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https://japanpodcastawards.com
作品名:銀河鉄道の夜
著者:宮沢賢治(みやざわけんじ)
図書カード:https://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html
青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/index.html
ブンゴウサーチ for Kids:https://bungo-search.com/juvenile
5・10・14
20・26・29日更新予定
#青空文庫 #朗読 #podcast
BGMタイトル: Maisie Lee
作者: Blue Dot Sessions
楽曲リンク: https://freemusicarchive.org/music/Blue_Dot_Sessions/Nursury/Maisie_Lee/
ライセンス: CC BY-SA 4.0
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作品名:銀河鉄道の夜
著者:宮沢賢治(みやざわけんじ)
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青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/index.html
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BGMタイトル: Maisie Lee
作者: Blue Dot Sessions
楽曲リンク: https://freemusicarchive.org/music/Blue_Dot_Sessions/Nursury/Maisie_Lee/
ライセンス: CC BY-SA 4.0
サマリー
ジョバンニはケンタウル祭の夜に、街の賑わいと自分の孤独を感じながら、牛乳屋へ急ぎます。彼は街灯の明かりや美しい飾りに心を引かれながらも、友人たちの言葉に心が冷えます。
ケンタウル祭の様子
四、ケンタウル祭の夜
ジョバンニは口笛を吹いているような寂しい口づきで、
檜の真っ黒に並んだ町の坂を降りてきたのでした。
坂の下に大きな一つの街灯が青白く立派に光って立っていました。
ジョバンニがどんどん電灯の方へ降りていきますと、
今まで化け物のように長くぼんやり後ろへ引いていたジョバンニの影帽子は、
だんだん濃く黒くはっきりなって、
足を上げたり手を振ったりジョバンニの横の方へ回ってくるのでした。
僕は立派な機関車だ。
ここは勾配だから早いぞ。
僕は今その電灯を通り越す。
そーら、今度は僕の影帽子はコンパスだ。
あんなにくるっと回って前の方へ来た。
とジョバンニが思いながら大股にその街灯の下を通り過ぎた時、
いきなり昼間のザネリが新しい襟の尖ったシャツを着て、
電灯の向こう側の暗い工事から出てきて、
ひらっとジョバンニとすれ違いました。
ザネリ、カラス売り流しに行くの?
ジョバンニがまだそう言ってしまわないうちに。
ジョバンニ、お父さんからラッコの上着が来るよ。
その子が投げつけるように後ろから叫びました。
ジョバンニはばっと胸が冷たくなり、
そこらじゅうキーンとなるように思いました。
なんだい、ザネリ。
とジョバンニは高く叫び返しましたが、
もうザネリは向こうの火場の奪った家の中へ入っていました。
ザネリはどうして僕が何にもしないのにあんなことを言うのだろう。
走る時はまるでネズミのようなくせに。
僕が何にもしないのにあんなことを言うのは、ザネリがバカなからだ。
ジョバンニはせわしくいろいろのことを考えながら、
さまざまの明かりや木の枝ですっかりきれいに飾られた街を通っていきました。
時計屋の店には明るくネオン灯がついて、
一秒ごとに石でこさえた袋の赤い目がくるっくるっと動いたり、
いろいろな宝石が海のような色をした厚いガラスの板に乗って、
星のようにゆっくりめぐったり、
また向こう側から銅の神馬がゆっくりこっちへ回ってきたりするのでした。
その真ん中に丸い黒い星座葉やみが青いアスパラガスの葉で飾ってありました。
ジョバンニは我を忘れて、その星座の図に見入りました。
それは昼、学校で見たあの図よりはずっと小さかったのですが、
その日と時間に合わせて番を回すと、
その時出ている空がそのまま楕円形の中にめぐって現れるようになっており、
やはりその真ん中には上から下へかけて銀河がぼーっと煙ったような帯になって、
その下の方ではかすかに爆発して湯気でも上げているように見えるのでした。
またその後ろには3本の足のついた小さな望遠鏡が黄色に光って立っていましたし、
一番後ろの壁には空中の星座を不思議な獣や蛇や魚や瓶の形に描いた大きな図がかかっていました。
本当にこんなようなサソリダノ、ユウシダノ、空にぎっしりいるだろうか。
ああ、僕はその中をどこまでも歩いてみたいと思ったりしてしばらくぼんやり立っていました。
それからにわかにお母さんの牛乳のことを思い出して序盤にはその店を離れました。
そして窮屈な上着の肩を気にしながら、それでもわざと胸を張って大きく手を振って街を通っていきました。
空気は澄み切ってまるで水のように通りや店の中を流れましたし、街灯はみな真っ青なモミやナラの枝で包まれ、
電気会社の前の6本のプラタヌスの木などは中にたくさんの豆電灯がついて、本当にそこらは人魚の都のように見えるのでした。
子供らはみんな新しい織りのついた着物を着て星巡りの口笛を吹いたり、
ケンタウルス、梅雨を降らせ!と叫んで走ったり、青いマグネシアの花火を燃やしたりして楽しそうに遊んでいるのでした。
けれどもジョバンニはいつかまた深く神戸を垂れて、そこらの賑やかさとはまるで違ったことを考えながら牛乳屋の方へ急ぐのでした。
ジョバンニはいつか街外れのポプラの木がいく本もいく本も高く星空に浮かんでいるところに来ていました。
牛乳屋への訪問
その牛乳屋の黒い門を入り、牛の匂いのする薄暗い台所の前に立って、ジョバンニは帽子を脱いで、「こんばんは。」と言いましたら、
家の中はしーんとして誰もいたようではありませんでした。
こんばんは。ごめんなさい。
ジョバンニはまっすぐに立ってまた叫びました。
するとしばらくたってから、年とった女の人がどこか具合が悪いようにそろそろと出てきて、何か用かと口の中で言いました。
あの今日牛乳が僕んとこへ来なかったのでもらいにあがったんです。
ジョバンニが一生懸命勢いよく言いました。
今誰もいないんでわかりません。
明日にしてください。
その人は赤い目の下のとこをこすりながらジョバンニを見下ろして言いました。
おっかさんが病気なんですからこんばんでないと困るんです。
ではもう少し立ってから来てください。
その人はもう行ってしまいそうでした。
そうですか。ではありがとう。
ジョバンニはお辞儀をして台所から出ました。
十字になった町の角を曲がろうとしましたら、向こうの橋へ行く方の雑貨店の前で黒い影やぼんやり白いシャツが入り乱れて、
六七人の生徒らが口笛を吹いたり笑ったりして、
めいめいカラスうりの明かりを持ってやってくるのを見ました。
その笑い声も口笛もみんな聞き覚えのあるものでした。
ジョバンニの同級の子供らだったのです。
ジョバンニは思わずドキッとして戻ろうとしましたが、
思い直して一層勢いよくそっちへ歩いて行きました。
川へ行くの?
ジョバンニが言おうとして少し喉が詰まったように思った時、
ジョバンニ、ラッコの上着が来るよ。
さっきのザネリがまた叫びました。
ジョバンニ、ラッコの上着が来るよ。
すぐみんなが続いて叫びました。
ジョバンニは真っ赤になって、もう歩いているかもわからず、
急いで行き過ぎようとしましたら、
その中にカンパネルラがいたのです。
カンパネルラは気の毒そうに黙って少し笑って、
怒らないだろうかというようにジョバンニの方を見ていました。
ジョバンニは逃げるようにその目を避け、
そしてカンパネルラの背の高い形が過ぎていって間もなく、
みんなはてんでに口笛を吹きました。
街角を曲がる時振り返ってみましたら、
ザネリがやはり振り返って見ていました。
そしてカンパネルラもまた高く口笛を吹いて、
向こうにぼんやり見える橋の方へ歩いて行ってしまったのでした。
ジョバンニは何とも言えず寂しくなっていきなり走り出しました。
すると耳に手を当てて、
ワーッと言いながら片足でぴょんぴょん飛んでいた小さな子供らは、
ジョバンニが面白くて描けるのだと思ってワーッと叫びました。
間もなくジョバンニは黒い丘の方へ急ぎました。
13:06
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