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2024-07-26 03:45

少年少女におくる言葉 /会津八一

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作品名:少年少女におくる言葉
著者:会津八一

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少年少女におくる言葉
会津八一 私は新潟の生まれで、小学校は西堀小学校。
今はないが、広小路の消防の詰所のある付近へ通ったものだ。
そこを出て、大旗の高等小学校へ進んだが、
成績は決して優等どころでなく、 ようやく真ん中へ届くか届かないかという程度だった。
卒業するとき、学校へ自分の目的を紙に書いて出すこととなった。
その時、私の同級生は総理大臣になりたいとか、陸軍大臣兼海軍大臣になるとか、
そういうことを花々しく書いて出した人が多かった。
私は今でも忘れないが、小学校を出たなら百姓になる。
ただの百姓で一生暮らしたいということを書いて出した記憶がある。
当時そんなことを書いたのは私だけだったと思う。
当時の私は年齢的にも希望に輝いておらず、 成績もあまり良くなかったためにそんなことを書いたのだろうと思う。
決して今言うところの平民思想とかを当時持っていたのではない。
ただ私が震わない、平凡な、そして学問もあまり花々しくない、ただの子供だったことを示すものだ。
しかしそれから中学へ行ってもらい、進んで大学も出ることができ、
今日まで学問を続けることができた。
最初体が弱かったので希望も消極的だったと思うが、
今日72歳の高齢に達しても割合丈夫でいる。
人間の一生というものは決して2年や3年で勝負のつく、
いわば短距離競争ではなく、60年、70年、
時として100年にもわたる長距離競争だから何と言っても体が一番大切だ。
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しかしその体も持ちようによっては持つものだ。
私の知人で80何歳になる人で、 子供の時体が弱かったという人が2人も3人もいる。
自分の体の癖と弱みを守っていく。 その手加減さえわかれば案外長く最初体の強いのを誇っていた人よりも
かえって長生きをすることができるということがわかる。
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