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えぞおばけ列伝-アイヌ艶笑談-⑤/作者不詳
2026-05-31 07:01

えぞおばけ列伝-アイヌ艶笑談-⑤/作者不詳

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作品名:えぞおばけ列伝-アイヌ艶笑談-
作者不詳
編訳:知里 真志保

図書カード:https://www.aozora.gr.jp/cards/001529/card52211.html

青空文庫:https://www.aozora.gr.jp/index.html

BGMタイトル: そりのこし
作者: もっぴーさうんど
作者ページ: https://dova-s.jp/_mobile/_contents/author/profile060.html
DOVA - SYNDROME楽曲リンク: https://dova-s.jp/_mobile/bgm/play17520.html

7・15・23・31日更新予定

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サマリー

ある朝、霜の者が妻にえぞ縁ごさくやえぞおばゆりの根を頼み、それらを調理して妻の体に砂をかけ、空いた穴に料理を詰めて浜に置いた。そこへ現れたトンチトンチたちが料理を食べた後、穴が動いたため逃げ去った。翌日、上の者が同様のことを行うと、トンチトンチたちは用心して料理だけ食べて逃げたため、上の者は何も得られずしょんぼりして帰った。

化け穴の仕掛け
5.化け穴の話。霜の者が、ある朝起きてきて、妻に聞いた。
「えぞ縁ごさくの根はあるかい?」
「あります。」
「えぞおばゆりの根はあるかい?」
「あります。」
そこで、それらを料理して木鉢に盛り、妻と一緒に浜へ降りて行った。
そして砂を掘って、妻を仰向けに寝かして、頭から砂をかぶせ、足から砂をかぶせ、真ん中の穴ばかり残して、そこに、えぞおばゆりや、えぞ縁ごさくの根で作った料理を詰めて、自分だけ家へ帰った。
すると、沖から、いっぱい荷物を積んだ船がやってきた。
トンチトンチたちの船であった。
トンチトンチというのは、カラフトアイヌの伝説に出てくる小人で、北海道アイヌのいわゆるコロボックルにあたる。
トンチトンチたちは船から上がって、船を引き上げると、すべり着を手分けして探した。
そのうちに、ひとりが、えぞおばゆりや、えぞ縁ごさくの料理の詰まった穴を見つけた。
「おい、みんな、えぞ縁ごさくの料理、えぞおばゆりの料理があるぞ。」
トンチトンチたちは急いで船から荷物をあげ、穴のところへ駆けつけた。
そして穴を囲んで、終日、えぞ縁ごさくや、えぞおばゆりの料理を食べに食べた。
食べ終わると、船頭は穴の中に指を突っ込んでなでまわし、その指についた汁をなめた。
アイヌは食後、必ず食器をなめておく。
そのなめ方は、右手の人差し指の先を折り曲げて、お椀の内側を丸くなでまわし、その指についた汁をなめる。
それを幾度も繰り返す。
それで、人差し指のことを、どこのアイヌ語でも、お椀をなめる指、と呼ぶのである。
すると、あやしむべし、穴がひくひくと動いた。
変だぞ、穴が動く。
化け穴だ、逃げろ、逃げろ。
と叫んで、トンチトンチたちは荷物を船へ積み込むのも忘れ、あわてて船に乗り込んで逃げてしまった。
あくる朝、下の者は浜へ降りてきて、妻を掘り出して、
トンチトンチたちの残していった米だわらだの、酒だるだの、柄のある斧、柄のない斧など、妻といっしょに家へ運び込んだ。
家も蔵もいっぱいになった。
下の者は林家の上の者のところへ妻をやって、
上の者さん、お客に来てくださいな。酒も米も、それから斧もありますよ。欲しいものは何でも差し上げます。
と言わせた。
すると、上の者はひどく腹を立てた。
お前のやったようなことは、俺だってやればできるよ。
お前なぞ、御座を折る旗から靴を下げているではないか。
俺は靴だって砲弾にかけておくんだぜ。
お前なんぞ、残飯は台所から出してくるが、俺は砲弾から出してくるんだぞ。
俺だってやればもっと立派にやってのけるよ。
この出しゃばり野郎め。
と、妙な短歌を切って、お客に行かなかった。
あくる日、上の者は妻に聞いた。
江蔵縁護策の根はあるかい?
あります。
江蔵うばゆりの根はあるかい?
あります。
そこで、蔵から江蔵縁護策の根や江蔵うばゆりの根を出してきて料理を作り、
妻と一緒に浜へ降りて行った。
そして、砂を掘って妻を仰向けに寝かして、
頭から砂をかけ、足の方からも砂をかけて、
真ん中の穴だけ覗かせて、
その穴の中に持って行った料理を詰めて、
自分は草やぶの中に身を隠して様子を覗いていた。
トンチトンチの再来と上の者の失敗
すると、トンチトンチたちがやってきて、
例の穴を発見し、
前日のこともあるので、今度は荷物を陸上げしないで、
用心しーしー料理を食べ終った。
食べ終って、扇動が穴に指を突っ込んで撫で回すと、
例のように穴がひくひくと動いた。
バリバケ穴だった。
逃げろ、逃げろー。
と言って、一度を慌てて船に乗り込んで逃げてしまった。
神の者も慌てて草やぶから飛び出しては見たものの、
料理は食い逃げされるわ。宝物はなし。
妻を連れてしょんぼりと家へ戻って行った。
07:01

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