まさかエルサレムが4部作の中の1つだったというのは、ちょっと驚きだったんですけども、
そういうテーマに書かれているというのもこのダバレスさんの特徴になります。
他読んでみたいですよね。すごい気になる。
王国4部作全部読みたいですね。
なんとご翻訳されないかなと思っております。
じゃあ具体的に今回紹介させていただきたいと思っております。
ちょっとまず今回はですね、この小説の魅力ってなんだろうみたいな話をちょっと先にさせてもらった上で、どんな小説か話していきたいなと思っております。
私がですね、まずこれ読んで感じた魅力というかすごさなんですけど、構成ですね。構成が本当すごいですね。
それは展開っていう言い方もできるんですけど、でも構成なんだろうなと思います。
すごく考えられて作られている構成で、
時間軸とか話のポイントとかが結構並べるだけ見るとめちゃめちゃバラバラなんですよ。
時間は過去に話に急に飛んだり、現在の話が急に展開したりとか、
で全然なんかこいつ誰だよみたいな登場人物が出てきたりとかするんですけど、
でもそれがですね、もう何ていうか過不足なくちゃんとまとまっていくし、
それだけでも鳥肌が渡したったんで、ここは本当構成がすごい小説でございます。
内容はですね、かなりダークですね。
救いようがあんまりないですし、たまに救いのない小説作品、映画とかも含めて出会うんですけど、
久しぶりにここまでちょっと救いのない作品出会ったなと思いました。
でもそれでいてもですね、なんか独領後に残るのがやるせなさとか絶望感ではなくて、
この登場人物たちの運命のようなものを感じる作品で、
もう何ていうかもう語彙がないんですけど、すげえしかないっていう。
なかなか小説をうまく語れないなって思っているんですけど、
ちょっとでも伝わればいいなと思って今話してますが、
そういうダークなんですけど独領後にを感じるのが、
他の救いようのない作品から感じるものではないものが残って、
すごい小説だったなと思ってますね。
確かに僕も同じことを思いましたね。
ああ、ですよね。
こんだけ暗い小説なのに、読み終わった後の絶望感っていうのがあんまりそこまで感じないっていうのは、
しかもすごいスラスラ読めますしね。
なんか非常に重たい小説にあらすじとか読むと思えてくるんですけど、
読むと意外とそうではなくて、なんかあっさり書かれていたりするので、
ほんと1日で読めるくらいかなというくらいほんとスラスラ読めますね。
文章量はそこまで多くないですね。
私もほぼ1日で読んじゃいましたけど、途中止まんなかったって思うけど。
あとこの小説で面白いところが、
精神病院が舞台となっているというのが一つあると思ってまして、
精神病院というと、映画でカラッコの巣の上でというジャック・ニコルソンが主演をしていた、
ちょっと古い映画になるんですけど、というのがあって、
それは精神病院舞台の映画で、結構リアリティのある映画だったと思うんですけども、
今回のエルサレムはドキュメンタリーとかルポルタージュではないので、
精神病院の内情というのはそこまで詳しくは書かれていないんですよね。
あくまでも小説の中の一つの舞台として、トリガーになっていると思うんですけども。
なので、カッコの巣の上でのような重さというのは感じなかったですし、
そこまで構えて読む必要はないのかなと個人的には思います。
精神病院でのシーンというのは、全体のボリュームから比べると結構少ないですよね。
精神病院の中のシーンというのは。
あらすじだけ読むとそこ結構多いのかなと思ったけど、あんまりなかったですね。
そうですね。その辺はすごい大変な話が来るのかなと最初は身構えて読んでいたんですけど、
そこまででもなかったなと思うんですね。
ただ違う意味で、この後話していくんですけど、
違う意味で思う一つはあるんですけども、
あともう一つ小説に出てきて面白いものが、
ケオドールという学者さん、お医者さんでもあるんですけども、
この人が研究している恐怖の歴史という理論もすごく面白くて、
これもこの後また触れていきたいと思うんですけども、
結構恐怖の歴史を人生かけて研究しているっていう、
それがどういう理論なのかというのも作中に出てきていて、
結構この辺も小説を読んでいると興味深いところかなと思います。
そうですね。このテオドールというのが主人公ミリアの元夫、結婚相手になるんですけど、
結構このテオドールさんが第二の主人公みたいな感じですよね。
結構この人のパートが多い小説ですよね。
ではこのエルサレムがどういう小説かというのをちょっと説明していきたいなと思います。
まず本当に一言で言い表すとすると、5月29日の夜明けが軸になっていて、
登場人物たちが各々の目的によって夜明けに向かって動き出すという小説になっています。
ただこの小説の面白いところが、登場人物というのが主要な人何人かいるんですけども、
ことごとくみんな狂っていて、
まず主人公のミリアというのが元々精神病院にいた女性なんですけど、
このミリアがしょっちゅう目を外すというか、ちょっと気候ですかね。
夜中に、5月29日の明け方ですね、お腹が痛くて、教会を求めて外に出て、
もう一人の主人公、そしてミリアの元夫のテオドールという学者ですね、
恐怖の歴史を研究していて、著名人ではあるんですけど、毎春宿がよいというのをしていて、
なんでなんか結構気の毒な女性なのかなとかちょっと思ってたら、
どんどん、やばいこの人狂ってんなって見えてくるような感じになってますね。
もう一人のテオドールが結構描かれるんですけど、
このテオドールはミリアに一目惚れして、
この時も10歳以上年下で、
自分の病院に患者としてきたミリアに一目惚れしてアプローチして結婚すると。
もうこの辺り結構狂ってるんですけど。
でも結局ミリアの精神病っていうのは治らずというか、
なかなか自分で面倒見ることはできないので、
結果的にちょっと有名なゲオルグ・ローゼンベルク精神病院にミリアを入れることになると。
そこでミリアは同じく精神病を患っていたエルヌスと出会い、
恋に落ちたのかな?
ちょっと惹かれあったのかちょっとわかんないですけど、
その辺は本格描かれたらいいんですけど、恋中になると。
ミリアとエルヌスとはその精神病院の中で行為をしてしまうんですね。
行為というかセックスをしてしまうと。
で、その結果ミリアは妊娠してしまい、
テオドールはその後ミリアに離婚を突きつけて別れるんですけど、
テオドールはですね、生まれてきた息子カーフっていう名前なんですけど、
自分の息子として引き取って育てます。
この辺りの流れもどう捉えていいかわからなかったんですけど、
育てることを決定しますね。
で、ミリアとエルヌスとはその後退院しますが、
もうその後は接点を持つことなく生きていました。
彼ら二人はですね、心のどこかに精神病院のことがあり続けているという状況ですね。
この後ヒルネルク、これは戦争が終わって戻ってきた兵士なんですけど、
拳銃を持っていてちょっと危険な人物なんですが、
彼を世話している女っていうのがいて、ハンネっていう娼婦がいます。
で、この女性が29日ですね、ミリアの元夫テオドールと出会って一夜を共にするという流れになっております。
で、この人たちが29日、運命の夜を過ごすというのがこの小説の大きなストーリーになってますね。
やっぱり人間関係のところすごいですよね、繋がってるか。
そうね、これ整理するとすごいよね。
そうだね。
これをよくサラサラと書いてるよって思う。
うんうん。
すごい。
この人とこの人が繋がってしまうのかっていうのが、
読んでるとだんだんわかってくるんですけど、
それがあんまりいい気持ちに出らないんですよね。
なんかね、本当に負の連鎖を感じるっていうか。
そうですね、負の連鎖ですね。
そうですね。
この小説で気になったところというのもいくつか挙げていけたらと思うんですけども、
まず僕の方から、そもそもなんですけど、
このテオドールがなぜミリアと結婚したのかというところは、
ちょっと読んでて気になりましたね。
テオドールっていうのが、最初はお医者さんなんですけど、
ミリアとは医者と患者の立場であって、
当時18歳のミリアは統合症の少女ということで、
そういう状況だったんですけど、
テオドールは10歳ほど年が離れた年上のお医者さんという立場で、
あとは虐殺についてとか、結構研究しているんですけども、
このテオドールが言うには、歴史を動かすエンジンになるのは悪であると。
歴史が動いていくというところで、悪が動かしていると。
そこには倫理みたいなものは関係ないと。
本当に気高い行為という、良い行いというところは、歴史の上ではエンジンにはならなかったとかですね。
あとは結構これも作中で印象的だったんですけど、
テオドールが研究成果を本として発表するんですけど、
恐怖の歴史というのはまだ始まったばかりで、今後の数世紀も虐殺が起きると。
しかも本ではどこの人たちが被害者で、どこの人たちが虐殺者になるのか、
しかもその被害の数字とかも予言明いて本に書いていて、
具体的な被害数字とか、どこの誰が被害者か虐殺者になるかというのは小説では出てこないんですけど、
ただそういう内容のことをテオドールが出版した本に書いていると。
これが結構センセーショナルなことで、テオドールが有名になったし、
一方ですごい猛批判ですね。
こんな主観でこんなことを書くなというものすごいバッシングもあるという。
こんな宗教寺みたいな嘘800を出版するなとか言われますもんね。
そう、とんでもないのを言われるようで。
テオドールのところで面白かったのは、被害者と虐殺者のどちらになるにしても人は恐怖を感じるというのも、
そのテオドールが述べていて、この辺も読んでいて、考えさせられるところがあるなと思います。
面白いですよね、恐怖の歴史とか、恐怖の量みたいなのを測定というか、何ていうのかな、
示したりとかしたりしていて、この話はすごい面白いなと思いましたね。
そうですね、面白いです。
個人も他も同じで、個人も恐怖の量があると一定数になると死ぬというのが出ていて、
それで実は人がいつ死ぬかというのも、実は表すことができるけれども、
ただ今までの恐怖の量というのは人はカウントしてきていないから、
カウントさえいれば人がいつ死ぬかというのは数字を出せるみたいですけど、
実際はそんなことはできないとかですね、そんな理屈を言ってたりして。
テオドール自体も、自分の研究の方向性とか、
急にお父さんに、お父さん政治家で役に立たないことを認めないみたいな空気が出されて、
そのお父さんが気に入るように研究の方向性を変えたりとかするシーンとかあったりするんですけど、
テオドールの恐怖の歴史研究というのは、ちょっと納得させられるものが私は結構あって、
本当にこうなんじゃないかなとか思っちゃいましたね。
逆殺痴漢というのが書いてある、ああいう理論とちょっと通じるものがあって。
文法とちょっと似てますね。ちょっと思い出しましたね。
そうですね。人類全体に当てはまる何かね、暴力であったり恐怖の部分であったりというところですね。
あとはこの小説の舞台の一つである精神病院ですね。
このギョールグ・ローゼンベルク精神病院というのが一体何だったのかっていうのは結構気になりますね。
自分を忘れることで病気を回復させるみたいな、それを徹底したのかな、ようなことが書かれているんですけど、
結局そこを出た人たちがこの精神病院の影響を受けちゃってるんでしょうね。
結構印象的なシーンが、この院長のゴンペルツって人を精神病院を退院した。
この小説は卒業みたいなことで表現されてましたけど、エルヌストが訪れて行って、
その時に言うんですよね。あなたのやり方は間違ってるみたいなことを言いますよね。
それでちょっとなんか言いまかすじゃないけど、まあ否定して出てくるところがあって、
結構そのところがなんか自分は気持ちが良かったというか、なんかこの小説の中でも読んでて数少ない、なんかこうポジティブに盛り上がったシーンだと思ったりしましたね。
このでも精神病院というのがこうちょっとみんなの中に残っていってるっていうのがあるんでしょうね。
ここで一応タイトルの由来のエルサレムの話をちょっとしたいんですけど、
このエルサレムっていうのは役者後書きに書かれてたんですけれども、旧約聖書の一節でちょっと読ませてもらうと、
エルサレムよ、もしも私があなたを忘れるなら、私の右手は悩めるが良いという言葉があるみたいで、
これはなんか迫害を受けて異教に拡散したユダヤ人たちが心の拠り所としたエルサレムというのを歌っているそうです。
このエルサレムをゲオルグローゼンベルク精神病院に変えた句がですね、まあこの小説の中に出てきて、
ミリアもエルヌストも退院してもなおこの精神病院に付きまとわれているという状況っていうのがあるみたいですね。
なのでちょっとこのエルサレムっていうのを使っているみたいなんですけど。
精神病院では他とちょっと違うところとして、入院している患者さん、強靭と見られているような人たちのそれぞれの行動を止めさせるような治療法ではなくて、
倫理的な治療というのが重要視されていたという精神病院なんですけども、
それで何をしていたかというと、患者さんが何を考えているのかというのを理解しようとしていたと。
よくこの院長のゴンベルツという人が患者に質問しているんですけど、今何を考えているんだねというのをしょっちゅう患者に聞くわけなんです。
そうして患者の頭の中身を理解しようとしているという。
ただこれって何を考えているのかというのは、本人じゃないとわからないことではあって、嘘をつくこともできるし、本当のことを言うこともできるんですけど、
ただこのゴンベルツが信じるしかないというかですね、本当のことを言ってもゴンベルツが信じなかったら嘘認定されますし、
その辺で結構患者からすると、このゴンベルツからの質問というかこの倫理的な治療というのは実は恐怖にもなっていたんじゃないかな。
それが後々精神病院に出た後も、何か自分の中でこのゴンベルツという存在が残っては怖いものとして残っているというか。
ただ、お出しさんが言われたように、このエルヌストという人物が、このゴンベルツという院長がどういう人物かというのを理解するシーンがあるんですけど、
このゴンベルツも結局は普通の人だったという、そういうのがわかってきたりまして。
そうですね、「あなたは年寄りだ。ただの年寄りなんです。」とかね。
結構ゴンベルツも表面的にはすごい綺麗なことを言ってたりするんですけど、精神病院のことを。
ただやっぱりちょっとお金が絡んできたりすると、急に汚い人物になったりとかしたりして。
精神病院という、何て言うんですかね。一つのモチーフとしてすごく怪しいもので、そこにすごい狂ったような出来事であったり、人たちがいるというふうなイメージはあるんですけど、
ただ、そこの本当に支配しているゴンベルツという人は、結構普通の人だったなというのは思いました。
ゴンベルツ、結構器がちっちゃいなとは思いましたし、テオドールと一緒で。
テオドールもすごいことしてるけど、結局器がちっちゃいし。ゴンベルツも精神病院の園長やってるけど、結局器がちっちゃいところがあって。
なんかこの辺り、すごく人間味が出てて、人物描写としてはいいなと。まあ好きにはならないですけどね、どちらも。
そうですよね。いやでもね、本当に不脳連鎖を生み出している一つの要因かなと思うんですけど、巨大な存在ってあってね、実は器のちょっと小さいような人がその中心にいたっていうのも、これもちょっと虚しいところが感じますね。
じゃあちょっと、なかなかこれ語りづらい小説でいろいろ話してきましたが、まあちょっとでもこんな小説なんだってのが伝わればいいなと思っております。
じゃあ最後、感想とどんな人に読んでもらいたいか話して終わりたいと思います。
まずですね、何度も言いますけど、この小説すごいのは構成だと思ってます。
もう、なんか最後ネタバラになっちゃうんで何も言えないんですけど、最後とんでもない状況になり、で、なんかその因果がわかっているのは読者だけっていう状況、想像することができるのは読者だけっていう状況がすごくいいなと思いました。
もうなんていうか、それに関しては感動っていうわけじゃなくて、なんだろうな、でもカタルシスのようなものはあって鳥肌は落ちましたね。
あまりうまく表現できないんですけど、運命という言葉でしかなんか表現できなくてなんか悔しいんですけど、あの特殊なカタルシスがあってすごい小説でかなりびっくりしましたね。
で、万人受けする小説ではないなと思ってます。
でも、かといってこういう人に会うっていうのはなかなかうまく言えないんですけど、話すことを試みると、好きではない話ではあるので、なんか結構そういうダークさが好きで、かつ展開があんまり予想できなかったりとか、構成がうまい小説が好きな人とかにはハマるとは思います。