ミズリー州の架空の街を舞台に、大企業が起こししまった環境汚染問題をメインに据え、
失われていく住民の複数の声を捉えた、スクラップブックのような大長編。
前回に引き続き、ネタバレありで、エヴァン・ダーラの失われたスクラップブックを紹介していきます。
どうも皆さんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人が緩くトークするポッドキャストです。
パーソナリティは、私ダイチとミエの二人でお送りします。文学のフォローではない二人ですが、お互いに好きな作品を時には熱く、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのも、前回に続いてエヴァン・ダーラの失われたスクラップブックになります。
木原義彦さん役で、元義書房から2024年に出版された本です。
前回はね、割とね、こう、言うてもストーリーの部分を結構話してはしてはいるけれども、こんな本だみたいな感じのことも話しながら、こういう魅力があるよとか、こんな風に読んだらいいんじゃないかみたいな話をちょっとさせてもらいつつ、いろんな話をさせていただきました。
今回はちょっとね、ストーリーを中心に話して、ちょっとネタバレもしつつ、ラストの印象も含めて、ちょっといろいろ話していきたいなと思います。
じゃあ、えーと、うん、すごい早速になっちゃいますが、いきますか。
そうなんですよ。じゃあもう、早速ストーリー紹介していきましょうか。
前回の最後に読み方ロードマップというのを話したんですけども、この本の前半部分は連作短編みたいな形で、
個別バラバラな話というのが、物語というのがですね、もういくつも積み上げられていたんですけども、後半ですね、
大体は400ページ手前あたりからちょっと一つの物語に集約されていくような展開になっていきます。
まず、舞台としてはアメリカのミズウリ州イソーラ市というところをですね、これ架空の市が舞台みたいなんですけども、
そこの街に大手化学品メーカーオザーク社というところがあって、そのオザーク社というのが環境汚染問題というのをちょっと起こしてしまって、
そこがですね、取り沙汰される事態になっていきます。このオザーク社というのが世界2位のフィルムとか写真とか、
原造製品の製造加工会社で、そういう製造メーカーですね。やっぱりその工場を持っているんですけども、
その化学薬品を使っていて、それがですね、どうやら流出してしまったと、その体に悪いものが流出してしまったというのでは問題になっていくんですけども、
ただですね、このオザーク社というのが本当に大手企業なんで、地域経済を支えていて雇用も生んできた会社でもあって、
イソーラ市一帯の全労働人口の約5分の1をオザーク社が雇い入れていて、イソーラ市にある全不動産の約36%を保有していると。
さらに、この市のいろんな施設とかにも寄付をしているというので、本当に市にとっては誇りみたいなものでもあったし、住民の信頼も厚い会社でもあったんですけども、
ちょっとその汚染問題というのが出てきて、ちょっと不審感がですね、募る事態になっていたと。
で、化学物質というのが塩化メチルというですね、もので、これが流出してしまったと。
最初はですね、なんかそんな大した問題ではないと思われていたんですけど、ただどんどんですね、この汚染問題の深刻さが明るみになっていますと。
で、最初、例えばですけど、塩化メチル流出量というのが最初に発表あった時は750から2300リットル。
ちょっとその工場から川とか土地とかにちょっと流れてしまったと言ってたんですけど、ただ翌日には5000リットルと。
そのすぐ後には4万リットルに訂正されて、今度は20万リットルになるというですね、最初言ってたのは何なんだったって思うようなですね、どんどん大きな数字になっていくと。
で、社長が住民説明会とか開いて、いやこれはもうちょっと問題は起こしてしまったけど、ただ健康面には問題がないし。
これを機にですね、この会社と町と前向きに一緒に取り、気づいていこうというですね、前向きな会見を社長は住民説明会でしようとするんですけど
ただですね、市民と紛糾しあったりね、まあ衝突してしまったりしてしまうという。
で、それ以外にもですね、この会社の広報担当者とか、あと保健局の役員とかですね、市の市長とかですね。
なんかその、あとはまあやっぱり会社が大手企業ですごい力を持ってるんで、そこに避けられない町の人々とかですね。
いろんな立場の人が、まあその作品の中でね、いろんな声を上げていくというですね、風になっていきます。
そんな、これを一体本当に体に悪いの、そこまでの影響あるのって思うんですけども、ただですね、その後すぐにまた別の問題が発生して、
塩化物流ではなくて、お作学者が他の会社が出した廃棄物を受け入れていたっていうですね、ということが明るみになってきます。
で、それがですね、ヘキサと呼ばれる化学物質なんですけども、こっちの方がなんかより人体に悪影響があるみたいで。
その廃棄物を受け入れていたというのがやっぱり、結局はそのお金の面ですかね。
うんうん、そうですよね。
うん。なんかその塩化物流流出してしまって、ちょっと会社もすごい損失が出てしまうというところで、
ちょっとその分の補填をしないといけないというので、ちょっとこれ安易になるのかもしれないですけど、
廃棄物、危険なものをちょっと受け入れて、それをお金に変えようとしていたという。
で、それがですね、ヘキサと呼ばれるものがちょっと今度は流出してしまって、そうなるといよいよ深刻な問題になっていってですね。
で、やっぱりがんの恐れがあるとかですね。
あれですよね、妊娠している人が流産する可能性が高くなるとかですね。
そう、そんないろんな、また報道というか、そんなものが出るようになっていって。
で、そうなるとですね、住んでいる人たちもいよいよですね、怒りの声を上げたり。
その前から怒っている人もいたんですけど、信じられないという声もあったり。
あとやっぱりそのがんのね、やっぱり不安もあって、ずっとそこに住んでいた人。
作中ではね、ちょっと子供が自殺するということもあったんですけども。
そうやって本当にその住んでいる人たちの中でちょっとパニックになっていて。
で、最後ですね、この町の住人たちに退去命令が下されて、もう町に人が住めなくなってしまうというですね。
という事態になっていくというですね、そんな話ですね。
そうですね。いやーこれは、今これが後半200ページぐらい?150ページぐらいかな?ぐらいの内容なんですけど。
それまではね、ちょっと前半でも触れてるけど、いろんな人の無数のエピソードが詰められていって。
で、そのうち急にこの声が、このなんかやばいこと起きてるんじゃない?みたいな声がちょっとずつ織り込まれていって。
で、それに対してなんか気にしすぎだよみたいな感じの声があったり。
いやいや待てよみたいな声があったりっていうのがあってて。
いよいよ本当にその塩化メチルが流出したらしいぞみたいな。
でも大丈夫大丈夫みたいな。ちょっとだけだからみたいな。
っていうのが、1日で750リットルかっていったのが2300リットル。
で、その翌日には5000リットル。で、次が4万ってえーみたいな。
で、最終的に20万みたいになってくっていう。
数値の修正が加えられていって、住民もいよいよやばいんじゃないかみたいな。
で、それに対して会社が説明するシーンがあるんですけど、
でもその時もね交互にいろんな声が描かれていって、
単文だけどすごく緊迫した描かれ方して、
この辺りを読んでて本当にちょっと止まらなくなるようなところでもありましたね。
それがやっぱこの失われたスクラップブックっていうことなんだと思うんですけど、
失われてしまった複数の声なんだろうなと思いましたね。
これやっぱちょっと前半でもタイトルの意味があって話をちょっとさせてもらってはいるんですけど、
ちょっと詳しく話をしていきたいと思っていて、
これ読み終わった時にやっぱりこの本って結局なんでこんだけ長いんだっていうところは、
この一連の事件って言っていいのか、なんと言っていいのかあれなんですけども、
この汚染問題、街が進めなくなるまでなんですけど、
これがやっぱちょっとした最初のこの噂みたいなところから、
新聞の報道があったりとかで不安が大きくなってて、
最終的に会社が説明会開いて、またそれが収まったと思ったらまた違う問題ができてきてみたいな、
いろんなフェーズがあると思うんですけど、
これ例えば今コロナとかがわかりやすいのかな、
コロナって今振り返ると、緊急事態宣言が出てちょっと外出ができなくなって、
こんなことがあって結局収まって、この期間だけワクチンがあってとか、
今振り返るとすごくタームで切れると思うんですよ、
この過去の出来事になっていることが多いので、
ニュースとかもそうだと思うんですよね、
ソラツーとかわかる、生成AIの動画を作る、
あれもちょっと問題になったと思うんですけど、
あれも今この段階でちょっと振り返ると、生成AIで動画が作れるんですけど、
あれ結構一時期ジプリ風のアニメーションとかポケモンのアニメとかが結構自由に作れちゃうみたいなのがあって、
結構話題になったことがあると思うんですけど、
あれってもともとソラツーを開発したオープンAIが著作権を持っている側のものとかの方々が、
我々のこの著作物使わないでくださいねって言わないとそれを反映しないっていうあれだったんですよ、
これがちょっと問題視されてしまったのは、
アメリカの企業には言ってたんですね、こういう方法でやれますって、
だからディズニーとかも言ってたんですよ、だからミッキーとかは生成されなかったんですよ、あの時、
でもジプリとか日本のアニメは結構それが言われてなかったんで、
そういうのが作られちゃって、これはちょっとってなって、
最終的にソラツーのオープンAIは逆に著作権使ってもいいですよっていうコンテンツの、
み生成が許されるようになった、
だから逆の方式に変えたんですけど、でも最初はそれやってもういろんな話が出ちゃったし、
もちろんアメリカ本国でも物議を醸してみたいな、いろんな経緯があってそうなったんですけど、
今事実だけ見ると著作権を持っている側がいいよって言わない限り、
それが作られない状況になったっていうことになってるんですけど、
でもカチューはさ、例えば日本のアニメクリエイターとかはさ、
あれなんか勝手に作られるようになってるぞみたいな、
あれSNSでなんか最近似たようなの見るとどうなってんだみたいな、
調べていくとあれソラツーで作られてるらしいけど、
なんでアメリカのミッキーとかディズニー系のアニメは作られてないんだみたいになってくるじゃないですか、
そういう要所要所の変遷があると思うんですけど、
そういうのがやっぱり振り返った時はもうこういう事実が、
時系列はもうもちろん把握できるけど、
分かるなって、分かるなってか物事としてこういうことがあったなっていうだけになっちゃうと思うんですけど、
今回のこれスクラップブック読んでると、
ほんとリアルタイムに物事が動いてる、すごく体験できるというか、
体に異変が起き始めたぞとか、うちの子供どうしちゃったんだみたいなとか、
耳が聞こえなくなっちゃったとか、そういうのがあったり体の異変化もそうだし、
情報も大丈夫だって言ってたけど本当はどうなのとか、
問い合わせしてみたらこうだったけどどうなのとか、
そういうリアルな声が、リアルな声というかフィクションなんですけど、
ちゃんと段階に応じたこの状況っていうのがすごい描かれていて、
こうやって物事は大きくなっていくし、収束していって、
最終的にはこうなっていくっていうことだなと思って、
この長さが必要だったのはそのあたりが絶対あるなと思って、
すごくそこは本当に失われてしまったこのスクラップブック、
スクラップたちの何でしょうね、を見せてくれてたなって思って、
それは読み終えた時に、いやこれはすごい本だったなってちょっと思ったんですよね。
何でしょうね、今のソラツーの話で普通逆じゃないですか、
著作権持ってる側に許可もらって作るっていうのが本来、
道義的にはそっちと思うんですけど、最初はでも逆ですよね、
申請がなかったらもうOKと見出して作っちゃいますよっていう、
これやっぱりスクラップブック読んでても、
お作者の社長の住民説明会で汚染問題が起きてしまって、
会社としてもちょっとピンチになってしまうとやっぱりすごい損失が出てしまうし、
その補填とかやっぱりこれからもどんどんしないといけないし、
その汚染問題の対策費用っていうのもすごくかさむしっていうので、
見方によってこれは住民と共に乗り越える試練であるっていうですね、
いうふうに語っていて、しかもまた別のセリフでは、
この化学物質っていうのは現代の産業社会から切り離すことができない副産物であって、
この社会に生きる全市民の日常生活を代表する副産物なのですっていうですね、
いうふうに言ってて、体に悪いものが日常生活を代表する副産物だなっていう、
見方によってはですね、この起こしてしまったことを市民、住民と共に乗り越えようとするとかですね、
副産物である化学物質っていうのは、それを受け入れている市民にも責任がありますよみたいな言い方をしていて、
いや何か逆やろうって思うんですよね。悪いことしてしまったんだったら、
まずはちょっと謝ってとか、化学物質ってやっぱり体に悪いんで、
まあその製造過程でそれが出てしまうとしても、それを産んでいるのは市民にも責任があるっていう言い方を、
そこでするのは違うんじゃないかとかってね、呼んでって思いましたし。
そうですね、この会社の社長のね、あの語りはもうすごかったですよね。
そうですね、すごいなんていうか、文面だけを見るとすごい立派な社長なんですよね。
演説が上手くて、すごいクリーンなイメージがあって、
でもよくよく読んでいると、いやこれ言っていること、
住民に責任を押し付けようとしているなとか思えてくるっていう。
自分たちの言い方にだけ持っていこうとしているみたいな。
本当だよね。
それがやっぱり住民説明会でも突っ込まれてましたけどね。
説明会である女性が基準値、円化エチルカの基準値の話を、
州によって違うって言って、
他にもっと基準値が低く設定されているところを例に出していって、
それが結構クリティカルな意見な風な感じで、
多分女性は言ったけども、社長もその通りですって言って、
パッと受け止めてパッと返す感じがあって、
この辺りはもうなんかすごい、社長すごいなっていうところはあったんですけど、
でも実際なんか政治答弁じゃないけどさ、
そういう時にはこういうシーンって多分見るんだろうし、
逆にあのあれだよね、どっかの教授じゃなくて、
調査に来てた医者がだいぶ気弱そうで、
とかね、社長の堂々としたのと比較するとめちゃめちゃビビってる、
この医者の人がいて、この時はもういろいろ分かったんだろうなとかちょっと思ったりはしたけどね、
とかありましたけどね。