1. 世界のクリエイティブ思考
  2. #071 注目のクリエイティブ 〜..

第71回は、レイ・イナモトがデジタル全盛時代に刺さるTVCMを分析。今までに見たことがないようなCMを作るにはどうしたらいいか?どうやったら視聴者の共感を得られるか?全米で1億人以上が観戦するSuper BowlのCMや日本のビールのCMを取り上げながら、クリエイティブ思考を武器に21世紀を生き抜くヒントを紹介します。


◆Super Bowl:BMW "Talkin Like Walken"

https://www.youtube.com/watch?v=sfB-glrgn5o


◆Super Bowl:Kanye West “Yeezy”

https://www.youtube.com/watch?v=_BWYyRicB8w


◆アサヒビール株式会社「アサヒ生ビール“マルエフ”」

https://www.youtube.com/watch?v=_K4RP9WCp5I


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サマリー

彼は、アメリカと日本のテレビコマーシャルを実例に挙げながら、デジタル全盛期に刺さるテレビコマーシャルについて語っています。また、BMW、Kanye West、Asahi Beerという3つのCMのエピソードを通じて、デジタル時代に刺さる日本のテレビCMを探求しています。そして、デジタル全盛時代に刺さるTVCMについてのクリエイティブ思考について話しています。

00:02
This is Reina Moro's Podcast. 世界のクリエイティブ思考。
Hi, everyone. This is Reina Moro.
みなさん、こんにちは。
ニューヨークと東京を拠点にするグローバルインベーションファーム I&CO 共同創業パートナーのReina Moroです。
この番組では、世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今回は、僕が気になったクリエイティブ作品を紹介する注目のクリエイティブをお届けします。
今日は、本番組のプロデューサーの竹村幸男さんと一緒にお届けしたいと思います。
レイさん、よろしくお願いします。
今回は、「デジタル全盛時代に刺さるTVCMとは?」をテーマにレイさんのお話を伺っていこうと思います。
ちょうど今って、広告マーケティング業界では、アワードシーズンのちょうど始まりなんですね。
僕も今、いくつか審査をしていまして、
これも公開されていることなので話せるんですが、まずクリオっていう広告業界では、そこそこの規模のあるアワードの審査のデザインカテゴリーを審査していて、
もう一つは、それこそこの番組が配信される3月末に既に発表される予定のタイのパタヤという街で行われるアドフェストという、
これはアジアで多分最大級の広告アワードなんですが、
そこであるカテゴリーの審査委員長を担当しまして、
タイから帰ってきたという、そういうタイミングでこれが配信されていて、
まだ今、今日のこの収録のタイミングでは結果わかってないんですが、何が話題になったかとか、そういうのがちょうどわかる時期になります。
もう一つで言うと、この後に5月、6月とまたいくつか大きいショーがありまして、
まず1ショーというのがアメリカニューヨークで行われるのが5月にあって、
そして6月の第3週目ぐらいなんですが、これは去年も僕は行って、
そしてそれに関わる話をこの番組と、あともう一つ、
アドバッタラジオという番組と一緒にコラボをさせていただいて、カンヌについて語ったという番組があったんですが、
それが6月後半にありまして、ちょうどこのアワードシーズンが始まる矢先のエピソードのお届けなので、
ちょうどタイミングがいいかなとは思います。
スーパーボールのCMと有名人の活用
おー、みんなが昔ほどテレビを見なくなったと言われてから、もう結構経つかなーなんて思うんですけれども、
スーパーボールのCMだったりとか、テレビのCM、結構昔とは内容が変わってきたり傾向とかってあったりするんですか?
そうですね、それこそ2月に行われた、ちょっとしばらく前のことではあるんですが、
コマーシャルのオリンピックとも言われるスーパーボールがありまして、
今年はですね、まず一つ明らかに傾向としてすごく著しく現れていたのが、有名人の寄与がすごかったんですよ。
おー。
で、統計によると、もう何十本とのコマーシャルが流れるんですが、そのうちの6割から7割が結構なスーパースターの有名人を寄与していて、
全体の4割ぐらいが有名人を数人一つのコマーシャルで寄与してたんですね。
てことは、そもそもあれってコマーシャルを放映する枠を買うだけでも700万ドルして10何億。
30秒のコマーシャルを流すのに枠を買うだけで10何億するんですね。
それプラス、出てる有名人もセリナ・ウィリアムスだったりとか、ジェニファー・アニストンだったりとか、ベン・アフレックだったりとか、ビヨンセだったりとか、もうすごいスーパースターが出ていて、
その人たちに払ってるお金もすごい金額を払っているので、一つ一つの企業がかなりの気合を、意気込みを入れてやってることなんですよ。
そんな中で今年は有名人の寄与がすごく多かったっていうのがあって、それ2つあるかなと思っていて、
まず一つは有名人を使うっていうのは実は無難な技なんですね。
というのも話題が作りやすかったりとか、その人の有名度合いとか著名度に頼れるところがあるので、よく言えば王道。
ちょっと言葉を選ばずに言うと安全な逃げ道とまでは言わないんですけども、やりやすい話題を作りやすい方向ではありますと。
だからすごく安全な道を選んでいる広告主が今年はアメリカでもすごく多かったなっていうのがまず一つ。
これはちょっと読み解いていくというか深く考えてみると、今ちょっと景気がいいのか悪いのかみたいなことが去年一昨年ぐらいからずっと言われていて、
数字を見ると実は景気はいいと。
就職率とか職を持っている人たちも数字だけで見るとすごくいいんですけど、昔と違うのは、いわゆるホワイトカラーと言われていた学歴とかがすごく高かったりとか、
ノレッジワーカーと言われている人たちが特にそのビッグテックから解雇されている数が去年一昨年からすごい何十万人とされているんですね。
それって今までになかった傾向で、他の業界ですと失職率が少なくない。
ただそのハイエンドなノレッジワーカー、ホワイトカラーの人たちの職がなくなっているというのが今までとはなかった傾向で、
それに伴ってそういう大企業も安全な道を選ぶっていうのがそういうところに出ているのかなと思います。
そうなんですね。
結構その背景がいろいろつながっていて、広告とかマーケティングってその時代をある意味何らかの形で間接的もしくは直接的に反映する部分があるんですけど、
そういう経済の影響が企業に現れて、そういう企業の立ち位置がそういうところにマーケティングとか広告に現れるっていうことですね。
それがまず一つ大きなマクロな流れとしてあるのかなと。
二つ目に、これもマクロな流れで完全に時代が新しい時代にちょうど20年ぐらいかけて変わったなと思うんですが、
2000年前後からYouTubeだったりとかFacebookが多分2004年ぐらいに出始めて、
インスタが2008年、9年ぐらいに出始めて、TikTokが2016、17年っていうふうに5年から10年おきぐらいにそういう大きなプラットフォームになるものが出てきて、
10年とか15年ぐらい前は有名人の人たちが、もちろんソーシャルメディアで人気は出てきていたんですけども、
まだその人たち自身がメディアではなかったと思うんですよね。
でも今、その人たちもインスタグラムの中だけじゃなくて、
インスタ、TikTok、YouTube、Q、Twitter、Xとか全部合わせて、その人たち、例えばビヨンセみたいな人たち自身がメディアとなってると。
だからもちろんその人たちを起用するのはお金はかかるし、スーパーボールのテレビの枠を買うのも1枠10億とかかかっちゃうけど、
それよりもまたさらに効果があるだろうと思われるメディアの力をその人たちが持ってるから、
それだけお金を払う価値はあるよねっていう風に考え方が10年くらい前、10年から5年くらい前までは、
いやそこまでかけなくてもいいでしょうみたいな流れはあったんですけど、それが今変わってきたと思います。
すごいですね。会社側もセレブの持つメディアの力、そしてその相乗効果に期待してお金を出すっていうところなんですね。
それが一周回って、20年前はもちろん有名人の知名度っていうのはありましたし、
それはそれで利用できたところなんですけど、やっぱりテレビみたいなマスメディアに頼らなきゃいけないと。
正直スーパーボールっていうのはすごく特別な存在で、
ワールドカップもちょっとそこに近いところはあって、やっぱりその一気に同じタイミングであるイベントにそれもリアルタイムで何百万人っていう人が何千万人、
アメリカの場合ももう1.2億人とかが見る、同時に見るイベントってなかなかないんで、
それもオリンピックとかでもなかなかそういうのは作れないので、そういうチャンスは。
だからワールドカップのその決勝みたいな感じですよね。
テレビ離れをしていてもスーパーボールは見るかもしれないし、
あとやっぱりそういうビッグネームの人たちをフォローしたりとか、そういうところから入ってきたりとか、
でもただやっぱりその起用されている人たちを見ると年齢層が高いんですよ。
なるほど。
だからこれは明らかに若者に向けた有名人の使い方じゃないなっていうのもそういうところから見えてきます。
いろんなことがこのスーパーボールのテレビコマーシャルから見えてくるんですね。
そうですね。
今日はアメリカと日本のテレビコマーシャルを実例に挙げながら、
デジタル全盛期に刺さるテレビコマーシャルとは?についてお届けします。
BMWのコマーシャルとクリストファーウォーケン
では早速いきましょう。
So, let's get started.
例年スーパーボールのCM豪華だということで話題になりますけど、
今年レイさんが一番気になったのはどのCMですか?
はい、僕が今年一番気になったのがドイツの自動車メーカーBMWの
Talking Like Walkenというコマーシャルなんです。
これはハリウッド俳優のクリストファーウォーケンがBMWの電気自動車に乗るところから始まるコマーシャルなんですが、
その後、街を散歩したりしながら出会った人たちの会話を楽しむというそういう内容なんですね。
そして出会う人が人々全て彼の話し方をなぜか真似してくるというコミカルなストーリーになっているんです。
これクリストファーウォーケンさんのことを知っている人だったらよくご存知だと思うんですけども、
彼はニューヨークのクイーンズの出身で、そのニューヨークならではの鉛と彼が持っている話し方っていうのがちょっと微妙なイントネーションの使い方で、
少しだけ癖があるんですけども、でも誰が聞いてもこれ彼の話し方ってわかるっていう、昔からすごくそれが有名な人で、
それをテーマとしてシーンとして使っているコマーシャルなんです。
なんかすごい悪者役で有名な俳優さんですよね。モノマネしやすいんですね。
本当いろんな他の俳優とか有名人も彼のモノマネをしたりとか、その彼の目の前でしたりとかっていうのも、
彼もそれ自分でわかってるんで、あまり怒らなかったりもする立場ではあるんですけども、
役柄としては007の悪の親玉みたいな役でも有名なんですけども、
そういうマフィア映画とかそういう映画に出ているイメージから、
全く逆のコミカルで気軽な感じで見れるっていうのが、違いっていうかズレが良かったんじゃないかなと思います。
このコマーシャルのメッセージの肝のところなんですけど、メッセージは本物は一つだけっていうことなんですね。
コマーシャルのメッセージとユーモアの活用
モノマネをする人がたくさんいても、クリストファーウォーケンという人は世界に一人しかいない。
究極の車はBMWだけ。他の車はあくまでもイミテーション、模倣品なんだということを訴えていて、
プラス本当の電気自動車はBMWの電気自動車しかないんだよっていうことにかけて、
クリストファーウォーケンのモノマネ、イミテーションと他の車とは違うんだっていうことをアピールしているコマーシャルです。
これ僕がすごいなっていうか、すごく糧の力を抜いてメッセージを送ってるなって思ったんですね。
そうですね。コミカルですもんね。
そうそう。さっきも言ったみたいに、1年に1回行われるこの行事は1億人以上の人が同時に見ていて、各企業も何億10億以上かけてやる仕事なので、すごく気合を入れるんですよ。
ここをやっぱり10年ぐらいの傾向を見てみると、ただ商品を売るっていうことだけじゃなくて、ブランドの意義とか存在意義とかすごく力を入れて、
哲学的なところだったりとか、そういう重たいメッセージだったりとかをすごくシリアスに語るみたいなコマーシャルが少なくなかったんですよ。
今年は、これ冒頭にも言ったんですけども、やっぱり有名人の企業がすごく多くて、ある意味安全な道を行っている企業が多かったっていうのと、
あとそのユーモアっていうところを非常にうまく使って、特にこれが僕が良いなと思って何回も見てしまったのが、何回見ても面白くて深くも考えなくていいと。
車の良さっていうよりかは、これある意味ブランディングにもなっているんですけども、機能がどうのこうのっていうよりかは、本当の車、アルティメットドライブマシンというタグラインを使っている企業なんですけども、
もう本当に究極の車、究極の運転をする機械っていうキャッチフレーズで、そこをドストレートにプラスユーモアを使いながら、ちょっと意外なやり方で見せるっていう、
ある意味浅いんですけど、でも僕はそこがすごくいいなと思ったんですよ。
そうですね、高級なのっていくらでも見慣れちゃってるし、こちらも車のCMとして、あんまり引っかからないけど、面白いって思うと特にYouTubeでもう一回見ようかなとか、印象に残りますよね。
BMWのコマーシャル
そう、やっぱり高級車なので、見せる時にはかっこよく見せたいとか、よくあるのがカリフォルニアの海外の高速を海を後ろにしながら、きれいな風景で走っていくみたいな、そういうシーンってよくあって、それこそカリフォルニアにハイウェイワンという高速があるんですけども、そこが車の撮影によく使われるっていう有名なんですね。
で、そういうのが結構一般的だったりするんですけども、全くそうじゃなくて、もう普通の街中で、まずホテルから出てくるクリストフ・ホーケンが車をベル・ボーイからもらっていくみたいな、そういう日常的なシーンだったりとか、その車をあんまりたくさん見せるっていうよりかは、何が本物かっていうこと、そして何が偽物かっていうところをストレートに表現している。
で、40代、50代、60代、70代とそこそこの富裕層で、そこそこの財力がある人で、やっぱりそのBMWを買えるような人に刺さるように、あの年代の俳優を起用しているっていうところもあるので、そういうところはちゃんと計算されていて、でも見せ方はコミカルに軽く、そして誰もが楽しめるっていう、そういうバランスが結構絶妙だなと思いました。
彼ももしクリストフ・ホーケンが30代の時には、こういうの嫌がったと思うんですよ。やるのは。ある意味バカにされてるわけじゃないですか。
ちょっとからかわれてるみたいな感じですもんね。
そう、からかわれてる。みんなからからかわれてる。なんですけど、そんなのも全然気軽に受け入れるよみたいな感じで、そういう自信っていうところも、どこまでそれを意図していたかわかんないですけど、見ていて、僕はそういうのを印象として受けました。
いや、大人の余裕ですね。ちゃんと見てる方にメッセージ伝わってますね。これはすごいですね。
そういうところも気持ちよく見れるというか。これはイベント直後、スーパーボールの直後、どの広告が良かったかみたいなランキングとか出てくるんですけど、それでも結構トップに入ってましたね。好感度でいう。
いいですね。ファミリーで見るスポーツイベントにある意味ふさわしい楽しいCMですね。
それが面白いのは、ちょっとそこで話すと、2つあって、1つは一般市民の人たちが投票をするっていうのがあるメディアがやってる投票箱があるんですね。
あと、業界の雑誌とかメディアが、批評家の人たちが自分たちの意見でどれが良いかどれが良くないかみたいなのを、業界の人たちが判断をするのがあるんですけども、結構それってギャップがあるんですよ。
おー、通好みと一般の人の好みとみたいな。
そうです、まさしく。でもこれはどっちでも高いところに入ってました。
さて、続いてピックアップするスーパーボールのCMどんなものでしょう。
カニエウエストの自撮りコマーシャル
はい、続いて紹介したいのは、先ほどのBMWのコマーシャルとは真逆というもので、これはですね、僕は見て、もう結構衝撃でドギモを抜かれたっていうものなんですが、スーパーボール市場で今までないほど低予算で制作されたコマーシャルなんですね。
これはラッパーの家ことカニアウエストが自分のスマートフォンで多分なんか車で移動中、夜のそれもライティングも全然良くないところで自撮りをしているコマーシャルなんですけども、彼自身のアパレルバンド、イージーの宣伝をしているコマーシャルなんですよ。
で、コマーシャルで30秒のすごく短いコマーシャルなんですけど、このスーパーボールのその10億とかかるメディア費用でお金を使っちゃったから、制作するお金がない。なのでこれ自分で今スマホで撮ってるんだよね、みたいなところから始まるんですね。
特別の靴とかスニーカーとかアパレルをデザインしたから、イージー.comに行って買ってねっていうのを30秒くらいで、彼が自撮りしながら暗い車の中でブレブレで撮りながら話して、まあコマーシャルの作りとしては正直すごい酷いんですよ。
いや、びっくりしますね。そんなのがBMWのコマーシャルの後とかに流れたら。
で、あれ見たときは、え?みたいな感じ。これ間違いなの?みたいな。って思ったんですけども、でもあれって結構実は戦略的に作られていて、あれはですね、オーダーの予約ができるっていうサイトで、まだ直接買えるわけではないんですね。
そうなんですね。
つまり、予約をもらってから、オーダーをもらってからの制作なので、そこのリスクがグワッと下がるってこと。
在庫を抱えなくていいわけですね。
まさしくそうなんです。
ファッションの業界とかで一番つらいのは、特にマスブランドでつらいのが、最初に作ってからすぐ買えるようにしないと、なかなかお客さんが買ってくれないと。
そうですよね。商品もないのにどうするんだって話ですもんね。
そう。やっぱり在庫管理とか何がどれくらい売れるかっていうのは、事前になかなかわからないから、やっぱりそこが難しいわけですよね。
そう。そういうのをしなくてもいいっていう、意外と戦略的にビジネスが全体的に考えられてるわけですよ。
いや、私もレイさんにこれいいよって言われて見た時に、あれ何かリンク送り間違えてるんじゃないかなみたいな。
よくSNSとかでは、それこそ自撮りしながら何か喋ってるみたいな、インスタグラムとかで見ますけど、これがスーパーボールの豪華なCMの間に流れたら、本当に異様ですよね。
いや、あまりにも場違いで、あまりにもおかしいんですよ。
だって、なんか宣伝っていうよりも雑談みたいな。
もう完全に雑談なのか、これ間違いなんじゃないみたいな。放送事故ですよね、ほぼ。
本当そうですよね。適当に作ってるしか思えないようなものにそんな戦略があるとは、すごいびっくりしました。
彼の場合、これもご存知の方もたくさんいらっしゃると思うんですけども、カニアウエスト、イエー自身は、アディダスともう10年ぐらいずっとコラボをしていて、ただここ数年、結構人種差別的なことを言ったりとか過激なことを言って、
そういうやっぱりバックラッシュもあって、アディダスも結構最後まで頑張って彼とのパートナーシップを組んでたんですけども、やっぱりその世の中の人たちの反論がひどくなっちゃって、やむを得なくそのパートナーシップ契約を切ったっていうのが2年、1年、去年でしたかね、あったんですよ。
いやー、そうですよね。あまりにもXツイッターで人種差別的な発言をしすぎて、もうツイッターからもXからもデキになるぐらいの感じですもんね。
そう、だからそれぐらいの存在で、でやっぱりそのアディダスに対しても、ざまあみろみたいな感じ、反逆精神で反抗精神でやってるところも結構あるんですけど、あれは企業じゃできない技ですよね、なかなか。
そうですよね。でも見ている側からしたら、この家、カニエウエストだから、もうお騒がせの人だからこそ、こんななんか変なCMを作っても、あーってちょっと受け入れちゃうみたいなところもあるんでしょうかね。
そう、だから何十個とあったコマーシャルの中のほとんどが、やっぱりその年齢層の高い人たち向けだったんですけど、これが数少ないその若者向けのコマーシャルの一つで、なおかつあまりにもこの移植の方法で流してますと。
で、プラスビジネス効果的には、もうオーダーもそのメディア費、広告費が全然取れて儲けが出て、そして生産も在庫を抱えてないから、これからそのコマーシャルが流れた時から作るから損はしないっていう、オーダー来た分だけ作るっていう、結構ちゃんとしたビジネスデザイン、ビジネス戦略が事前にされていて、結構これは考えさせられましたね。
これは一般の人からの受け入れられ方とか、それこそ広告の批評家の人たちの受け入れ方とかはどうだったんですか?
一般の人から言うと、戦略の予約が少なくとも全然元は取れて、儲けも出て、批評対効果はすごく良かったっていうのは統計的には出てますね。
で、このクリエイティブとして一つの映像作品として見ると、まあひどいじゃないですか。
作品とは言えないですよね。
いや、言えないです。
普通のSNSのちょこっと撮った投稿みたいな。
でも一歩下がって、何をやろうとしているのか、何をやるべきなのか、何をやりたいのかっていうところを考えると、これはまさしく非常にクリエイティブ志向なもので、めちゃくちゃ尖った、誰も思いつかないようなアイディアをしれてるっていうのはこれがすごいなと思いました。
思いついても怖くてできない。
そのクリエイティブ作品というところではひどいんですけど、全体的なクリエイティブ志向として見ると、いやこれはすごいっていう。
いやー、人の度肝を抜くって勇気いるんだなって思います。
彼の場合はね、もう失うものがほとんどないのかは知らないですけど。
確かに。
全然恐れてないですよね。で、恐れてないからこういうことができるんですよね。
確かにこれまで積み上げてきたブランドがあったらとてもこれはできないですよね。
そうで、彼なりのブランドはあるじゃないですか。やっぱり。
怖いもの知らずみたいな。
そう、怖いもの知らずでもうひどいことも平気で言っちゃうってところもあるので、僕はその彼自身、人間としてどうかなとは正直思いますけども、こういうことをやっちゃうのは普通の人じゃできないです。
いやー、スーパーボールからは2作品ご紹介いただきました。
番組の詳細欄にリンクを貼っておきますので、どうぞ皆さん見比べてください。
朝日ビールのコマーシャル
さて、続いてなんですけれども、日本のCMについてもお話を伺いたいなと思うんですが、このデジタル時代に刺さる日本のテレビCMっていうのは、レイさんどれが印象に残ってますか?
3つ目に紹介したいのは日本のものなんですけど、〇Fの愛称で親しまれる朝日ビールのコマーシャルなんですね。
これもぜひ紹介したいなと思った理由は、今日ちょっと紹介している3つのもの、いわゆる王道のブランド広告、企業広告、商品広告の有名人を使って、すごくホームランを狙っていく、でもそんなに肩に力を入れずに楽しんでもらうっていう最初のBMWのコマーシャルがありました。
2つ目は確かに有名人なんですけども、あれはこの時代だからできたことだし、あの人だからできたし、本当に一色でかなり票をついたものです。
3つ目のはあえてすごく最近のものではなくて、1,2年経ってるものではあるんですが、実はこれ僕コマーシャルっていう意味で選んだんじゃないんですよ。
何がいいかっていうと、結論から言うとこれ僕キャッチコピーがすごくいいなと思いまして、日本の皆様お疲れ様ですっていうふうにくくられているシリーズのコマーシャルで、ちゃんと基礎的なところ、基本的なところを抑えて、そして共感が得るストーリーテーリングコミュニケーションができてるなっていうことで、
こういうのって形になるとこんなものなのかっていうふうに思っちゃうんですけど、
え、ダジャレじゃんぐらい思ってましたけどそんなところが。
この当たり前でダジャレで誰もが言いそうだったことを実は誰も言ってなかったっていうのが、
2022年になってようやく誰かがこれ気づいて、これでいきましょう。それも今数年続いているので、ちゃんと効果があって刺さってみんなも覚えてくれるし、仕事をして疲れたときに飲みたいなっていう言葉としてスッと入ってくるっていうのって、もちろん狙ってやりたいことではあるんですけど、なかなかできないことだと思うんですよね。
確かにどのビールのCMキャッチコピーを覚えてますかって言われたらパッて浮かんでくるのないですね。そういえばあんまり。
なかなかないじゃないですか。
だからその朝日ビールで言うと、例えば僕でも知ってるぐらいで言うと、例えば朝日スーパードライとか、商品の名前をバーンって出すぐらいのものですけども。
飲むほどにドライ、辛口生とか、辛口切れ鮮度っていったキーワードが使われてて。
そうそう。ビールって冷やして飲んで、ぷはーみたいなところだと思うんですけど、それとはちょっと違う路線で、そのマルエフの商品コンセプトの癒し、ぬくもり、まろやかさというところが、この両国にあるぬくもりっていうところも微妙なバランスで同時に表現されてるんじゃないかなと思います。
日本の皆さんお疲れなまですっていうコピーは、元気出して明日も頑張りましょうみたいなぬくもりとかを表現してるっていうところにつながってますね。
そうそう。これはですね、コピーを書くって、文章を書くって基本誰でもできることじゃないですか。
確かに。しかも短いし。
ある程度。そう。で、今チャットGPTみたいなものができちゃってるから、人間じゃなくてもAIに任せればある程度のものはそこそこ書けると思うんですよ。
で、これですごくコピーライティングとかメッセージの作り方とか共感を作る一つの考え方として、今ちょっと思い出したエピソードがあるんですけど、フランスの詩人の人が街を歩いていましたと。
で、その人はランチに誰かに会いに行くんですけど、通った時に目の見えない盲目の人が物声をしていましたと。
テレビコマーシャルとマーケティングの反映
で、その前にはサインが書いてあって、私は目が見えません。盲目です。お金をください。助けてくださいっていうふうに書かれていて、隣にコップが置かれていたと。
で、そこには全然小銭とかが入ってなかったんですね。
で、それを見かねたその詩人の人が紙を取って裏返しにして、シレシレシレと別の言葉を書いたんです。
で、彼が書いた方を表に向けて、で、その盲目の人に多分何も言わずに行って、で、ランチに行きました。
で、ランチ終わってから、またその盲目の物声のところに行ったら、コップにはあふれるほどの小銭が入ってたんですよ。
で、そこには何て書かれたと思いますか。
えー、なんだろう。
一つヒントはですね、季節が春なんですよ。
春。えー。何ですか。教えてください。
何て書かれたかっていうと、今は春です。私はそれが見えません。っていうふうに書かれています。
すごい。
つまり共感なんですよね。その人がどう思うかっていうのを相手に分からせる。
私は盲目です。助けてくださいって言っても、事実を伝えてるだけで、その人がどういう気持ちかとかっていうのが伝わらないじゃないですか。
いやー、すごい。
でもそれを、今は春です。私にはそれが見えませんって言うと、痛みがわかるじゃないですか。
なんか切なくなっちゃいますよね。本当に。
それ、それ。それが感情に訴える、共感を作るコミュニケーションで、この日本の皆さんお疲れなまですっていうのも、そこまで切ないことは全くないですけども、その要素が含まれてると思うんですよね。
先ほどおっしゃられた朝日スーパードライのキャッチコピーも、全然悪くないとは思うんですが、その機能がどうかとか爽快とか、そういうことを訴えるじゃないですか。
でもこれは、お疲れなまですっていう企業として、商品を売ってる側として、皆さんの気持ちもわかりますよ。そこを癒したいからこういうものを提供してるっていう思いがあると思うんですけど、
その伝え方がすごく絶妙に、この短いところに込められてるっていうのが僕がいいなと思った理由です。
コピーライターって、一般の人から見るとすごく不思議な仕事だと思うんですよ。すごく短い文章を書くことでお金を稼ぐっていう。
プロと普通の人の違いっていうのが、今まで全然わかってなかったんですけど、
今日レイさんの盲目の人の話を聞いて、なるほどと思いました。
どういうのが、その文章の書き方とかキャッチコピーの書き方とか、あとそのストーリーテリーですよね。
何を伝える、どうやったら相手に刺さるように伝えられるのかっていうところの、これは何回やってもなかなか簡単にできることではないんですが、そういうところをちゃんと考えて、じゃあどう表現するのか。
やっぱりプロは違うんだなと。
やっぱりプロは違うんですよ。やっぱり人間のすごい人はそういうところが違うと思います。
AIでは乗っ取れない領域ですね。本当にいくら考えても出てこないと思う。
誰でもできることでもない。
さてここまでお送りできました、レイナモトの世界のクリエイティブ思考。
今回の注目のクリエイティブは、デジタル前世時代に刺さるテレビコマーシャルとは、をテーマにお送りしました。
今回そのあえてコマーシャルっていうものを選んだんですが、実はこれが良いコマーシャル、これが良くコマーシャルとかっていうことを話したかったんじゃないんですね。
それよりかは2つあって、1つはそのテレビコマーシャルとかマーケティングとか広告っていうのは、その時代を何らかの形で反映しているものということですね。
なので冒頭にもお伝えしましたように、今年のコマーシャル、特にスーパーボールのところで言うと、有名人を起用しているものが多いっていう背景にはこういうことがあるんだよっていうことを読み解く1つの出口、1つのきっかけなので、
日本のストーリーテリングの重要性
そういう目線で見ると、もっともっと大きな世界の流れだったりとか社会の流れがそこである形で見えてくるので、そういう視点で見るとちょっと違う感覚だったりとか違う見方ができるんじゃないかなっていうのがまず1つ。
もう1つはコミュニケーションというところで最後にお伝えした日本のビルのキャンペーンのことで言いたかったのは、もちろんそれはあれはものとしても僕はすごくいいものだと思うんですけども、
シンプルな言葉遣いだったりとかシンプルな言い回しの裏には、実はこういう考え方があって、そしてこういうふうに言うことで相手が受ける印象が全然違うっていうことがあって、
やっぱり言葉の強さだったりとか、最近ちょっと僕がすごく思ってるのは、日本の未来の1つのきっかけはストーリーテリングだと思うんですね。
っていうのも、日本人って基本あんまりストーリーテリングが上手じゃない民族なんですよ。
それですごく損をしちゃっている。
逆にアメリカってそれすごくうまいんですね。
っていうのも、国がすごく多様性があっていろんな人があって価値観がバラバラだから、誰もがわかることを言わないと、誰もが共感をしてくれることを言わないと人がついてこない。
で、まさに今年行われている大統領選挙がそれのすごくいい例で、それがすごくクリアに現れることで、
やっぱりこういうマーケティングとかコマーシャルとか広告とかを見て、ちょっと分解して考えていくと、なぜこれが人に刺さっているのかとか、なぜ流行っているのかっていうところの裏側にはそういう設計がある程度意図的にされているものもあれば偶然のものもあるとは思うんですが、
それってなかなか非常に難しいことで、今後日本が世界で残っていくには、いいものを作っているだけじゃダメなんですよね。
ちゃんとそれを伝えるってことをしていかないと、世界で生き残れないですね。
ストリーテリング大事ですね。そう考えると。
はい、なので今回のタイトルはデジタル前世紀時代に刺さるテレビコマーシャルとはということで、ある意味一つ一つの作品を紹介させていただいたんですが、
その社会の背景、時代の背景にある社会だったりとか世界、そしていかにストリーテリングが大事だったかっていうことをちょっとお伝えしたかったっていうのが意図的にありました。
では次回もお楽しみに。世界のクリエイティブ思考、お相手は麗奈本と竹村ゆき子でした。
デジタルガレージは危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを創業以来大事にし続けています。
これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えたテクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
番組詳細欄にあるリンクよりぜひご覧ください。
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