女は老人に向かって呼びかけた
老人はよし渡してあげようしかしその前に一番うまい吹きを取ってきてわしの口の中に投げ込んでおくれと言った
女は言われた通りすぐに吹きを取ってきて老人の口の中に吹きを放り込んだ
老人はあーうまいうまいと言ってさらにもう一度吹きを取ってきてくれと頼んだ
36:01
女は言われた通り吹きを取ってきて老人の口の中に投げ込んだ
すると老人は足を投げ出したが見る見るうちにその足が伸びてこちら側の岸まで届いた
老人はわしの膝に乗っかってはいけない船に乗ってこちら側に渡るんだよと教えてくれた
女は言われた通りに老人の船に乗って川向こうに渡った
しばらくしてから人喰い赤子もこの川の岸に来た
老人はこの魔物にも吹きを取ってきてわしの口へ投げ込んでおくれと言った
人喰い赤子は言われた通りにした
老人はあー苦い苦いと顔をしかめて唾を吐き出した
老人はさっきと同じように魔物のいる岸へ足を伸ばしてわしの足に乗っかれと言った
魔物は言われた通りに老人の足に乗っかったが膝を踏んだので川の中へザブンと落ちた
しかし落ちるとすぐに泳いで岸へ戻った
その間に女は老人の草小屋についていた
老人は人喰い魔に向かってまた吹きを取ってきておくれと言った
人喰い魔は言われた通りに吹きを取ってきて老人の口の中へ放り込んだから老人は足を伸ばしてやった
魔物は川向こうに渡ろうと思って老人の足に乗ろうとしたが慌てていたのでまたも川の中へ落ちてしまった
何度もこんなことをしている中にさすがの人喰い魔もとうとうでき死してしまった
老人は良い人だったから姉妹をみんななくしたこのかわいそうな女のために良い夫を見つけてくれた
それでこの女はその後幸福な生涯を送ることができた
めでたしめでたし
はいそういうわけでそんな恐ろしい赤子という二部付属の昔話だったんですけども
化け物だった赤子に追いかけられた女の子が老人に助けを求めると
そして老人の口に植物の吹きを放り込むと老人の足がにゅーっと伸びて川を渡らせてくれる
でもつかめどころが悪いと川に落ちてしまうと
化け物は老人の足に乗っかっては川に落ちるを何度も繰り返しているうちにでき死してしまうわけです
なんかこの何度も何度も吹きを投げ込んで何度も落ちて最終的に体力が尽きて終わるみたいなのもかなりぬるっとしてますよね
やっぱりこういうところに二部付属の昔話らしさを感じますね
っていうのと人食いよりもかなりの化け物なんですけども
吹きを口に放り込まれると足がにゅーって伸びる老人も相当化け物じみてるんですけど
39:00
この老人の特殊能力についての裏付けは特に物語の中ではされてないんですね
いい人だったって言ってるくらいで
例えば仙人であるとかそういう設定は特になくて
その大らかな感じもらしいなーって思いますね
最後はこのお話から何を受け取ればいいの?
け昔話の頂点、ケヌブン家の話です
はじまりはじまり
ギリヤークの中の一種族にケヌブンという家があった
ケヌブン家の人は目が小さい
目の小さいものには気か抜きのものが多い
クマも目の小さいものほど強い
大昔ケヌブン家の人はリスの革を着て
クマの口から入り口紋から出てくるほど小さかった
昔ケヌブンのある家に男が3人と女2人の兄弟姉妹があった
両親は家の留睡をし
3人の兄弟は毎日トナカイを捕りに山へ出かけるのを日課としていた
2人の姉妹はいつも満月の頃になると
決まって鼻からも口からもミミズがたくさん出てきて
どうにも仕方がなかった
兄弟たちは始末に困ったが姉妹をどうすることもできなかった
ある日兄と弟は高い山へトナカイを捕りに行って
トナカイの肉を姉と妹に運ばせるのだと言って姉妹を山へ連れ出した
兄と弟は山にたどり着いてから姉妹をトナカイの川に乗せて山から滑り下ろした
姉妹が山から滑っていくのを見ているとミミズが口からも鼻からも無数に飛び出した
そして姉妹は崖にぶつかって死んでしまった
それでシャーマンに見てもらったら
ケヌブン家には今後もこんなにミミズを吐く女が生まれるということである
おしまい
いやー二部風俗の昔話結構殺伐とした話も多くて
その深刻調と言えるのがこのケヌブン家の話ですね
内容的にはかなり酷いことをやってますし
凄まじい毒語感がありますよね
ミミズを顔面から出しまくるというビジュアルがまずすごいですし
理由も特に説明されてないんですよね
不条理文学の巨頭といえばカフカの変身なんですけど
この不条理さにはカフカもびっくりするんじゃないでしょうか
短い中にもかなりの凶器をはらんだ作品かなぁと思いました
ということでぬるっとしていたり不条理だったりする二部風俗の昔話
ご紹介させていただきましたがいかがだったでしょうか
概要欄にも本のリンクを貼っておきますのでぜひチェックしてみてくださいね
42:07
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今日は二部風俗のぬるっと不条理な昔話についてご紹介させていただきました
ご視聴ありがとうございました
42:27

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