なるほど。場所的にもすごい絶好のロケーションにあって、東京駅の八重洲南口に直結している場所なんですけども、運営されているのがリクルートホールディング。お二人はそちらの社員でもあるってことなんですよね。
リクルートホールディングさんってすごく私の印象だと巨大な企業といいますか、60年以上やってらっしゃる企業さんですよね。
確かに。それで手掛けている事業も幅広いといいますか、私の印象だと就職の情報士だったりとか、ゼクシーとか、それからホットペッパーとか、
結構そういう店舗とか、それから求人情報とかのメディアっていう事業の印象が強くて、そこが何でアートやってるのかなってこともちょっと気になってたんですけど。
ありがとうございます。それもまた聞いていただきたいことを絶妙にありがとうございます。
なんかそもそもこのバグが出来上がる前からリクルートって銀座で30年以上ギャラリーを運営していて、それがクリエーションギャラリーG8とガーディアンガーデンという名称でやっていました。
銀座で始めたきっかけとしては、創業社長の江添雅宏さんという方が、その当時本社が銀座にあったので、もっとやっぱり会社がどんどん大きくなるにつれて銀座の街にも貢献していきたいなと考えて設立されたという経緯があります。
銀座の街にってことなんですね。そうなんですかね。創業者の方はアートに関してはどのくらい好きだったとか、コレクションされたとかそういうのはあるんですかね。
ものすごくコレクションされたとか私たちもあまり聞いたことがないんですけど、そもそもリクルートの一番創業時のロゴカモメのマークなんですけど、それは亀倉雄作さんというオリンピックのポスターのデザインで有名な亀倉先生にデザインしていただいたってことで、結構そのビジュアルとかデザインには神話性が創業時からあったというところ。
じゃあ割とデザイン性とかそういったところから入っていってってことなんですね。そうなんですそうなんです。
G8のクリエイションギャラリーG8がまさにデザインを取り扱っていて、ガーディアンガーデンが若手作家の支援ということをメインに行っていました。
今回もそのバグでDNAを引き継いで、制作活動年数の浅めのアーティストの支援を行っていきたいというところは掲げている一つではあります。
結構最近ねビジネスがすごいアートに近づいてきてるなって私はちょっと思っているんですけれども、でもそれって割と本体の事業の収益化っていうところを狙っている。
例えばABEXさんとかも最近現代アートかなり積極的にやってますけど、あれも結局アートフェアやったりとか、最終的にはアート販売で収益化するみたいなところも考えてらっしゃるのかなって気がしたんですけど、
リクルートさん的にはこのアートってどういう位置づけなんですか?これはもう全く事業本体と関係なく社会貢献。
そうなんです。まさに社会貢献活動としてやっていて、だから江沢さんが銀座の街に貢献したいっていう結構純粋な思いで始めたっていうところをずっと引き継いでいて、ただひたすら社会に貢献したいっていうところで。
すごいですね。そういう高い理想というか、そういった考えのもとにやってらっしゃるってこと。でもそれは逆にやりやすくないじゃないですか。やりやすくない。変に利益を追求しなくてもいいっていうところで。
そうですね。私たちもやっぱり幅広くアートを広げていきたいってところで、来場者数みたいな目標はちょっと見ていたりはするんですけど、でもやっぱりそうやって利益じゃない部分で一つ挑戦しやすいみたいな面はあります。やっぱり新しいことにどんどんチャレンジしてみる場所になり得るかなという。
そうですね。入るとカフェがまず手前にあって、その奥がギャラリーっていうそういう場に今なってるんですね。
そうなんです。ギャラリーって呼んでないんですけど、アートスペース。
なるほど、スペースね。
カフェが入り口で、アートスペースが奥なので、そのカフェにたまたま来た人も初めてアートと触れるきっかけになればいいなという意図でカフェを併設していたりします。
基本的にはカフェがあって、その奥にスペースがあって、展示も見れるようになっていると。
あと先ほどおっしゃってたアーティストの活動支援ってことになると、これどういうことをやってるんですかね。
そうですね。活動方針として今一応ウェブサイトに3つ掲げていて、アーティストのライフステージを配慮して一緒にやっていきますというところと、適切なパートナーシップを結びますというところと、キャリア支援という3つなんですけど、
ライフステージの配慮と適切なパートナーシップは結構そのお付き合いする中で基本的な話にはなっていて、
やっぱりそのアーティストの方も制作の話だけじゃなくて生活が自分の生活が学されているので、
その介護とか育児とかいろんな状況に合わせて私たちもできることは支援していきたいなっていうところがあります。
パートナーシップはすごいこれも当たり前なんですけど、業務の依頼前にちゃんと契約書を締結しようとか、フィーをお支払いしようみたいなところで、
ただそのアートフォアオールさんとかの調べられた調査結果とかも載ってると思うんですけど、結構アーティストが生きていく環境が厳しいみたいなところを私たちも知って、
ちゃんとそれはベースでやっていって、それが当たり前っていうスタンダードをここから発信していこうみたいなところで。
それ素晴らしいですね。
そういうアーティストの労働環境全体っていうのをやっぱりリグルートさんって確かに人材の育成とか支援とかってことに力を入れてたので、
その辺がやっぱりこういうところにも活動の中に受け継がれてるって感じですかね。
なるほど。で最後キャリアの支援の方は、制作活動歴10年以下の方が応募可能なバグアートアワードの開催とか、展覧会を開催していくっていうところでやっていて、今後はそのキュレーター向けのプログラムとか、
批評家の方に向けたものも何か実施していきたいなといろいろ検討している中ではあります。
だからその作るアーティスト側だけじゃなくて、そういったアーティストと一緒に伴奏している人たちも一緒にやっぱりこれから活動を支援していくっていう、そんな感じなんですかね。
はい。考えてます。
なかなかそれなんかやっぱり普通のところでやってないことですよね。
普通にギャラリー用スペースを提供したりとか、アワードっていうのは他社さんでもやってると思うんですけども、こんな包括的にアーティストだけじゃなくて、それを取り巻く人たちと労働環境、やっぱりそういうフィーをきちんと支払うとかっていうところまでってなかなか手を伸ばせないところだと思うので、
なんかすごく聞いてて心強いと言いますか、なんかとても画期的なことだなっていうふうに思ってます。
それも社会貢献事業としてやってるとか、やっぱり大企業はちゃんと予算を取ってやってるってところがすごいなっていうふうに思うんですけどもね。
あれなんですかね、皆さんそういうふうな考えに立っているのは何か問題意識としてやっぱりあったんですか。
でもそうですね、やっぱりさっきのアートフォールとか表現の現場調査団とか、結構私たちもいろんな美術業界とか、あとは社会全体を取り巻く情報はキャッチしようとしているんですけど、その中でリクルートがもともとなんか負の対象に取り組むっていうところをやっていて、
社会課題とかを解決するために今までも事業を展開していった部分があるので、社会の負の側面にちゃんと目を向けて改善できることは何とかしていこうという考え方がベースにはあるかなと思います。
あ、負の解消。その負の解消って例えばどんなことですかね。
それはもう一番最初がリクルートって求人情報誌から始まったんですけど、それもすごい情報の非対称性で、コネがある人は紹介してもらって職につけるけど、全然オープンになってなかったっていうところで、もっと情報をオープンにしていこうっていうので情報誌を作ったんです。
あ、そうだったんですか。それ知らなかったですね。そういうところから始まっているから、なんとなくやっぱりスピリット的にそういったものが土台にあるってことなんですね。
なんかちょっと変わりましたイメージが。
ありがとうございます。
そうですね、バグのスペースってウェブサイトですとか空間の紹介動画3Dデータ公開してるんですけれども、
バグの立地が外堀通り沿いという、車も人通りもすごく多い大通りに面したガラス張りの空間なんですね。
以前は車のショールームがあったような場所で、まだその時には展示用の壁とかも何もない状態からがらんとした空間で、
ここでどういうふうにアートスペースを作っていくかっていうところの議論から始まっていて、
そのバグの設計をしていただいたのは建築家の平井雅俊さんという、平井建築事務所の方なんですけれども、
本当にそもそも展示スペースなのに展示の壁って本当に必要なのかみたいなところの議論から始めていたりとか、
スペースを作る上で当たり前と思うような部分とか、根源的なところから疑ってみようということで、
アーティストとか批評家とかインストラさんたちと一緒に、これからバグでどういう展示をしていきたいかみたいな、
どういう場所になるとアーティストのサポートにつながるのかっていうような意見交換しながら、
意見重ねていって、そのうちの一つとして、
2022年の7月に社交実験映画祭っていう、映画祭っていう名前のイベントをやったんですけども、
これは先ほど言ったようにバグが外撮り通りに面していて、
開口が入る予感なので、どこまで光を遮れば映像を鑑賞することができるのかみたいな疑問が生まれていて、
それによって壁の高さとか射光性とかも空間設計で変わってくるよねっていうところで、
実験してみようっていう疑問から始まったんですけれども、
映像作品を作っているアーティストの方々を複数名呼んで、
アーティストの作品を壁に投影しながら、空間をどんどん射光カーテンで暗くしたり明るくしたりしていく実験とかも行ったりとかして、
そこに荒木優さんですとか、沢平樹さんとか、いろんな方に協力いただいて、すごく贅沢なイベントをさせていただきました。
そういう方たちはどうして、もともと前からギャラリーやってたから皆さんコネクションがあった?
そうですね、雨宮洋介さんのコテラ落としでやりましたけれども、もともと繋がりがありまして、
雨宮さんにアドバイスをいただいたりとかで、こういう方を呼んだらいいんじゃないかみたいなのを聞いたりですとか、
これまでの活動の中で繋がりのある方中心に、これから私たちが新しくやっていく中で、
こういう方にも話を聞きたいよね、みたいな人に初めましてな感じで当たっていったりとかしたり、
あと帰端のない意見をいただけそうな方を選びました。
じゃあ今のスペースの光の入り具合というのは、こういった実験を繰り返した結果、決まったという。
そうですね、決まりまして、その他にもスペース設計の意見交換会で、天井のクロスを外すとどうなるかという実験をしたりとかしていて、
結局外してみたら、天井1.5メートルも高く使えるということになって、今むき出しの配管を見せるような設計に決めたりとか、いろんな実験をして。
なんかこう入った時にやっぱり天井が高いので、空間がものすごく広く見えるというか、でも真っ白な壁なので、
本当にホワイトキューブって感じはしたんですけども、ただ空間の広がりはすごく開放的でいいなというふうに思いました。
ありがとうございます。
なるほど、それ以外にもいろんな方を解説するまでに呼ばれて、レクチャーとかイベントとかやられてましたよね。
そうなんです。なんかその、竣工してから場所が2023年の3月にできてから、バグのコケラ落としの9月20日まで半年間ぐらい空いちゃってたんですよ。
で、まあ家賃を垂れ流すわけにもいかないので、ちゃんと、しかもバグの活動をもっと知ってもらうために、プレイベントという形でいろいろ開催していて、
その中でも結構多かったのが、バグアートアワードの審査員の方5名に登壇してもらって、トークイベントを開催したりしていました。
なんかね、その記録がちゃんと残しているのが素晴らしいなと思って、ノートっていうメディアのところに、イベントの全編書き起こしでしたっけ、計算してて、あれがものすごい貴重なリソースだなって私思ってたんですけど。
ありがとうございます。アーカイブをやっぱり大事にしていこうっていうのはすごく方針としてもあって、気合で書き残しました。
で、なんかそれも結構いろんな視点でやったんです。ジェンダーのことを扱ったりとか、あとその過去にどんな公募展とかが日本で開催されてたとかって、非常に美術的な観点から学院の方が説明してたりとか、
なんかあれ絶対美大生が読んだら、すごく貴重な資料だし勉強になるなって思って、こういうことを毎段階でやってるってところもすごいなと思ったんですけども。
ありがとうございます。
あれは、他にもあそこに掲載されてないものって今後出てくるんですかね。
そうですね、全部一応書き起こしはしています。
全部ありましたっけ?
なるほど。
なんかね、開いたイベントって今後もやってきます?
やっていきたいなとすごく思っていて、やっぱりアートセンターの最初説明をさせていただいたように、展覧会以外の活動とかをしていきたいなと思っているので、
さっきおっしゃっていただいたように、学生の方とかまだちょっと経験が浅いみたいな方がためになるようなレクチャーとかトークはぜひやっていきたいなと。
このプレイベントっていうのはどういった方たちが参加できたんですか。
誰でも結構。
そうなんですか。
そうなんですよ。
青コインになってたんですね。
そうなんです。ちょっと私たちの告知力が今の半分足りなかったかなと思ったんですけど、SNSで。
見に来たい方は誰でも。結局バグアートアワードの募集が始まる前の期間でプレイベントをやっていたし、
バグがオープンする前にバグアートアワードが先に出たので、多分みんななんか海のものと山のものとの交互が始まったなという感じかなと思ったので、
場所も見ていただけるし、審査員のことも知っていただけるっていう趣旨で開催してました。
そういうことですね。なんかすごい面白かった。やっぱり藤井光さんが呼ばれて、海外で活躍するってことを視野に入れた方がいいよみたいな、そういう視点とか。
こういうのも皆さんで協議して、こういう視点のものをやってもらおうとかって決めたんですかね。
そうなんです。それぞれ申請の方の得意分野とか経歴を踏まえて、海外経験のある方とかジェンダーの研究されてる方とかと話し合って、このテーマでやっていきましょうっていうのを一個ずつ決めました。
なるほどね。すごいためになる。とてもやっぱりアートセンターとして、そういった勉強の機会っていうのを作ってくれるっていうのはとてもいいかなと思ってるんですけども。
お二人はそれでメインで関わってらっしゃるのが、先ほどおっしゃってたバグアートアワードということなんですけれども、
次回の前編、後編というふうに分けてやっていきたいと思うので、後編の方でもその辺の詳しい話はしていただければと思うんですけど、ちょっと軽くアートアワードは何なのかっていうのを紹介してもらってもいいですかね。
バグアートアワードが、制作活動年数を10年以下のアーティストの方が応募可能な公募です。
1次審査が書類で審査して、2次審査は審査員と応募者がバグの中で一対一の対面で話して審査を行うという形式です。
2次審査が終わると、今回は1回目は応募総数415名の中から6名のファイナリストが選ばれたんですけど、その中でファイナリスト6名によって展覧会を開催するという感じです。
そのファイナリスト展、バグ展って呼んでるんですけど、期間中にグランプリ一名を選出する公開参集審査会というものも行うので、実際のファイナリスト展を見た上でグランプリを選ぶという方法でやってます。
なるほどね。でも選ぶのは審査員?