心と体の専門家による観察
心と体の専門家が様々なトピックを取り上げて、健康について考え直す番組、Rethink Healthということで、今回も皆さんよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今回はですね、以前もちょっと参加させてもらったんですけども、毎月10日に科学系ポッドキャストの日みたいなイベントとして共通のテーマで話すっていうやつで、
前回論文っていうテーマで参加させてもらったんですけども、6月の共通テーマは観察ということで、
ちょっとこの健康に関することとか、セラピスト的な働き方の中でどう観察してるのかみたいなことをちょっと喋ってみようかなと思います。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
観察ってね、どういうテーマでいこうかなと思うんですけど、とりあえず体と心の専門家なんで、お互いが人間観察しちゃうよねみたいなところ、こういうとこ見ちゃうよねみたいなところを話していけたらと思うんですけど、
例えば自分だったらなんか姿勢とか歩き方とか、なんか無意識で観察しちゃうなって感じあるんですけど、三浦さん的になんかありますかね。
観察点はやはりそうですね、人の例えばメンタルヘルスをアセスメントしていきたいとかだったら、やっぱりそこだけを観察するんじゃなくて、
身体的な症状だったり、その人の内面の性格的なこととか職業的なこととか社会的なこととか、
そのやっぱり全般的に観察しながら、横断的に見るだけじゃなくて、やっぱりその流れですよね。
柔断的に過去と現在と将来みたいなものをイメージしながら観察していくっていうようなことも含めているかなと思います。
なるほどですね。
はい。
自然な会話の中での観察
だからそれを自然な会話の中で見ていくって感じですよね。
そうですね。
一対一で関わるときは。
そうですね、わりとやっぱりそういったとこ意識したコミュニケーションを図るようにしてます。
なんかその人によって質問の仕方とか工夫してるところとかあるんですかね。
なんかその一言言ったらばーっと喋ってくれる人もいれば、質問してたらそれに対して答えてくれるみたいな人もいる気がするんですけど。
そうですね。
その辺気をつけてるポイントとかなんかありますかね。
そうですね、まずそのいろんなタイプの方がいらっしゃるので、ですけど一概になんかめちゃくちゃ喋ってくれるから、
じゃあその人が全てを出してくれてるかって言ったらそうでもない時もあって、
その人ですら気づいてないその人のことってあると思うので、
まずはなんかその最初に例えば入院してきた患者さんと接する時って必ず押さなきゃいけないチェックシートみたいなのがあるんですね。
それにのっとって本当に機械的にまず聞いていきながら、なんか一緒に深ぼっていくような感覚ですね。
なるべくその会話の内容があまり偏りすぎず、けどきちっとその人の価値観とかが含まれてるかってことはバランスを気にしながら聞いていくようにしてます。
身体の動作による観察
今なんか入院っていう話してたんですけど、入院でなんかそういう価値観とか考え方とかを聞けると、
なんかどういういいことがあるんですか?なんかその普段の関わり方がしやすくなるとか、
なんか退院までの準備とか家族とのやり取りがしやすくなるとかなんかあるんですかね?
そうですね。もちろん関係構築の上でやっぱりその人のことを理解していくっていう意味で、
もちろんその人の価値観とかってやっぱりこうよく観察して気づいていくことで、そこをちゃんと尊重すること大切だと思うんですね。
よくなんか医療的なところって、なんかこうエビデンスを重視しすぎて、こうねばならないみたいなものっていろいろあると思うんですけど、
でもそれがその人にとって居心地いいか悪いかっていうのはまた別問題だから、
その人の価値観とかを知ることで、その人にとっての安心みたいなものってなんか作り上げ方があると思うので、
だからやっぱり医療者ってその安全も測りながらその人の価値観も尊重しながらっていうところを一緒に組み立てていくっていう側面があるんですね。
本当に治療方針決めていくときとか、信頼関係ある無しだと全然違いますよね、たぶん。
そうですね。
受け入れられ方とかね。
はい。
なるほどですね。
ちょっと自分の話もしてみると、この姿勢とか歩き方とかっていう話あったんですけど、
それはなんか本当に普段生きてる中で、駅とか歩いてても自然と見ちゃうって感じで、
1対1で関わるときとかは本当に、
例えば治療のスペースとかベッドとかあったときに部屋の入り方とか歩き方とか、
話聞くときは結構三浦さんと同じような感じでやってますけど、
やっぱ体の動作に動作分析とかっていう手法もあったりするんで、
どっちが痛いのかとか、そういうところが結構動作に出てきたりするんで、
その辺を見てるって感じなんですけど、
あと痛みの評価とかですかね。
そこが本当に体の動作に出たりとか、そういう考え方とか出たりするんで、
個人的には結構観察で意識してるところかなって感じがしましたね。
そうですよね。観察ってやっぱり表面的に見えてるものだけじゃなく、
そういったところを憶測でもなく、ある程度の根拠をもとに、
次のステージまでもちょっと視野に入れていくみたいなところも含まれますよね。
そうですね。
臨床的な観察はそんな感じですし、
あと研究も観察研究ってありますよね。
観察研究とは
基礎的な実験とかっていうのもあれば、介入研究とかっていうような治療法を試すみたいなのもありますけど、
結構看護師さんとか自分みたいな理学療法士だと観察研究みたいなところもあるかなと思うんですけど、
三浦さん自身のやってる研究って結構こういうのが多いですかね。
そうだと思いますね。あくまでまだ横断的に入って、
なるべくのものをデータとして拾ってくるっていうようにはしてますけれども、
でも本当に方法と研究とか、横断的にね。
縦断的にね、やっぱり物事のプロセスを眺めていくっていう研究っていうのはすごくダイナミックだし、
色々と分析の違いもあるし、研究者としてはすごい大事な研究方法ですよね。
そうですよね。さっきも横断とか縦断とか出ましたけど、
この辺は科学系ポッドキャストの日なんで、ある程度科学リテラシーがある人はその辺もなんとなくわかるかもしれないですけど、
横断的っていうとその一時点で色んな人に対してアンケートを取ったりとか何かしらの調査をするって感じで、
縦断的だと時系列に合わせて過去から現在までの流れとか、
現在から未来のところに向かって期間を決めて観察するとかっていうのもありますけど、そういう感じですよね。
そうですね。
自分も結構観察研究も関わってたところは多くて、
それこそさっきの姿勢とか体の痛みとかに結構注目してたんで、
部活というかスポーツでボート競技っていうのをやってたんで、
ボート関係の大学生が今どういう痛みを抱えてるとか、
こういう競技特性の人はこういう体の特徴があるとか、
その辺は観察研究っぽい感じでやってきたんで。
はい。
三浦さんの場合だと観察研究でやったっていうのだとどういうところですかね。
観察研究、どうでしょうね、自分自身は…
因果推論と反事実モデル
でも前話してた震災の時のやつとかも観察っちゃ観察ですよね。
別に介入してるわけじゃないですもんね。
介入はしてないですね。
だから基本的にそうですね、観察研究ベースのものが多いかな、
実態調査とか質問紙を使ったりしますけれども、
そうですね、観察研究ありきで、
やっぱりその次に介入につなげていくっていうようなことなので、
やっぱりその基礎研究なり、基礎的な研究っていうのはすごい重要ですよね、本当に。
そうですね。
なんかその、最近ちょっと因果推論みたいな本を読んでて、
観察研究って相関は出てきたりするじゃないですか、
こういうのとこういうのの関係があるみたいな。
でもなんか因果関係わかんないじゃないですか、なかなか。
原因と結果、これだったからこうなったみたいな。
でもなんかその因果推論っていうので、
1段目はそういう観察を通して相関が見えてきて、
2段目としてそういう介入研究、
RCTっていう形が一番いいって言われてますけど、
それじゃない形で原因と結果を推察するので、因果推論っていうのがあるらしくて。
そういうのって聞いたことあります?
そう、でもなんかクロスオーバー試験みたいな、なんかその、
それも介入試験になりますけど、やっぱりその、なんだろうな、
例えばなんかモデルを作って、それを矢印の向きをどっちに向けるかみたいなところは、
理論に基づいてなんですけど、解析とかしていけば、
一応因果の証明に近いものにはなるのかなと思います。
基本的にはやっぱり相関なんですけどね。
そうですね。
そう、因果推論までね、深ぼっていけると、物事のね、事象をほんとにとらいやすくなるんですよね。
そうですよね。
なんかやっぱり医学だとやっぱりその、因果関係すごい大事っていうか、
治療法のアプローチとか。
で、なんかその本読んだ中で結構面白いなと思ったのが、
反事実モデルっていうのがあるらしくて、なんか反対の反に事実ですね。
その観察する中で、そういう、なんだろうな、仮説が出てきたときに、
なんか過去を思い返したときに、もしこうだったらこうなんじゃないかみたいなのを突き詰めていくと、
なんか因果が見えてくるみたいな考え方で、ちょっと新しいなと思ったんですけど。
なんか例えば、タバコ吸ってたら肺がんになるみたいな、なるっていうかなりやすいみたいな仮説というか、
結構正しそうな仮説があって、で、観察的に多分やると、
タバコ吸ってた人と吸ってない人で、こうなんだろうな、肺がんの割合が違うみたいな、
そういう相関とかが出てきたときに、でも介入できないじゃないですか、なかなか倫理的に。
でもなんか過去を逆に思い返して遡ったときに、反事実ってことなんで、
タバコ吸ってる人がもし吸ってなかったらどうかとか、逆にタバコ吸ってなかった人はこうだけど、
もし吸ってたらどうかみたいなことをなんか推論していくと、
ある程度の正確性で因果が見えてくるみたいな考え方があるらしいんですけど、
どう思います?こういう考え方。
いや、すごくいいと思います。
仮説ってすごい、なんか思いつきでもなく、やはりそういう一つ一つの、
なんか、なんだろうな、過去の先行研究とかの積み重ねですからね、
なんかそこがあくまで推論だけども、因果っていうところを深読みして、
仮説作るってすごい重要な、研究としては重要なところですよね。
そうですよね。
因果推論の手法
だから、この仮説を、正しそうな仮説を出すために、めちゃめちゃちゃんとした観察が必要みたいなとこだと思うんですよね。
そうですね。
なんとなくこれがこう思ったとかじゃなくて、
だから本当に過去の積み重ねとしてめっちゃ観察して出てきたそのものを、
こういう反事実モデルみたいなものを使って推論していくと、
なんか今までこれの原因なんかよくわかんなかったけど、
なんか数学的に証明できたみたいなのが今後出てくるんじゃないかなって気がして。
そうですね。
今までだと、仮説があったときに介入して、RCTとかして、
それまとめてメタアナリシスとかシステマティックレビューして、
エビデンスが高い因果の関係のエビデンスが出てくるみたいなのが一番高い感じでしたけど、
でもやっぱり介入できないけど因果証明したいっていうものもあると思うんで、
そういうときは介入しなかったとしても、
いい観察を積み重ねて、こういうさっきの反事実モデルみたいなものを使って推論していくと、
これは結構正しいんじゃないかみたいなのが出てくる気がするんで、
この本がまだ去年の12月ぐらいに出たばっかなんですよね、確か。
だから今後なんか出てくるんじゃないかなと思って、大学研究とかでもね。
そうですね。
ちょっと楽しみにしてますけど。
そうですね、確かに。
システマティックレビューとかメタアナリシスみたいな感じで、
本当に膨大な資料の、ビッグデータに近いのかもしれないですけどね、
本当に膨大な資料をもとにそこから導き出していくっていうことは、
本当に実際の介入をせずともあるので、
だからやっぱりすごくデータの蓄積っていうところが、
そこに頼る研究っていうのも、人に害を与えない研究方法としては大切ですよね。
そうですよね。
疾患や教育における観察の重要性
なんか、例えばその精神疾患とかでも、
遺伝性のものとか、なんか先天的なものとか、
そういうのって介入実験とかできないですよね、倫理的にもちろん。
そうですね。
こういう状況で生まれた子どもは、
何かしらね、やっぱ障害を負う可能性が高いとか、
そういうのは、だからこういう手法でやるしかないのかなと思ったりもしますし、
そういう先天性のものだけじゃなくても、後天性でもそうかなと思うんですけど、
なんかね、もうちょっと深めてみたいなと思った話でしたね。
なるほど。
そうですね。
最近はたぶん、そうですね、遺伝子的な研究とかも増えてますし、
真似事じゃないですけど、実際に本当に起きたとしたらみたいな、
核の研究じゃないけど、エミュレーションとかシミュレーションとか、
そういった類の研究っていうのは、
真実味の一理にはつながっていくと思うので、
すごくやる価値はありますよね。
そうですね。
ね。
と思ったっていう話と、
あと、自分たちだと医療系なんで、今臨床と研究の話してきたんで、
もうちょっと教育的なところもちょっとしゃべってみてもいいかなと思うんですけど、
みゆなさんって、ちょっとした実習とかはやったことあるんでしたっけ?
実習指導とか。
実習指導か。
自分自身も学生のときは実習を受けて。
そういうときとかに、
やっぱなんか、学生の質っていうか性格とかに合わせて教育方針とか、
やっぱ変えたほうがいいかなとかあるような気がするんですけど。
めちゃめちゃ変えてますね。
変えてますね。
一人一人違うので、めちゃくちゃ変えてますね。
どういうこと意識してるとかあります?
でもそれもさっき、患者さんのアセスメントのときの話と一緒で、
基本的な、例えば記録用紙ってあるじゃないですか。
絶対にやらなきゃいけないカリキュラムとかあるんで、
それをまず一旦やってもらいつつ、
人によってここ弱点、ちょっと強みっていうのが、
明らかに紙面上で伝わってくるので、
やっぱまずそれが一つその人の個性かなっていうところと、
あとは実際にやっぱり会話ベースでどんどん日々の、
実習って2週間とか、期間の中で本当にいろんな変化が起きるので、
そのたんびたんびの反応とか、ご本人の感想とか、
そういうのをめちゃくちゃ聞き出しながらやってるんですよね。
だからいろんなことを意識してて、
一つが学生のやる気を維持させる、
その人のエンゲージメントみたいなものを高めるようにも、
日々のいろんな刺激を与え続けるし、
ちゃんと本来のカリキュラムの目標であること、
理解を深めるみたいなところも達成できるように、
学生一人一人に必要な知識っていうのを一緒に提供していくって感じですよね。
なるほどね。
本当にバリエーション、いろんなバリエーションあって。
だからやっぱり私自身は精神医学とか精神看護で、
よく人を観察するっていう現場に携わってたから、
わりと教育って現場って、やっぱり学生一人一人に向き合う現場でも一緒なので、
人と向き合うことに対しては、わりとあんまり躊躇せず入っていけるかなっていうところはあります。
なるほどですね。
観察についての話題
確かに、最近自分だとフリーランスのセラピストみたいな発信してて、
やっぱり人によって情報発信しても、
そのリアクションをくれる人とか、リアクションの内容とか結構違ったりするんで、
その人に対して関わり方を分けたりしていってるんですけど、
それもなんとなくその人の観察しながらやってるって感じなんで、
リアルに関わりながらとオンラインとかではまた違うような気がしますけど、
そういう観察しながらやってることって結構いろいろあるなっていう感じを改めて思いましたね。
そうなんですよね。観察ってエンドポイントじゃない、ある意味ずっと変化続くので、
あんまり決めつけないでいきつつデータを蓄積していく感覚を持ちつつっていうところが、
すごい面白いなとは思います。
ですね。
じゃあ今回は観察っていうテーマで、科学系ポッドキャストの話題なんで、
ちょっと小難しい話もありましたけど、こんなもんでいいんじゃないでしょうか。
はい。
じゃあありがとうございました。
ありがとうございました。