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2025-03-31 49:55

第190回 湖に沈んだ村で生きたある女性の半生『この村にとどまる』マルコ・バルツァーノ著

spotify

文学ラジオ第190回の紹介本

 『この村にとどまる』マルコ・バルツァーノ著、関口英子訳、新潮クレストブックス

https://www.shinchosha.co.jp/book/590192/

パーソナリティ二人で作品の魅力やあらすじ、印象に残った点など、読後の感想を話し合っています。ぜひお聴きください!

 【今回の内容】

第十一回日本翻訳大賞二次選考対象作品/久しぶりのイタリア文学/細部までリアルに描ける調査がすごい/言葉の一つ一つが心に入ってくる/著者&作品紹介/北イタリアのチロル地方が舞台/湖に沈んだ村の歴史そのものと言える主人公トリーナの奪われた人生/とどまるか、離れるか、選択を迫られる村人たち/語りの魅力/ネタバレ無しでストーリー紹介/反対運動をしても着々と進むダム計画/トリーナの友人が連れ去られる描写のリアリティ/トリーナの夫のぶれない生き方/何気ない食事の描写から決定的な場面へ/トリーナの人生から夢や家族を奪った国や企業を許してはいけない/少数の人たちが理不尽に犠牲を強いられるのは今のウクライナやパレスチナに重なる/次回予告

 

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版元サイトより

ーーーーーーー北イタリアチロル地方、ドイツ語圏の一帯はムッソリーニの台頭によりイタリア語を強制され、ヒトラーの移住政策によって村は分断された。母語を愛し、言葉の力を信じるトリーナは、地下で子どもたちにドイツ語を教え、ダム建設に反対する夫とともに生きてゆくのだが……。イタリア文学界の最高峰、ストレーガ賞の最終候補作。

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▼お知らせ:『エジプト人シヌヘ』課題本読書会の追加開催が決定しました!

5月18日(日)開催の『エジプト人シヌヘ』課題本読書会がイベント公開後、すぐに満席となったため、6月19日(木)に追加開催を行います。追加開催の日にもゲストとして翻訳者のセルボ貴子さんとみずいろブックスの岡村茉利奈さんにご参加いただきます。『エジプト人シヌヘ』は読むと誰かと語りたくなる小説ですので、ご興味ありましたらぜひこの機会にご参加ください。詳細・申込はpeatixイベントページより↓

⁠https://peatix.com/event/4341247⁠

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サマリー

このエピソードは、イタリアの北部にあるチロル地方のクロン村を舞台に、村に住む女性の半生を通じて村の歴史を描写しています。著者のマルコ・バルツァーノが手掛けた作品『この村にとどまる』を紹介し、戦争やダム建設による村の景色や住民の物語に焦点を当てます。南チロル地方のクロン村における歴史と、主人公トリーナの物語が語られています。トリーナは、ドイツ語からイタリア語への強制的な言語変更やナチスの影響、戦後のダム計画を通じて、村人たちの選択とその結果について考察しています。第190回のエピソードでは、湖に沈んだ村の歴史を背景に、トリーナという女性の半生が描かれています。彼女はファシズムの時代に、教師を目指しながら村の子供たちにドイツ語を教える活動を続けますが、戦争やダム計画によって村の運命に直面し、厳しい試練を経験します。このエピソードでは、湖に沈んだ村とその中で暮らしたトリーナの人生を通じて、戦争や政治による人々の苦しみが表現されます。物語は、村がどのように失われていったのか、そして現在の観光スポットとしての姿が本来の歴史をどのように忘れさせているのかを探ります。

クローン村の歴史と女性の物語
北イタリアにあるチロル地方、ここにかつてあったクローン村は、国境沿いということもあり、
橋粒と那智粒に翻弄された歴史があった。 今はダムの底に沈んでしまったその村の歴史を、そこに住んでいた女性の半生を通して描かれる。
マルコ・バルツァーノのこの村にとどまるを紹介します。 どうもみなさんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするポッドキャストです。
パーソナリティは、私ダイチとミエの二人でお送りします。 文学のプロではない二人ですが、お互いに好きな作品を時には熱く、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、マルコ・バルツァーノのこの村にとどまるです。 関口英子さん役で、新庁舎から2024年に出版された本になります。
こちらですね、収録段階ではちょっとどうなるかわかんないんですが、多分配信段階では結果がわかっていると思うんですけども、日本翻訳大賞の二次選考に残っている一冊ですね。
配信段階、4月の頭くらいかな、では最終候補5作に絞られているかと思いますので、3月末段階では最終候補5作に絞られていると思うので、この作品が残っているか残ってないかはちょっとわからないんですけれども、二次選考に残っている作品の一冊となっています。
で、私はこれだいぶ前に買って積んでましたね。これ出たのが2024年の1月だったんですよね。だからいつのタイミングで買ったかちょっと覚えてないんですけど、手に入れて積んでました。で、日本翻訳大賞の候補を見た時に、あって思って、そういえば読んでないやって思い出したのを覚えてますね。
でも、もともと注目はしてたんですね。
でもさ、これ結構話題じゃなかった?みんな読んだ人いいっていう反応が多かったので、見かけたタイミングで買ったんですよね。だし、もうカバーというか想定がめちゃめちゃ印象的な。
いいですね。新聴クレストブックスのシリーズの一つなんですが、この大地さんがこれを持ってるっていうのを聞いて、調べるとやっぱすごい良さそうだなって思って。
そうですね。ちょうどこの日本翻訳大賞のタイミングもあるので、ちょっと読んでみようかなという話になって、今回ご紹介しているという流れですね。
そうですね。あとはラジオでは、今回イタリア文学なんですけど、結構イタリアの作品取り上げるのが久しぶりになるんですよね。
そうですね。ガルビーノ、ブッザーティー。
なんかちょっと癖強い2人をイタリア文学で紹介していきたいですね。
イタリアといえば癖が強いみたいな。
そういう意味では今回のこの村に留まるというのは、もう真っ当な小説ですね。
そうですね。確かに。まあトリッキーではないよね。
そうですね。
ブッザーティーもね、まあ不条理系っちゃ不条理系だからだけど。
そうですね。ガルビーノ、ブッザーティー、どっちもちょっとね、だいぶ変化球を投げまくるみたいなね。
ああ、確かに。
タイプの作家なんで。
なんとなく、あとガルビーノとかブッザーティーってちょっと活躍してた時代というか、少し昔の世代ってイメージだけど、
今回のこのマルコ・バッツアウンドさんは、もう今現代イタリア文学をね、代表するというか、で活躍されていらっしゃる方なので、
割とこの最新のイタリア文学かなっていうところと。
そうですね。
ですね。だからちょっとすごい読みたかったのもあるし、そのあたりも含めて。
今日お話できたらなと思いますね。
さて、最初にちょっと印象お話するとですね、ちょっと衝撃だったのは、
これ私ほぼ最初、前知識なく読み始めました。
あらすじとかも読まずに読み始めたので、なんかタイトルめっちゃいいなと思ったので、
どんな話なんだろうなとか思いながら読み進めていったんですけど、
これあれですね、ざっくり言ってしまうと、第一次世界大戦の後ぐらいから第二次世界大戦にかけてと、
ちょっと終戦するまで、終戦した後もかっていう、ちょっと割とある女性の反省が描かれるんですけど、
長いスパンの話だったんですけど、これちょっと読んでる最中思ったのは結構すごいリアルで、
その細部まですごく練られてるというか、この女性の人生が描かれていて、
これも体験したような話、自伝的な小説に近いような感じで読んでたんですけど、
もしくは近しい人が書いてるのかなみたいなイメージで読んでたんですけど、
途中で役者後掛けを読んだんですよね、第一部が終わった後ぐらい、
そしたら結構調査して書いたっていうことなので、
マルコ・バッツアーノさんは別にこの舞台になった村出身ではないし、
チェロ地方出身ではないし、ミラノの人だもんね、だから調査して書いたんだよね、これね歴史とかをね、
すごくすごいなと思って、まるで経験したことのように、
細部までイメージできて書いてるのが、ちょっとびっくりしたというか、
去年よく自伝的小説を読んでた気がしていて、
マリウーポリー、彼女はマリウーポリーがやってきた、
おととしの、
おととしだっけね、そっか、
とかなんか割と自伝的なやつって結構読んできた気はするんですけど、こういうタイプで、
これなんか調査とかで構成してるんだっていうのがなんかすごいなっていうのが正直思いましたね、
あともう一点あれですね、これイタリアの北部にある地方が舞台なんですけど、オーストリアとかスイスの国境沿いで、
言語がですね、当時ドイツ語圏っていうところで、イタリア語圏じゃなかったっていう、イタリア語を話す人の方が少数派だったっていう地方で、
結構なんか日本からすると結構想像しにくい場所じゃないかなと思っていて、
やっぱこういうところの、なんていうんだろう、状況というかね、
情景をこう見せてくれるのも海外文学を読む醍醐味だなと思っているので、その点でもかなりちょっと読書体験としてはすごい良かったなと思いますね。
うん、確かに。
ちょっとそのとこにしときますか、最初。
いやそうですね、今回は北イタリアの小さな村が舞台なんですけど、
登場人物、主人公を含めてですけど、結構素朴な人たちが多くて、そんな派手な話ではないと思うんですけども、
でも読み出すと止まらない、そんな小説になりましたね。何がいいかっていうところの一つで、
個人的にはこの小説の文章、主人公の語りですね、それがすごい良いなと思って、すごく言葉に引き込まれましたね。
あんまり無駄がないこの文体なのかなと思っていて、登場人物のセリフとかも、そんなちょっと端的な話し方なのかなと思うんですけども、
でも一言一言がすごく心に入ってくるような、そんな言葉ですごく魅力的なこの文章だなと思って読んでました。
村の現状との対比
で、この舞台の村というのが、戦争とか戦後の土地開発、ダム計画ですね、それで国とか企業の都合によってなくなってしまう、そんな村の話なんですけども、
そこで育った主人公たちの人生っていうのが、すごく大戦時代みたいにリアルに描かれていて、すごく読んでると、そこの人たちに思いを馳せるような、そんな感情がありましたし、
最後読み終わると、その小説の中では過去の話ですね、その村があった時の話なんですけども、ちょっと現代に戻るんですね。
その村があったところは、今はこうなっていますっていうのを作者が書いていたりするんですけども、そこも含めて読むとですね、もうかなりね、ちょっと感情を動かされるものがありましたね。
そうですよね、表紙からもそうなんですけど、湖に沈んでしまった村のね、このことが描かれるんで、ちょっといろいろ思いを馳せてしまいますよね。
じゃあちょっとそんなこの村に留まるんですが、著者紹介したいと思います。
著者のマルコ・バッツアーノさんですね。この方は1978年ミラノに生まれています。2010年、息子の息子でコラード・アルボーロ新人賞を受賞。
2015年、最後に来たりし者でカンピエロ賞とバルボーニ賞、ローマ図書館賞などを受賞。
2018年に発表した本書でイタリア文学界の最高峰、ストレーガー賞の最終候補に選ばれたほか、リゾーラ・デルバ賞、ドミニティ・ユネスコ賞、ビアダーナ賞など国内外の多数の文学賞を受賞したと。
世界35カ国で翻訳され、ドイツイタリア両国で20万部を超え、世界で50万部のベストセラーとなった。というかこの村に留まるんですね。
役者と書きにもあったんですが、割とこの本が彼のそれまでの作風をガラッと変えた新しい作風で、結構読者驚かさせたとあるんですけど、それまでは割と女性の印象で語る作品なんですけど、
それまでは移民産部作という産部作があるみたいなんですけれども、これは結構自身の体験やルーツ、家族のルーツなんか色濃く反映された作品だったものから、この村に留まるでかなり作風を変えて話題を読んだとありますね。
この移民産部作、ちょっと気になりますね。面白そうですよね。 ちなみにめちゃめちゃ面白かったので、まだこの一冊しか翻訳されてないっていうのは、現段階ではこの村に留まるしか翻訳されてないそうなので、
ちょっと新潮クレストさんなのか、他の出版社なのかあれですけれども、ちょっと読みたいですよね。 そうですね。あと新潮クレストブックスから同じく出ている、帰れない山という。
ああはい、イタリア文学の。 これも同じくイタリアのパオロ・コネッティという作家の作品なんですけど、年齢が同じなんですよね。
ああそうですよね。 どちらも1978年生まれで、あとガキでも中堅世代を代表する書き手として、この2人が現代イタリアの文学芯を引っ張っているというので、マルコ・バルツァーノさんはこの村に留まるしか今は翻訳がないので、ちょっとこれからの翻訳はすごい楽しみにしたいですね。
そうですね。帰れない山もね、気になってる。 ああそうですよね。 ですよね、私ね。ちょっとこれもだいぶ話題だった。
帰れない山と、このパオロ・コネッティさんは本当はね山小屋の生活。そっちもすごい面白そうな。 どっちも新潮クレストですね。
じゃあちょっと版元、新潮クレストブックスの紹介をちょっと読み上げたいと思います。 北イタリア、チェロル地方、ドイツ語圏の一帯はムスソウニの大統によりイタリア語語を共生され、ヒトラーの移住政策によって村は分断された。
母語を愛し、子供の力を信じるトリーナは、地下で子供たちにドイツ語を教え、ダム建設に反対する弟共に生きていくのだが、イタリア文学界の最高峰、ストレーガー賞最終候補作とあります。結構端的にこの作品を紹介してますね。
そうですね、もう早速この作品の特徴に移っていきたいと思うんですけども、今のあらすじの紹介でもあったように、北イタリアのチェロル地方というところが舞台なんですけども、ドイツ語圏なんですけども、村としては、その一帯としては、1920年代、ムスソウニの大統によってファシズムがイタリアで政権を取って支配していってという時に、そこからかなり激動の歴史をたどっていくという。
クロン村の歴史とトリーナの物語
そんな村になります。特徴の一つ目としてはですね、この主人公のトリーナの繁盛が描かれるんですけど、それはですね、このクロン村ですね、激動の歴史をたどっているクロン村の歴史そのものと重なっているという、そこが特徴一つかなと思います。
そのムスソウニが大統してきて、ドイツ語圏の村がまずイタリア語を強制されるようになるという、そういうファシズムの教育からとかですね、この言語から根本的に変えていくというところで、みんなドイツ語を話している人たちだったんですけども、イタリア語を話さないといけないというですね、強制されてしまうと。
で、その後ですね、戦争、第二次世界大戦とかっていうのを迎えていくようになると、今度はナチスドイツが力をどんどん強めて侵略、支配を広めていってという時に、このドイツ語圏の村というのもナチスのものになって、そこに住んでいる人たちがイタリアに残るのか、ドイツが支配した領土に移住もできるよっていうので、選択を迫られていくというので、村が分断されてしまうというですね。
さらにですね、戦争が終わって、今度はですね、企業による水力発電の開発のために、この村が犠牲になってしまうというですね、渓谷というところに、山井のところにある村なんですけども、水力発電で水を貯蔵していくという、人工の湖を作っていきたいという時に、
その底の方にあるこの村も、その湖の中に入ってしまうという、そんな計画なんですけども、そこに巻き込まれてしまうというですね。主人公はもうまさにその村で生まれ育った人なので、最初このムッソリーが台頭してきて、ドイツ語からイタリア語を強制されるというところで、この主人公も教師になりたいという夢を学生の頃持ってたんですけども、
ちょっとその夢が、まずそこで言語がガラッと変わるし、教育方針というか内容というか、そこももうガラッと変わる。そのための人材投与の仕組みとかも全部変わってしまうんで、そういう教師の夢が奪われてしまうというのもそうだし、あとナチスドイツが来た時、この村が分断されるんですけど、主人公も家族がですね、それによって引き離されてしまうし。
戦後ですね、水力発電の開発で村がですね、それによって犠牲になってしまうというところで、主人公が生まれ育った土地ですね、家もそうですけども、そういったのも奪われてしまうというのでですね、村が歴史の国とか企業の犠牲になっていくんですけど、そこに住む人たち、主人公を含めて同じくですね、被害を受けてしまうというですね。
この村の歴史、歴史っていうのがやっぱり結構奪われてしまった歴史っていうことですね。村も主人公たちもという。
そうですね。今はね、現代においては、この場所は実在する場所で、教会のね、小牢だけがね、湖から顔出していて、それが観光名所になっているというような状況なんですけども、それがまあ表紙にも反映されてるんですけど。
縦長で、屋根が尖ってるんで、その下にちょっと鐘がある建物ですね。
そうですよね。で、これちょっとそういう本当に実際にあったというか、ことを下地にしているフィクションではあるんですけれども、個人的には一番最初読んだ時に結構状況が理解しにくいというか、まずドイツ語なんだっていうのがちょっとびっくりしたというか、
自分はイタリアの小説だと思って読み始めたのに、ドイツ語圏の地方なんだっていうところ。って思うと、なんかドイツになんか支配されてたというか、ドイツの領土だったのかなっていう印象を持つのかもしれないですけど、実際はオーストリアですね。オーストリアの領土というか、オーストリアの影響でドイツ語圏だったということになりますね。
ここがちょっと私一瞬混乱しました。オーストリアっていうのが最初出てこなかったので、外国からイタリア語が強制されてナチスがまた来てドイツ語とイタリア語をグチャグチャするっていうのがちょっと繰り返されている。地理的に非常にいろんな国の影響を受けてしまう場所だったっていうところですね。
なので、この村の中でも結構どこに系統しているかがちょっと違ってたりするんで、なんか不思議だよね。これ多分日本の感覚からすると全くわからない。特にこのトリーナの家族もですね、夫のエイリヒと息子のミハイルっていうのが、ミハイルがちょっとナチス派になってしまったんですね。
ナチスの兵士になるって言って出てくるんですけど、でもエイリヒはもうそんなもん考えられないっていうか、やめろっていう感じで、反ナチス派なんですよ。この辺りもですね、同じ家族の中でこんな風になるっていうのが、多分日本の感覚からすると全くイメージできないんじゃないかなと思って、結構すごい特殊な地域だなっていうのが読んでいて思いましたね。
そうですよね。この南チロル地方というところで、イタリア、オーストリア、あとスイスにも面しているんですけども、結構どこの国の領土のものかっていうと、結構歴史の中では色々とオーストリアやイタリア、でもなんだかんだって今はイタリアみたいなですね、そういうところみたいで。
確かにその所属意識というか、そういったところのアイデンティティっていうんですかね。そういったのが確かになかなか特殊な状況な地方かもしれないなと思いましたね。
そうだよね。
あとちょっと小話になるんですけど、南チロル地方について少し調べていたらですね、東京のスタガヤ区の豪徳寺に、日本で唯一。
豪徳寺。
豪徳寺ですね。マネキーネコで有名な豪徳寺なんですが、日本で唯一と思われる南チロル料理店があるみたいで。
あ、そうだっすね。南チロル料理ってのがあるんですね。
そうですね。三羽亭っていう名前の料理店になるんですけども、ちょっとここはかなり行ってみたいなって思いましたね。
あーそうなんだ。ちなみに南チロル料理ってどういう料理なんですかね。
どういう。
あ、本当だ。
ちょっとイタリアン。
ソーセージ?
そうそう。そういうドイツっぽいあれなのか。
え、でもなんかおいしそう。
そういう郷土料理が東京で食べれるっていうので。
なるほど。豪徳寺といえば、編集工学研究所があって、本能レンラジオさんの置き算元じゃないですか。
はい。
一回来ましたよね。収録に。
行ったところですね。
じゃあまた郷土寺行きたいな。
そうですね。あの近くなんでちょっと行ってみたいですね。
そうですね。ちょっとじゃあまた誘ってみましょうか。
おいしそうしいと思うけど。なるほど。あ、いいですね。
ちょっとですね、話が小説に戻そうと思うんですけども、小説の特徴の2つ目ですね。
それがですね、今までの話の流れで、この黒村に留まるか、それとも離れるか、選択を迫られる村人たちがいるっていうですね、そこが特徴かなと思っています。
戦時中のナチスドイツが来ての分断であったり、あと戦後のダム計画の開発であったりっていうので、結構村人たちがその時その時で岐路に立たされるんですね。
なんかその出ていくのか留まるのかって、主人公のトリーナの家族たちとかもそれによって決断をしていくんですけども、結構その家族とか村人たちっていうそのコミュニティの中でもみんながその一枚岩で同じ選択をするかっていうとそうでもなくて、
トリーナとか夫のエイリヒはこの村に留まるっていうですね、そういう選択を常に持つわけですけど、でも他の人たちはやっぱり出ていくとかですね。
だからそういったので、結構ですね選択をそれぞれがそれぞれ思うところがあってやっぱりしていって、誰が正しいとか間違ってるっていうのは本当ないと思っていて、諸世論で言ってもそれぞれのその考え生き方があるんだなっていうのがですね、やっぱり分かるそういったところかなと思いますね。
そうですよね、そうですね、この諸世に出てくる人たちって、この地方に生きてる人たちって結局どんどん選択して出て行ったり出て行かなかったりするんですけれども、別に出て行ったからこの土地を軽々しく持ってるとかそういうわけじゃなさそうで、もう野望を得ずみたいなところとか、いろんなタイミングがあるんですけど、戦争のことと、
あとダムのこととかですね、とかでちょっと人がどんどん離れていく場所ではあったんですけど、離れてしまったからといって、この土地に対して愛着がないってわけではなくて、そこが結構読んでいて、とはいえこの主人公一家、特にエイリヒはこの土地にこだわるので、そこに対していろいろ言ってくるんですけど、でも読んでて、
エイリヒは強いこだわりは持ってるわけじゃないけれども、もう仕方ないよねみたいな、なんていうのかな、諦めみたいなのがすごく漂うけれども、その諦めの中には別にこうしたいわけじゃないっていうのはすごく感じたんで、なんかすごくやらせない感じだったなってはちょっと思いましたね
その中で主人公の音のエイリヒは必死にこの村を守ろうと抵抗するんですけど、ちょっとまあ終盤の方の話だけどね、この辺りはね、というところですかね
そうですよね、でも村のこういう状況で、そこに住む人たちがどういうふうな行動をとっていくのか、どういう選択をしていくのかっていうのが、いろいろなやっぱり人が村人の中に見るので、家族一つとってもそうですけど、なんかそういったのがやっぱりあるっていうのは面白いなと思いましたね
小説の文体と語り口
あとこれはモデルになった人とかもいるとは思うんですけど、実際にちょっとね、あとがけでもちょっと触れられてますけれども、結構でも想像で描いてる部分も、ほとんどの人たちは想像で描いてるはずなので、結構リアルだなっていう感じでしたね
なんでなんかその単純にそうなんですよね、なんかその村人をやっぱり大事にするのがいいことなんだっていうと、そこにもいろんな考え方があるんだなって思いましたし、そうですね、最後の特徴のところで、この小説の文体ですね、僕すごく魅力的だと思っていて
形式としては主人公トリーナの一人称、トリーナから娘にあてた手紙形式にはなるんですけども、厳密には、このトリーナの語りっていうのが結構静かな語り口で、でもすごく言葉を信じている人でもあって、というので、その言葉一つ一つがやっぱりすごくいいなと思っています
なんか小説の最初の方にもこの言葉に触れているところがあってですね、元々教師になりたいっていうのがトリーナにとってあったので、すごくその言葉っていうのを大事にしていて、ちょっとこういう描写があるんですよね。私はとりわけ女性にとって何より偉大な知識は言葉だと信じて疑いませんでした。
事実にしろ物語にしろ、空想にしろ、大切なのは言葉を渇望し、人生が複雑に入り組んだ時、あるいは逆に空っぽになった時のために、しっかりと身につけておくこと。言葉こそが私を救ってくれるのだと信じていました。というのがですね、結構読み始めてすぐのところにあって、そこからもどんどんちょっと話が展開されていくんですけども。
そうですね。でもこれは本当に語り口がすごく静かでいいというか、すごく丁寧ですよね。娘にあてた手紙形式っていうことなんですけど、日本語に言い直すとデスマス調っていうかになってます。これは翻訳の関羽さんの調子だと思うんですけど。
なんか小説のトーンに合わせて出想されてると思うんですけど。
この辺りもすごくスッと入ってくるし、あとそういう文体のこともそうですけど、この手紙形式っていうところもすごく良くて、今言葉を信じてるトリーナなんですけれども、やっぱりこの小説の中で何度か自分が書いたものを燃やしたり捨てたりするシーンがあるんですけど。
そこは彼女の中で次に進もうとしてる時だったりとか、やらせない時だったりとか、様々だと思うんですけれども、やっぱりその言葉を自ら捨てるっていう行為にも非常に胸を打たれるというか、シーンもあって。
そこもすごく最初のこの三枝さんが読んでくれたところがあるからすごい響いてくるシーンがたくさんあるので、これを読んでいて本当に苦しくなるような時もありましたね。
そうですね。やっぱりこのトリーナがなかなか本当に生きていくにはいろんな壁があるので、そんなこの村に留まるストーリーをこれから紹介していきたいと思います。ネタバレなしで紹介したいと思っています。
読んでいない人も聞いても大丈夫かなと思います。まず舞台は北イタリアのチロル地方にあるクロン村になります。ここは湖がある渓谷で、1900年代初めの方には、もともとですけど水力発電のためにダム計画がこの村があるところで持ち上がったこともあったんですけども、地盤のリスクがあるということで計画とんざりしていたというですね。
そんなクロン村はドイツ語圏だったんですけども、1920年代ムストリーニのファシズムの台頭でイタリア語を強制されるようになっていくというですね。ちょっとそんな元々の経緯がある村ですね。
そこで生まれ育った主人公はトリーナーです。教師に憧れていて、友人のマヤ・バルバラとともに教師を目指して学校に通っていたんですけども、言語がドイツ語が禁止されてイタリア語を話せないといけなくなったという、そんな時代にちょうど直面してしまって。
というので、イタリア語を覚えているまで教師を目指すか、心が動いたりしていきます。結局トリーナーたち3人はイタリア語を強制してファシズムを押し付けるような教育をしてくるところからはちょっと離れて、隠れて村の子どもたちにドイツ語を教えるというですね。
そういった活動をしていたんですけども、ただ結構ファシズムの監視というか取り締まりが日々厳しくなっていくというですね。なかなかそういう厳しい時代になっていきます。ちょっとここで家族について触れたいと思うんですけども、トリーナーお父さんは家具職人で、そんなお父さんがエイリヒという村のトリーナーと同年代くらいの男性を可愛がっていました。
エイリヒというのは幼くして、ご両親が亡くして一人で生活をしていてなんですけども、ただそんなエイリヒのことをトリーナーは好きだったと。後にこの2人は結婚するんですけども、トリーナーの母親は最初は反対をしていたんですけども、良き理解者であるお父さんが2人の結婚を同心してくれて、最終的には母親を認めてというので、そういった結婚もするし、
トリーナーとエイリヒの間に子供も生まれるしというので、その好きな人と結婚もできて、家庭も持つことができて幸せになれるのかなと思っていたら、今度は第二次世界大戦に途中していくと。
ドイツによる侵略が広がっていって、このクロン村もドイツ軍が現れるようになって、ドイツが支配する領土に移住するか、もしくはイタリアに残るかというところで選択を進められていって、村人たちも分断されていくという、ちょっと村もそうだし、あとトリーナーの家族も分断というか、それぞれの道を歩んでいくことになっていきます。
戦時中ですね、第二次世界大戦がまさに勃発していくわけなんですけども、エイリヒはですね、一度戦争に行ったことがあるんですけど、ちょっと怪我をして帰ってきてからはもう二度と戦争に行かないと言っていて、トリーナーはですね、そんなエイリヒと一緒に森に逃げることになります。
戦争と逃亡生活
そこではですね、逃亡生活を共にする仲間というかですね、そういう人たちもできて、戦争が終わるまでですね、逃げ続けるというですね、そんな展開をしていきます。
それで戦争は終わっていくんですけども、ただ戦争が終わったのに村には平和が訪れないというですね、それがダム計画ですね、戦後産業の復興というところとかですね、このダム計画が再燃していくと。
で、大手の会社が建設機関を得て、この水力発電、ダムを作っていくというですね、工事をしていきます。で、エイリヒとかですね、村人たちも反対運動をしていくんですけども、ただこのダム計画というのは着々と進行していって、やがてですね、あるときこの黒村にちょっと水が入り始めるというですね、もうざっくりですけども。
ショーツとしてはそんな流れはなって、それが現在に至っていくというですね、話ですね。
なるほど、そうですね。これ最終的には水に、湖に村が沈んでしまうっていうのは。
僕すらもこの本の表紙の後継にはなってしまうんですけども。
ラストに向けてね、ダム計画の件はもういろんな思いがみんな落ちながら進んでいくんで、なかなかちょっと読んでてつらいところもありましたけど。
そうですよね。ダム計画って本当にそれって実行されるんだろうかって、読んでいるとわからなくなるときがあってですね。
確かに。
でもやっぱり反対運動していると、いろんな人に会って話を聞いて、あるときは地質学者ですかね、村にやってきて、こんな土地でそんなダム計画とか危険だからやっちゃダメだって言って、
いやこんな計画はもうすぐに白紙になりますよっていうものの、そこから特に音沙汰がないというか進展がなくてとか、あと結構ね国の大臣とかローマ協合とかにも越見したりするっていうですね。
なかなかすごい反対の動きを見せて、で結構周りも見方っていうか理解、示してくれるんですよね。
そうだよね、なんか完全に一回覆るぞと思ったけどね。
いやなんかそういう国が住んでる人たちの意思を尊重せずに勝手にそんなことしちゃダメだって偉い人たちが言うし、じゃあちょっと計画中止になるようにちょっと話してみるよっていうんですけど、
でも次のページに読むと、なんかね計画はでも着々と進んでいって、偉い人たちのあの言葉は一体何なんだったんだっていうね、思うような。
もうなんかね、何事もなかったことのように進んでいくよね。
いやでもなんか最初のこのトリーナの青春の話とか、戦争の話とか、ダム計画の話とか、結構なんか場面場面によって読んでる時の印象というか、なんかそういうのはこの作品は結構バリエーションが豊富だなと。
ほんといろんな場面がやっぱり小説の中であって。
そうだね、最初このトリーナも少女というかね、まあ幼いって言っちゃうとそこまでないんだけど、10代後半ぐらいかな、ぐらいの時から、10代半ば10代後半ぐらいから描かれていくので、なんかそのあたりのこのなんか青春じゃないけどね、友人とのやりとりとかね、すごく印象にあるし。
で私あれなんですよね、最初仲良かった3人の、トリーナ含めて3人の女の子のうちで、バルバラが連れてかれてしまうわけなんですけれども、ちょっといろんなことがあってね。
この辺の流れとか描写とか、いやほんとなんかすごいよくこれ、フィクションで作れてるなっていう感じはすごいしましたね。
なんか全然、いや普通にここまでなんだら想像を及ばないよって思ったんですよね。なんかすごいなって思って、ちょっとこの辺読んでましたね。
うん、そうですね、確かに。
なんかその、ちょっとあんまり言っちゃうとあれかもしれないけど、バルバラっていうのがね、ある時にちょっとあることがあって、この村にいられなくなるんですけれども、その流れとか、実際にあったことだとしても、絡めてこうやって描くのはすごいなってちょっと思いましたね。
そうですね、あんまり具体的に話せないですが、結構それがでもね、後々もね、このトリーナ、心の引きずってるっていうか、心にはずっとそれが残り続けて。
そうですね。バルバラの存在、記憶も、村の記憶と一緒になって残り続けてるっていう、そういうことだなと思いますし、あと最初の方だと僕あれですね、このエイリヒ、トリーナの旦那さんになる人ですけど、結構このエイリヒは魅力的な男性だなと思ってですね。
最初のこのエイリヒが出始めた時から、一貫してこの村を離れたくないって言ってて、最初にトリーナが学生の時、エイリヒと会話してるのは、周りの情勢がどうこうっていうよりかは、結構この村が田舎なので、トリーナは学校を通ってて、就職したら都市に出ていくみたいなんですね。
そんなノリで、トリーナは村出ようかなって思ってるってエイリヒに言うんですけど、でもエイリヒは、いや自分はもうこの村に離れたくない。何があっても離れたくないっていう、もうその考えを持ってて、それを最後までエイリヒは持ち続けるんですけども、このエイリヒのブレない考え方、生き方もそうですけど、考え方であったり、姿勢であったりっていうか、すごいかっこいい人で。
他もエイリヒはすごい好きになりましたね。
あーなるほど。確かにブレないとこあるけど、逆に私はあれだな、ちょっとまげなすぎるか。
あ、まげてね、頑固なんですけど。
最終的には上手くいってはいる。まあでもそうとも言えないとこもあるけれども。
いやでもこのトリーナもエイリヒのことすごい信頼していて、お互いにそうですけど。
トリーナってどっちかというと優柔不断なところがあって、でもなんかエイリヒと本当2人でいろんな壁を乗り越えていくんですけど、戦争とかいろいろ。
それでだんだんこのトリーナが優柔不断だった人が自分の意思でたくましく生きていく、そんな姿も中にはあったりして。
この2人の真の強さというか、たくましさというか、小説の中に現れているところとか。
どっちもね、頑固だとか優柔不断だとか、そういうところあるかもしれないですけど、この2人のやっぱり強さみたいなところはやっぱすごい惹かれるものがありましたね。
確かにトリーナは明確にエイリヒが戦争に行った時とか、あと2人で逃げてる時の洞窟での一幕とか、あの辺りで明確に強くなったなっていうのは見えるところもあるし。
その辺りの成長と言っていいのか、強くならざるを得なかった時っていうのが描かれるのも、なんかこう辛い部分ではあるかなとちょっと思いながら。
そうですね。
私結構、ちょっとこれもネタバレになっちゃうんであんまり言えないんですけど、第一部のラストの付近ですね。第一部、歳月っていうタイトルがついてるんですけど、その最後のあたり、具体的にページ数言った方がいいのかな。
第一部の12ぐらいからですね。だから63から67ぐらいまでか。この一連の描き方、描写の仕方っていうのは結構予感させる緊張感に溢れてて、こういう嫌な気持ちになったというか、モワモワってしたところだったりするんで。
ちょっとこれはもう読んだ方にはわかると思うんですけれども、ぜひこのあたりも。細かいところがすごい、なんか巧みというか上手いなって本当に思う。すごい描き込み方が上手い、上手だなっていうか、巧みだなって思いますね。
トリーナの波乱の人生
普段の生活の様子というか、ちょっとした食事のシーンとかをね、描いているんですけど、でも本当あれですよね。1、2ページしていくと、雲行きがだんだん怪しくなっていって、だんだんなんかそのすごい、なんでしょうね。
暗闇って言うとちょっとあれですけど、なんか話がだんだん深い沼にはまっていきそうな。確かにすごいいいですね、この流れが。
決定的なことが起こるっていうね。
普段のちょっとした食事のところからそうなっていくとはっていう。
読んでてすごい印象に残りましたね。
僕ですね、ちょっと話が一気に終盤まで飛んでしまうんですけども。
はいはいはい。
終わりの方の223ページにですね、トリーナがちょっと人生を振り返るようなことを書いていて、その波乱万丈ではあったけれども、辛抱できないものではありませんでした。
その前後にはもちろん、いろんな文章があって、その一言を書いてるんですけども。
確かにトリーナは好きな人と結婚もできて、戦争とかいろいろあって、生き延びることができてっていうのはあるんですけども、でもやっぱり読んでて思うのは、やっぱり元々すごい頭のいい女の子で、教師になりたいっていう夢もあったし。
で、好きな人と結婚して、家庭も持っててっていうので、でも教師になる夢も奪われたし、家族も分断させられたし、やっぱりすごいこのトリーナっていう人は被害者であって、それをしてしまったこの国、政治とか戦争とか企業もそうかもしれないですけど、そういうのは許してはいけないってですね、ちょっと読んでて思いましたね。
で、さらにですね、ちょっと話が最後の方になっていくんですけども、このクロン村、現在はですね、湖になっていて、村っていうのは消えてしまってるんですけども、でも結局水力発電の目的でそうなったんですけども、でもなんか水力発電機能してるかっていうと、なんか電力はいまいちっていうことをですね。
ああね、全然。 まあ最後、湖からそびえる小路ですね、建物が。すごく神秘的だし綺麗だしっていうので、観光客を引き寄せていると、観光地下していると、観光名称の一つにはなってるのかもしれないんですけど、でも村の歴史は存在してなかったかのような今の状況でもあるということで。
この著者の人もね、最後の方に書いてたりするんですけど、なんかその痛ましい歴史があった、村の現在の姿っていうのが風化しているというか忘れられようとしているし、観光名称としての一面ばかりが注目されてしまっているっていうですね。なんかそれはもう村の歴史もそうだし、そこで住んでいたアトリーナのような人たちの人生も奪われたような気がしてですね。
そうですね。やっぱりそういったところは忘れてはいけないことだし、そんな状況を作って、やっぱり国とか企業とかですね、そこに対しての許してはいけないという気持ちを持つことも、そういう気持ちはやっぱり僕は持ちましたね。
そうだよね。これなんか普通に観光名称としか認識してなくて、この場所に行って綺麗だなって帰ってきちゃうよね、絶対ね。なんかそういう背景がわからないとね。でも実際そのなんかさ、湖の中から建物が入っているって、なんかすごく神秘的だし、たぶん山の中の奥にこんな場所がねパッて開けてきたら、たぶんすごく感動するというか、その風景美しいと思うと思うんだけれども。
いや、でも実際そのね、湖の下には沈んでしまったものがあるっていうことの象徴でもあるし、なんかそこに思いを馳せ始めるとすごく。
そうですね。なんか前回のこのベルジャーもそうですけども、ベルジャーも自分って一体何なんだっていう話。
で、今回のはですね、なんかその人の人生って何なんだろうっていう、なんかその他人が勝手にどうこうしていいもんではないんじゃないかってすごく思わせるような。なんか一人一人の人生についてすごく、ベルジャーの時もそうでしたし今回もですけど、考えさせられましたね。
今回しかもさらに、実際にこの湖に沈んでしまった村があったわけだからね。本当に一人や二人ではないというところですよね。
それも国とかっていう大きなものにとっては、その村っていうのは本当に些細なものとしか見てないっていうですね。なんでそういう国とかのために少数の人々が理不尽に強制退去させられるとか、理不尽に犠牲になっていくっていう、そういう状況って今のパレスティナとかウクライナとかそこにも重なってくると思いますね。
そうだよね。だって今おかしいもんね。ウクライナの話とかあれだもんね。ロシアとアメリカで話してたりするっていうわけわかんない状況になってるもんで。
パレスティナも一方的にジェノサイドが起きてますし、こういうのってやっぱり時間経っていくと支配した側の記録が残って、それが歴史になっていったりするんですけども、でも声を持たない人たちの声を今に蘇らせるっていうのが文学の力なんだなって。
これはでもいろんな本を読んでいて、そう思いますし、今回この観光、今は観光スポットになっているところでも、その底には犠牲になった人たちがいて、さらにその戦事家とかですね、本当に理不尽な目にあってる人たちもいてっていうですね。
戦争の影響
こういう歴史を、この黒村に留まる作品の中だけではなくて、日本含めてそうですけどもっとたくさんそういった歴史ってあると思いますし、そういったのを学んでいかないといけないんだろうなって、自分の中では結構そういう意識がやっぱり強まりましたね。
で、それって国とか企業の都合で、住む場所を奪われた人とかですね、そういう市街にあった人って、やっぱり保障はあるんですけど、でもこの作品を読んでいるとですね、保障って本当に微々たるもので、本当プラスマイナスで言うとマイナスにしかならない、そんなレベルで結局奪われて損してっていうですね。
その理不尽に、やっぱりそこの印象がすごい強かったですね。
本当なんか戦争の延長戦っていう感じ。
そうですよね。戦争終わってもやっぱり平和ではないっていうのはすごくね、思いましたね。で、こういうのをやっぱり知らなかったり忘れてしまったりするとまた同じようなことが繰り返されるんだろうなと。戦争ではない形でも。
まあ確かにそうですね。
そういう平和ではないことがやっぱりなってしまうんだろうなって思わされましたね。
本当に感覚がね、多分国の感覚が戦争と同じように兵士としての使えるコマみたいな感じの感覚でこの黒村の人たちは見られてたんじゃないかなとはちょっと思いますよね。
まあちょっとそんなところですかね。
でもやはりこの作品はこういうとこまで思いを馳せていくというか馳せてしまうので、すごい良い作品でしたね。
そうですね。僕は最初に読み出すと止まらないって言ってたんですけども、基本的にはいろんな展開があって、すごいグッと読んでいける作品だと思うんですけども、後半になるにつれて途中からですけど、すごい考えさせられるものの多い作品でしたね。
ああ、そうですよね。やっぱりちょっと話題だったのがわかるし、まだ手に取ったことない人には読んでもらいたい作品ですよね。
そうですね。
このぐらいのところはそのところですね。全然あれですけど、三枝さんは花粉症大丈夫ですか?
他まで人生でなったことがないんですよね。
なったことない。マジか、いいな。
三枝さんは花粉症なんですよね。
ちょっとあんまり長くならない程度に言うと、昔もともとめっちゃ重々の花粉症だったんですよ。それがですね、毎日ヨーグルトを食べたら、10年ぐらい前にかな、結構改善して。
ヨーグルトとかあるんですか?
そう、私はたまたまそれが大切になったみたいで、ヨーグルトを毎日、花粉症の季節以外も本当に毎日安いパックに入っているヨーグルトを毎日食べてたんですけど、そしたら改善しました。
本当ひどかったんだけど、だいぶ良くなったんですね。なんですが、今年はやばいですね。久しぶりに結構薬飲んでます。
周りも多くない?今回。花粉症やばいやばいって言ってる人。
そう聞きます聞きます。
ポッドキャストはあるあるだけど、やっぱりここ最近のポッドキャストを聞いてると、冒頭に花粉症で声が張って、エクスキューズを入れる人たちがやっぱり多くて。
そうですよね。しゃべるときに影響絶対入れますよね。
だからちょっと私も今回最初に入れようかどうか迷ったんですけど、ちょっとあえて。多分今日声結構ガサガサだったと思うんで。
花粉症の中入ってたんですね。
でもなんかだいぶ楽になったんですけど、本当今年は久しぶりに薬を毎日飲んでますね。
いつもは3日か4日に1回ぐらいで大丈夫だったりするんですよ。この時期。薬を飲むんですけど。
なんかそんなに毎日飲むほど酷くなくて、ちょっとヤバいなって思った時に飲んでたんですけど、ちょっと今年は本当に今毎日飲んでますね。
いやーでもそっか。花粉症じゃない人って本当多分相当羨まれしがれてると思いますよね。
そうですね。話聞いているとね。でもいつなるかわかんないですもんね。花粉症は。
そうですね。本当にだからちょっと油断してですね。免疫上げていけばいいと思うんで。というちょっと雑談も入っちゃいましたけど。
ちょっとじゃあ次回予告しますね。
じゃあ次回予告させていただきます。
次回はですね。リフワとアルアイールさんが編集されている形ですね。
リフワとアルアイールさんが編集された物語ることの反撃。パレスティナガザ作品集になります。
こちらもお楽しみに。
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ではまた来週。ありがとうございました。
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