日曜日の朝、月1回開催している絵の教室ですね。
赤尾義さんは月1ということですので、別の仕事をしながらこちらをプライベートでやられているということですよね。
そうですね。普通は仕事をしてて、余暇の活動として私も子どもたちも余暇の活動として教室をやっています。
具体的にはスタジオに行くとどんな感じのことをやってるんですかね。
子どもたちが1回で30人から多いときはすごく来てるんですけど、同じようにスタッフもたくさん参加してくれてまして、
スタッフというのも福祉の専門家じゃなくて、私が知り合ったアート関係を仕事にしている方が中心となっているんですが、
その人たちと子どもたちが一緒に席に座って、先ほど言ったように本当に絵を描かなくてもいいから、
自分が今日何をしたいかというのをスタッフと話し合いながら表現を重ねて、教室の最後に発表の時間を設けてまして、
その日やったことをそこでみんなに見てほしいと発表する。
それを全員で共有して祝福してみんなで拍手して、今日いい気持ちで終わろうという風にしている教室内容ですね。
いいですよね。
実は私も一回サポーターで関わったことがあったときに、そこで流れている時間があまりにも素晴らしすぎて、
この幸せな波動は何だろうっていうので、本当にいる人みんながハッピーになれる場所かなという風に思っているんですけれども、
これだからもう2003年ってことなんで、今年で20年ということですよね。
すごいなと思ったんですけど、どうしてこんなに長く続けてこれたと思います。
そうですね。当初始めた頃は絵の教室としているので課題を出してみたり、
アートというものをみんなで作ろうというところに焦点を置いていたりしたんですけど、
始めてみるともちろんいろんな子どもがいまして、絵を描かない子もいるし、絵が苦手な子もいるし、
逆に歌が好きな子もいる。本当にいろんなそれぞれの表現が絵に限らずアートに限らずあるなということに気づいて、
課題を出さずにその日の表現を発表するということに、それだけシンプルにしたことによって、
毎回毎回子どもたちが見てほしいというアピールがすごい強いので、
それを毎回毎回重ねるごとに20年間、それが継続する一番の理由かなという、
何か課題じゃなくて自由な姿をみんなで祝福するということにシンプルに特化したことが、
20年間続いている秘訣かなと思っていますね。
なかなか大人がついつい教えがちになっちゃいますけど、
そういうことをしなくても子どもたちが自由に自分たちがやりたいことをやらせているっていう。
意外と生活していく中でそういうふうに自分の表現を自由に描いてみてっていう場所って、
子どもにしても大人にしても少ないと思うんですよね。
それはやってみて気づいたことで、本当にそれなりにみんないろいろ考えて、
それぞれの表現がすごいあるんだなっていうのを回を重ねることに感じていますね。
藤井さんはアトリエAのサポーターとして元々関われたということなんですけど、
どういうきっかけでアトリエAを知ったんですか。
そうですね。作家で漫画家の小林恵梨香さんからご紹介いただいて、
とても素敵な場所があるよというところで、アトリエAを知って、
初めウェブサイトで見たときに、まだその様子が見えてこなかったんですけど、
その場所に初めて参加したときに、本当にそこの空気、祝福される空気だったりとか、
最後の発表で赤鬼さんとアトリエに来ている子どもたちの掛け合いの発表がすごくユーモラスで、
自分自身がすごく楽しかったんですね。
それから毎月自分が参加できるときにはできるだけ行くようにしています。
なるほど。アトリエAをそもそも始めたきっかけとか教えてもらってもいいですか。
私は両親が教員で、特に母が特別支援学校の教員で、その後福祉施設で勤めてたんですが、
小さい頃からダウン症の子、自閉症の子と会う機会がすごく多くあって、
また母と過ごしたすごいいい思い出ばかりだったので、クリスマス会だったり、
連れて行った場所で出会う障害を持った子たちというか、その頃は大人たちだったんですけど、
一緒にいるとすごく爆笑に次ぐ爆笑みたいな経験が多くて、
すごく自分も自然体でいれる時間があったなというのはずっと心にあって、
そのまま大学で教育学を専攻してたんですが、東京ってすごく楽しいところなので、
映画とか音楽に夢中になって、教育とか障害を持った子との関わりとは違う仕事を持つということになりまして、
でもそうしていくとやっぱり、自分の現体験にあった障害を持った人たちともっと触れ合いたいなという気持ちが強くなってきて、
それでちょうど2002年だったので、ダウン症の子のお父さんがサッカー教室を立ち上げたいという話が、それが日韓ワールドカップの年でですね。
ダウン症の子のお父さんがサッカー教室を立ち上げたいという話を聞いて、それの立ち上げに参加して、
サッカーだけじゃなくて、自分でもうちょっとできることがあるんじゃないかと思って、
同時に翌年から絵の教室を始めたというきっかけですね。
そうなんですね。サッカーはやってらっしゃったんですか?
サッカーは中学時代サッカー部だったというだけですけど、サッカー好きだったので、それがきっかけになって、
サッカーもそれからずっと続いているので、今年で21年目です。
すごいですね。アートの方は元々自分が描くのが好きだったんですか?
自分が描くというよりも、仕事もアート系の映画会社に就職しているんですけど、
大学時代とかに見たもの、東京で触れ合ったものが、アートはすごく刺激的でしたし、
その中でもアウトサイドアートって非常に興味のあるジャンルだったので、
それで絵の教室を立ち上げる、そこがきっかけになりましたね。
そうですよね。正規の教育を受けていない人たちのアートを、アウトサイドアートっていったりとか、あるいはウルトとか、いろんな表現で呼ばれることはありますけれども、
どうしてそれに惹かれたんですか?
そうですね。皆さんもアウトサイドアートとかアルビルットを見た時に感じることと同じで、
何にもとらわれていない、その人の人生を背負ったような生き様のような作品で、
とても見たことがないものが多かったので、そういう感じでアウトサイドアート、アルビルットというジャンルに惹かれたのでアトリエを始めたんですけど、
ただ、自分がそれまで小さい頃からずっとダウン症の子とかと関わってきたり、勉強してきて、
みんながみんな障害を持った人の作品はアウトサイドアート的な輝きがあるっていうちょっと先入観もあって、
それでその後立ち上げて実際ちょっと違うなっていうのを気づいたりもしたんですけど。
違うなっていうのは?
そうですね、本当に障害を持ってても全然私たちと変わりがなくて、絵を絵が描くのが苦手な子もいるし、
本当にそれぞれ、絵が上手い子ももちろんいるけど、描かない子もいるし、
だからもう誰もが誰もがアウトサイドアーティストじゃなくて、そこも本当に全然私たちと変わらないだなっていうのを、
立ち上げる際にはちょっとそう思ってなくて、もうみんなここに来てくれた子をアウトサイドアーティストとして、
作品を僕が見つけるぐらいの勢いでいたんですけど、それは本当にやってみて、
それじゃない、僕がやりたいのはそっちじゃなくて、別に絵を描かない子でもその子が一生懸命に表現しようとしていることに光を当てることの方が、
僕はこれからやりたいことだなっていうふうにどんどん変わっていったっていう感じですね。
いいですね、でもそういう場は絶対必要ですよね。
そうですね、ニーズは多分すごくあるんだと思いますね。
なんかこう、全面肯定じゃないですか。
それがしたいの、もう全面肯定がしたい。
そうですよね、私たちやっぱりすごい社会の中で常に常に批評とか、
社会的に自分がどう見られてるのかってことを気にしなきゃいけない世界に生きてるから、
多分そういう意味でもいろんな人にとってアトリエのこの場の中に流れる愛しかない雰囲気っていうんですかね。
その通りですね。
そうそう、それがしたいなと。
愛で包みたいみたいな。
本当にみんなのことを受け入れたいっていう感じ。
素晴らしいですね。
どんどん変わっていったって感じですね。
すごい素敵です。
赤尾さん、実はアルブルットとかアウトサイダーアートに関して、
自費出版で何か書籍も出されたって聞いたことあるんですけど。
ちょっと話も前後しますが、そのアウトサイダーアートに興味があったので、
実際自分でもっと近くに行きたいと思って、
アウトサイダーアートを中心とした雑誌を自分で作ってみて、
それがきっかけで結構全国のアートを中心とした作業所とか福祉施設とかにお声掛けして、
ご連絡取ってあったり、情報をどんどん得たんですけど、
その経験もあって、
なかなかやっぱり、アーティストを選んでいくとか見つけていくという活動も一つはもちろんありだけど、
僕がやろうとしたのはそっちじゃないなっていう気づいたきっかけにもなりました。
なるほどね。
なんかでも、やっぱり愛ある空間にいられる機会って実はなかなかなかったりするので、
そういう意味ではさっき藤井さんがおっしゃってたね、
そこに行った時に感じたこの多幸感みたいなものっていうのは本当に大切だなって思うし、
これから子どもたちだけじゃなくて大人にとっても大事な場かなというふうに思ってます。
それで、実は藤井さんと赤鬼さんで今進めてらっしゃるプロジェクトがあるってことなんですけれども、
ちょっと藤井さんの方からそのことに関してご説明いただいてもいいですかね。
はい、簡単にご紹介したいと思います。
私の今働いているアーツイニシアティブ東京8は2001年に立ち上がった現代アートのNPOなんですけれども、
20年以上様々な現代アートを軸にして社会を眺めるようないろんな教育プログラムを手がけています。
その中で2016年からDear Meプロジェクトといって、様々なバックグラウンドを持った子どもたちや若者たちとアートの表現とかアーティストをつないで、
未来を一緒に考えたりとか、あといろんな環境にあっても、もともと持っているいろんな表現だったり力を発揮しやすいような、
そういった場作りを行っているプロジェクトがあります。そこの中から、今年2022年に活動を進めているのが、
アトリエAさんと8でインスピレーショナルプログラムといって、子どもたちやサポーターの大人たちと一緒に東京国立近代美術館にお出かけをして、
ここで様々な、いろんな表現を前に自由にファシリテーターと一緒に対話をしながら回るっていう活動をして、その後に2日後に、