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2025-03-24 1:07:30

第189回 誰もが経験する自意識の痛み『ベル・ジャー』シルヴィア・プラス著 (ゲスト:翻訳者 小澤身和子さん)

spotify

文学ラジオ第189回紹介本

『ベル・ジャー』シルヴィア・プラス著、小澤身和子訳、晶文社

⁠https://www.shobunsha.co.jp/?p=8324⁠

 

パーソナリティ二人で作品の魅力やあらすじ、印象に残った点など、読後の感想を話し合っています。今回は翻訳者の小澤身和子さんをゲストに迎えています。ぜひお聴きください!

 

【今回の内容】

ゲストに小澤身和子さん/海外文学シリーズ「I am I am I am」、第一弾!/前半は自分の大学時代を思い出して恥ずかしくなった/序盤は眩しさを感じたけど次第に閉じられていく読み心地/著者&作品紹介/海外ではtik tokで若い人たちに広がる/『ベル・ジャー』を訳すことになった経緯/エスターの感情を詩の言語で表現する/幅広い人たちに届いた翻訳後の反響/作品を象徴するイチジクの木の描写/エスターの人物像を表す書きっぷり/ネタバレなしでストーリー紹介/もやもやが残る/インターンの同期のドリーン/自分を保つために熱いお湯に浸かる/アーウィンの家での絶妙に詩的な描写/白黒はっきり決めている周りとエスターとの違い/小澤身和子さんの2024年のその他の翻訳作品/新潮社文庫の『ナルニア国物語』シリーズ/クセがあって海外文学好きにはたまらない『夢のなかで責任がはじまる』/今後の翻訳予定/次回予告

 

▼参考情報

小澤身和子さんの2024年の『ベル・ジャー』以外の翻訳作品 『ナルニア国物語』(全7巻シリーズ)C・S・ルイス著 、小澤身和子訳、新潮社文庫 ⁠https://www.shinchosha.co.jp/book/240661/⁠

『夢のなかで責任がはじまる』デルモア・シュワルツ著、ルー・リード序文、小澤身和子訳、河出書房新社

⁠https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209081/

 

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版元サイトより

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わたしはぜんぶ覚えている。あの痛みも、暗闇も——。

ピュリツァ—賞受賞の天才詩人が書き残した

伝説的長編小説、20年ぶりの新訳!

 

優秀な大学生のエスター・グリーンウッドはニューヨークのファッション誌でのインターンを勝ち取ったとき、夢がついに叶うと信じて喜んだ。しかし、退屈なパーティー、偽善的に感じられる恋人、空虚なだけのニューヨークでの生活に違和感を覚え、世界が支離滅裂なものに感じられる。

そして、とあることをきっかけに精神のバランスが徐々に崩れていく。

 

世の中は欺瞞だらけだと感じる人、かつてそう思ったことがある人たちに刺さりつづける、英米だけで430万部を売り上げた世界的ベストセラー、待望の新訳。

海外文学シリーズ「I am I am I am」、第一弾!

 

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サマリー

シルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』に関するポッドキャストで、翻訳者の小澤身和子さんがゲストとして参加し、作品の魅力や重要なポイントについて話します。特に、自意識の痛みや読者に深く響く共感的な要素に焦点が当てられています。シルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』の新訳が出版され、作品が現代においても多くの人々に影響を与え続けていることが再確認されています。小澤身和子さんは、翻訳プロセスや作品に対する思いについて語り、作品の詩的な力がどのように多くの読者に響くのかを考察します。 『ベル・ジャー』は、エスターの自己意識の苦悩や社会からの期待への抵抗を描写しています。この作品は、女性が抱える葛藤や将来の選択肢について深く掘り下げています。今回のエピソードでは、主人公エスター・グリーンウッドの自意識の痛みや精神的な苦悩について掘り下げられます。小澤身和子さんと共に、ニューヨークでのインターン生活から実家に戻った後の挫折や精神病院での経験についても語られます。 また、エスターの孤独感や周囲との比較から生じる不安定さについても言及されています。小澤身和子さんが新たな翻訳に挑戦し、作品に込められたテーマの深さについて触れます。このエピソードでは、小澤身和子さんを招き、シルヴィア・プラスの『ベル・ジャー』についての深い対話が行われ、作品の文化的背景や翻訳の苦労、普遍的なテーマについても伝えられます。

作品紹介とゲストの紹介
自分が特別ではないと気づいたとき 自分が何者になりたいのかわからなくなったとき
女子大生エスター・グリーンウッドはニューヨークの雑誌社のインターンで自分を見失い、そこから精神のバランスが崩れていく
英米だけで430万部以上の世界的大ベストセラー 20年ぶりの新役となる天才詩人シルヴィア・プラスの伝説的長編小説
ベル・ジャーをゲストに、翻訳者の小澤身和子さんをお招きして紹介します どうも皆さんこんにちは文学ラジオ空飛び猫たちです
この番組はいろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな2人がゆるーくトークするポッドキャストです
パーソナリティーは私大地と三枝の2人でお送りします 文学のプロではない2人ですがお互いに好きな作品を時には熱く時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です
今回紹介するのはシルヴィア・プラスのベル・ジャーです 小澤身和子さん役で小文社から2024年に出版された本です
そして今回ゲストに翻訳された小澤身和子さんをお迎えしております 小澤さんよろしくお願いいたします
よろしくお願いいたしますシルヴィア・プラスのベル・ジャーを翻訳しました 小澤身和子ですよろしくお願いします
今回小澤さんとは翻訳された立場からあるいは翻訳する前にも1人の読者だったと思うので そのあたりからですね作品の魅力やポイントを一緒に語っていけたらなと思っております
小澤さんとはこの後一緒にベル・ジャーを紹介していただきますが ちょっと話し足りなかった部分は私と三枝さんで2人でちょっと補足していこうと思っております
そしてアフタートーク的に小澤さんには他の翻訳の話も少し聞いてますので そちらベル・ジャーの紹介が終わった後差し込ませていただきたいと思っておりますので
最後までお聞きいただければなと思います
作品の背景と関心の高まり
小澤 まずこのベル・ジャーという作品なんですけれども 2024年に出た海外文学の作品の中ではかなり話題になった作品ではないかなと思っておりまして
実際今まだこれ配信される時はちょっと微妙なんですけど 日本翻訳大賞の候補に今なっておりまして
もしかしたら配信されている時には最終候補が発表されているかもしれないんですが 現在候補に上がっているというところですね
あと今10代が選ぶ海外文学大賞というのが結構海外文学界隈では熱い話題にもなってまして そこのリストにも入っております
2024年の7月に発売して以来今こちらベル・ジャーですが七摺りまで行ってると聞いております
いやなかなか本当に売れている作品だなと思っております
もともと私はこの作品を去年の日本翻訳大賞の受賞式の時に同じく小文者が出ていた母を失うということが受賞されたんですけども
多分その絡みで参加者の席にこのI am I am I amシリーズのパンフレットが置かれてたんですね
でその第一弾としてベル・ジャーというのが出るっていうのを私はそこで知りました
たぶんちょっとこれは小澤さんにお聞きしたいんですけど小文者さんのこれかなり気合が入ったシリーズだったのかなと
小田 そうなんですよ 私もこれ知らなかったんですけれども小文者って昔は海外文学がとても強かったんですよね
だけど最近はこの学術本というか受験用の本とかが強くなってきていて 海外文学はあまり部数が出ないということもあってあまりって感じだったんですって
ですけど若い私のこのベル・ジャーの担当してくれた深井さんという編集者がいるんですけれども
彼女がいやいやちょっと海外文学をシリーズ化して出したいですってすごく気合を入れてこのI am I am I am考えたんですよね
そうそれの第一弾としてベル・ジャーが出てたっていう感じですね 勢いがある
日本法約大賞の時にパンフレット見た時になんかすごく勢いを私感じました 勢いをね
そうなんかそういうのって気合だけはあるけどあんまり会社もそんなに押さずに
あーなんかこんなのあったなーぐらいな感じでさーってなってくのかなと思ってたんですけど今までそういうのいっぱい見てきたので
今回のこれに関してはもうすごいですよね ラインナップも今まで出てる3冊ぐらいですか出てるのも素晴らしいし
本当に考えられているそして届いてるって感じがしますで書店もすごく応援しているのがわかります
赤いパンフレットですよね I am I am I am ちょっと縦長の
そうすごくいい流れだなぁと思っているんですけど
実際にあのベル・ジャーはもう発売以来結構話題だったなと思ってまして
小澤さん自体もかなりいろんなところでお話しされているかなとは思うんですけれども
まずはその河上美恵子さんと青山ブックセンターで対談とかされていたのが私印象に残ってまして
これ私チケット欲しかったのに買おうと思ったら売り切れてたっていうのをよく覚えてるんですよね
河上さんのファンがものすごくてすぐ売り切れちゃったんですけどでもやっぱりあれがすごく勢いをつけてくれましたよね
あの時に1時間半ぐらいですか河上さんがもう私多分1行ぐらいしか喋ってなくて
ずっともうベル・ジャーがいかに素晴らしいかってことをもう唾を飛ばしながらぐらいの勢いで熱弁されたんですよ
あの時の圧倒感真夏に行われたトークショーだったんだけど本当に
あのその冒頭ベル・ジャーの冒頭も真夏のニューヨークから始まってジリジリするような熱さが描かれてるんですけど
本当それと相まって良いローンチになったなって思いました
それで結局三枝子さん推してるからって言って読者の方がたくさん買ってくださって広まっていったっていうのもありますね
いやーでもすごい本当に勢いがあの時感じましたね
その後も結構イベントやられてましたよね
そうなんですよこれもやっぱりこのベル・ジャーが割とすぐに反響があったってこともあって
私からしたら大先輩の翻訳者の柴田本幸さんであったり岸本幸子さん斉藤丸子さん他にもあの作家だと小林エリカさんなど
お話しさせていただいて皆さんやっぱりこうベル・ジャーに思い入れがあって
ベル・ジャーやっぱり今まで2回役されているんでどの役で読んだよとか読み比べてみたよとかそういう話で結構盛り上がりました
ちょっとあの後々そのあたりの翻訳の話も聞けていけたらと思いますのでよろしくお願いします
お願いします
ちょっとここで私と三重さんの感想をちょっとお伝えしたいなと思ってるんですけど
個人的には私今回読んで前半は結構恥ずかしくなるような気持ちが多くて
大学の時のこれすごく表現が難しいんですけど
自意識と言ってしまえば自意識なんですけど自分は割となんでしょう特別なんだとか
こういろんなことができるんだって思って特に私上京してきたので
あの上京してきた時は結構そういうのに期待を膨らませて出てきたんですけど
まあ大学でいろんなことがあっていろいろ自信をなくしたりとか現実的なものにちょっと遭遇して
こういうもんだよなって思ったりしたことが結構あったんですけど
その時のですねなんかちょっと恥ずかしいというか
どうこの気持ちを扱っていいかわからないという感覚がちょっと戻ってきた一冊でした
前半はですけどね後半は後半でなかなかこういろいろ辛辣なシーンも続くので
それはそれで夢中になって読んだんですけれども
ただちょっとこれちょっと思春期の時に読んだら読み切れなかったんじゃないかってぐらいですね
ちょっと恥ずかしい気持ちになったような一冊でしたね
僕は事前情報をほとんど入れずにですね読み始めたんですけども
とはいえ最初の印象でちょっと青春小説かなと思ってまして
読んでいくと序盤はそういう青春小説な要素があるなと思っていたんですけども
だんだんちょっと違うことに気づいてきましてちょっとですね
この話としては主人公のエスター大学生なんですけども
すごい狭きもの雑誌社のインターンに合格して
もうほんと一握りの人しか参加できないところに1ヶ月間そのインターンとして参加することができては
キャリアのチャンスを掴むことができるんですけど
ただそこで自分が何者になりたいかっていうのが言うことができなくて
ただ読んでる側からするとですねエスターってすごい優秀な人だと思っていて
この後もいくらでもチャンスがあるだろうと思ってそういうですね
なんかキャリアであったりこのエスターの青春みたいなところがあるのかなと思ったら
そうはならなくて序盤は少し眩しさものを感じてたんですけども
次第にですねこのちょっと閉じられていくようなですね
なんかそんな読み心地があってですねこれはってちょっと思ったんですね
この前半とこの中盤以降のこのまさかこうなっていくとはっていうですね
という重たさみたいなものをだんだんと感じていってですね
やっぱり序盤のエスターがすごい良くてそういう好きになったんですけども
なんかそんなエスターの人生をただ眺めるだけしかできないっていう
なんかちょっと寂しさみたいなものもやっぱり読んでると
最初はエスターに親しみ感あったんですけど
だんだんエスターとの距離が離れていくなっていうですね感じもありましたし
しかもそんなエスターを見ていてやっぱり人事とは思えないような部分もありましたし
いやなんかすごいなんか自分の中にグイグイ入ってくる小説だなって思いましたね
そうですよねその共感してしまうポイントがやっぱり多いので
人それぞれ共感するポイントは違うと思うんですけど
おそらく多くの人がどこか引っかかるポイントがある小説ではないかなと思ってます
読者の共感とシルヴィア・プラスの功績
じゃあちょっとここで著者についてお伝えしたいと思います
著者のシルビア・プラスなんですが1932年にボストンで生まれて1963年に亡くなっています
詩人作家で8歳から詩を書き始め9歳から物語を書き始め
10代で作品が雑誌に掲載されるというすぐにデビューしている方ですね
で数々作品詩集なんか残しているんですが
この1963年この唯一の長編小説であるベルジャーですね
こちらをシルビア・プラスという名前とは別の名前で出版して
同年自ら命を絶つというところになっています
でこのベルジャーなんですけれども死後話題になった形になっていて
英米だけで430万部を売り上げた世界的ベストセラーであり
現在もですね多くの読者の心を掴んでいるという作品になっています
最近ですよねTikTokでベルジャーの中に一軸の木っていうのがちょっとメタファーとして
自分の将来の可能性を示す一軸の木っていうのが出てくるんですけど
その一軸の木って英語で言うとフィグトリーって言うんですけど
そのフィグトリーをハッシュタグにつけてものすごい若い人たちが
今のこのどうになってしまうのか分からない世の中を不安に思っている人たちがハッシュタグをつけて
それがバイラルしたんですよねものすごく
で英米では今でもやっぱりベルジャーって高校生の時に筆読っていうかたぶん授業でも使われてるはずですし
読んでる人がとても多くてそれが今になってもバイラルしてるっていうのはすごいし
あとやっぱり歌手っていうかシンガーソングライターの人たちですよね
ダナレルレイさんもそうだしいろいろなアーティストたち
あと俳優の人たちも自分の影響自分が影響を受けた作品の一つとしてあげてる
そういうのがちょっとベルジャーを読んでるってことが一つの自分のアイデンティティを示すものにもなっているぐらい
すごく強い作品として今でも読み継がれているっていうのはすごいすごい作品の力だなっていうふうに思いますね
なるほどすごいですよねそれね
作品の紹介と影響
その時代を越えてというかもう本当こんな93年ですからもう半世紀以上前ですもんね
その作品が未だに影響を与え続けてるってそれだけ作品の力というか
なんでしょう一種のカリスマじゃないですけどになってるんだなっていうのはちょっと感じますね
じゃあ具体的にちょっと作品紹介入っていきたいと思います
小文社さんのホームページからあらすじを読み上げたいと思います
私は全部覚えているあの痛みも暗闇もピューリッツアッシュを受賞の天才詩人が書き残した伝説的長編小説
20年ぶりの新約優秀な大学生のエスターグリーンウッドはニューヨークのファッション史でのインターンを勝ち取った時
夢がついに叶うと信じて喜んだしかし退屈なパーティー偽善的に感じられる恋人
空虚なだけのニューヨークでの生活に違和感を覚え世界が死で滅裂なものに感じられる
そしてとあることをきっかけに精神のバランスが徐々に崩れていく
世の中は疑問だらけだと感じる人
かつてそう思ったことがある人たちに刺さり続ける
英米だけで430万本を売り上げた世界的ベストセラー
待望の新約海外文学シリーズ
I am I am I am 第一弾となっております
翻訳の経緯と小澤さんの思い
じゃあちょっとここからですね
あのこのベルジャンについて尾沢さんにちょっといろいろお聞きしていきたいところなんですけれども
はいそうですねまず本当に語りたいところが多いんですけれども
このいわゆる20年ぶりの新約というところなんですけれども
なぜこのタイミングでベルジャーの翻訳っていうのを
あの手掛けることになったんでしょうか
なんかベルジャーは私自身は大学院の時に
あのそれこそ柴田本幸先生のクラスで出会ったんですよね
それで出会った時にやっぱりその時は自分も20代で若かったですから
刺さり方が違うっていうか
すごく自分と重ね合わせて考えられるところがあって
エスター自身にもすごく魅力を感じたし
またそれと同時にやっぱりちょっとこれからの不安みたいなものをオーバーラップしちゃったりして
ちょっとこうあまり距離を取れないで読めてたところがあったんですよね
でもそれがものすごい心の中に残っていて
あの自分は翻訳家になるなんて思ってもいなかったから
翻訳したいなんて思ってなかったんですけれど
翻訳を仕事を始めてから
あそういえばベルジャーって翻訳あったんだっけなっていう
で調べてみると
あだいぶ前に翻訳されてるって思って
親木さんの翻訳されたものも買って読んで
すごい素晴らしかったんですけれど
それがどうして廃盤とかになってるのかなみたいな
あのもう一回出たらいいのにと思って出版社に問い合わせたんですよ
これって新訳出したりとかしないんですかとか言って
で判件まで調べてもらったら
もうその時点で判件が取られちゃってて
ダメだったんだと思ったんですよね
それで諦めてたんですよ
そしたらなんか急に全然知らない小文社の
深井さんって女の人からメッセージが来て
実はご相談がありましてみたいな感じで
でzoomで喋ったんですけど
えーみたいなその時にそのベルジャー訳していただきたいんですって言われて
で本当にあの私もうこれはマジなんですけど
あのテーブル立ち上がったでしょパーンて
嘘でしょみたいな漫画みたいなアクションして
嘘ーみたいな
そしたら深井さんも私もなんか判件が取れた時立ち上がったんですよとか言ってて
もう二人でそこで盛り上がったんですよね
それでやっぱり素晴らしい作品だし
もう世の中にこのベルジャーの翻訳が出回っていないから
ここで新訳を出すのはいいのではっていうお考えだったようで
やることになりました
なるほどいやすごいですね
なんかちょっと思った以上にドラマチックで
ちょっとドラマチックでした
あーこんな風に曲がってくるのかみたいな
そうあーって思って
えでもそれ別にその深井さんは何か知ってたわけじゃないですよね
ないないない私のことも知らなかったわけですよ
彼女はあれをカルメマリアマチャドの短編集を読んでくれて
そこであのこの人だったらと思ってくださったみたいで
声かけてくださったんですけど
それも嬉しくって
いやーすごいなんかいきなりすごい話が飛び出てきて
そうすごいちょっと運命的なものを感じましたね
なるほどありがとうございます
じゃあちょっともういろいろお聞きしたいこともあるんで
先に進めてしまいますが
まずこれベルジャーに対して
小澤さん自身今ちょっとお聞きしても
やっぱりなみなみならぬ思いがあったんだろうなと思うんですけれども
改めて翻訳する前した後
今どういった思いで今このベルジャーっていう作品に対して
接してるというかあの思いを持ってるんでしょうか
小澤 そうですねその大学院の時に読んだ時は
やはりあの物語としてベルジャーをすごい楽しむっていうか
ベルジャーを読んだ記憶がすごくあって
とにかく衝撃的なストーリーですから
それを追うことと
あとエスターに共感する共感しない
どちらでもいいんですけど
エスターと共に物語を進んでいくことに
必死だったような気がするんですね
でもその翻訳って究極の誠読でもあるので
本当に一言一言を追っていくと
このシルフィアプラスっていう人が
いかに詩人であるかっていうのが
詩人の力が浮き上がってくるんですよ
なんかこうイメージの一つにしても
冒頭で出したイメージはこういう形で出してくる
そうやって人の記憶の中を思い出させるっていうか
仕組みが仕掛けがたくさんあって
それって彼女はこの作品を
30歳の時に書いてるんですけど
30歳の時に10年前の自分の記憶を
たどって書いてるんですよね
だからこの構造自体ざっくり分けると
前半はニューヨーク
後半が地元っていうふうに分けられてしまうんだけれども
よく見てると結構ぐちゃぐちゃしてるでしょ
先に行ったり進んだり時系列ではないんですよね
それがなんとなく本当のシルフィアプラスの頭の中を
覗き込んでるかのように思えてくる
それにイメージが散りばめられてるものだから
読者が寄り戻されるっていうんですかね
あっちに行ったりこっちに行ったりっていう
グラツキを一緒に味わうみたいなところもあって
そういうのができてしまうっていうのは
ストーリーの構造だけでやってるわけじゃなくて
やっぱりシルフィアプラスの死心ですよね
物事をメタファーで捉えるという
辛い辛いとかどうにでもなってしまえなんて
一言も言わないんですよこの人アリスターは
言わないのに彼女が見てるものを
点々と描写していくだけで
悲しみの深さだったりとか
苦しみの深さがほとんど伝わってくるっていう
素晴らしいこのヒッチに
やっぱり訳しててもウッとくるところがあって
結構感情も持ってかれてしまって
なかなか子供が私いるので
5時半になるとお迎えの時間でパッと切り上げるんですけど
それがなくて多分ずっと翻訳してたら
ちょっとよかったじゃないかと思うくらい
すごい入り込んで訳していましたね
いやーなるほど
1回しか読んでないので
読者の反響と新訳の意義
でも1回だけ読んだだけでも
なんか自分の中にいくつかアンカーが
打ち込まれてる感覚はありまして
イメージをちょっとやっぱり
思い出してしまうようなところっていうのは
結構この本にはあるなと思っていて
まさにその詩的なところだと思うんですね
ちょっと外れちゃうかもしれないですけど
脈絡がない文章というか
話がやっぱ挟み込まれてくる時が
結構あったなって私は思っていて
これってなんかやっぱり
シルビア・プラスの意識が向くままに
その時に向いてたままに
描いているからであって
やっぱりその読者の
読者というか一般的な人のこの感覚で
こう読んでいくと
ちょっと突拍子もなく感じるようなところって
絶対あるなと思うんですよ
でもその急に思い出すようなことって
自分の人生でも絶対あるし
日々生きててもあるし
なんかそれがうまく表現されてるなって
ちょっと思って
そこはもう本当なんか
お座さんがヒッチって言いましたけど
すごくうまいなって思ったところですね
で本当にこれって
シルビア・プラスでしかできないというか
その人だけしかできないような部分だと思うので
こういうところがやっぱり
長い間読者を作り続ける作品なのかなって
ちょっと思ったりは私はしました
そうなんか岸本さんとの対談の時にも話したんですけど
ルシア・ベルリンからも
私は同じような印象を受けて
これはルシア・ベルリンでなければ
描けなかったのではないかと
そんなことはないのかもしれないけど
読者に思わせるような
一節とか一文
あとはシルビア・プラスにしてみれば一言とか
イメージの連鎖だったりとか
本当に強烈な何かがあるんですよね
それがやっぱりストーリー以上に
人の心に残って
ああいい本読んだなって思うのかな
なんて思ったりしています
なんかそんな気がします
だから本当に読者を魅了し続けるんだろうなって
思いましたね
今ちょっといろいろできたところもあるんですけれども
ちょっと作品というよりは
どうしてもお聞きしたいポイントがあって
やっぱり2020年だいぶ話題になったなって思ってまして
やっぱりこの翻訳後の反響って
どういうものが多かったのかとか
どんなことがあったのかとか
ちょっとお聞きしたいんですが
私自身はこの20年ぶりに翻訳が
新訳が出るってことで
ものすごいプレッシャーだったんですね
青柳さんの翻訳も本当に素晴らしくて
じゃあなぜ私が翻訳
新訳を出す必要があるのかっていうところとかも
ともとも考えたんですよね
で観光されるまでは本当に不安で
深井さんしか読んでないんで
深井さんはもちろんいいって言うから
絶対大丈夫ですとかって言ってくださったんだけれど
不安で不安で本当に眠れないレベルだったんですよね
前の訳と比べてここが違うとか
どうしてこうやったんだとかって
すごいついてくる方とかもいるだろうとか
覚悟してたんですけど
でも結局観光されてみたら
本当にもうそんなそこをちょっと通り越して
ものすごかったんですよ反響が
今まで翻訳してきた本の中でも一番なくらい
日本の人がXとかインスタとかに上げてくださって
とにかく嬉しかったんですよね
それがなんかこの年齢にとか年代にとか
この人たちにとかすごい本読みだけとかじゃなくて
もうすごい幅広いところにリーチしたっていうことが感じられました
作品の魅力とエスターの状況
なんだろうな
あと本屋さんたちもすごく協力的で
棚作ってくださったりとか
本当にすごいいい作品だから
推してますとか言ってくださったりとか
すごかったんですよね
それがなんてなんだろうなって
今でも考えてるんですけど
いやそうですよね
いやでも本当にあの私も何でしょう
あの見てて日々話題になってるなっていうのは
すごい感じていたので
作品自体が持つ力っていうのがすごいんだろうなっていうところと
あと今回読んで思いましたけれども
なんというかどこか自分ごとになってしまう部分と
あと自分だったら絶対こうはしないっていう部分があって
でもその自分だったら絶対こうはしないだろうな
って部分がおそらく何度
そういう状況になったとしても
選ばないだろうって選択だと思うんですけど
でもどこかで
もしかしたらエスターみたいな選択をしてしまうんじゃないかなっていう
なんか気持ちにさせられるんですよね
この本読んでると
そういうマグチって言っていいのか
取っかかる部分
引っかかる部分みたいなのがすごい多いから
まずやっぱ読んだ人は
これ誰かに話したくなる本なんだろうなとは思いましたね
なんかエスターってはちゃめちゃっていうか
死の方に向かっていってるんだけど
なんか死にたい死にたいと思ってるんだけど
ものすごい全力で生きてるって感じがして
エネルギーに満ち溢れてること
やることやることがわーみたいな
すごいエネルギーに満ち溢れてるのに
この人死に向かってるんだなっていう
そこの感じとか
あとやっぱりエスターがやられたらやり返す精神だったりとか
割と男の人だけじゃなくても
いろんなことをされてる
被害者になってる場面が書かれるんだけど
やり返すんですよね
あと心の中で思ってることを
むき出しにしてみんなに聞かせる
その心の声がやっぱり痛快っていうか
普段は大人になって
こんなこと言っちゃいけないのにとか
やっちゃいけないのにとかって
抑圧されてる人にとってみれば
気持ちがいいっていうところもあるのかもしれないですよね
確かにエスターのような状況で
引きこもりになっていないっていうのが
ちょっと読んでいて面白いなと思ったところで
なんかすごいいろんな人に絡みにいってるのが
確かにこれは読んでいる側からすると
なかなか面白かったところで
それは確かにありましたね
そうですね
なんかやっぱりその学生時代こういうことがあったなって
思うこともそうですけど
今でもありますよね
社会がものすごい変化があって
私が当時そうだったんですけど
やっぱり翻訳してると孤独で
あと翻訳ってやっぱりAIが来たりとか
時代の流れとともに
すごい危うくなってる職業だから
こんなことをいつまでも続けられるのかしらとか
この業界にいていいのかなとか
あと何をやったら終わりっていうか
終わりが来るのかしらとかいろんなことを考えるわけですよ
そうすると時代と逆行してるような感じがして
私は私のままでいいのかしらみたいなことを考えてた時だったので
それもやっぱりエスターが考えている
いいと思って絶対これでいいと思ってやってきたのに
それが通用しなかったとか
文学なんてものはやっても意味がないとかって周りに言われて
速記とかやらされる感じとか
なんかそういうのとかもすごくそのレベル
そこだけの話じゃないですけど
そこだけ切り抜いても
やっぱり大人になった後でも自分の選択に
迷いってわけじゃないけど
自分の選択が
選択の連続でここまで自分の人生きたけど
じゃあこれからこれで安定なの?
みたいなあなたの人生ぐらついてないの?
みたいなのの問いかけが
みんな絶対してるはずだから
そういうところにこの全てのそういう思いを
美しい言葉で言語化された小説が出てきちゃったものだから
わーってなるのはなんか
あったなーって気がしますけど
そうですね確かに
強烈ですよね
本当に言語化されているから
それがただ淡々とこうだーだ
辛い辛いとかじゃなくて
本当に詩の言語で書かれてるから
いやー素晴らしいなと思いますけどね
なかなか出会えない作品だと思います
今ちょっといろいろお話いただいたところですが
やっぱりこの作品のメインとなるところって
やっぱりその自意識の部分だったりとか
あと前半はニューヨークで
ちょっと特別だと思ってた自分が
挫折を味わって帰ってきて
後半は実家でまたいろいろあって
精神的にちょっと病んでいくというところがあるんですけれども
その中でやっぱり時代もあるので
女性に求められる役割部分のこととか
あと社会的な流れのところもあったかなと思います
ここはシルヴィア・ピアラスの実体験もそうだと思うんですけれども
やっぱりこの時代
結婚っていうところを求められるけど
エスターはそれを考えないというか
そういうものにはハマらないという形で
生きようとする姿っていうのもすごく描かれていて
それが夢にうまくいかなくなる部分とかもあると思うんですけれども
エスターの選択と未来の不安
そのあたりの大きく見ていくと
自分っていうものをどうしていきたいかみたいなところ
これがエスターはこうしたいっていうのはいくつかあるし
でも周りの期待もあるしっていうところが描かれていて
うまくいかないっていうところも
この作品の大きな部分なのかなとちょっと思いました
私すごく裏帯にも引用されている
一軸のところがあるんですけど
この部分すごくやっぱり印象に残ってまして
私ちょっとその手前からなんですけど
この発想の連鎖もすごく良かったっていうか
117ページにできないことリストっていうのを
ちょっと挙げ出すとこがあって
エスターが将来のこととか考えた時に
できないことのリストをどんどん作っていくんですね
その発想の中で
自分は今こういうタイミング
未来を選ぼうというか
いろんな分岐のとこにいるんだなっていうところがあって
そのイメージがちょっと前に
この一軸が出てくる物語を読んでいて
そこから発想されてるんですけど
一軸の木に一軸がたくさんなっているが
今選び取らないと
どれも腐っていくっていうイメージが差し込まれていて
それがやっぱり一つ一つ自分の未来なんだっていう
今立ってるところから
いろんな未来があるけれども
誰かと付き合って家庭を持つとか
教授になったりするとか
詩人になったりするとか
編集者になったりするとか
いろんな未来があるけれども
その未来がもうどれ一つ選べられないまま
腐らせてしまうっていうイメージの部分が
118ページに描かれてるんですけども
これってすごくこの作品を象徴してる部分だなと思っていて
実際にはこれ
この中にはエスターの意思というものもあれば
その周りからの期待による家庭に入るみたいな
この未来みたいなのも多分あって
それを選べない自分っていうのは
多分これ本当多くの人に刺さると思うんですけども
10代とかですね
自分が改めてどういう生き方をするんだって
経験もないのに突きつけられた時の
この感覚をすごく呼び起こす部分で
私はここはすごく引きつけられましたね
ちょっと今メインテーマの話が
ごちゃっと話してしまったんですけども
やっぱりここはすごく重要な部分じゃないかなと思っています
なんかこの書き方も
自分ができないモノリストを作っていくところが
国連なんですよね
国連でコンスタンチンっていう
ロシア語と英語の通訳者と
ロシア語の優秀な女性の通訳者の間に挟まれて
座っている時に
私って本当この人たちに比べたら何もできないって
言ってこうやってくれて
その書き方よね
その書き方がとてもうまいっていうか
突然出てきますよね
自分ができないことを順番に上げていくことにしたっていう
一言が
そうそう
問題はそれまでもずっと未熟だったのに
それについて考えてこなかったことだったっていう
絶望とその描写
自分の無能さを今そこで痛感するっていう
みたいな
なんかこの描き方もすごいよくて
なんか国連の建物の真ん中にある
防音加工が施された部屋で
同時通訳だけでなく
テニスもできるコンスタンチンと
たくさんの関与区を知っている
ロシア人の女の子に挟まれながら
私は生まれて初めて自分の無能さを痛感していたっていう
この書き方ですよ
もうこのエスターのこの皮肉っていうか
皮肉ってわけじゃないけど
なんかすごいじゃないですか
同時通訳だけでなくテニスもできるコンスタンチンって
普通書かないですよ
この書きっぷりはすごい面白いんですよね
この人の心が性格がすごく現れているし
なんかその自分を他の人と比較して
ずっと比較してきた人生だったと思うんです
奨学金を取って生きてくるってことは
トップにならなきゃいけないわけだから
その比較して比較して
トップ取ってきたのに
一歩社会に出たらこんなに上がいるのかっていう
最たるものですよね
それでどんどんネガティブになっていって
私はあれもできないこれもできないとか言ってくる
で一軸の実がついててそれがなんか腐っていくみたいな
あのイメージの流れが
もうすごいエスターっていう人を表していて
その彼女の気持ちの中のモヤモヤを
こういうふうにして言語化するのかっていう
本当にそのテクニック
まあテクニックって言うとちょっと味気ないですけど
その見事な書きっぷりというか
ここだけ読んだだけでももうひしひしと伝わってくる
直接的な言葉は一つも書かれてないけど
エスターってああこういう人なのねっていうのがわかるっていう
この描写がとにかく私はすごい好きで
多分そういうふうに思ってくださっている
読者の方多いんじゃないかなって思ってます
そうですね
絶望の描き方って言うんですかね
なんかすごく言い方が合ってるかわかんないですけど
なんか遠慮がない書き方をしてると思っていて
なんか普通の作家だったらもうちょっと
なんて言うんですかね
柔らかい言葉じゃないんですけど
もうちょっと距離がある感じで
描くような気はするんですけど
このなんか本当思ったことをズバッとこう
感じたことをズバッと入れてくる感じは
すごいある意味すごく気持ちいいなって
思ったりするところでもあります
ね ここまで書くんだっていう
ニューヨークでのインターン
なんかそこのところにやっぱりこの誠実さっていうか
ここには何か本当のことが書かれているのかもしれない
と思わせる何かがあって
だから読者はページをずっとめくり続けるのかもしれない
ともちょっと思いました
小説ってのは嘘なんですよ嘘なんですけど
そのなんていうのまるで嘘が書かれてないかのような
本当の気持ちがそこに書かれているような
感覚を与えるって言うんですかね
そうだからこれ反次元的小説ですから
本当にシルビアプラスが体験したことが
そのまま書かれてるわけではない
エスターイコールシルビアではない
文章になってる時点でだけれども
シルビアのことであるっていう小説という媒体を使って
自分の記憶を描くっていうことの一つの仕組みも
うまく使っていていい小説だなと思います
小澤さんは時間の都合でここまでのご出演となります
この後ベルジャーについて話したりない部分は
私とめいさんで話していきます
またベルジャーについて二人で話した後には
小澤さんに少しだけお聞きした
他の翻訳についてのアフタートークがありますので
ぜひ最後までお聞きください
それでは小澤さんここまでベルジャーについて
いろいろとお話しいただいてありがとうございました
はい
ではですねこのパートはちょっと小澤さん抜きで
ストーリーを補足していきたいと思います
よろしくお願いします
じゃあ私の方からですね
ちょっとストーリーをお話ししたいと思います
こちらですね少しお話出てましたが
前半後半で少しちょっと分かれてる感じはありまして
全部で20章構成で
前半10章が主にニューヨークでのインターンの日々です
後半10章は実家というか地元に戻ってきて
うつ病にかかってしまい精神病院など
ちょっと入っていくような流れになっています
ちょっとざっくりストーリーを紹介したいと思います
1953年の夏ファッション雑誌のインターン生として
11人の学生だと思いですね
主人公である19歳のエスターグリーンウッドは
ニューヨークに滞在することになります
結構なかなかいいホテルをですね
ファッション雑誌の方々に用意していただいて
そこに滞在するということになりました
エスターグリーンウッドを含む12人なんですけれども
アメリカ中から選ばれた学生でして
本当にこのニューヨークでですね
きらめやかな食事とか
いろんなことを経験させていただきます
その中でもエスターはですね
どこか外観を感じていて
このニューヨークで出会う人々
その一緒にインターンしてる学生ですね
あとはファッションや恋愛なんかに
夢中になっているんですけれども
彼女はですね
その感覚に少し馴染めない自分がいます
エスターはですね
自分は成績優秀で
選ばれた特別な人間だと思いながらも
ニューヨークではですね
他にもいろいろな方々がいて
ちょっと挫折というか
ちょっと埋もれていくような感覚を味わいます
この雑誌社の上司にですね
大学卒業後に何をしたいか
ということを問われることがあるんですけれども
自分でもよくわからないと回答してしまうという形になっていて
もちろん成績は優秀で
いろんなことができるんですけれども
自分が今何をしたいかっていうのは
はっきり言えないっていう状況になりますね
こんな感じでエスターは
自分の人生を決めることができないという状況が描かれていきます
そのニューヨークの日々の合間にですね
階層のような形ですかね
田舎のことが少し
地元のことが少し描かれます
そこにはですね
バディ・ウィラードという
医学生の男の子のことが出てくるんですけど
一応彼とエスターは小田舎にあるんですが
エスターはですね
ちょっとこのバディについては
少しうんざりしてる部分があります
っていうのはこのバディっていうのはですね
結構純潔そうな感じで付き合ってたんですけど
実はちょっと女性経験とかもそれなりにあったりして
どこかちょっとエスターを内心見下してるんじゃないか
っていうような不思議もあったりして
このあたりがですね
ちょっとエスターのですね
まあ気持ちにですね
ちょっとヒビが入ってきますね
あとこのバディの両親なんですけども
もうなんかエスターとバディが結婚するような感じ
の空気をすごい出してきていて
このあたりに対してもですね
あんまりいい感情を持っていません
エスターはですね
この時代女性やっぱり結婚するっていうのが
まあ何というか当たり前だと思われていた部分
あると思うんですけれども
まあでもそれに対してもですね
まあサッカーになりたいって気持ちもすごく強いので
結婚という道を歩むべきがいなかっていうところでも
揺れてはいます
でインターンの終わりに田舎に帰る前に
10人の学生たちがですね
何になりたいかっていうのを聞かれて
それに答える形で写真撮影をする場面があるんですけれども
そこででもですね
エスターは自分が何になりたいのかはっきり言えず
まあ一応詩人とか言ったりはするんですけれども
それも本心ではなさそうで
カメラを向けられると泣き出してしまうという場面が描かれます
でこの1ヶ月間ニューヨークで様々な経験をして
ボストンに帰ったエスターですが
実家に帰っての挫折
実家でもですね
またちょっと挫折を味わいます
希望していた講座があったんですけども
ライティングの講座があったんですけれども
それの不合格通知が来てしまいます
でそんなことにも卒業論文もあるので
卒業論文を書き始めるんですが
これがですね途中からですね
うまく書けなくなっていって
で結局親戚の勧めで精神科医にかかることになります
でそこでかかった精神科医から
治療とか薬が処方されたりするんですけれども
あまり効果がなくて
この当時ですね
電気食療法っていうのが精神病に
使われることがあったので
それをエスターは試されるというか施されます
でこれがですね結構ひどい激痛でして
もうエスターにとってすごいトラウマになっていきます
こんなことをした
自分にこんなことをした精神科医や
それに対して何て言うんですか
ヨッシーとしている母親に対してもですね
信頼が持てなくなってきて
この辺りからですね
小説のテーマと解釈
彼女は自殺というものを考えるようになっていく
という形になってきますね
でこの後もですね
精神病院を転々としていき
物語は進んでいくというところになっています
これがですね
十二三章ぐらいまでの内容なので
ここからはちょっといろいろネタバレもあるので
この辺りに留めておこうかなと思います
で一応ちょっと今ここまで話してしまったんですけれども
やっぱりこの小説にはですね
やっぱ自殺の話とか
結構男性社会のこととかもあるので
結構差別的なごくは表現が含まれていますね
この辺はちょっと注意して読んでいただけたらなと思うのと
あと今言ったようにちょっとね
センシティブな内容のものが含まれたりするので
まあ影響を受けすぎると
少しあまりいい方向に行かなくなることも多いと思うので
読むときはぜひちょっと注意していただけたらなと思います
あのちょっと未だちょっと話し切れてない部分を
少し話していきたいと思ってるんですけど
ネタバレしない範囲で
ラストのことを少し話したいんですけれども
ラストはですね
結構解釈が分かれる書かれ方をしているなと思いました
いやこれ話すの難しいんだけれども
まあ私はスッキリはしなかったかなっていう感じですかね
深井・うんうんうん
とこですね
でもだからといって
ドコ語感が悪いっていう意味ではなくて
テーマにもなっているというか
このモチーフにもなっているベルジャー
これガラス瓶のことですけども
このガラス瓶の中におそらくエスターはいた
もしくはガラス瓶を通して世界を見ていた
っていうことがあると思うんですけど
これが取り払われたのか
それともまだ彼女はその中にいるのかっていうのは
多分解釈分かれるところなんじゃないかなって思いますね
私はちょっとまだ囚われてるんじゃないかなって思いながら
ちょっと本を閉じました
みなさんどうだった
うん
なんかその囚われてるっていうのは
特に終盤読んでる時すごい感じていたんですけど
そうですね ラストはそれでも少し何か
そうですね ちょっとエスターが自分の人生を
歩むかもしれないっていうちょっと希望みたいな
なんかねそういったところも感じれはしましたね
なんかなかなかそうですね
これ本当に読んだ人がどう思うかっていうと
そうですね
やっぱりこの序盤のエスターってすごく
これもあれか
外肌から見ると恵まれた位置にいた女の子だったので
そこと比較してしまうとどうしても途中から良くないんですけども
そうですね
エスターが自分の人生を生きていこうってなれたのかどうか
なんかとっても名言とかできないんですけど
そうですね エスターにとってはどうなんだろうってすごく
あれですね 読み終わってもモヤモヤ残りますねこれは
そうだよね そういう作品だよね
そうですね
確かにね このモヤモヤもやっぱり
この本のもしかしたら良いところなのかもしれないですね
残念ながらちょっとラスト話しにくいからちょっと他のとこ行きたいんだけど
そうですね 振りやすいのはやっぱり登場人物ですかね
そうだね 確かに
登場人物すごいたくさん出てくるんですけど
印象的な人は何人かやっぱりいまして
僕の好きだったのはドリーンですね エスターがインターン
行った時に同じインターンに参加していた学生ですごいドリーンも頭が切れる
すごいモテモテな男からすごいね 誘われたりするようなタイプの女の子で
前半読んでてドリーンはやっぱり一番自分を持っている感じはしたよね
そうですよね 自分はこう生きていくんだみたいなものとか
あったんじゃないかなって プライドも高そうだしでも頭もすごく切れるし
世の中すごく上手く生きていけそうな
もうちょっと個人的にはドリーンがいっぱい出てきてほしかったなと
でもちょっとまあ差し支えないから ネタバレにならないと思うからだけど
割と最初の方ねドリーンがさ
エスターのいる部屋に帰ってきてさ 結構すごいことになるときがあるじゃない
エスター放置するとこあるじゃない あれ結構ビビったけどね
エスターの孤独とキャラクター
確かに会えるの面白いですよね ちょっと面白かったよね面白かったっていうか
エスターすげーエスターやるなーっていう感じはあったけど あと人物で本当もうちょっとだけワンシーン出てきた人物で
マルコっていうですね これ強烈だったね そうですねこれもドリーンとの付き合いでペルー人ですかね
のグループというかちょっと遊びに行って 単語踊るんですけど単語の最中にこのマルコと
エスターが喧嘩しても結構盛大にやり合うという印象的でしたね 呼んでる分には面白いんですけどなかなかもうはちゃめちゃなことをやってるなーっていうので
いやーでもこれは結構ニューヨーク最後の夜をね 最後の夜ですかね確かに とんでもないことになかなか衝撃的な最後の夜を過ごしてそのまま
その足ではない その足みたいなもんかでね ボストンに帰っていくエスターがなかなか印象的でしたね
他ありますか あとはいろんな人物 これ本当そうなんだよね なんかこのストーリーの流れからすると登場人物めっちゃ多いなと思っていて
やっぱりこれはあれだよね シルビアプラス自身のこう実際にあった人たちがモデルになったりとかしてる部分もあったりとかすると思うんだよね
だからなんかこの登場人物たちを通してエスターが世界をどう捉えてるかみたいなのが少しわかってくる部分もあったりするし
あとなんか迷惑力がない展開もちょっとやっぱり多くてまぁ何度もちょっと言っちゃうけど それってやっぱシルビアプラスが故にこう経験とか感覚とかを元に書かれてると思うので
あと印象に残ってるシーンっていうか 私なんかねある意味一番最初にこの小説で心を一番捕まわれたなって思ったのは
なんか熱いお湯に浸かるシーンがあるんですよ これドリーンがね男とイチャついていて 3人でいて
なんかこうイチャつき始めたからそこに入れなくなったというか まぁいたくなくなって一人で帰るシーンがあるんですけど
でホテルに帰ってすごい熱いお湯を入れて そこに浸かってっていうとこがあるんですけど
この熱いお湯で嫌なことがあった時に熱いお湯に入る感覚ってすごくわかって あとこの独特の友人と飲んでたのに
なんか自分一人だけ孤独感を味わって帰るみたいなのって 多分大学を飲み会とかによくあったような時もある気がしていて
なんかあの時の感覚とかもすごい蘇ったし この熱いお湯に浸かるって結構自分もよくやるんで
なんかこれこれってすごく好きなシーンですね 自分を保つためにやる
この行為として 確かに作中でも熱いお風呂に入っている時が一番自分自身を感じられるって書かれていて
なんかすごいわかる 本当一人で熱いお湯に浸かっていると自分にもなんかね
感じることができるというか そうねドリンは消えていくレニーシパードは消えていくフランキーは消えていく
ニューヨークは消えていく みんな消えてなくなってどうでもよくなる
あんな人たちのこと知らないし知り合いになったこともないし私は何の汚れもない いう感じね
これねすごいわかるなぁと思って ここがすごく共感してしまったとこですね あの35ページで訪れるんですけど
だいぶ早い時にグッと掴まれてるなって感じはしますけど なるほどちなみに僕は好きなシーンが344ページで
後半ですねそうですねもうなんか最後の方に近いんですけど 最後の方に近くでアーウィンっていう男性と知り合うんですね
エスターがではやってることは本当しょうもなくて ああああああ
1回限りの関係を持つって言うですね まあっていうのをやってその後のシーンですね
まあそのアーウィンの部屋でエスターがいるとその部屋の呼び鈴が鳴ってですね そこに女性が訪れるんですね
でその女性をアーウィンが追い返そうとするんですけどもエスターが部屋の中にいるんで なんかそこのただ文章がやたら
指摘でですね あーなんか読んでるとすごいなんかこの情景が浮かんでくるようなすごい中も絶妙なその
この文章となと思っていていやーなんかすごく好きになりましたね ちょっとだけ一部
本棟 呼び鈴がまたなり今後は産むを言わさないような
ノックの一撃も聞こえたアーウィンはため息をつくと立ち上がった 彼がいなくなった瞬間
私はバスルームに駆け込むとアルミみたいな色の汚いブラインドの裏に隠れて アーウィンの修道師みたいな顔がドアの隙間に現れるのを見ていた
でそこからあってですねでアーウィンが言うんですよね このすまないけどオルガ仕事中なんだよオルガ
いやそうじゃないよオルガ その間ずっとご夫人の赤い口は動き続け
白い煙に変換された言葉が ドアの近くに落ちているライラックの裸の枝の間を漂っていった
そしてようやく多分ねオルガさようならオルガという声が聞こえた ではこの一連のちょっと確かにあのくだりがあるんですけど
なんかほんとしょうもないことをやってたのに描写だけはすごく美しい なんかここやたら好きでしたね
あとは個人的にすごくあのここも印象深かったところで最後に一つだけ行くとですね このローゼンバーク夫妻の話がこの作中の中でちょっと触れられることがあってですね
それはロシアのスパイ疑惑がかけられて電気衣装にかけられて処刑されてしまったという事件になるんですけども
それに対してエスターはそんな疑惑がかかっている人を処刑してしまうってひどくないって思っているんですけど
ただあのその周りのインターン生の一人ヒルダっていう女の子にそのことを聞くと ヒルダはそんなローゼンバーク夫妻みたいな悪い人たちが死ぬのは当然だみたいなんですね
そんな反応でその後もこのインターン先ですね このエスターが将来何になりたいかというので
死人って答えるもののでも本当はどうなのかと 周りの人は結構自分はこうなりたいなりたいというのを思ってて
結構この 周りの人たちはこうなりたいというはっきりしたものをすでに固めていて
恋人のバディもそうで将来は結婚してこういう家庭を築いてっていうのをイメージを持ってて
そういう周りはなんか白黒はっきりしているような人たちの中で それは社会的なところもそうですねこのローゼンバーク夫妻のこの事件とっても
それはもうあの人は悪いっていうですね 白黒はっきり持っている人が多くてでもエスターはそれって本当なのかなって
自分のキャリアとか自分の将来についても まだ白黒はっきり持っていない自分っていうのがいるっていうですね
周りと比べてしまうとっていう なんかその辺ですごくこのなんかエスターの不安定な
なんかこの周りと比べてしまうとちょっと不安定に思えるところが現れてるなぁと思って
でそれはローゼンバーク夫妻の事件のなんかその反応とかそういうの一つ切り取っても
なんか周りとエスターとの違いっていうのも出てるんだなぁと思って ちょっと印象深いところでしたね
シルビア・プラスの影響
ここからですね少しだけちょっと小沢さんの他の活動についてもちょっとお聞きしたいなとせっかくなので思っておりますので少しお付き合いいただければなと思います
でまず2024年小沢さんだいぶ大活躍だったんではないかなと思っておりまして
小沢 そうちょっと尋常じゃない
そうそうなんで5冊ですかね5冊出たんですよ結局 そうですよね
すごいなって思っております
でまず2024年の11月からシリーズで観光が始まっております
新庁舎から出ているナルニア国物語の新役ですねこちら今まさに途中
小沢 まさに途中です今4巻まで出ていて4巻で出たばかりなんですけどここで1ヶ月ぐらい空いて
5、6、7と3巻が続いて出ていくんですけど初めてのシリーズもので本当に大変で
大変でっていうか思った大変としか言いようがないんですけど役しても役しても次が来てっていう
嬉しい悲鳴で本当はもう10年ぐらいかけてやりたい仕事でした
でも結局なぜ新役することになったかというと今回新庁舎の文庫から出るんですけれども
やっぱりナルニア国物語って世田谷寺さんっていう本当に素晴らしい翻訳家の方がずいぶん前にお訳しになったものが出ているんですが
子供向けで出ていることからあんまり大人の人に届いてないっていうところがあったんですよね
それを受けて他の出版社でも大人向けに規約が何個も出ていて素晴らしい翻訳者の方々をお訳しに乗ってるんですけれども
今回新庁舎はもっと裾野を広げるというかもっとちょっと小難しい言葉とかはあまり使わない変異な日本語を用いて
読みやすさを高めた翻訳を出しましょうということで始めたんです
なのでルイスの英語ってものすごく拡張高くて本当に女王とか王とかが出てくるしになると一気にものすごい難しくなるんですけど
古い言葉を使うんですよねそれを今までの翻訳だと結構すごく時代がかって訳されてたんだけど
そこをちょっとできるだけそび落として読みやすくしているっていうのがポイントかもしれないです
なるほどなんかちょっと我々もねちょっと事前にナルニア国物語っていろんな役が今
公文社の新訳文庫からも出ますし門川さんからも出てらっしゃったりして
岩波もありますしやっぱりちょっと子供向けじゃない形でちょっと門川さんはやられてるんじゃないかなっていうのはちょっと感じたところなのでなるほどなと思ったところでした
あとやっぱりファンタジーって子供の時に読むものっていう感覚ありますけどやっぱりルイスってもっと大きなものを頭に描いて物語を作っているので
やっぱりそのこのファンタジーを大人になって読み返すといろんな気づきがあってネタバレになっちゃうのであまり言わないんですけど
ただの時空なんて言うんですか今の流行りのその転生物って言うんですか転生とか時空を横断するとかそういうだけじゃないんですよね
なんかもっと深いテーマがいっぱい散りばめられていてそこが大人になって読み返す醍醐味だしですし
育てしている方にもしてない方にもみんな子供だった時があるのでなんかその時のことを思い返しながら読んでいただけたら嬉しいなというふうに思っています
私実はナルニア国物語読んでないのでちょっと読みたくなってるんですよね
読んでみてくださいよ 今回ちょっと色々調べさせてもらってあ面白そうだなと思って
いやーめっちゃくちゃ面白いですよ本当にで一巻がやっぱりめっちゃ有名じゃないですか
読んだことなくてもタイトルぐらいは魔女とあれだけじゃないんでしょあれでやめちゃう人が多くて2巻に行かない人がいるんですけど
2巻から本当の大冒険が始まるので空も行けば砂漠も行くし海も行くしみたいな色んなところを本当に巡って
まあすごいですよ本当に素晴らしい物語人が生きるっていうことはどういうことなのかとか
人生の先には何があるのかとかあとその心の拠り所になるものは何なのかみたいな結構深いんですよ
だからそれが伝わるといいなと思ってるのとあと今回の翻訳では私女の子のキャラクターがものすごい好きで中に出てくる
ルイスってあのやっぱり男の子を中心に書いている部分はたくさんあるんですけどやっぱり女の子の成長物語だって読める部分がたくさんあって
それをやっぱり彼らという言葉を使わずに彼女たちって訳してみたりとか別にここで男の子がここで一番ハイライト当たる必要はないよなと思うところではそういう代名詞を使ってみたりとか
なんかいろんなところで工夫して女の子がもっと生き生きと伝わるようにしたっていうのはありますね
なるほどいいですねちょっとやっぱりあのまだ走ってる途中ではあると思うんですけれども本当にあの完結まで楽しみに
はいありがとうございます読んでいただけたら嬉しいです多分私読むと思います
翻訳者の視点
いや僕もあの読んでなくて読みたいなと思ってたんですけどもちょっと最終巻が出た時にちょっと全巻セットで
確かに確かに
揃えたいなと思いますね
文庫っていうのもね手に取りやすくて読みやすくていいですよね
そうですねやっぱり海外文学からすると価格も多分手が出しやすい
めっちゃ音してます
ところなのでちょっと手を出していきたいなと思っております
ありがとうございます
あと一冊ですねどうしても気になっている本がありましてやっぱり2024年に発売された川手処方針書から出ている
デルモアシュワルツの夢の中で責任が始まる
こちらこの短編集多分観光時期がベルジャーと多分ほぼ同時期だったんですけど
そうなんですよ
同じタイミングでちょっと結構重めの翻訳をされてたんじゃないかなってちょっと思っていまして
この本もですね同じく日本翻訳大賞の候補にもなっている作品なので
気になってる方も多いと思うので
ここの先についても少しお話聞けたらなと思ってます
この作品もニューヨークが舞台で1930年から40年代にかけてのニューヨークにいる移民のどこの子たちの話なんですけどね
メインになるのが短編集でそもそもナミっていう後男者の文芸師で
表題作の夢の中で責任が始まるというのを訳させてもらって
それを見た編集者の人が連絡してきてくれて
短編集をまるごとやりませんかっていうことで話が進んでいったんですけど
まあその伊藤さんという編集者なんですけどものすごい英文が読める人で
私ワルツについてもものすごい知識があって
彼が彼と一緒に本当に作り上げたという感じがする本なんですけど
すごいですね癖が強くてこの短編集もすごい面白い
私も一番最初の短編だけ表題作ですね
読ませてもらいましたけどこれは面白いなって思って
そうですかやっぱり表題作は特に自分の父親と母親の姿を
映画館で見るっていう構成も素晴らしいし
自分が映画館に座っている立場と座りながら
いろんなことが頭の中を巡っていって最後にわーってなるっていう
なんかもうたまらないじゃないですか文学海外文学的にはたまらない
エッセンスっていうか母親と父親の関係性もしかり
その二人を止めようとしてしまう
だからつまり自分が生まれてこなくてもよかったのではというところまで行き着く感じとか
そのたまらないですよね
あれが本当に爆発的に人気になったんですよその短編だけが
だから今までも一発屋とかって言われてちょっと伝説的な作家とか言われていて
日本だと評論家の坪内雄三さんが紹介してくださったりとか
今までも表題作がそれこそ畑中先生だとか柴田先生あたりがお役人になっていて
あるんですけれどもなかなか他の作品まで役が回らなくて
でも役してみて本当に他の作品もものすごい癖のあるたまらない
海外文学好きはたまらないんじゃないですかね
そんな気がしますね
すっごい翻訳難しかったですけどね
ベルジャーとナルニアとこのデルモ・ジョルツを一気に翻訳してたので
本当にこのニューヨークとかっていうのは被ってるけど全然違うじゃないですか
男の子のうつうつとしたオレってオレってみたいなのと
女の子の繊細な心の中とナルニアのファンタジーがもう私の頭の中でもごっちゃになって
本当にすごかったですよもう爆発寸前でした
本当に混乱しますよねこれきっと
ボイスっていうのがあるのかないのかわからないですけど
役仕分けっていうんですかね全然違うんでそこら辺も気をつけることもないんですけどね
翻訳ってやっぱり原文をそのまま翻訳していくわけですから
そんな自分で手を加えることはないんだけど
あまりにも違うボイスがある3つの作品だから
頭の中と自分の日本語がめちゃくちゃになっていく感じがして
すごいなんか不思議な体験をしました
いやでも多分そのなかなか苦労はされたと思うんですけれども
今回どの作品もですね多分めちゃめちゃいい作品なので多分多くの方に届くと思います
で私もやっぱこれそうですねナルニア国はまだ読んでないんであれなんですけど
夢の中で責任を始めるのは結構もう一番最初の作品がガツンとしているやつもある形もあるので
これから読み進めるのが楽しみな一冊なのでちょっと
ミネさん次第ですけどまたあのねこの番組にもしかしたら取り上げたいかなと
物語の核心
小平製ってる男がたくさん出てくるっていうのですごく面白そうですよね
イライラしちゃって私も訳しながら
でもそこにもやっぱり女の子たちが登場していい味出してくるんですよねその女の人が
それもちょっと後掛けにも書きましたけど
なんかいいなシュワルツが書く女の人っていいなと思いながら訳して
そういう小説を読みたいですねやっぱり
あともしこの後の観光予定なんかあったらぜひお伺いしたいです
あの今やってる作品がまたナルニアがまだ終わってないんですけども
今ナルニアのロック7を最後に最後までやってやろうとしているところで
その後はイギリスの若手の作家が書いてグラフィックノベルを訳してます
グラフィックノベルの翻訳って初めてでコマがあって
その吹き出しだけじゃなくてその後ろの効果音だったりとか
いろんなキャプションだったりとかどこまで訳したらいいのか問題とかいろいろあって
新たな挑戦なんですけどそれ面白くて
今翻訳文を出したところなんでどうやって書いてくるのかなっていうのを待ってるところだったりして
いいですね楽しみに我々も待っています
2025年も大変忙しそうで
自分の首を締めてるんですよ
でもありがたい悲鳴と思って頑張ります
本当に今回ちょっとお忙しい中来ていただいてありがとうございました
とんでもないです
またちょっとお呼びする機会があったらお声掛けさせていただきたいと思いますので
呼んでくださってありがとうございました
ありがとうございました
失礼いたします
今回ですね小澤さんゲストに来ていただいて
いろんなお話聞いてきましたけれども
楽しかったっていうのもあるけれども
この作品自体もいろいろな受け止められ方というか
読者に開かれた一冊だなと思いますし
やっぱり今回20年ぶりの新訳のところだったんですけれども
この2024年25年に多分多くの人が読むと思うので
その時にちょっと我々の感想が参考になるかどうかあれだけれども
いろんな人に読んでもらいたいなと思った作品ですね
そうですねアメリカとかイギリスで
すごい若い人にも人気だというのがあると思うんですけども
結構年代問わず読める作品だと思いますね
本当描写一つ一つとっても小澤さんも言われていたみたいに
しんみりする文章もあればぐさっと刺さるような一言もあったりしますし
読者とのつながり
若い人から本当大人まで読んで本当何を感じるか
結構これも好み分かれる作品でもあるのかなと思いますし
本当人それぞれの多分何か読み心地があるんだろうなと思いましたね
そうですねそして小澤さん2024年25年とかなり精力的に
翻訳を取り組んでいらっしゃるとお話聞きましたけどやっぱりパワフルでしたね
そうですね全然違う作風の翻訳を本当に数こなしていくっていうので
なかなかできることないですね
本当小澤さんがいろんな役を手掛けられるんでこれからもだと思いますけども
どれもちょっと気になってきましたね
これまでも手掛けられている作品とかで気になっているのは
私ホットミルクとあと覚醒性を制限化
あのあたりは発売した当初書店で見て買おうかなよってやめたもののうちに入ってまして
いつか読みたいなって思っていた作品なんですけども
なかなか私もつんどくすごいんでなかなかおいそれと買うことが最近できないんですけど
やっぱ気にはなるなと思ってるんで
いろいろちょっとご予定はあるみたいですけれども
小澤さんの翻訳作品も読んでいきたいなと思いますね
そうですね
じゃあちょっと今回ベルジャー結構いろんな話ができたので
ちょっと読みたくなった人も多いんじゃないかなと思うんですけれども
ぜひですね手に取っていただけたらなと思います
じゃあ次回予告して終わりたいと思います
次回はですねマルコ・バッツアーノのこの村にとどまるをご紹介します
お楽しみに
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もっと我々のエピソードは聞いた人のためになってますが
最近はですね海外文学ニュースというのをメインにお届けしているので
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読み返しましたとございましたら
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何かあればそちらからいただければ定期的にやっているお便り紹介会でお答えいたします
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ではまた来週
01:07:30

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