おへそを向けて話すこと
おはようございます、鶴岡慶子です。この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
視観やナレーションを通じて、日々感じたこと、学んだこと、それからちょっと嫌だなぁと思ったことも、視点を変えて前向きに物事を捉えたり、最終的に良かったねと思えるように考え方のコツなどをシェアしています。
日本の秋田県から毎朝更新しています。今日は、相手におへそを向けて話す、というテーマでお話をしていきます。
ラジオの生放送をしている時に、ゲストの方が必ずしも私の真向かいに座るんじゃなくて、斜め前に座ることもあるんですね。
そういう時に、どうしてもマイクに対して、ちゃんと向き合えないということで、声が拾いにくくなる場合があります。
そういう時に、私はゲストの方に、「おへその角度とマイクの角度を合わせてください。」という言い方をすると、マイクに声がパーンと当たるようになるので、そういう言い方をしていました。
このおへそっていうのは結構いい武器でして、というのも、この武器は特別支援学校の先生だった時によく使っていた言葉で、
おへその位置と何とかを合わせてねって言うと、指示が通りやすいんですね。子供たちも何を言われているかがわかる。
まっすぐ座ってねって言うと、どこに対してまっすぐなんだろうとか、まっすぐっていうことがよくわからなかったりとか、まっすぐっていうことが直角になってしまったりとか、
そういうことってあるんですよね。でも、おへそとこれを合わせてねって言うと、こちら側が意図した通りに動いてくれるっていうことがありました。
こういうことでもわかるように、これはおへその例ですけれども、例えばアナウンスをして、皆さんにこういう風にして動いてねっていう時に、
どういうアナウンスの仕方をすれば、誰もキョロキョロしないで、誰でもわかりやすいように動けるんだろうって思うので、
アナウンスの仕方ってそうやって組み立てていくんですけれど、ゲストの方がちゃんとマイクに声が当たるようにしてほしいって思った時に、
どうやって言ったら一発でその体勢を整えてくれるんだろうって思った時に、おへそが役に立ったんです。
これ例えば、お話を聞いてくださいっていう時に、お顔はこっちよっていう指示の仕方もあると思うんですけど、
それで整う場合もあります。でも体はあっちの方向を向いてて顔だけこっちって言うとちょっと失礼ですよね。
なのでお話を聞く時は、お話をしている方に体全体を向けるんだっていうことをちゃんと意識してほしいなと思うので、やっぱりおへそが武器になるんです。
祝辞やスピーチの立ち位置
さて、おへその話からちょっと発展をしますけれど、例えば祝辞とか結婚式のスピーチなんかを考える時に、
立ち位置っていうのはどこでしょうか。立ち位置はご両人が座っている席の左右どちらかなんですよね。
そこにマイクが立てられて、スタンドマイクです。そこで祝辞を述べたりスピーチを述べたりということになります。
原稿は持っていても大丈夫なんですけど、誰に向かって喋っているのかっていうことをその原稿の中で意識してお話をすると、ずいぶん印象が変わります。
ご両人おめでとうございますっていう時にはご両人の方を向いてお話をするべきでしょうし、並びにご両家の皆様おめでとうございますだったら会場全体の奥の方に座ってますけれど、そこに向けて目線を配るとずいぶん違います。
これはまだわかりやすい形なんですけれど、これが葬儀になりますと時々混乱している方がいらっしゃるんですね。
ちょっとここで情報を整理したいと思います。
まず、聴辞やお別れの言葉、これは個人に向かってお話をします。亡くなった方に向かってお話をするので、家に向かってお話をします。
第一声、聴辞あるいはお別れの言葉と言ってからスタートするんですけれど、もう個人に向かってのメッセージをお話しすればいいんです。
これが最近何例かちょっと続いているので気になったのでお話しますと、例えばおばあちゃんのお葬式だったとすれば、冒頭がこんな風だとちょっとあれって思っちゃうんですね。
どんな内容かっていうと、祖母の葬儀に際しお別れの言葉を述べさせていただきます。
っていうと、あれってちょっと違和感があります。
もしこの言葉を入れたいのであれば、これは家に向かって話すことではなくて、今日参列している皆さんに向けてお話をしている内容なんですよ。
おへその方向が間違っているんです。
葬儀
家に向かってお話をしているっていうことは、皆さんに向けて背中を向けているわけですから、背中を見せてお話をしているんだっていうこと。
これはよくよく理解して意識して文章を作った方がいいなって思います。
同じような理屈で、朝電の考え方もここでシェアしたいと思います。
一部の葬儀会社では、家に向かって読み上げる会場もあります。
これは非常に違和感があります。
電報は誰宛に送られているかっていうと、母主宛あるいは遺族宛に送られているものなんです。
母主の名前がわからないときは、宛先に個人の名前を書いた上で、なんとか様ご遺族様というふうに宛名を書きます。
ということからもわかるように、これは個人宛じゃないんですよね。
ですから個人に向かってこの電報を読む、読み上げるっていうのは大きな間違いなんですよ。
亡くなられた方宛じゃないから、まずは祭壇前で読むのはおかしな話っていうのが一つと。
もう一つは遺族宛なのにも関わらず、遺族に背中を向けて読み上げるっていうのは大変失礼な形ということになります。
中には内容で個人宛のお手紙のような内容の方もいらっしゃるんですけれど、
それが両方に対応できるような場所で読むのが正式な形です。
例えば司会者だったら司会者台で遺族宛に向けておへそを向けてお話をします。
個人宛のお手紙のような内容であれば、その時はおへその角度を家に向けてちょっと変えてお話をします。
それはもう結婚式のスピーチと同じですよね。
ご両人に対しておめでとうっていう時はご両人の方におへそを向ける。
そしてご両家の皆様おめでとうございますという時にはご両家の方におへそを向けてお話をするということと同じです。
それが失礼のない形です。
よくある伝法の定型文の中に、お父様であればご孫父様のご性挙の方に接し、
お母様であればご母同様のご性挙の方に接しということがあります。
あるいは辞節柄どうぞご自愛くださいませということもあります。
お悲しみをお差し申し上げますという文面もよくあります。
これは亡くなられた方に発する言葉ではないですよね。
一つ一つ言葉の意味をしっかりと捉えて、今私のおへそはどこを向いているべきなのかっていうことを意識すると、
伝わり方が全く違うのはもちろんのこと、何よりも失礼にならないんですよね。
違和感を感じさせないっていうことです。
もしあなたが何かスピーチをする機会がありましたら、自分のおへその角度はどこを向いているべきなのか、ぜひ意識してみてください。
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それではまた明日もお会いしましょう。鶴岡恵子でした。