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2021-06-03 06:14

ラジオドラマ「はなびらのエール」

原作:moko.i
脚色:ファンシーコウ
提供:BEKKO BOOKS

00:04
はなびらのエール 原作、もこあい 脚色、ファンシーコー
あの時、確かに私はエールを受け取ったんだ。
早いっすね。
おはよう。ごめんね、日曜に。副会長休みだから。
お家の人に陽性反応出たんでしたっけ?
ああ、それっすか?先生に渡すってやつ。
うん。そこの封筒に名前書いてってよ。
うん、そんなに時間かかんないと思う。
これ、考えたの会長ですか?
うん、もう会長じゃないけどね。
花びらのカードに感謝の気持ちよか。
謝恩会、もうなくなっちゃったからね。
なんもありませんでしたね。
そうね、何もなかった。体育祭も文化祭も。
見てください、これ。生徒会の日誌真っ白。伝説ですよ。
開校以来初めてだ。
レガシーってやつですかね?
違うわよ。
あれ、どうするんですか?
ああ、高橋に長谷川か。あいつら人気ないもんな。
誰も何にも書かないのはあれだから、私が書くわ。
先輩が?心配りですね。
先輩、もう進路決まってるっすよね?
うん。
卒業式はできることになってよかったっすね。
うん。
せめて桜、間に合いますかね?
うん、だといいな。
これが生徒会最後の仕事なんだな。
卒業式で掃除、読んでくれるんでしょ?
どうですかね。
緊急事態、出てたらなくなるって連絡ありました。
掃除も当時も今までどおりにはできないじゃないっすかね。
そっか、そうだよね。
何にもないっすね。
諦めてばっかりだったね。
これで最後っすね。
ひどい言葉とかなかった?
03:00
ないっす。お疲れっす。
はい、お疲れっす。
えー、天気ですね。
美しい春の青空だった。
薄水色に晴れた空に小さな雲がふわふわと流れている。
普通の日曜なら校庭に響いている運動部の声も、
空気に漏れて運ばれる吹奏楽部の音もない。
まだ冷たい風が頬を撫でる。
開いた窓にもたれながら室内を振り返った時、
あざわらうかのように突風が吹いた。
花びらの芽もが風にあおられて室内に飛び舞う。
その時、私の中に溜まった虚しさがはじけた。
考えてたんだ。
一年間いろんなことをあきらめてきた。
生徒会だってそうだけど、他のことも。
仕方ないと思った。
こんな状況だし、副会長のことあった時、それが正解だと思った。
誰かに迷惑を受けた。
誰かに迷惑をかけることになるから、我慢して、我慢して、あきらめて。
でもね、あきらめる必要のないこともあると思ったんだ。
ここまでたくさんあきらめたから、あきらめなくていいことを考えることができたんだと思う。
どうしたんすか、先輩。
私、浪人する。
だめだった第一志望、もう一度挑戦する。
それって、私があきらめなくても、誰にも迷惑をかけないことだよね。
はあ、片付けないと。
そうだね。
間に合いますよ、卒業式には。
何が?
桜。
うん、先輩。
何、改まって。
在校生。
在校生代表、ソウジ。
頑張ってください。
卒業生代表、トウジ。
ありがとう。
いいか。
試験に出るぞ、ここの校分はな。
お、何か質問か。
はい。
先輩役、ヨッシー。
後輩役、ヤイネー。
塾講師、トウミ。
塾講師、トウミ。
06:14

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