作品名:王さまと靴屋
著者:新美南吉
図書カード:https://www.aozora.gr.jp/cards/000121/card4721.html
青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/index.html
ブンゴウサーチ for Kids:https://bungo-search.com/juvenile
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サマリー
ある日、王さまは小さな靴屋に入りました。靴屋の爺さんに名前を尋ねます。爺さんは王さまの正体を知らずにつっけんどんに応えます。王さまは爺さんに自分が間違っていたことに気付きます。そして、改めて名前を尋ねます。爺さんは優しく名前を教えます。王さまは自分がバカと思われないか尋ねますが、爺さんは思わないと答えます。
王さまと靴屋
王さまと靴屋 ・新美南吉
ある日、王さまは乞食のような様子をして 一人で町へやって行きました。
町には小さな靴屋が一軒あって おじいさんがせっせと靴を作っておりました。
王さまは靴屋の店に入って これこれ、爺や
その方は何という名前か と尋ねました。
靴屋の爺さんはその方が王さまであるとは知りませんでしたので 人に物を聞くならもっと丁寧に言うものだよ
と、つっけんどんに行って
トントンと仕事をしていました。 これ、
名前はなんと申すぞ
と、また王さまは尋ねました。 人に口を聞くにはもっと丁寧に言うものだというのに
と、爺さんはまたブッキラボーに行って 仕事をし続けました。
王さまは なるほど自分が間違っていたと思って
今度は優しく お前の名前を教えておくれ
と、頼みました。 わしの名前はマギステルだ
と、爺さんはやっと名前を教えました。 そこで王さまは
名前の尋ね合い
マギステルの爺さん 内緒の話だが
お前はこの国の王さまはバカ野郎だと思わないか と、尋ねました。
思わないよ と、マギステル爺さんは答えました。
それでは小指の先ほどバカだとは思わないか
と、王さまはまた尋ねました。 思わないよ
と、マギステル爺さんは答えて 靴のかかとを打ちつけました。
もしお前が王さまは小指の先ほどバカだと言ったら わしはこれをやるよ
誰も他に聞いてやしないから大丈夫だよ と、王さまは
金の時計をポケットから出して 爺さんの膝に乗せまった
この国の王さまがバカだと言えば これをくれるのかい
と、爺さんは 金槌を持った手を脇に垂れて
膝の上の時計を見ました。
小さい声で ほんの一口言えばあげるよ
と、王さまは手を揉み合わせながら言いました。
王さまの自問自答
すると爺さんは 谷庭にその時計を引っつかんで
床の上に叩きつけました。 さっさと出てうせろ
ぐずぐずしてるとぶち殺してしまうぞ 不忠者めが
この国の王さまほどご立派なお方が 世界中にまたとあるか
そして 持っていた金槌を振り上げました
王さまは靴屋の店から飛び出しました 飛び出す時
ひよいの棒にごつんと頭をぶつけて 大きなこぶを作りました
けれど王さまは 心を花のように明るくして
わしの人民は良い人民だ わしの人民は良い人民だ
と 繰り返しながら
宮殿の方へ帰って行きました
06:07
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