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2024-11-20 05:10

赤い蝋燭/新美南吉

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作品名:赤い蝋燭
著者:新美南吉

図書カード:https://www.aozora.gr.jp/cards/000121/card627.html

青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/index.html

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BGMタイトル: Maisie Lee 作者: Blue Dot Sessions 楽曲リンク: https://freemusicarchive.org/music/Blue_Dot_Sessions/Nursury/Maisie_Lee/ ライセンス: CC BY-SA 4.0

【姉妹番組・Twitterなど】https://lit.link/azekura

サマリー

猿が拾った赤い蝋燭を巡って、動物たちは花火だと勘違いして盛り上がります。勇気を出した獅子が火をつけるまでの騒動が描かれています。

赤い蝋燭の発見
赤い蝋燭 新美南吉
山から里の方へ遊びに行った猿が 一本の赤い蝋燭を拾いました。
赤い蝋燭はたくさんあるものではありません。 それで猿は赤い蝋燭を花火だと思い込んでしまいました。
猿は拾った赤い蝋燭を大事に山へ持って帰りました。 山では大変な騒ぎになりました。
何しろ花火などというものは、 鹿にしても、獅子にしても、うさぎにしても、
亀にしても、イタチにしても、 狸にしても、狐にしても、
まだ一度も見たことがありません。 その花火を猿が拾ってきたというのであります。
おお、素晴らしい。 これは素敵なものだ。
鹿や獅子やうさぎや亀やイタチや狸や狐が 押し合いへし合いして赤い蝋燭を覗きました。
すると猿が、「危ない危ない。そんなに近寄ってはいけない。 爆発するから。」
と言いました。 みんなは驚いて尻込みしました。
そこで猿は花火というものがどんなに大きな音をして飛び出すか、 そしてどんなに美しく空に広がるか、
みんなに話して聞かせました。 そんなに美しいものなら見たいものだとみんなは思いました。
それなら今晩山のてっぺんに行ってあそこで打ち上げてみよう。 と猿が言いました。
みんなは大変喜びました。
夜の空に星を振りまくようにパーッと広がる花火を目に浮かべて みんなはうっとりしました。
さて夜になりました。 みんなは胸を躍らせて山のてっぺんにやっていきました。
猿はもう赤いロウソクを木の枝にくくりつけて みんなの来るのを待っていました。
いよいよこれから花火を打ち上げることになりました。 しかし困ったことができました。
と申しますのは誰も花火に火をつけようとしなかったからです。
みんな花火を見ることは好きでしたが 火をつけに行くことは好きでなかったのであります。
これでは花火は上がりません。 そこでくじを引いて火をつけに行くものを決めることになりました。
第一に当たったものは亀でありました。 亀は元気を出して花火の方へやっていきました。
だがうまく火をつけることができたでしょうか。 いえいえ
亀は花火のそばまで来ると首が自然に引っ込んでしまって 出てこなかったのでありました。
そこでくじがまた引かれて 今度はイタチが行くことになりました。
イタチは亀よりは幾分ましでした。 というのは首を引っ込めてしまわなかったからであります。
しかしイタチはひどい禁岩でありました。 だからロウソクの周りをキョロキョロとうろついているばかりでありました。
とうとう獅子が飛び出しました。 獅子は全く勇ましい獣でした。
獅子は本当にやっていって火をつけてしまいました。 みんなはびっくりして草むらに飛び込み耳を固く塞ぎました。
耳ばかりでなく目も塞いでしまいました。 しかしロウソクはポンとも言わずに静かに燃えているばかりでした。
05:10

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